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LOVE OR EAT

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「ふざけてんのかあのクソガキ」

可愛らしい顔立ちに似合わぬ口汚い罵りが少女の口から飛び出た。
仏頂面で夜空を見上げる彼女からは、分かりやすく不機嫌のオーラが漂っている。
ちっと舌打ちを一つ零し改めて、率直な思いを口にした。

「クソ過ぎんだろ、頭沸いてんのかよあいつ」

何をどう考えてもリルトット・ランパードにとって、自身が置かれた状況はクソの一言に尽きる。

死神、破面、滅却師、完現術者による前代未聞の共闘。
それにより綱彌代時灘の計画は失敗に終わった。
諸々の事後処理は京楽春水ら死神に任せ、リル達は現世での自由な生活を謳歌。
といっても彼女達は元々、見えざる帝国に属していた身。
完全にお咎めなしという訳でもなく、仲間の二人には追跡やら呼び出しやらその他諸々の装置が仕組まれている。
如何にも十二番隊のやりそうな事だが、流石に監視もしないで放り出しはしないかと納得もしたものだ。
取り敢えずは彼女達の体に仕込まれた装置を無効化する方法を探しつつ、今後の身の振り方を気ままに考え、
気が付いたら何故か殺し合いに参加させられていたのである。
しかもご丁寧に現世に溶け込む為の私服から、見えざる帝国の制服に着替えさせられているおまけ付きで。

「遊びてぇならテメェと同じガキだけ集めろよ。とばっちりも良いとこだぜ」

乃亜や見せしめにされた兄弟、そしてあの場にいた者達の見た目からして年端も行かない子供ばかりが集められたのだろう。
性根の腐ったガキが悪趣味な遊びを始め、それに巻き込まれた連中には少しばかり同情してやらん事も無い。
問題は何故自分まで参加する羽目になったのか。
確かに、付き合いの長い3人の仲間とついでのゾンビ娘に比べたら自分は小柄で童顔だ。
だが殺し合いの参加者は明らかに自分よりも年下、現世で言う所の小学生が大半ではないか。
そんなガキばかりの空間に放り込まれるなど堪ったものじゃない。
乃亜は頭だけでなく目も腐っているのかと辛辣な感想を抱く。

「……で、どうすっかな」

乃亜への文句は言い出したらキリが無いが、言って何か効果も期待できない。
苛立ちを全て吐き出したとしても、如何にも意地の悪そうな少年が帰してくれる展開は有り得ない。
不満は大いにあるが切り替えるしかなかった。

まず第一に考えるべきは殺し合いにおける方針。
自分以外を全員殺せば帰れるのなら、手っ取り早く殺し合いに乗る選択もあり。
それに優勝者の願いを叶えるというのに興味が無い訳でもない。
上手くいけば二人の仲間、キャンディとミニィの追跡装置を無効化だって可能な筈。
が、素直にはい分かりましたと皆殺しを選ぶのを躊躇する理由が二つ。

一つ目、乃亜が素直に優勝者を帰してくれる保障が全く無い。
勝ち残ったとしても気まぐれを起こし首輪を爆破させられるんじゃないか。
或いは素直に殺し合いに乗ったとしても、思うような進行状態ではないからと参加者全員の首輪を爆破し強制終了させるんじゃないか。
最初に集められた時点で察したが、アレは殺し合いの運営に私情を挟むタイプに思える。
不服ながらも言い成りになってやったにも関わらず、気分一つで殺されるなど冗談ではない。

二つ目、そもそも殺し合いに優勝できるかどうかも分からない。
リルは見えざる帝国を率いた王直々に聖文字を与えられた、聖十字騎士団の一人。
聖文字による固有能力だけでなく、滅却師としての基本的な能力も一般の聖兵とは一線を画す。
そんなリルを殺し合いの場に放り込んだ以上、必然的にリルとの殺し合いが成立するレベルの力の持ち主が参加している事になる。
護廷十三隊の隊長・副隊長クラスの実力者は確実に存在すると考えても良い。
下手をすれば、黒崎一護のような特記戦力並の化け物だっていないとは限らない。
完聖体にもなれないリルとしてはそんな連中の相手など御免被る。

「めんどくせぇ…」

考えれば考える程、ろくでもない遊びに巻き込まれたとストレスが溜まる一方だ。
優勝しても帰れるかは微妙、ならば一旦殺し合いに乗るのは保留にして他の脱出方法を模索する。
どうしても優勝以外の道が見つからなければ、仕方ないが乃亜の言う通りにしよう。

一先ず脱出を優先するなら、真っ先にクリアしなくてはならない問題。
参加者の命を縛る忌々しい首輪の解除。
ユーハバッハが聖別を発動した時のように、こちらの予期せぬタイミングで首輪を爆破されるかもしれない。
これがある限り脱出はまず不可能だが、リルには一つ考えがあった。
首輪が爆発すれば幼い兄弟と同じ末路を迎える、では爆発に耐えられるだけの防御力があれば?
爆発が起きても死ななければ問題無く、突拍子も無いソレを実現可能な力をリルは有している。
静血装。血管の内部に霊子を巡らせ防御力を飛躍的に高める、滅却師特有の能力。
これで首回りの皮膚を硬質化させ、後は自分から首輪に衝撃を与えるだけで良い。
早速慣れた感覚で霊子を首の部分に巡らせようとし、

「…駄目だなこりゃ」

いきなり失敗に終わった。
静血装自体は問題無く使える。
ついでに攻撃力を高める動血装とて発動に支障は無い。
が、どういう仕組みか首輪を装着された周辺にのみは霊子が行き届かない。
その部分だけ巡らせようとすると、何かに阻まれたような感覚になる。
リルが荒っぽい方法で首輪を無効化する事はお見通しだったという事か。
考えてみれば当たり前だ。
参加者の能力を全く把握しない程の馬鹿が、殺し合いなんて開く訳が無い。

「しゃーねぇ。他の奴に頼るしかねぇか」

静血装を使った方法が失敗なら、リルがこれ以上首輪を動向できる術は皆無。
であれば首輪を外せるような、機械に強い参加者との協力を取り付けるくらいしか方法は浮かばない。
浦原喜助や涅マユリのような連中ならあっさり外せるだろうけれど、流石にあのレベルの技術力を求めるのは酷だろう。
チート科学者ども程ではないにせよ、解除可能な腕の持ち主を探すしかない。

「…っとにだりぃな」

不満を漏らしながら、取り敢えずは首輪を外せる奴を見付けようと歩き出す。

それから数分も経たない内に、リルは他の参加者との遭遇を果たした。

「…………」
「あー…ん?」

小さい。
小柄なリルよりも更に小さい、というか幼い体躯。
支給されたランドセルがこれ程似合う者もいないだろう少女。
いやこれはむしろ幼女と言うべきか。
その幼女が地面にペタンと座り、何をしているかと言えば菓子を口に放る寸前。
箱いっぱいに詰まったドーナツを手に取り、大きく開けた口からは可愛らしい八重歯が覗いている。
リルの視線に気付いた幼女はパチクリと瞬かせ、不思議そうに小首を傾げた。
幼女との間に沈黙が流れる中、リルは直球で思う。

(あのガキ頭おかしいんじゃねぇのか?)

乃亜が自分達にやらせているのは何だ。
仲良しこよしのお遊戯大会か?
違う、最後の一人になるまで終わらない殺し合いだろう。
滅却師である自分をも巻き込んだなら、相応に戦う力を持った連中ばかりが集められているのが当然である。
なのに今目の前でドーナツを頬張ろうとしているコレも殺し合いの為に呼んだというのなら、いよいよもって乃亜は頭がおかしいと言わざるを得ない。

霊圧は現世の一般人程度。
特記戦力どころか、流魂街の悪ガキの方がまだマシに思える。
死神や滅却師のような力を持たずとも、殺しに躊躇の無い人間とかならまだ分からんでもない。
実際にはそういった性質からも程遠い、正真正銘何の力も無いただの子供。
こんな奴を参加させて一体何になる、殺し合いが成立すると本気で思っているのか。
猛獣がひしめく檻に蟻を一匹投入して、だから何だという話ではないか。

つくづく乃亜が何を考えているのか分からない。
いや、実際の所はそう大きな目的は存在せず、見せしめにされた兄弟のような反応を見て楽しみたいだけなのか。
理由が何であれリルからしたら「クソ」の一言で片付く。

元から最低値にあった乃亜への印象を更に急降下させるリルへ、幼女はじっと瞳を向ける。
だが何を思ったのか、ドーナツの詰まった箱を抱えとてとてと駆け寄って来た。

「はい!あげる!」
「…は?」

何を言っているのか、何をしているのか。
にこにこ満面の笑みでドーナツを差し出す幼女に、リルは怪訝な視線を返す。

「おねえちゃんもおなかがすいてるから、ずっとドーナツみてたんだよね?」

皮肉でも何でもなく、邪気の無い顔で告げられた見当違いの内容。
どうもこの幼女は自分が菓子を物欲しそうに見ていたと思っているらしい。
見た目通り中身も年相応の子供、殺し合いの参加者に選ぶには選択ミスも良いところ。

「おいチビ、お前オレらが何に巻き込まれたのか分かってんのか?」
「チビじゃないもん!小恋っておなまえがあるよ!」
「へー。んで?お前は状況分かってんのかよ?」

チビ呼ばわりに憤慨するのを適当に流し返答を求める。
ぷりぷり怒っていた小恋も再度の質問には黙り込み、影のある表情になった。

「えっとね…のあくんがよくないことをしてるんだよね…?」
「ああまぁ、そんぐらいは流石に分かるか」

乃亜が何をしたのか、詳細な部分は分からない。
けれどルフィとエース、そう呼ばれていた少年達に何か悪い事をしたのは察しが付いた。
彼らだけでなく、自分を含めたその他大勢の男の子や女の子にも、良くない事をするつもりだとも。
殺し合い自体を理解してはいなくとも、今が危ない事になっているとは分かる。

「つーかヤベェ状況だって分かってんなら、外で呑気に食ってる場合じゃねぇだろ」
「うっ…ご、ごめんなさい…。おいしそうだったから…」

しゅんとする小恋に、まぁこれくらいのガキならそれが普通かと納得する。
目の前に大量の菓子があったらそりゃ我慢出来ないだろう。

未だ差し出されたままのドーナツをひょいと取り、小恋があっと言うのを無視して口に放り込む。
美味い。
これでも菓子の味には五月蠅い方だが、このドーナツは文句無しの美味さ。

「小恋もたべる!」

リルが食べる姿に我慢出来なくなったのか、小恋もドーナツに口を付けた。
一口齧っただけで広がる美味しさに、幸せいっぱいの表情を作るのを抑えられない。
余程味が気に入ったのか幼女の小さな口であっという間に平らげた。
食べ終えるとちょっぴり不安気な顔でリルを見上げる。
忙しいガキだなと内心で思いつつ、こちらが何か言う前に小恋の方が話を切り出した。

「えっと、あの…おねえちゃんにおねがいしたいことがあるの」
「あ?急に何だ」
「小恋のともだちももしかしたらいるかもしれなくて…だから、いっしょにさがしてほしいです」

友人の捜索。
参加者が幼い子供ばかりなら確かに小恋の友人がいても納得できる。
だからといって自分が手伝ってやる義理は何も無いだろう。
最低限自分の身を守れる奴なら同行も考えるが子守は御免だ。
知らねぇよとばっさり切り捨てようとし、不意に視線をドーナツの入った箱に移す。
箱にはまだ大量のドーナツが入っており、一箱で一日分以上のカロリー摂取となるのは確実。
暫しドーナツを見下ろした後、リルは提案を口にした。

「チビ、オレと取引する気はあるか?」
「…?とりひき?ひきざんのこと?」
「そのドーナツまだオレに寄越すんなら、暫くお前と一緒にいてやるよ」

純粋な善意でも、ドーナツ欲しさから言ったのではない。
後者に関しては全く違うという訳でも無いが。
リルの目的はとにかく生きて帰ることで、現段階で殺し合いには乗らない。
その為に他者との協力が必要であれば、そうするのにさして抵抗は無い。
黒崎一護のように戦力になり尚且つ甘い奴なら、無力な少女を守ってますとアピールすればスムーズに手を組めるだろう。
邪魔になったら適当な善良な参加者にでも押し付ければ良い。

打算ありきの考えとはも微塵も気付かず、パァと目を輝かせながら小恋は頷いた。

「うん!おてつだいしてくれてありがとうおねえちゃん!」
「ただの取引だ。礼なんざいらねぇ」

無愛想に返しドーナツを一つ手に取る。
子供を相手に良い態度とは言えなくとも小恋には嬉しかったらしく、探して欲しい人達の事を話し始めた。

「えっとね、まずみのりちゃんでしょ。…あっ!みのりちゃんはともだちじゃなくてコイビトだよ!」
「……」

ドーナツに齧りつく直前で思わず動きが止まった。
聞き違いだろうか、いや確かに恋人と言ったか。
ちゃん付けしてるし名前からもそいつは女。
それが友達ではなく恋人とは。

「その年でレズってんのかよ。色々終わってんなおい」
「れず…?よくわかんないけど、おわってなんかないもん!みのりちゃんのあかちゃんうんだり、それから…きもちいいことしたりするの!」
「意味分かって言ってんのかロリビッチ」

最近の現世のガキは随分と爛れている。
ポーカーフェイスの裏で呆れながら、ドーナツ片手に小恋の話を聞いてやった。
全部聞き終わって分かったのは、やはり小恋も周りの連中も至って普通の人間。
より正確に言うと性癖は少々アブノーマルであるが、戦いとは一切無縁。
一応尸魂界のことをさり気なく尋ねても案の定不思議そうな顔をされるだけ。
益々以てこのような幼女を参加させた意味が分からなくなった。

「おねえちゃんは、あいたいひととかいないの?」
「いねぇ。つーか幾ら何でもアイツらまで参加してんのは有り得ねぇ」

説明を終えた小恋から反対に聞き返され、リルはあっけらかんと返す。
流石にジジ達まで幼い子供の括りに入れるのは無理がある。
自分がその括りに入っているのは非常に納得がいかないが。
とにかくジジ達が巻き込まれている可能性はゼロと見て間違いない。
今頃は元いた現世の国で、自分が急に消えたのを不審にでも思っているのだろう。
帰りが遅れればあれやこれやと勝手な事を言われそうだ。

(会いたい奴、か……)

深い意味で聞かれたのではない。
単に知り合いが参加してないかどうか、それ以上の意味など無い。
なのにどうしてか、一人の男を思い出した。
特別仲が良かった訳じゃ無い。
ジジ達のように普段からつるんでたとかじゃなく、何度か話した程度の関係。
友達でも無ければ、恋仲など以ての外。

ただ、アイツとは、

――『次に何か食べ物を作る時は、君が一口で肥満体になる高カロリーのクッキーでも想像しようかな』

――『ま、味見くらいはしてやるさ。期待しとくぜ、クズ野郎』

約束をすっぽかされただけだ。

「おねえちゃん?」

急に黙り込んだリルを心配する幼女へ、何でもねーよとだけ返しドーナツを齧る。
ポーカーフェイスの下で何を考えているのか、小恋には分からなかった。


【リルトット・ランパード@BLEACH】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:脱出優先。殺し合いに乗るかは一旦保留。
1:チビ(小恋)と行動。機を見て適当な参加者に押し付ける。
2:首輪を外せる奴を探す。
3:ジジ達は流石にいねぇだろ、多分。
[備考]
※参戦時期はノベライズ版『Can't Fear Your Own World』終了後。
※静血装で首輪周辺の皮膚の防御力強化は不可能なようです。

【鈴原小恋@お姉さんは女子小学生に興味があります。】
[状態]:健康
[装備]
[道具]:基本支給品一式、トーナツの詰め合わせ@ONE PIECE、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:みのりちゃんたちをさがす。
1:おねえちゃん(リル)といっしょにいる。
[備考]
※参戦時期は原作6巻以降。

【トーナツの詰め合わせ@ONE PIECE】
ビッグ・マム海賊団スイート三将星の一人、シャーロット・カタクリの大好物の詰め合わせセット。



133:子供隊長 投下順に読む 137:ハーマイオニー・グレンジャーと呪いの子
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START リルトット・ランパード 005:剥がれ落ちた羽にも気付かずに
START 鈴原小恋

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