氷室幻徳という男の人生は罪で汚れている。
生まれた時から悪だった訳ではない。
政界に身を置く父の背中を追い続け、自分も立派な政治家になろうと夢見た若き日。
必要な知識とスキルを我が物とし、コネに頼りはしたが父と同じ世界へ飛び込んだ。
順調に行けば若手ながら見事な手腕を発揮して、より良い日本の未来を実現する男になる筈だった。
政界に身を置く父の背中を追い続け、自分も立派な政治家になろうと夢見た若き日。
必要な知識とスキルを我が物とし、コネに頼りはしたが父と同じ世界へ飛び込んだ。
順調に行けば若手ながら見事な手腕を発揮して、より良い日本の未来を実現する男になる筈だった。
スカイウォールの惨劇と名付けられた、ある一つの事件さえなければ。
火星探査機の帰還セレモニーが一瞬で大惨事へと変わったあの日。
幻徳のみならず、日本という一つの国の運命が大きく狂い出した。
幻徳のみならず、日本という一つの国の運命が大きく狂い出した。
一体誰が予測できたというのか。
火星から持ち帰った未知の立方体の正体が、惑星侵略の兵器だったなど。
事件を引き起こした宇宙飛行士に、星を滅ぼす地球外生命体が乗り移っているなど。
全ては後の祭りだ。
不完全ながらパンドラボックスは力を解放、後にスカイウォールと呼ばれる巨大な壁により日本は三つに分断された。
更にはセレモニーに出席していた人々までもがパンドラボックスのエネルギーを浴び、野心を剥き出しにした好戦的な気質へと変貌してしまったのだ。
火星から持ち帰った未知の立方体の正体が、惑星侵略の兵器だったなど。
事件を引き起こした宇宙飛行士に、星を滅ぼす地球外生命体が乗り移っているなど。
全ては後の祭りだ。
不完全ながらパンドラボックスは力を解放、後にスカイウォールと呼ばれる巨大な壁により日本は三つに分断された。
更にはセレモニーに出席していた人々までもがパンドラボックスのエネルギーを浴び、野心を剥き出しにした好戦的な気質へと変貌してしまったのだ。
幻徳もまた、変貌した人間の一人である。
国の頂点に立つという危険な思想に支配された幻徳に、嘗ての面影は消え失せた。
邪魔となる人物はあらゆる手段を用いて排除。
実験という名目で多くの受刑者や、時には罪のない民間人すら使い捨てる。
挙句の果てには尊敬していた父すらも陥れ、東都首相の椅子を手に入れて尚も止まらない。
そうしてパンドラボックスを我が物とする為に、二つの都へ戦争を仕掛けた。
邪魔となる人物はあらゆる手段を用いて排除。
実験という名目で多くの受刑者や、時には罪のない民間人すら使い捨てる。
挙句の果てには尊敬していた父すらも陥れ、東都首相の椅子を手に入れて尚も止まらない。
そうしてパンドラボックスを我が物とする為に、二つの都へ戦争を仕掛けた。
だがそうやって得た地位が長続きするはずもない。
桐生戦兎達の働きかけにより失脚、東都を追放されナイトローグの力すら失い、縋り付いたのは嘗ての部下。
切り捨てた男に頭を下げるという屈辱にプライドは砕かれ、同房の被験者崩れ達からの執拗なリンチで心身共に衰弱し、それでも幻徳は生き延びた。
新たに手に入れたのは悪党(ローグ)の仮面。
地獄を味わった幻徳に与えられたのは、難波重工の使い捨ての駒という座。
野心を捨て、大義の為に戦う事を掲げるも実態は難波に都合よく使われているに過ぎない。
切り捨てた男に頭を下げるという屈辱にプライドは砕かれ、同房の被験者崩れ達からの執拗なリンチで心身共に衰弱し、それでも幻徳は生き延びた。
新たに手に入れたのは悪党(ローグ)の仮面。
地獄を味わった幻徳に与えられたのは、難波重工の使い捨ての駒という座。
野心を捨て、大義の為に戦う事を掲げるも実態は難波に都合よく使われているに過ぎない。
今にして思えば実に滑稽だ。
難波重工も、北都も、西都も、そして幻徳自身も。
日本を牛耳ろうと躍起になっていた誰も彼もが、エボルトという怪物の掌で踊らされていただけなのだから。
難波重工も、北都も、西都も、そして幻徳自身も。
日本を牛耳ろうと躍起になっていた誰も彼もが、エボルトという怪物の掌で踊らされていただけなのだから。
実の息子に陥れられたのに父は幻徳を庇い、力を取り戻したエボルトの手で殺された。
戦う気力が抜け落ち、自分が一体何の為に今まで大勢を殺してきたのか分からなくなった。
そんな幻徳に再び戦う意思を取り戻させたのが、あろうことか彼の被害者である男達だったのは何という皮肉だろう。
殺人の冤罪を着せられた挙句、恋人をファウストの実験台にされた万丈龍我。
他ならぬ幻徳の手で友の一人を殺された猿渡一海。
憎まれて、殺されて当然の事をしでかした幻徳に彼らは再起の切っ掛けを与えてくれた。
戦う気力が抜け落ち、自分が一体何の為に今まで大勢を殺してきたのか分からなくなった。
そんな幻徳に再び戦う意思を取り戻させたのが、あろうことか彼の被害者である男達だったのは何という皮肉だろう。
殺人の冤罪を着せられた挙句、恋人をファウストの実験台にされた万丈龍我。
他ならぬ幻徳の手で友の一人を殺された猿渡一海。
憎まれて、殺されて当然の事をしでかした幻徳に彼らは再起の切っ掛けを与えてくれた。
ファウストの幹部でも、西の悪党でもない。
ただの氷室幻徳として戦兎達の仲間となり、全ての元凶であるエボルトとの最終決戦にて彼は命を散らした。
多くの間違いを犯した男は最後の瞬間、紛れも無いヒーローとして仲間達に後を託し、その生涯を終えたのだ。
その筈だったが、
ただの氷室幻徳として戦兎達の仲間となり、全ての元凶であるエボルトとの最終決戦にて彼は命を散らした。
多くの間違いを犯した男は最後の瞬間、紛れも無いヒーローとして仲間達に後を託し、その生涯を終えたのだ。
その筈だったが、
「…何の冗談だ?これは」
傷一つない体で見知らぬ街に立っている。
試しに自分の頬を触ってみれば、生きた人間の肌の感触。
意味が分からない。どうして消滅した筈の自分が生き返っているのだろうか。
或いは自分はやはり死んでいて、死後の世界で魂を弄ばれているのか。
答えがどちらだろうと、ロクでもないのは共通している。
試しに自分の頬を触ってみれば、生きた人間の肌の感触。
意味が分からない。どうして消滅した筈の自分が生き返っているのだろうか。
或いは自分はやはり死んでいて、死後の世界で魂を弄ばれているのか。
答えがどちらだろうと、ロクでもないのは共通している。
「デュエル、だったか?」
冥界の魔王だかいう、ふざけた肩書の男。
そいつが人を駒呼ばわしたうえにゲームを始めたなどと言っていたのを思い出す。
持っていた覚えのないリュックサックからルールブックを取り出し、確認し終えると露骨に顔を顰めた。
三都の代表戦に地球の存亡をかけた決戦ときて、今度は殺し合い。
とことん平穏とは程遠い人生だと、そんなどうでもいい事を思う。
そいつが人を駒呼ばわしたうえにゲームを始めたなどと言っていたのを思い出す。
持っていた覚えのないリュックサックからルールブックを取り出し、確認し終えると露骨に顔を顰めた。
三都の代表戦に地球の存亡をかけた決戦ときて、今度は殺し合い。
とことん平穏とは程遠い人生だと、そんなどうでもいい事を思う。
「……」
至極真っ当な問題として、自分はこの決闘(デュエル)とやらでどう動くべきか決めねばならない。
まず優勝を目指す気は無い。
デュエルキングの称号も大金も必要無し、願いを叶えるという戯言も誰が信じるというのか。
もし自分以外の全員を殺さなければ帰れないのなら、それで構わない。
エボルトとの戦いは既に、戦兎と万丈に後を託している。
今更みっともなく生にしがみつく気が無い以上、やるべきは一つだけ。
まず優勝を目指す気は無い。
デュエルキングの称号も大金も必要無し、願いを叶えるという戯言も誰が信じるというのか。
もし自分以外の全員を殺さなければ帰れないのなら、それで構わない。
エボルトとの戦いは既に、戦兎と万丈に後を託している。
今更みっともなく生にしがみつく気が無い以上、やるべきは一つだけ。
そこまで考えた時、悲鳴らしき声が聞こえた。
らしき、というのは人間のものとは思えない異様な金切り声だから。
早くも誰かが殺し合っているのかと近付いてみると、思っていたのとは違う光景が広がっていた。
らしき、というのは人間のものとは思えない異様な金切り声だから。
早くも誰かが殺し合っているのかと近付いてみると、思っていたのとは違う光景が広がっていた。
女が戦っている。
巨大な円状の刃を振り回し、取り囲んだ異形を斬り殺している真っ最中だ。
次から次へと女へ襲い掛かるのは、スマッシュとは違った怪物たち。
巨大な鎌を振り被る死神。
腐敗した肉体の鎧武者。
醜く肥え太り牙を剥き出しにしたピエロ。
たった一人の女を殺さんが為に、化物が群がっている。
見たところ苦戦している様子は無いが、倒しても倒しても現れる為キリがない。
巨大な円状の刃を振り回し、取り囲んだ異形を斬り殺している真っ最中だ。
次から次へと女へ襲い掛かるのは、スマッシュとは違った怪物たち。
巨大な鎌を振り被る死神。
腐敗した肉体の鎧武者。
醜く肥え太り牙を剥き出しにしたピエロ。
たった一人の女を殺さんが為に、化物が群がっている。
見たところ苦戦している様子は無いが、倒しても倒しても現れる為キリがない。
であれば、幻徳の行動は決まった。
赤いバックルを腹部に当てると、あっという間にベルトが巻き付く。
葛城巧が開発したライダーシステムではない。自分がこれまで使っていたベルトやフルボトルは無く、代わりに支給された物。
だがこれもまた仮面ライダーへ変身する為の道具。
無機質な色のUSBメモリを取り出し、バックルへ装填する。
赤いバックルを腹部に当てると、あっという間にベルトが巻き付く。
葛城巧が開発したライダーシステムではない。自分がこれまで使っていたベルトやフルボトルは無く、代わりに支給された物。
だがこれもまた仮面ライダーへ変身する為の道具。
無機質な色のUSBメモリを取り出し、バックルへ装填する。
『SKULL!』
「変身…」
『SKULL!』
骸骨を模した頭部に、黒を基調としたアーマーを纏う。
これから戦闘に臨む心とは裏腹に体は異様に冷たい。
それを不審には思わない、何となくだがこのライダーに変身した影響だろうと分かった。
これから戦闘に臨む心とは裏腹に体は異様に冷たい。
それを不審には思わない、何となくだがこのライダーに変身した影響だろうと分かった。
仮面ライダースカル。
とある探偵が街を泣かせる悪党と人知れず戦った、孤高の戦士。
肉が剥がれ血は渇き、髑髏だけが残った姿。
本来死人である自分にはお似合いだと仮面の下で自嘲しながら、右手を死神へ向ける。
変身と同時に出現した銃のトリガーを引くと、女の背後から斬り掛かろうとした死神の頭部に風穴が開いた。
突然の援護射撃に驚き振り返る女。
警戒の混じった視線を意に介す事無く、モンスターを撃ち殺し、時には素手で叩きのめす。
数が多いと言っても所詮はNPC。5分も経たない内に全滅する末路を迎えた。
とある探偵が街を泣かせる悪党と人知れず戦った、孤高の戦士。
肉が剥がれ血は渇き、髑髏だけが残った姿。
本来死人である自分にはお似合いだと仮面の下で自嘲しながら、右手を死神へ向ける。
変身と同時に出現した銃のトリガーを引くと、女の背後から斬り掛かろうとした死神の頭部に風穴が開いた。
突然の援護射撃に驚き振り返る女。
警戒の混じった視線を意に介す事無く、モンスターを撃ち殺し、時には素手で叩きのめす。
数が多いと言っても所詮はNPC。5分も経たない内に全滅する末路を迎えた。
○
自分への当てつけだろうか。
カウンター席から見えるボトルを視界に入れながら、梓みふゆは僅かに顔を顰めた。
洒落た雰囲気のバーはみふゆが会場に転移された場所であり、今は先程の戦闘に加勢した男との情報交換に選んだ場所。
モンスターを片付け互いに敵意が無い事を確認、外で立ったまま話すのも何だからと中に入って腰を下ろした。
男からしたらただの酒を嗜む店としか見ていないだろうが、みふゆにとっては良くない記憶を思い起こさせる。
自暴自棄になり酒に逃げていた、正直忘れてしまいたい醜態。
それを知って自分をこの場所からスタートさせたのなら、冥界の魔王様は実に嫌味な事でと内心で吐き捨てる。
カウンター席から見えるボトルを視界に入れながら、梓みふゆは僅かに顔を顰めた。
洒落た雰囲気のバーはみふゆが会場に転移された場所であり、今は先程の戦闘に加勢した男との情報交換に選んだ場所。
モンスターを片付け互いに敵意が無い事を確認、外で立ったまま話すのも何だからと中に入って腰を下ろした。
男からしたらただの酒を嗜む店としか見ていないだろうが、みふゆにとっては良くない記憶を思い起こさせる。
自暴自棄になり酒に逃げていた、正直忘れてしまいたい醜態。
それを知って自分をこの場所からスタートさせたのなら、冥界の魔王様は実に嫌味な事でと内心で吐き捨てる。
「魔法少女……」
みふゆが何を思っているか知る由も無い幻徳は、得られた情報に考え込む姿勢を取る。
「信じられませんか?」
「…さっきのアレを見ていなかったら、そうだったかもしれん」
「ワタシからすれば、氷室さんの言う仮面ライダーの方が驚きましたけど」
「…さっきのアレを見ていなかったら、そうだったかもしれん」
「ワタシからすれば、氷室さんの言う仮面ライダーの方が驚きましたけど」
幻徳曰く、仮面ライダーの存在は日本中に知られているとの事だがみふゆは初耳だ。
愛と平和の為に戦うヒーロー。
幼い子どもが好みそうなフレーズだが、そうキラキラした存在ではないのだろう。
愛と平和の為に戦うヒーロー。
幼い子どもが好みそうなフレーズだが、そうキラキラした存在ではないのだろう。
仮面ライダーの事を説明する時、幻徳はどこか言い淀んでいた。
幻徳は嘗て仮面ライダーを軍事兵器として利用していた過去を持つ。
そのような行いをしていた自分がラブアンドピースを口にするのには複雑な思いがあった。
幻徳は嘗て仮面ライダーを軍事兵器として利用していた過去を持つ。
そのような行いをしていた自分がラブアンドピースを口にするのには複雑な思いがあった。
(それはワタシも同じようなものですけど…)
希望を与える魔法少女、なんて女児が憧れるものとは程遠い。
宇宙の延命という目的の為の部品と化した自分達には、希望どころか絶望しかないのだから。
宇宙の延命という目的の為の部品と化した自分達には、希望どころか絶望しかないのだから。
少しばかりナイーブな思考になりかけた時、目の前の男が尋ねてきた。
「それでお前はこれからどうするんだ?」
「…さぁ、どうしましょうか」
「…さぁ、どうしましょうか」
答えになっていない答え。
相手によっては激怒されかねない返答だが、他に答えようがない。
率直に言うと、みふゆ自身一体何をすれば良いのか分からないのだ。
本当なら、自分の命は終わってしまったはず。
だからいざ生き返らせられても、嬉しいとか以上に困惑が強い。
やちよ達の所へ帰りたい想いが皆無ではないのだが、その為に見ず知らずの人々を殺そうとするほど腐り切ったつもりも無い。
ハ・デスが言ったどんな願いでも叶えるというのには、ほんの少しだけ思う所はあった。
誰も犠牲にしない方法で魔法少女の魔女化を防ぐだとか、逝ってしまったチームメイトを生き返らせるだとか、叶えたい願いが無いと言えば嘘になる。
だが願いを叶えるには結局殺し合いに乗るしかなく、そもそも本当に叶えてくれる保障はゼロ。
インキュベーターの例を知っているだけに、ハ・デスの言葉は全く信じられない。
相手によっては激怒されかねない返答だが、他に答えようがない。
率直に言うと、みふゆ自身一体何をすれば良いのか分からないのだ。
本当なら、自分の命は終わってしまったはず。
だからいざ生き返らせられても、嬉しいとか以上に困惑が強い。
やちよ達の所へ帰りたい想いが皆無ではないのだが、その為に見ず知らずの人々を殺そうとするほど腐り切ったつもりも無い。
ハ・デスが言ったどんな願いでも叶えるというのには、ほんの少しだけ思う所はあった。
誰も犠牲にしない方法で魔法少女の魔女化を防ぐだとか、逝ってしまったチームメイトを生き返らせるだとか、叶えたい願いが無いと言えば嘘になる。
だが願いを叶えるには結局殺し合いに乗るしかなく、そもそも本当に叶えてくれる保障はゼロ。
インキュベーターの例を知っているだけに、ハ・デスの言葉は全く信じられない。
「氷室さんはどうするつもりなんです?」
答えは出せないから、質問を返して逃げた。
自分でもズルいなと思いつつ、相手は特に機嫌を損ねた様子も無く淡々と答える。
自分でもズルいなと思いつつ、相手は特に機嫌を損ねた様子も無く淡々と答える。
「あのハ・デスだか言う奴を倒す。その道中一人でも多く助ける。それだけだ」
「……」
「……」
運営者に逆らい、殺し合いを止める。
内容を聞けば正にヒーローらしい答え。
なのにそう言った幻徳の表情にも声色にも、正義の味方の使命感だとかそういう暑苦しい想いは宿っていない。
代わりに宿っているものの正体を、みふゆは知っている。
内容を聞けば正にヒーローらしい答え。
なのにそう言った幻徳の表情にも声色にも、正義の味方の使命感だとかそういう暑苦しい想いは宿っていない。
代わりに宿っているものの正体を、みふゆは知っている。
「それは……贖罪の為、ですか?」
聞いてしまった後で、軽率な質問を口にした事を後悔する。
出会って一時間も経っていない相手の内面に踏み込むような、無神経な行為だ。
少しだけ驚いた顔になる幻徳へ謝罪と、今の質問は忘れてくれと口を開く。
が、幻徳は怒りもせず、一言だけ告げた。
出会って一時間も経っていない相手の内面に踏み込むような、無神経な行為だ。
少しだけ驚いた顔になる幻徳へ謝罪と、今の質問は忘れてくれと口を開く。
が、幻徳は怒りもせず、一言だけ告げた。
「…そうかもな」
短い、なのにどうしようもなく重い一言にみふゆは感じた。
生前、エボルトに言われた事を思い出す。
お前の罪は決して消えない、どんな攻撃よりも深く突き刺さった言葉。
よりにもよってすべての元凶である男が言い放ったのは、全くの正論だった。
幻徳自身分かっていた事だ。
どれだけ過去の行いを悔いた所で、時間は戻らない。
例え犠牲にした以上の人数を助けたとしても、罪が帳消しになるなど有り得ない。
一海のように大切な者を殺されたにも関わらず、幻徳を許し共に戦う仲間として受け入れる人間は極僅か。
大多数の犠牲者たちは皆口を揃えて言うだろう。
罪悪感を感じているなら、お前も死んで地獄に落ちろと。
その通りだと思う。彼らの怒りは正しく、自分の末路は地獄以外に有り得ない。
お前の罪は決して消えない、どんな攻撃よりも深く突き刺さった言葉。
よりにもよってすべての元凶である男が言い放ったのは、全くの正論だった。
幻徳自身分かっていた事だ。
どれだけ過去の行いを悔いた所で、時間は戻らない。
例え犠牲にした以上の人数を助けたとしても、罪が帳消しになるなど有り得ない。
一海のように大切な者を殺されたにも関わらず、幻徳を許し共に戦う仲間として受け入れる人間は極僅か。
大多数の犠牲者たちは皆口を揃えて言うだろう。
罪悪感を感じているなら、お前も死んで地獄に落ちろと。
その通りだと思う。彼らの怒りは正しく、自分の末路は地獄以外に有り得ない。
だけど自分はまだ生きている。いや、生き返ってしまっている。
なら、本当に命が尽きるまで戦おう。
きっとこの地でも、助けを求める者は大勢いるはず。
自分は戦兎のような本当のヒーローでは無いけれど、それでもあの時。
仮面ライダーの勝利を願う声をパンドラタワーで聞き入れた瞬間は、兵器でも悪党でもなくヒーローとして戦えた。
だからもう少しだけ、罪に濡れた手でも救える人々へ手を伸ばそう。
なら、本当に命が尽きるまで戦おう。
きっとこの地でも、助けを求める者は大勢いるはず。
自分は戦兎のような本当のヒーローでは無いけれど、それでもあの時。
仮面ライダーの勝利を願う声をパンドラタワーで聞き入れた瞬間は、兵器でも悪党でもなくヒーローとして戦えた。
だからもう少しだけ、罪に濡れた手でも救える人々へ手を伸ばそう。
「…さっきの質問の答えですけど」
「……?」
「ワタシも付いて行ってよろしいでしょうか」
「なに…?」
「……?」
「ワタシも付いて行ってよろしいでしょうか」
「なに…?」
思ってもみなかった言葉につい聞き返す。
幻徳から見たみふゆの印象は、死にたがっているのではないだろうが、さりとて積極的に生へしがみついているようにも見えない。
何故急にそんな事を言い出したのか、幻徳が抱いただろう疑問に淡く微笑む。
幻徳から見たみふゆの印象は、死にたがっているのではないだろうが、さりとて積極的に生へしがみついているようにも見えない。
何故急にそんな事を言い出したのか、幻徳が抱いただろう疑問に淡く微笑む。
「そんなに大きな理由がある訳ではないんです。ただ…」
梓みふゆの人生は決して幸福と呼べるものではない。
キュゥべえとの契約で魔法少女となった瞬間、真っ当な人間としての幸せは失われた。
魔女退治は思った以上に危険で、こんな戦いをしなければならない事を強く後悔した時もあった。
だけど隣には何時もやちよがいてくれて、その内かなえという仲間も出来たから折れずにいられたのだ。
魔女との戦いは命懸けだけど、親友や仲間が一緒なら恐くない。
キュゥべえとの契約で魔法少女となった瞬間、真っ当な人間としての幸せは失われた。
魔女退治は思った以上に危険で、こんな戦いをしなければならない事を強く後悔した時もあった。
だけど隣には何時もやちよがいてくれて、その内かなえという仲間も出来たから折れずにいられたのだ。
魔女との戦いは命懸けだけど、親友や仲間が一緒なら恐くない。
それが壊れ出したのは、かなえが死んだ時だろう。
やちよと二人で悲しみに暮れ、だけどまだどちらも折れはせず、かなえの分まで生きようとした。
新たにももこ、鶴乃、そしてメルという仲間が加わり賑やかになったみかづき荘。思えばあの瞬間が最も幸福だったのかもしれない。
新たにももこ、鶴乃、そしてメルという仲間が加わり賑やかになったみかづき荘。思えばあの瞬間が最も幸福だったのかもしれない。
それから間もなくしてメルが死んだ。
魔法少女の行きつく果ては魔女という、最悪の事実を残して。
魔法少女の行きつく果ては魔女という、最悪の事実を残して。
今まで自分達が倒(殺)してきたのは、元は同じ魔法少女。
ソウルジェムが濁り切れば自分達も同じ末路を迎える。
魔女化を防ぐには魔女を倒しグリーフシードを手に入れ続けねばならないのに、追い打ちを掛けるように新たな問題が立ち塞がった。
魔力の減退。年齢を重ねた魔法少女は徐々に弱くなっていく。
珍しくもない。やちよのように何時までも強いままでいられる魔法少女は一握りで、みふゆはその他大勢と同じだっただけのこと。
これで悲観するなと言う方が難しいだろう。
そんな時に出会った灯花と、マギウスが作り出したドッペルシステムは希望だった。
魔法少女の救済を掲げる灯花に縋り、みふゆはやちよの元を去った。
ソウルジェムが濁り切れば自分達も同じ末路を迎える。
魔女化を防ぐには魔女を倒しグリーフシードを手に入れ続けねばならないのに、追い打ちを掛けるように新たな問題が立ち塞がった。
魔力の減退。年齢を重ねた魔法少女は徐々に弱くなっていく。
珍しくもない。やちよのように何時までも強いままでいられる魔法少女は一握りで、みふゆはその他大勢と同じだっただけのこと。
これで悲観するなと言う方が難しいだろう。
そんな時に出会った灯花と、マギウスが作り出したドッペルシステムは希望だった。
魔法少女の救済を掲げる灯花に縋り、みふゆはやちよの元を去った。
あの時、やちよに何も言わず姿を消したのが間違いの始まりだったように思う。
一般人にウワサによる被害が多数出ても、魔法少女解放の為には仕方ないと目を背けた。
ドッペルシステムを完成させる為とはいえ、守るべきはずの人達を危険に晒すなど魔女と同じではないか。
だがもう後戻りはできない所まで来てしまっていた。
記憶ミュージアムの崩壊でいろはが行方知れずとなり、やちよから憎悪を向けられた。
マギウスの翼に引き込んだと思っていた鶴乃は、みふゆの知らぬ所でウワサと一体化させられていた。
救いを求める余り、間違いに目を背け続けたツケが回って来たのだろう。
さなとフェリシアの言葉が無ければ、自棄を起こしたままでいたかもしれない。
一般人にウワサによる被害が多数出ても、魔法少女解放の為には仕方ないと目を背けた。
ドッペルシステムを完成させる為とはいえ、守るべきはずの人達を危険に晒すなど魔女と同じではないか。
だがもう後戻りはできない所まで来てしまっていた。
記憶ミュージアムの崩壊でいろはが行方知れずとなり、やちよから憎悪を向けられた。
マギウスの翼に引き込んだと思っていた鶴乃は、みふゆの知らぬ所でウワサと一体化させられていた。
救いを求める余り、間違いに目を背け続けたツケが回って来たのだろう。
さなとフェリシアの言葉が無ければ、自棄を起こしたままでいたかもしれない。
だから間違いを正す為に戦った。
灯花に逆らい、鶴乃からウワサを引き剥がす方法をやちよ達に教え、
最後はドッペルが暴走した魔法少女達を元に戻す為に、ももこと共に命を懸けて。
やちよとの約束を破ってしまったのは申し訳ないが、自分の選択に後悔は無い。
しかし自分はこうして生き返っている。
思いがけぬ二度目の生に、さっきまで答えは出なかったけれど、
灯花に逆らい、鶴乃からウワサを引き剥がす方法をやちよ達に教え、
最後はドッペルが暴走した魔法少女達を元に戻す為に、ももこと共に命を懸けて。
やちよとの約束を破ってしまったのは申し訳ないが、自分の選択に後悔は無い。
しかし自分はこうして生き返っている。
思いがけぬ二度目の生に、さっきまで答えは出なかったけれど、
「もう少しだけ、頑張ってみようかなと。そう思ったんです」
そうか、と。
やや間を開けて、返って来たのはそれだけ。
けれどそれだけで十分だ。短いながらも言葉から拒絶は感じられなかった。
幻徳もまた、みふゆは自分と似たものを抱えていると察したのかもしれない。
やや間を開けて、返って来たのはそれだけ。
けれどそれだけで十分だ。短いながらも言葉から拒絶は感じられなかった。
幻徳もまた、みふゆは自分と似たものを抱えていると察したのかもしれない。
これが二人の再出発地点。
間違いを犯し、最後には希望を繋いだ男と女のリスタート。
間違いを犯し、最後には希望を繋いだ男と女のリスタート。
「それじゃあ改めて、よろしくお願いしますね。氷室さん」
「もっと気軽に、幻さんや幻徳くんと呼んでも構わんが」
「い、いえ。流石にそこまで気安く呼ぶ仲ではないので…」
「…………そうか」
「露骨に落ち込まないで下さい。反応に困りますから」
「もっと気軽に、幻さんや幻徳くんと呼んでも構わんが」
「い、いえ。流石にそこまで気安く呼ぶ仲ではないので…」
「…………そうか」
「露骨に落ち込まないで下さい。反応に困りますから」
【氷室幻徳@仮面ライダービルド】
[状態]:健康
[装備]:ロストドライバー+スカルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:ハ・デスを倒して殺し合いを止める。
1:梓と行動する。
[備考]
※参戦時期はTV版で死亡後。
[状態]:健康
[装備]:ロストドライバー+スカルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:ハ・デスを倒して殺し合いを止める。
1:梓と行動する。
[備考]
※参戦時期はTV版で死亡後。
【梓みふゆ@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:氷室さんと行動する。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
[状態]:健康、魔力消費(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:氷室さんと行動する。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
【ロストドライバー@仮面ライダーW】
ダブルドライバーのプロトタイプで外見も同様だが、メモリスロットが右側にしか無い。
ダブルドライバーと同様に普段はバックルの状態で携帯され、腹部に当てることで自動的にベルトが伸長して装着される。
ダブルドライバーのプロトタイプで外見も同様だが、メモリスロットが右側にしか無い。
ダブルドライバーと同様に普段はバックルの状態で携帯され、腹部に当てることで自動的にベルトが伸長して装着される。
【スカルメモリ@仮面ライダーW】
「骸骨」の記憶が内包されたガイアメモリ。ロストドライバーに装填する事で、仮面ライダースカルに変身する。
使用者の骨格を中心に肉体を強化する能力を持ち、それらに支えられた身体能力も向上させる。
加えて血肉なき"骸骨"であるが如く、変身中使用者の肉体は"死者も同然の状態"となる模様。
血管や神経まで変化または消失するのか痛覚を感じず、身体が冷たくなる。
変身後は専用武器であるスカルマグナムも使用可能。
「骸骨」の記憶が内包されたガイアメモリ。ロストドライバーに装填する事で、仮面ライダースカルに変身する。
使用者の骨格を中心に肉体を強化する能力を持ち、それらに支えられた身体能力も向上させる。
加えて血肉なき"骸骨"であるが如く、変身中使用者の肉体は"死者も同然の状態"となる模様。
血管や神経まで変化または消失するのか痛覚を感じず、身体が冷たくなる。
変身後は専用武器であるスカルマグナムも使用可能。
『NPC紹介』
【死神のドクロイゾ@遊戯王OCG】
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 900/守1200
地獄の一撃で魂を奪おうとする死神。
【死神のドクロイゾ@遊戯王OCG】
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 900/守1200
地獄の一撃で魂を奪おうとする死神。
【鎧武者ゾンビ@遊戯王OCG】
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1500/守 0
怨念により蘇った武者。
闇雲にふりまわすカタナに注意。
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1500/守 0
怨念により蘇った武者。
闇雲にふりまわすカタナに注意。
【マーダーサーカス・ゾンビ@遊戯王OCG】
通常モンスター
星2/闇属性/アンデット族/攻1350/守 0
闇の力で生き返ったピエロ。
フラフラとした踊りで死へといざなう。
通常モンスター
星2/闇属性/アンデット族/攻1350/守 0
闇の力で生き返ったピエロ。
フラフラとした踊りで死へといざなう。