「なんだこの毛玉は……?」
風見雄二はもふもふの毛玉――のようにしか見えない兎を弄っていた。
何故か支給品としてデイパックに入っていたが、どう見てもこれはただの毛玉だ。手榴弾などを偽装しているにしても、あまりにももふもふが過ぎる。目や口がついていることすら謎だ。
何故か支給品としてデイパックに入っていたが、どう見てもこれはただの毛玉だ。手榴弾などを偽装しているにしても、あまりにももふもふが過ぎる。目や口がついていることすら謎だ。
「やめんか!いつまで弄り回すんじゃ!」
「ん?……お前、喋るのか」
「ん?……お前、喋るのか」
急に喋り始めた毛玉をジッと眺める。……どこからどう見ても、喋る毛玉だ。物珍しい喋る毛玉だ。
だが魔界にでも君臨してそうな異形を見た今となっては、そこまで驚きもしない。雄二は至って冷静である。
だが魔界にでも君臨してそうな異形を見た今となっては、そこまで驚きもしない。雄二は至って冷静である。
「わしは訳あって、喋るうさぎじゃ」
「毛玉よ、いったいどんな訳があってうさぎが喋るようになるんだ。というかお前、その見た目でうさぎなのか……」
「わしにもわからん。おまじないでもかけられたんじゃろ」
「毛玉よ、いったいどんな訳があってうさぎが喋るようになるんだ。というかお前、その見た目でうさぎなのか……」
「わしにもわからん。おまじないでもかけられたんじゃろ」
実際この喋るうさぎ――ティッピーは嘘をついていない。
幼い少女におまじないを掛けられた結果、男はうさぎにその人格を宿らせることになったのだから。
ちなみに元が人間だとか、そういうことは意図的に伏せている。状況が状況だから会話こそしたが、色々と事情を説明するとややこしくなると判断してのことだ。
幼い少女におまじないを掛けられた結果、男はうさぎにその人格を宿らせることになったのだから。
ちなみに元が人間だとか、そういうことは意図的に伏せている。状況が状況だから会話こそしたが、色々と事情を説明するとややこしくなると判断してのことだ。
だが雄二からしたら、急におまじないだと言われてもなにがなんだかわからない。動物が喋れるようになるおまじないがあるなら、今頃世界中の動物は喋りまくってることだろう。仮にその対象がうさぎ限定だとしても、今まで喋るうさぎなんて一度も見たことがない。今回が初めてだ。
「ほれ。わしなんかより、説明書を読まんか」
「ああ。俺としたことが忘れていた。……それにしてもまさか毛玉に指示される日が来るとはな」
「うさぎじゃ!何度説明したらわかるんじゃ!」
「ああ。俺としたことが忘れていた。……それにしてもまさか毛玉に指示される日が来るとはな」
「うさぎじゃ!何度説明したらわかるんじゃ!」
何度も毛玉と言われたことに腹が立ったのか必死に訂正を求め始めたティッピーを「なるほど」「すごいな」「悪いのは君じゃない」と適当にあしらい、雄二は説明書を読み始める。
ちなみにこれらのワードは相手や状況次第では更に面倒な事態を引き起こすのだが、まあこの毛玉なら大丈夫だろう。こんな毛玉が鮫さんポーチやヤブイヌポーチをいきなり勝手に作れるはずもない。だから安心してルールの把握に専念出来るというわけだ。
ちなみにこれらのワードは相手や状況次第では更に面倒な事態を引き起こすのだが、まあこの毛玉なら大丈夫だろう。こんな毛玉が鮫さんポーチやヤブイヌポーチをいきなり勝手に作れるはずもない。だから安心してルールの把握に専念出来るというわけだ。
「毛玉。お前、ティッピーっていう名前なのか」
「うむ。わしの名前はティッピーじゃ」
「うむ。わしの名前はティッピーじゃ」
ルールが記載された説明書にはこれといって目新しいことは書いていなかった。というよりも、サングラスの男が律儀に説明していた通りの内容だった。
だが支給品説明書――これが重要だ。例えばティッピーの説明書には名前やアンゴラウサギという品種。メスであること。
そしてなにより――
だが支給品説明書――これが重要だ。例えばティッピーの説明書には名前やアンゴラウサギという品種。メスであること。
そしてなにより――
「ティッピー。お前が人間だったというのは、本当か?」
「本当じゃ。まさかそんなことまで記載されてるとはのう……」
「そうか。娘のチノやその友人達が巻き込まれていたら、どうする?」
「守ってやりたい。だがわしにはどうにも出来ん……」
「本当じゃ。まさかそんなことまで記載されてるとはのう……」
「そうか。娘のチノやその友人達が巻き込まれていたら、どうする?」
「守ってやりたい。だがわしにはどうにも出来ん……」
ティッピーの説明書に記載されていること。
それは名前や性別の他に、喫茶店のマスターの心が宿っていること。今は孫娘のチノの頭の上によく乗っかり、チノとその友人を見守っていることなどが書かれていた。ラビットハウスという名称も説明書に記載されている。
それは名前や性別の他に、喫茶店のマスターの心が宿っていること。今は孫娘のチノの頭の上によく乗っかり、チノとその友人を見守っていることなどが書かれていた。ラビットハウスという名称も説明書に記載されている。
「なるほど。ならばチノとその友人は俺が守ろう」
「気持ちは嬉しいが、お前に何が出来るんじゃ?」
「俺は普通の学生だから、出来ることは限られている。だが無力な少女達が暴漢にでも襲われていたら、その時は最善を尽くそう」
「気持ちは嬉しいが、お前に何が出来るんじゃ?」
「俺は普通の学生だから、出来ることは限られている。だが無力な少女達が暴漢にでも襲われていたら、その時は最善を尽くそう」
ティッピーの疑問に対して一切迷うことなく、すぐに答える。
その堂々とした姿はどう見ても普通の学生というには出来過ぎている。これも人生経験の賜物だろうか?――ティッピーは雄二が普通の学生でないことを見抜いた。
その堂々とした姿はどう見ても普通の学生というには出来過ぎている。これも人生経験の賜物だろうか?――ティッピーは雄二が普通の学生でないことを見抜いた。
だが彼の事情を詮索するつもりはない。チノやその友達を――日常を守ってくれると力強く言ってくれた好青年に迷惑を掛ける気はない。
「よし。じゃあ次はチノの友達やお前の知り合いの名前を教えてくれ。名簿が映し出された時に確認する」
「ココア、リゼ、シャロ、千夜、マヤ、メグ、青山……。あとはワシの息子のタカヒロじゃ」
「……ココア?飲み物の話か?」
「ややこしいが、チノの友達の名前じゃ。姉みたいな存在でもある」
「珍しい名前だな。いじめの標的にでもされそうなキラキラ具合だ」
「ココア、リゼ、シャロ、千夜、マヤ、メグ、青山……。あとはワシの息子のタカヒロじゃ」
「……ココア?飲み物の話か?」
「ややこしいが、チノの友達の名前じゃ。姉みたいな存在でもある」
「珍しい名前だな。いじめの標的にでもされそうなキラキラ具合だ」
冗談を交えつつティッピーと会話しながら、チノやティッピーの関係者の名を紙にメモしていく。せっかく文房具が支給されているのだ、これを活用しない手はない。
「ほう、律儀にメモしているのか。ちなみにフルネームだと保登心愛、天々座理世、桐間紗路……」
「……わざとやってるのか?それに宇治抹茶やブルーマウンテンってなんだ?お前の知り合い連中はそんなにも飲料が好きなのか?」
「うじまつ、ちやじゃ。それに青山はペンネームじゃ」
「なるほど。それにしても喋るうさぎといい、飲料みたいな名前といい、よくわからない世界だな」
「……わざとやってるのか?それに宇治抹茶やブルーマウンテンってなんだ?お前の知り合い連中はそんなにも飲料が好きなのか?」
「うじまつ、ちやじゃ。それに青山はペンネームじゃ」
「なるほど。それにしても喋るうさぎといい、飲料みたいな名前といい、よくわからない世界だな」
世界は無数に存在する――。あの異形はそんなことを言っていたが、まさかここまでよくわからない――想像していたよりもファンシーな世界まであるとは思わなかった。
とりあえず先程書いた名前を消し、フルネームに訂正する。当然だが下の名前だけ――とかよりもフルネームの方が好ましい。そもそも『メグ』については本名ですらなく、ただのあだ名だった。『チノ』や『シャロ』など他の名前も珍しいばかりだからティッピーがフルネームを教えるまでは『メグ』もそういうものだと思っていた。
とりあえず先程書いた名前を消し、フルネームに訂正する。当然だが下の名前だけ――とかよりもフルネームの方が好ましい。そもそも『メグ』については本名ですらなく、ただのあだ名だった。『チノ』や『シャロ』など他の名前も珍しいばかりだからティッピーがフルネームを教えるまでは『メグ』もそういうものだと思っていた。
「わし以外はそこまで変わった世界でもないはずじゃ」
どうやらこの毛玉、自分が異質な存在だという自覚はあるらしい。
そんな他愛もない会話を繰り広げていた時――
そんな他愛もない会話を繰り広げていた時――
「喋るうさぎとは……。驚きましたね」
長髪で白衣の女――いや、声の感じ的に男だろうか?
驚いたという言葉を口にしている割に落ち着いている男が声を掛けてきた。見た目と声にギャップを感じるが、その絶妙なミスマッチが不思議と風格を際立たせている。
驚いたという言葉を口にしている割に落ち着いている男が声を掛けてきた。見た目と声にギャップを感じるが、その絶妙なミスマッチが不思議と風格を際立たせている。
「タカヒロよ、早々に合流出来るとは幸先が……。……誰じゃ!?」
人違いを起こした毛玉が相手の顔を見て驚いた。
「とりあえずこの喋る毛玉は放置するとして――。あんたは何者だ?」
「この状況では警戒されても仕方ありませんね。まずはお互いの自己紹介や情報交換でもしましょうか」
「この状況では警戒されても仕方ありませんね。まずはお互いの自己紹介や情報交換でもしましょうか」
こうして俺は白衣の男――神宮寺寂雷と出会った。
ラップで他人を回復させるとかいう意味不明な能力を持つ謎の医者に――。
ラップで他人を回復させるとかいう意味不明な能力を持つ謎の医者に――。
【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2、ティッピー@ご注文はうさぎですか?
[思考・状況]基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1:チノとその知人、友人達を守る
2:まずは神宮寺寂雷と会話してみるか
[備考]
アニメ版グリザイアの楽園終了後からの参戦。
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2、ティッピー@ご注文はうさぎですか?
[思考・状況]基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1:チノとその知人、友人達を守る
2:まずは神宮寺寂雷と会話してみるか
[備考]
アニメ版グリザイアの楽園終了後からの参戦。
【神宮寺寂雷@『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima】
[状態]:健康
[装備]: ヒプノシスマイク@『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1:まずは喋るうさぎやこの青年と会話してみましょうか
[備考]
[状態]:健康
[装備]: ヒプノシスマイク@『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1:まずは喋るうさぎやこの青年と会話してみましょうか
[備考]