惑星エル・ファシル攻防戦とは宇宙歴791年11月~792年3月にわたる自由惑星同盟の対帝国反攻作戦「
自由の夜明け」の作戦中に起こった惑星エル・ファシルをめぐる戦闘である。同年12月9日から翌792年3月2日まで続き、その後も帝国軍残党による抵抗がやまなかった。
1 戦いの背景
2 両軍の指導者・指揮官
3 戦いの経過
惑星エル・ファシルには都市が集中するエル・ファシル東大陸と未開の山岳地帯が広がるエル・ファシル西大陸が存在した。
宇宙歴791年12月9日、
自由惑星同盟軍第三陸戦隊と第一二陸戦隊はエル・ファシル東大陸を避けて、防備が薄いと判断したエル・ファシル西大陸にある五つの空港を制圧した。そこを拠点として確保し、第五陸戦隊も参加して、西大陸の制圧を目指した。第三陸戦隊の第三陸戦軍団と
エル・ファシル義勇旅団は大陸東北部、第三陸戦隊の第一五陸戦軍団は大陸中央部、第五陸戦隊は大陸西部、第一二陸戦隊は大陸東南部に進軍した。作戦は順調に進み、まもなく西大陸の制圧は完了した。
しかし、同盟軍の進撃は東大陸に上陸してまもなく躓いた。帝国軍エル・ファシル防衛司令官
ミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング中将は東大陸の
アル・ガザール州と
ラムシェール州に堅固な防衛線を築いており、同盟軍は空しく人命と時間を空費した。エル・ファシル方面軍の苦戦は本国に伝えられ、批判に焦ったエル・ファシル方面軍司令官
ラザール・ロボス大将は、衛星軌道上の
第三艦隊に、アル・ガザール州とラムシェール州を砲撃させることにより、防衛線の多くを無力化させた。しかし、これにより地図の書き換えが必要になるほど被害が両州にもたらされた。
宇宙歴792年1月8日、ようやく防衛線を突破したものの、
カッサラ州に差し掛かったところで、アル・ガザール=ラムシェールの防衛線に倍する規模の防衛線が立ちはだかった。まもなく、エル・ファシル義勇旅団も実戦に参加するようになった。この頃、惑星エル・ファシルでの苦戦に業を煮やした総司令官総司令官
シモン・アンブリス大将は作戦を終えたドラゴニア方面軍や地方駐屯部隊から戦力を集めて、エル・ファシルに増援として派遣した。
増強された
エル・ファシル方面軍は総攻撃に転じ、すさまじい被害と引き換えに帝国軍をすりつぶしていった。中でも宇宙歴792年1月17日~24日まで続いた東大陸中南部の
ニヤラ市では「一メートル進むたびに味方の死体が一〇体増えた」と言われるほどの激戦が繰り広げられた。
エリヤ・フィリップス義勇軍大佐の妹
アルマ・フィリップス伍長はこの戦いの生還者である。カイザーリング中将の指揮のもと驚くべき奮戦を続けた帝国軍も2月末には戦力が尽きた。
同年3月2日、帝国軍の総司令部がある星都エル・ファシル市は
エドリック・マクライアム准将率いる第三陸戦隊と
エル・ファシル義勇旅団に包囲された。激戦の末、カイザーリング中将はフィリップス義勇軍大佐の降伏勧告を拒否して自決し、帝国軍の組織的抵抗は終結した。
4 結果及びその影響
自由惑星同盟では
ロボス大将らにより防衛司令官
カイザーリング中将の健闘が讃えられ、膨大な被害を出した惑星エル・ファシル攻防戦は、偉大な敵を打ち破った誇るべき戦いへと昇華された。一方銀河帝国でも同盟軍を散々苦しめたカイザーリング中将へは元帥が追贈され、葬儀は国葬とされた。また、爵位が男爵から子爵に引き上げられ、
カストロプ公爵の次男が相続して、子孫のいなかったカイザーリング家は断絶を免れた。まさになりふりかまわないかたちで偉大な英雄に仕立て上げられた。
また、同盟軍の強引な攻撃で惑星エル・ファシルが焦土になったことは分離主義過激派組織
エル・ファシル解放運動(ELN)を激怒させた。ELNは、「自由惑星同盟に与するすべての者に無制限攻撃を加える」と宣言した。まもなく、ELNのテロリストによって「エル・ファシル復興を目指す超党派議員連盟」の最高顧問を務める
ロイヤル・サンフォード議員が暗殺された。この後も、ELNの同盟政府及び同盟軍要人にたいするテロリズムは続き、悩みの種となっていく。
最終更新:2018年01月17日 19:51