神託:お前は新たな"絆(きぼう)"を得る。
おまえは"運命"であらねばならない。
おまえは"騎士"であらねばならない。
おまえは"希望"であらねばならない。
なぜなら、おまえは"プリンセスナイト"なのだから。
■ ■ ■
「………ほう。」
男が、立っていた。
恐らく、その姿を少年は生涯忘れる事が無いだろう。
永遠の闇の中で唯一輝ける光の中心。数多の希望も絶望を抱え込み、永劫の荒野を渡り歩く偉丈夫。
曰く、その在り方は正しく神というべきか。燦然と輝き靡く黄金の髪。その煌眼は絶対神の如く、少年を見つめている。
まるで恐ろしいものを目の当たりにしたようにその眼を見開き、開いた口が塞がらないとはまさにこの事であろう。まさに現状の少年がその状態だ。
未知への恐怖、眼前の美丈夫への疑問、そして絶望、期待。雁字搦めに絡まった、そんな思考が少年の脳内で巡り巡りと渦巻いている。
永遠の闇の中で唯一輝ける光の中心。数多の希望も絶望を抱え込み、永劫の荒野を渡り歩く偉丈夫。
曰く、その在り方は正しく神というべきか。燦然と輝き靡く黄金の髪。その煌眼は絶対神の如く、少年を見つめている。
まるで恐ろしいものを目の当たりにしたようにその眼を見開き、開いた口が塞がらないとはまさにこの事であろう。まさに現状の少年がその状態だ。
未知への恐怖、眼前の美丈夫への疑問、そして絶望、期待。雁字搦めに絡まった、そんな思考が少年の脳内で巡り巡りと渦巻いている。
「……あ、ぁ。」
「何、心配することはない。俺もここに来て少々困惑しているものでな。と言っても、この面構えでは恐れられても仕方はないか。」
「何、心配することはない。俺もここに来て少々困惑しているものでな。と言っても、この面構えでは恐れられても仕方はないか。」
さもあっけからんと告げる男の常態に、少年は怖さと不気味さを混ぜ合わせたような寒気に襲われる。
これが人のカタチを生した機械人形だとか、人の皮を被った化け物だとか、ならまだ納得できた。
だが、間違いなく目の前にいるのは人だ。文字通りの人間だ。
少年には、それが余りにも恐ろしかった。
これが人のカタチを生した機械人形だとか、人の皮を被った化け物だとか、ならまだ納得できた。
だが、間違いなく目の前にいるのは人だ。文字通りの人間だ。
少年には、それが余りにも恐ろしかった。
「……あ。」
「先ずは起き上がってくれると助かる。もう少し落ち着けるべき場所で大人しく話し合いたい所だ。」
「先ずは起き上がってくれると助かる。もう少し落ち着けるべき場所で大人しく話し合いたい所だ。」
だが、その超然的で優しい態度を崩さず、男は少年へと手を伸ばす。
話し合わなければ分からない。少年は一度恐れも震えも圧し殺し、彼の手を取る。
その手は、太陽にも似た、聖母の包容にも似た、暖かく心地よい感触であった。
話し合わなければ分からない。少年は一度恐れも震えも圧し殺し、彼の手を取る。
その手は、太陽にも似た、聖母の包容にも似た、暖かく心地よい感触であった。
○
「なるほどな。」
静寂に包まれるとある場所のとある一室にて。先の男と少年は言葉を交わす。
お互いが知り得る、そして話せる限りの情報が交錯し、お互いの知識となった。
お互いの名前、仲間の名、敵の名。
新西暦、アストルム、プリンセスナイト、星辰光、神祖、神殺し、その他お互いの世界のetcetc……。
お互いが知り得る、そして話せる限りの情報が交錯し、お互いの知識となった。
お互いの名前、仲間の名、敵の名。
新西暦、アストルム、プリンセスナイト、星辰光、神祖、神殺し、その他お互いの世界のetcetc……。
「参考になった。」
「……。」
「……。」
一定の相互理解に十分、と男は言葉を打ち止める。
少年は、男の言葉につられて話してしまったというのもある。
少年の知り得る事、ほぼ全てを。そして、"諦めた"という己が罪も。
少年は、男の言葉につられて話してしまったというのもある。
少年の知り得る事、ほぼ全てを。そして、"諦めた"という己が罪も。
「……君の犯した選択を、俺は咎める気など無い。そもそも俺は君は別の世界の住人だ。俺が君の経歴にどうこう述べるなど烏滸がましい。」
少年の心を見透かすように、男は教師のように語り掛ける。
その諦めに罪は無いと。
光の如き諦めの悪さや、神祖(オレ)たちのような達観しすぎた精神性を持ち得ている訳でもなく。
ごくごくありふれた、光でも闇でもない、絆を紡いで来た少年を責めるなど、見当違いであった。
その諦めに罪は無いと。
光の如き諦めの悪さや、神祖(オレ)たちのような達観しすぎた精神性を持ち得ている訳でもなく。
ごくごくありふれた、光でも闇でもない、絆を紡いで来た少年を責めるなど、見当違いであった。
「だからその上で、問おう。俺は今からこの殺し合いの打破にを目標とさせてもらう。勿論、多少の私欲はあれど、誰かを救うと言う寄道(かんじょう)も許容しよう。」
そして少年に告げる。それは話してくれた少年への感謝を込めて。
「その為に、俺は誰かの絆を蹂躙するだろう。」
ただただ、残酷な真実を告げる。
誰かを救うということは、誰かを救わないという事。
残酷な現実。正しくて余りにも苦しい真実。
誰かを救うということは、誰かを救わないという事。
残酷な現実。正しくて余りにも苦しい真実。
「……ッ。」
少年は否定しようとして、否定できなかった。
あの光景から目を伏した自分にその資格など有りはしないと。
あの光景から目を伏した自分にその資格など有りはしないと。
「俺は、俺たち神祖は今迄そうしてきた。誰かを切り捨て、誰かを救う。――ああ。俺の敵になるというのなら構わない。その時は心苦しいが、容赦も心残りもなく叩き潰してやろう。」
内心を見透かされたような言葉が続く。
正しく神であり、その千里眼の如き黄金の色彩は、少年の心の全てを理解しているようで。
もしも、諦めという名の過ちを、見捨てたという原罪も。
全てを覆して、みんなを助けられるというのなら。
正しく神であり、その千里眼の如き黄金の色彩は、少年の心の全てを理解しているようで。
もしも、諦めという名の過ちを、見捨てたという原罪も。
全てを覆して、みんなを助けられるというのなら。
「だがもし、俺と共に征くと言うならば、それを俺は受け入れよう。覚悟や信念は、その道程の中で積み重ねていけば良いのだから。それに、見捨てるのは一度やっただろう、痛みの経験は辛い事だが為になる。」
結局のところ、少年は罪悪感に呑み込まれただけなのだろう。
神様の優しさが、彼の心にとどめを刺してしまったようなもので。
彼と共に征く、ということは誰かの絆を踏み躙る、ということで。
その選択が、少年にとって余りにも残酷な事であって。
神様の優しさが、彼の心にとどめを刺してしまったようなもので。
彼と共に征く、ということは誰かの絆を踏み躙る、ということで。
その選択が、少年にとって余りにも残酷な事であって。
「……安心するが良い。お前の願いも、希望も、全て私が導いてやろう。」
「………ぅ。」
「………ぅ。」
まるで観念したかのように、少年は再び諦めた。
つまるところ、少年は神と共に征く選択をしたのだ。
神祖は、少年の肯定を示す頷きを、その神々しさを保った微笑みを持って見つめていた。
つまるところ、少年は神と共に征く選択をしたのだ。
神祖は、少年の肯定を示す頷きを、その神々しさを保った微笑みを持って見つめていた。
絆を守るため、絆を否定する。蹂躙されるさまを、見て見ぬふりをする。
いや、今更彼がその行いを否定する資格など、とうの昔に無くなっているであろう。
因果は返ってくるもの。――過去からは、逃れられない。
いつか繰り返した、その為に目を瞑った、その宿業が今になって、背負うことになっただけ。
いや、今更彼がその行いを否定する資格など、とうの昔に無くなっているであろう。
因果は返ってくるもの。――過去からは、逃れられない。
いつか繰り返した、その為に目を瞑った、その宿業が今になって、背負うことになっただけ。
もう迷わない。迷ってられない。
覚悟を決めろ。目を瞑った時に、全て諦めて、それでも諦められなくて。
だから、往くしかない。例え誰かの絆を踏み躙ってでも。
最初(はじめ)に、神祖との絆を紡ぐことを選んだ時点で、プリンセスナイトに他の選択肢も後戻りの手段も消え果てたのだから。
覚悟を決めろ。目を瞑った時に、全て諦めて、それでも諦められなくて。
だから、往くしかない。例え誰かの絆を踏み躙ってでも。
最初(はじめ)に、神祖との絆を紡ぐことを選んだ時点で、プリンセスナイトに他の選択肢も後戻りの手段も消え果てたのだから。
■ ■ ■
情報が足りなさ過ぎる。と言うのがこの男。
"神祖"グレンファルト・フォン・ヴェラチュールが最初に出した第一結論であった。
この場所で最初に出会った少年、ユウキと名乗る彼から得た情報は。
あくまで彼と彼を取り巻く世界に係わる情報でしかなかった。
ここにオウカがいれば意気揚々、興味津々に彼に質問攻めに問い詰めていたであろう。
聞き出せる事は凡そ聞き出せた。そして自分たちとは異なる歴史からの迷い子であることも。
少年は頼れる仲間たちと絆を育み、危機を乗り越えて、そして彼は仲間を庇い呆気なく死んだことも。
―――そして少年が、諦めたことを。
"神祖"グレンファルト・フォン・ヴェラチュールが最初に出した第一結論であった。
この場所で最初に出会った少年、ユウキと名乗る彼から得た情報は。
あくまで彼と彼を取り巻く世界に係わる情報でしかなかった。
ここにオウカがいれば意気揚々、興味津々に彼に質問攻めに問い詰めていたであろう。
聞き出せる事は凡そ聞き出せた。そして自分たちとは異なる歴史からの迷い子であることも。
少年は頼れる仲間たちと絆を育み、危機を乗り越えて、そして彼は仲間を庇い呆気なく死んだことも。
―――そして少年が、諦めたことを。
だが、それは逆だ。逆を言えばそれだけだ。現状の打破や解析に繋がる情報は殆どなかった。
共通する点を言えば、自分もユウキも知らない内にここに呼び込まれていたこと。
そしてバトル・ロワイアルという下賤で不気味な催しに巻き込まれたことぐらいだろう。
その他で言えば首輪の危険性、進行役の存在、見せしめに殺された名も知らぬ誰か。そのぐらいか。
共通する点を言えば、自分もユウキも知らない内にここに呼び込まれていたこと。
そしてバトル・ロワイアルという下賤で不気味な催しに巻き込まれたことぐらいだろう。
その他で言えば首輪の危険性、進行役の存在、見せしめに殺された名も知らぬ誰か。そのぐらいか。
だが、試行錯誤(トライアンドエラー)はいつものこと。そこは都度修正や変更を加えれば構わない。
自分がどれだけ強かろうと、賢かろうと、優れようと。そうと驕れば敗北からの終焉は必須。
"神祖"であろうと一人で出来る事には、意外にも限度というものがあるのだから。
自分がどれだけ強かろうと、賢かろうと、優れようと。そうと驕れば敗北からの終焉は必須。
"神祖"であろうと一人で出来る事には、意外にも限度というものがあるのだから。
神祖(なかま)も居ない。懐刀(かたうで)も居ない。
だが、新たな仲間(きずな)は出来た。
プリンセスナイト、絆を育んだ仲間に秘めたる力を接続し供給する。謂わばエネルギータンク。
当人の実力は兎も角、異能の有効範囲の大きさは仮想測定では規格外というべきか。
絆の力、当然の如く理解している。味方とすれば心強く。敵に回せば斯くも恐ろしい。
だが、新たな仲間(きずな)は出来た。
プリンセスナイト、絆を育んだ仲間に秘めたる力を接続し供給する。謂わばエネルギータンク。
当人の実力は兎も角、異能の有効範囲の大きさは仮想測定では規格外というべきか。
絆の力、当然の如く理解している。味方とすれば心強く。敵に回せば斯くも恐ろしい。
すべきことは多い。
首輪の解析。
いるかも知れない仲間たちの捜索、及び脅威への対策。
万が一、神殺しがいるという前提の上での今後の方針も。
特にこの首輪は厄介だ、全く未知で埒外の法則や技術が成されているのか。
恐らくは星辰光の出力にも大幅な制約が掛けられていると予測される。
そも、法則違いの未知の世界で正常に星辰光が発動出来るのか、という疑問も浮かび上がるが。
首輪の解析。
いるかも知れない仲間たちの捜索、及び脅威への対策。
万が一、神殺しがいるという前提の上での今後の方針も。
特にこの首輪は厄介だ、全く未知で埒外の法則や技術が成されているのか。
恐らくは星辰光の出力にも大幅な制約が掛けられていると予測される。
そも、法則違いの未知の世界で正常に星辰光が発動出来るのか、という疑問も浮かび上がるが。
だが、似たような困難は何度も乗り越えてきた。何度も潜り抜けてきた。
だからこそ、今回もまた、立ち止まるつもりはないということで。
だからこそ、今回もまた、立ち止まるつもりはないということで。
(頼らせてもらうぞ、プリンセスナイト。)
その信頼に偽りも矛盾もなく。大神素戔王は歩み突き進む。
煌めく明日のため、希望も絶望も、全てを礎に。
絆の騎士も大神に続く。それが、最悪の未来であることを未だ知らず。
どうしようもなく間違えた彼に、輝かしい未来など訪れるのか?
輝ける未来か、残酷な終焉か。それは文字通り、言葉通りに、神祖(カミ)のみぞ知る。というのだろう。
煌めく明日のため、希望も絶望も、全てを礎に。
絆の騎士も大神に続く。それが、最悪の未来であることを未だ知らず。
どうしようもなく間違えた彼に、輝かしい未来など訪れるのか?
輝ける未来か、残酷な終焉か。それは文字通り、言葉通りに、神祖(カミ)のみぞ知る。というのだろう。
【グレンファルト・フォン・ヴェラチュール@シルヴァリオ ラグナログ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いの打倒。
1:主観視点における情報が少なすぎる以上、現状把握及び目ぼしい情報回収を優先。
2:仲間の捜索。
3:もし神殺しがいた場合における想定での対策を思案。
4:彼(ユウキ)には頼りにさせてもらう。
[備考]
※参戦時期は少なくともルーファス・ザンブレイブの死亡後。
※神祖としての不死性・再生力及び星辰光の出力に制限が掛けられています。
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いの打倒。
1:主観視点における情報が少なすぎる以上、現状把握及び目ぼしい情報回収を優先。
2:仲間の捜索。
3:もし神殺しがいた場合における想定での対策を思案。
4:彼(ユウキ)には頼りにさせてもらう。
[備考]
※参戦時期は少なくともルーファス・ザンブレイブの死亡後。
※神祖としての不死性・再生力及び星辰光の出力に制限が掛けられています。
【ユウキ@プリンセスコネクトRe:Dive】
[状態]:健康、覚悟
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:絆を取り戻す。例え誰かの絆を踏み躙ってでも。
1:今は、彼(グレンファルト)と共に。
[備考]
※参戦時期は第15章第5話、選択肢『目を伏せる』を選んだ直後。
※プリンセスナイトとしての力の供給に関する制限は後続の書き手にお任せします。
[状態]:健康、覚悟
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:絆を取り戻す。例え誰かの絆を踏み躙ってでも。
1:今は、彼(グレンファルト)と共に。
[備考]
※参戦時期は第15章第5話、選択肢『目を伏せる』を選んだ直後。
※プリンセスナイトとしての力の供給に関する制限は後続の書き手にお任せします。