オイゲン・フォン・カストロプ(宇宙暦?年頃 - 宇宙歴796年)は銀河帝国の貴族。原作登場人物である。

1 略歴

1-1 前世

 不正蓄財で莫大な財を成し、司法尚書ルーゲ伯爵から見事な奇術と皮肉られた。宇宙船事故で死亡。

1-2 新版

 銀河帝国の貴族カストロプ公爵家の当主。ニダヴェリール総管区の惑星ラパートを首府とする家領を有していた。(資料)

 宇宙歴778年頃、帝国の経済財政政策を取り仕切るようになる。
 宇宙歴792年、彼の次男が惑星エル・ファシル攻防戦で戦死したミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング中将の後を継いでカイザーリング家当主となる。(12話)
 宇宙歴793年、帝国で財政難を理由とする和平論が急速に力を増した際に、彼を中心とする財務官僚グループが自由惑星同盟にサジタリウス腕の領有権・民主体制の完全維持・フェザーン自治領より広範な自治権などを認める代わりに、形式上の臣従を求める『サジタリウス自由邦』構想を提案したという噂が流れた。(15話)
 宇宙歴795年にフリードリヒ帝ルートヴィヒ皇太子がクロプシュトック侯爵ウィルヘルムによって暗殺された後、「先帝の遺詔」として、元帥号を授与された。この時、副宰相と財務尚書を兼ねている。穀物輸入量の上限を撤廃するようフェザーンに求めた。(38話)
 宇宙歴796年のエル・ファシル七月危機に関して「根も葉もない中傷」と帝国政府の関与を否定した。が、翌日軍務尚書エーレンベルク元帥が「エル・ファシルにおける英雄的な戦い」と全面肯定し、パウル・フォン・オーベルシュタイン大佐らの二階級昇進を発表してしまった。同年一〇月下旬、宇宙船事故で死亡。貴族に対する課税を主張したために保守派貴族に暗殺されたとも、同盟との和平を唱えたために軍部強硬派に暗殺されたとも、同盟との直接交易を志向したためにフェザーンに暗殺されたとも言われる。その後、カストロプ派の殆どは粛清され、権益の大半はリッテンハイム派が継承した。(45話)実は同盟の大物フィクサー、ルチオ・アルバネーゼとサイオキシン密売を通じての盟友関係にあった、その為、彼の死亡とその後のカストロプ派粛清は「神々の黄昏(ラグナロック)」作戦の遠因となった。
 マクシミリアン・フォン・カストロプは彼の息子であり、後継者である。

2 性格

 「彼と比べたら、フェザーン人ビジネスマンも夢見る少女に過ぎない」と言われ、対同盟戦争を「無意味な浪費」と言って和平を主張する究極のリアリスト。

3 能力

 一五年にわたって帝国の経済財政政策を取り仕切り、「軍事宰相」の帝国宰相ルートヴィヒ皇太子、「行政宰相」の国務尚書リヒテンラーデ侯爵に対し、「経済宰相」と呼ばれる重鎮。非合法な手段で集めた政治資金を武器とする金権政治家。三〇を超える疑獄事件で名前があがったのに、事情聴取すら一度も受けなかったことから「聖域」と呼ばれる。一種の政治的怪物。
最終更新:2019年10月30日 20:11