光と闇、魔法少女とまぞくが古来より争い合う世界。
檀黎斗に目を付けられてしまったが為に、プレイヤーとして集められた6人。
住まう世界は同じなれど、ゲームにおける彼女達の動向は見事にバラバラ。
檀黎斗に目を付けられてしまったが為に、プレイヤーとして集められた6人。
住まう世界は同じなれど、ゲームにおける彼女達の動向は見事にバラバラ。
最も運が良いのは言うまでもなく、シャミ子こと吉田優子だろう。
NPCとのゴタゴタこそあったものの、出会った参加者はゲームに否定的な二人のみ。
各地で発生しているような戦闘にも巻き込まれず、取り巻くのは血生臭い舞台に似つかわしくない彼女の愛する街角での日常の延長。
遠くない内に定時放送で現実を叩きつけられるとしても、今はまだその時ではない。
NPCとのゴタゴタこそあったものの、出会った参加者はゲームに否定的な二人のみ。
各地で発生しているような戦闘にも巻き込まれず、取り巻くのは血生臭い舞台に似つかわしくない彼女の愛する街角での日常の延長。
遠くない内に定時放送で現実を叩きつけられるとしても、今はまだその時ではない。
本人の精神状態を無視するならば、陽夏木ミカンも運が良いと言えるかもしれない。
DIOとの戦闘で自身の攻撃が味方を傷付ける最悪の事態こそ引き起こしたが、件の天城カイトもゲーム開始当初より同行したクレヨンも無事。
カイトの解毒が済んでおらず、放送により呪いが再発すれば何が起こるか不明と油断ならない状況であれど、現時点では強い精神的動揺は抑えられている。
DIOとの戦闘で自身の攻撃が味方を傷付ける最悪の事態こそ引き起こしたが、件の天城カイトもゲーム開始当初より同行したクレヨンも無事。
カイトの解毒が済んでおらず、放送により呪いが再発すれば何が起こるか不明と油断ならない状況であれど、現時点では強い精神的動揺は抑えられている。
客観的に見れば不運であり、当の本人はそう思わないのは吉田良子。
初手でキャスター・リンボという劇薬に引き合わされた彼女はしかし、己の運の無さを嘆く正常さが失われている。
善を善、悪を悪と正しく判断する思考は最早残っておらず、姉が最も望まない方法で彼女を救わんとする傀儡と成り果てた。
初手でキャスター・リンボという劇薬に引き合わされた彼女はしかし、己の運の無さを嘆く正常さが失われている。
善を善、悪を悪と正しく判断する思考は最早残っておらず、姉が最も望まない方法で彼女を救わんとする傀儡と成り果てた。
吉田清子と小倉しおんに関してはどうだろうか。
名簿にこそ登録されているとはいえ、檀黎斗が行った最初の放送を待たずして脱落したゲームの犠牲者。
二児の母として家庭を支える包容力と、倫理観に問題があれど度々シャミ子達の力となった知識がこの地で活かされる機会は訪れない。
生き延びたせいで地獄を味わう前に逃げ延びられた、そう考えられる者もいないとは限らなかった。
名簿にこそ登録されているとはいえ、檀黎斗が行った最初の放送を待たずして脱落したゲームの犠牲者。
二児の母として家庭を支える包容力と、倫理観に問題があれど度々シャミ子達の力となった知識がこの地で活かされる機会は訪れない。
生き延びたせいで地獄を味わう前に逃げ延びられた、そう考えられる者もいないとは限らなかった。
今回語られるのは最後の一人、千代田桃を巡るお話。
これを再起への序章と捉えるか否か、判断は見る者全てに委ねよう。
これを再起への序章と捉えるか否か、判断は見る者全てに委ねよう。
◆
頼れる明かりは月光のみ。
草花が生い茂る、舗装なんてされていない道をただ進む。
どれだけ目を凝らしても先は見えず、引き摺り込まれるような暗闇が口を開けている。
まるで今の自分の内面がそっくりそのまま現実の光景になったみたいだと、不意に桃は思う。
草花が生い茂る、舗装なんてされていない道をただ進む。
どれだけ目を凝らしても先は見えず、引き摺り込まれるような暗闇が口を開けている。
まるで今の自分の内面がそっくりそのまま現実の光景になったみたいだと、不意に桃は思う。
今この状況でそんな風に考える自分が何だかおかしくて、苦笑いを受かべた。
だが出来上がったのは不自然に引き攣った、酷くヘタクソな笑みとは呼べぬ不気味な表情。
シャミ子が見たらそういうのを笑顔とは言わないと、元気いっぱいに言われそうな気がする。
小さい体でぷんすかするシャミ子を思い浮かべたからか、今度は少しだけ本物の笑みを浮かべかけ、すぐに顔色が変わっていく。
だが出来上がったのは不自然に引き攣った、酷くヘタクソな笑みとは呼べぬ不気味な表情。
シャミ子が見たらそういうのを笑顔とは言わないと、元気いっぱいに言われそうな気がする。
小さい体でぷんすかするシャミ子を思い浮かべたからか、今度は少しだけ本物の笑みを浮かべかけ、すぐに顔色が変わっていく。
「シャミ子…シャミ子に会わなきゃ……」
行き先なんてまともに決めておらず、シャミ子が島のどこにいるのか知る由も無い。
だけど歩き続けていればいずれは会える筈、叶うならば今すぐにでもシャミ子と会いたい。
でなければ、自分の心は本当に壊れてしまう。
襲われている人を助け、殺し合いを仕組んだ者達を倒す。
ここは多魔市でないけれど、魔法少女として自分に出来る事を放り投げるつもりは皆無。
そう決意したゲーム開始直後は、予想もしなかっただろう。
まさかたった数時間で心を砕かれ、戦意を奪い取られ、抗う意思を失うなどとは。
だけど歩き続けていればいずれは会える筈、叶うならば今すぐにでもシャミ子と会いたい。
でなければ、自分の心は本当に壊れてしまう。
襲われている人を助け、殺し合いを仕組んだ者達を倒す。
ここは多魔市でないけれど、魔法少女として自分に出来る事を放り投げるつもりは皆無。
そう決意したゲーム開始直後は、予想もしなかっただろう。
まさかたった数時間で心を砕かれ、戦意を奪い取られ、抗う意思を失うなどとは。
勝てる訳がない。
自分に絶大なトラウマを植え付けた金髪の偉丈夫。
直接相対したからこそ、圧倒的な力を見せつけられたからこそ理解してしまう。
あれには勝てない、運良くミカンと再会し連携したとて勝率は1%にも満たない。
文字通り次元が違う。
そんな男を相手に永夢はたった一人で戦いを挑んだ。
エナジーアイテムを駆使した戦法で相手に予期せぬダメージを与えたとはいえ、勝利を掴めるかは怪しい。
なのに逃げずに戦闘続行を選んだのは、桃だけでも逃がす為。
仮面ライダーである前にドクターとして、桃の命を救う道を選んだのだ。
自分に絶大なトラウマを植え付けた金髪の偉丈夫。
直接相対したからこそ、圧倒的な力を見せつけられたからこそ理解してしまう。
あれには勝てない、運良くミカンと再会し連携したとて勝率は1%にも満たない。
文字通り次元が違う。
そんな男を相手に永夢はたった一人で戦いを挑んだ。
エナジーアイテムを駆使した戦法で相手に予期せぬダメージを与えたとはいえ、勝利を掴めるかは怪しい。
なのに逃げずに戦闘続行を選んだのは、桃だけでも逃がす為。
仮面ライダーである前にドクターとして、桃の命を救う道を選んだのだ。
「っ……」
くしゃりと顔が歪む。
永夢の献身で生かされ、そして後を託された。
ゲーマドライバーとガシャットを渡された意味を、理解できない桃ではない。
彼が言っていたではないか、ゲームを攻略するにはエグゼイドの力が必要不可欠。
そしてエグゼイドへ再変身する為には、仮面ライダービルドこと桐生戦兎の協力がいると。
つまり永夢は自分に代わって、このゲームを終わらせてくれと桃に託したのだ。
出会って僅かな時間しか共有していない少女を助ける為に命を懸けた、そんな相手の最後の願いを無下にする程恩知らずになったつもりはない。
いざとなったらシャミ子達を優先するとは言ったものの、こうまでされて何も思わない冷めた心の持ち主ではないのだから。
永夢の献身で生かされ、そして後を託された。
ゲーマドライバーとガシャットを渡された意味を、理解できない桃ではない。
彼が言っていたではないか、ゲームを攻略するにはエグゼイドの力が必要不可欠。
そしてエグゼイドへ再変身する為には、仮面ライダービルドこと桐生戦兎の協力がいると。
つまり永夢は自分に代わって、このゲームを終わらせてくれと桃に託したのだ。
出会って僅かな時間しか共有していない少女を助ける為に命を懸けた、そんな相手の最後の願いを無下にする程恩知らずになったつもりはない。
いざとなったらシャミ子達を優先するとは言ったものの、こうまでされて何も思わない冷めた心の持ち主ではないのだから。
「永夢さん……私は…もう……」
それでも、桃は永夢の意思を継ぐ気にはどうしてもなれなかった。
殺し合いには金髪の偉丈夫と並ぶような化け物がもっといるかもしれない。
何よりそのような連中ですら参加者に過ぎないならば、ゲームマスターである黎斗はどれ程の強さなのか。
そんな奴らを相手に勝てるなどと楽観的には到底なれる筈もなく、万が一戦わねばならないと思うと全身が震え出す。
もし黎斗が気まぐれでシャミ子達と共に多魔市へ帰してやると提案してきたら、残った参加者を見捨てる事になると理解して尚も即座に頷いてしまうに違いない。
永夢と、まどかが残したゲーム攻略の鍵をも手放して。
殺し合いには金髪の偉丈夫と並ぶような化け物がもっといるかもしれない。
何よりそのような連中ですら参加者に過ぎないならば、ゲームマスターである黎斗はどれ程の強さなのか。
そんな奴らを相手に勝てるなどと楽観的には到底なれる筈もなく、万が一戦わねばならないと思うと全身が震え出す。
もし黎斗が気まぐれでシャミ子達と共に多魔市へ帰してやると提案してきたら、残った参加者を見捨てる事になると理解して尚も即座に頷いてしまうに違いない。
永夢と、まどかが残したゲーム攻略の鍵をも手放して。
「ごめんなさい……」
守れなかった少女の虚ろな瞳は、今も焼き付いて離れない。
まどかが片桐に自らその身を差し出していなかったら、桃はあのまま殺されていた
彼女を守れなかった無念をバネに、せめてシャミ子達は守り抜くと誓ったのにこのザマか。
罪悪感と情けなさで歯が砕けんばかりに噛み締められる。
それでも前を向いて戦おうという気は微塵も起きず、桃を突き動かすのはシャミ子に会いたいという一心のみ。
こんな腑抜けた姿を見たらシャミ子は失望し、自分を見限るのだろうか。
義姉とは大違いの臆病者と罵られるだろうか。
まどかが片桐に自らその身を差し出していなかったら、桃はあのまま殺されていた
彼女を守れなかった無念をバネに、せめてシャミ子達は守り抜くと誓ったのにこのザマか。
罪悪感と情けなさで歯が砕けんばかりに噛み締められる。
それでも前を向いて戦おうという気は微塵も起きず、桃を突き動かすのはシャミ子に会いたいという一心のみ。
こんな腑抜けた姿を見たらシャミ子は失望し、自分を見限るのだろうか。
義姉とは大違いの臆病者と罵られるだろうか。
(違う…シャミ子はそんな事しない…)
駆け出しまぞくなのを考慮してもぽんこつで、魔法少女の自分がハラハラするくらいに色々危なっかしくて。
出会って数ヶ月の自分を強く惹き付ける、優しい宿敵の女の子だ。
出会って数ヶ月の自分を強く惹き付ける、優しい宿敵の女の子だ。
シャミ子の笑顔を見たい、シャミ子の声を聞きたい、シャミ子に支えて欲しい。
シャミ子と一緒に、彼女が笑っていられる小さな街角に帰りたい。
シャミ子と一緒に、彼女が笑っていられる小さな街角に帰りたい。
切実な願いを抱き桃はひたすらに進む。
守れなかった後悔と生かされた事実に背を向けて、託された想いから逃げるように進み続ける。
もしシャミ子と無事再会できたとしても、そこから一体どうするかという問題を今は考えないようにして。
守れなかった後悔と生かされた事実に背を向けて、託された想いから逃げるように進み続ける。
もしシャミ子と無事再会できたとしても、そこから一体どうするかという問題を今は考えないようにして。
その内舗装された道路が見え、このまま道なりに行けば街に着くと気付いた。
ひょっとするとそこにシャミ子がいるかもしれない。
根拠など無い考えに従って、道路の上を歩いて行く。
やがて橋に差し掛かると足早に駆け出す。
月の光が反射する川には見向きもしない、視線を向けるのは前方だけだ。
ひょっとするとそこにシャミ子がいるかもしれない。
根拠など無い考えに従って、道路の上を歩いて行く。
やがて橋に差し掛かると足早に駆け出す。
月の光が反射する川には見向きもしない、視線を向けるのは前方だけだ。
「シャミ子…シャミ子…どこ…?」
街へ続く道を往く間ずっと呟かれる探し人の名前。
本当にこの先へシャミ子がいるかどうかも分からないのに、早く自分の前に現れてくれと懇願する。
真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに歩き続け、
本当にこの先へシャミ子がいるかどうかも分からないのに、早く自分の前に現れてくれと懇願する。
真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに歩き続け、
ソレを見付けた。
「え…?」
道路のすぐ近くに転がる大岩、その上にナニカが横たわっている。
遠目で見た時、ピクリとも動かないからボロ布でも被せられているのではと思った。
近付くにつれて徐々に輪郭がハッキリし、背中を冷たいものが落ちる。
遠目で見た時、ピクリとも動かないからボロ布でも被せられているのではと思った。
近付くにつれて徐々に輪郭がハッキリし、背中を冷たいものが落ちる。
おかしい、ほんの数秒前まで頭の中はシャミ子の事でいっぱいだったのに。
今は何かを考えようとすると妙に頭が痛くなり、視界から得られる情報を拒否したくてたまらない。
今は何かを考えようとすると妙に頭が痛くなり、視界から得られる情報を拒否したくてたまらない。
一歩近付く、ソレが裸なのが分かった。
数時間前に見た彼女はちゃんと服を着ていたのに。
数時間前に見た彼女はちゃんと服を着ていたのに。
一歩近付く、ソレの目玉が繰り抜かれ、本来その位置にある筈の無い器官が詰め込まれていた。
数時間前に見た彼女の乾き切った、寂しさを感じずにはいられない瞳は消え失せている。
数時間前に見た彼女の乾き切った、寂しさを感じずにはいられない瞳は消え失せている。
立ち止まる、こんなに近くに居ても彼女は無言を貫いたまま。
「エムせんせい」と、もういないあの人の名前を呼ぶ声は聞こえない。
「エムせんせい」と、もういないあの人の名前を呼ぶ声は聞こえない。
人間の尊厳を徹底的に踏みにじられた、百式照という名の肉のオブジェがそこにはあった。
「―――っ!!あっ…やっ……な、なに、こ……げほっ!?おぇぇ……」
堪らず蹲り胃の中身をぶち撒ける。
吐瀉物のツンとした臭いが立ち込め、視界が滲み出す。
理解などできない、したくない。
ほんの数時間前まで五体満足でいた人が、こんな風になるなんて。
余りの惨たらしさに脳が理解を拒もうとするも、目に飛び込んで来るのは逃れようのない現実。
吐瀉物のツンとした臭いが立ち込め、視界が滲み出す。
理解などできない、したくない。
ほんの数時間前まで五体満足でいた人が、こんな風になるなんて。
余りの惨たらしさに脳が理解を拒もうとするも、目に飛び込んで来るのは逃れようのない現実。
「はっ…はっ…うぁ……」
吐き出せるものが一つも無くなったのか、口から漏れるのは苦し気な声。
支給された水で口を濯ぐ選択も頭には浮かばない。
支給された水で口を濯ぐ選択も頭には浮かばない。
「なんで……」
蹲ったまま絞り出すように口にしたのは、果たして誰に向けての言葉か。
桃自身にも判断が付かないまま、感情が決壊した。
桃自身にも判断が付かないまま、感情が決壊した。
「なん、で…なんで…!?どうして私達が、こんな目に遭うのかなぁ…!?ねえ!?私もシャミ子も…良ちゃんと清子さんも…!まどかちゃんやこの人だって…!」
理不尽への疑問を叫んでも答えは返って来ない。
いや、答えなら既に永夢の口から聞いたではないか。
無差別に巻き込んだ、それだけ。
桃達に恨みがあるとかそういうありふれた理由は存在せず、ウイルスが人へ無差別に感染するように、黎斗が自分達を参加させた事に特別な意味は無い。
到底納得出来なくても、理由としては結局それが全て。
いや、答えなら既に永夢の口から聞いたではないか。
無差別に巻き込んだ、それだけ。
桃達に恨みがあるとかそういうありふれた理由は存在せず、ウイルスが人へ無差別に感染するように、黎斗が自分達を参加させた事に特別な意味は無い。
到底納得出来なくても、理由としては結局それが全て。
そして桃へ降り掛かる理不尽はまだ続いている。
「なーんだ、また女か」
落胆を隠さない声色に顔を上げると、白い服の少年が立っていた。
動揺していたとはいえここまで接近を許すとは、我ながら迂闊と悔やむももう遅い。
無理やり涙を拭い立ち上がり、現れた少年と対峙する。
相手は照の惨殺死体を前にしたにも関わらず、まるで気にした様子が無い。
それに今、彼が口にした内容も聞き過ごせないものだ。
動揺していたとはいえここまで接近を許すとは、我ながら迂闊と悔やむももう遅い。
無理やり涙を拭い立ち上がり、現れた少年と対峙する。
相手は照の惨殺死体を前にしたにも関わらず、まるで気にした様子が無い。
それに今、彼が口にした内容も聞き過ごせないものだ。
「あなたが……この人を殺したの?」
「ああそれ?うん、そうだよ」
「っ!何で…!」
「ああそれ?うん、そうだよ」
「っ!何で…!」
あっさりと、まるでホモビデオの自己紹介で24歳にも関わらず学生と答えたステロイドハゲのようにさらりと答えた。
少女を殺した、それもただ殺すだけでなく徹底的に苦痛を与え玩具にしたうえで。
自らの残虐な行いへ何の疑問も抱いていない態度へ、怒気を露わに聞き返す。
しかし少年は桃の怒りなどどこ吹く風といった様子。
少女を殺した、それもただ殺すだけでなく徹底的に苦痛を与え玩具にしたうえで。
自らの残虐な行いへ何の疑問も抱いていない態度へ、怒気を露わに聞き返す。
しかし少年は桃の怒りなどどこ吹く風といった様子。
「そのお姉さんがウザかったのが悪いんだよ。殺されそうになってもスカした態度取って。あ、でも流石にコレを取った時は五月蠅いくらいに泣いちゃってたけどね」
「っ!?」
「っ!?」
言いながら少年が見せつけたのは、右手に持った肉塊。
本来ならば外気に晒される事はない、まして人体から離れるなどあってはならない。
10代の少女の膣をプラプラと揺らす少年…MNRの蛮行に桃は気を失いそうだった。
人間全てが善人とは思っておらず、悪人がいる事くらい理解している。
多魔市の住民のように優しくて懐の広い人ばかりではない、救い難い悪い人間が世の中には溢れているのだ。
だが今目の前にいるのは本当に人間なのか、心を失くしたモンスターとでも言った方がまだ納得がいく。
那由多誰何とは別ベクトルで、自らの行いに何の疑問も持っていないらしい。
この世界には理解できない考えを持つ人もいる。
放送に狼狽えたまどかへ向けた言葉が、今になって自分に返って来た。
本来ならば外気に晒される事はない、まして人体から離れるなどあってはならない。
10代の少女の膣をプラプラと揺らす少年…MNRの蛮行に桃は気を失いそうだった。
人間全てが善人とは思っておらず、悪人がいる事くらい理解している。
多魔市の住民のように優しくて懐の広い人ばかりではない、救い難い悪い人間が世の中には溢れているのだ。
だが今目の前にいるのは本当に人間なのか、心を失くしたモンスターとでも言った方がまだ納得がいく。
那由多誰何とは別ベクトルで、自らの行いに何の疑問も持っていないらしい。
この世界には理解できない考えを持つ人もいる。
放送に狼狽えたまどかへ向けた言葉が、今になって自分に返って来た。
「ま、もう死んでるしどうでもいいや」
至って冷めた様子で膣をデイパックに仕舞う。
MNRからしたら照は悲鳴を上げて自分を楽しませたが、彼女の言葉を思い出すと頭が痛くなる。
父親に植え付けられたトラウマ、生まれ落ちた事が間違いだったのかと繰り返す自問自答。
こんな事は考えたくないのに、照の言葉がどうしても頭をよぎってしまう。
死んだ後も自分を苛つかせる女だとストレスが溜まるも、ふと彼女の死体はまだ有効活用できるのではと考えた。
自分でやっておいて何だが、照の死体は相当目立つ。
善人は勿論のこと、悪人であってもここまで弄ばれた死体を見付けたら無視はできない。
新しい獲物を引っ掛けるのに使えると判断したMNRは来た道を戻り、死体の傍に隠れ様子を窺っていたのだ。
MNRからしたら照は悲鳴を上げて自分を楽しませたが、彼女の言葉を思い出すと頭が痛くなる。
父親に植え付けられたトラウマ、生まれ落ちた事が間違いだったのかと繰り返す自問自答。
こんな事は考えたくないのに、照の言葉がどうしても頭をよぎってしまう。
死んだ後も自分を苛つかせる女だとストレスが溜まるも、ふと彼女の死体はまだ有効活用できるのではと考えた。
自分でやっておいて何だが、照の死体は相当目立つ。
善人は勿論のこと、悪人であってもここまで弄ばれた死体を見付けたら無視はできない。
新しい獲物を引っ掛けるのに使えると判断したMNRは来た道を戻り、死体の傍に隠れ様子を窺っていたのだ。
「めんどくさいからさ、変に抵抗しないでよ」
見事に獲物が引っ掛かりはしたが、またもや女だったのは非常に残念。
ただこれはこれでレイプはしなくとも、さっきのように解体して遊べば良いかと思い直す。
照と同じく膣を切り離しコレクションするのも悪くはない。
性行為を行うのは男にのみだが、女相手でも楽しむ方法はある。
ただこれはこれでレイプはしなくとも、さっきのように解体して遊べば良いかと思い直す。
照と同じく膣を切り離しコレクションするのも悪くはない。
性行為を行うのは男にのみだが、女相手でも楽しむ方法はある。
お前ノンケかよぉ!?(失望)とお怒りの兄貴たちもいるだろうが、まま、そう焦んないでよ(神のお言葉)。
あくまで切り刻むだけでレイプはしないから、多少はね?
あくまで切り刻むだけでレイプはしないから、多少はね?
「ふざけないで…!!」
分かりましたと大人しくMNRの玩具になる気はない。
殺し合いを打破する気力は失われているが、黙って自分の死を受け入れる程に全てを諦めたつもりもない。
もう一度シャミ子に会うまで誰が死んでやるものか。
何よりこのような狂人がもしシャミ子と遭遇してしまったら、想像するだけでも恐ろしい。
照と同じ、それ以上の苦痛を与えられた絶望の中でシャミ子が死ぬ。
そうはさせてたまるかとステッキを構え、一秒と掛らずにフレッシュピーチへの変身を完了させた。
殺し合いを打破する気力は失われているが、黙って自分の死を受け入れる程に全てを諦めたつもりもない。
もう一度シャミ子に会うまで誰が死んでやるものか。
何よりこのような狂人がもしシャミ子と遭遇してしまったら、想像するだけでも恐ろしい。
照と同じ、それ以上の苦痛を与えられた絶望の中でシャミ子が死ぬ。
そうはさせてたまるかとステッキを構え、一秒と掛らずにフレッシュピーチへの変身を完了させた。
「めんどくさいって言ってるのになぁ…」
照と言い桃と言い、どうして女という生き物はこうも手間ばかり掛けさせるのか。
だから女には犯す価値もない。
手頃な玩具にするならまだしも、こんな連中の性器に自分のペニスを突っ込むなど汚らわしくて怖気が走る。
煩わし気に頭を掻きながら左手に指輪を填め、専用のウィザードライバーを起動。
向こうがその気ならこっちも変身して叩きのめすまで。
だから女には犯す価値もない。
手頃な玩具にするならまだしも、こんな連中の性器に自分のペニスを突っ込むなど汚らわしくて怖気が走る。
煩わし気に頭を掻きながら左手に指輪を填め、専用のウィザードライバーを起動。
向こうがその気ならこっちも変身して叩きのめすまで。
『シャバドゥビタッチヘンシン!シャバドゥビタッチヘンシン!』
「変身」
『チェンジ・ナウ』
ドライバー中央部の手形に指輪を翳すと魔法陣が展開。
全身を覆う法衣、羽織ったケープ、被ったフードまでもが白尽くめ。
仮面ライダーワイズマン、操真晴人達からは白い魔法使いとも呼ばれた存在。
娘の蘇生を目的として数多の絶望を生み出すサバトを目論んだ、とある父親のもう一つの姿。
それも黎斗主催のゲームにおいてはあくまで参加者の一支給品に過ぎず、此度は指輪の魔法使いとは本来無関係の凶悪なホモの手に渡った。
全身を覆う法衣、羽織ったケープ、被ったフードまでもが白尽くめ。
仮面ライダーワイズマン、操真晴人達からは白い魔法使いとも呼ばれた存在。
娘の蘇生を目的として数多の絶望を生み出すサバトを目論んだ、とある父親のもう一つの姿。
それも黎斗主催のゲームにおいてはあくまで参加者の一支給品に過ぎず、此度は指輪の魔法使いとは本来無関係の凶悪なホモの手に渡った。
「仮面ライダー…?でも、永夢さんとは違う…」
「知ってたんだ。別にいいけど」
「知ってたんだ。別にいいけど」
外見も、使った道具も、何より変身者の性根も永夢とは違う。
共通するのは、仮面ライダーという超人的な力を得た戦士であること。
一緒に戦う心強い仲間になれたかもしれない青年の力が、今は危険人物の振るう暴力として自分へ牙を剥こうとしている。
自然と表情が強張る桃へ、面倒事はさっさと終わらせるべくワイズマンが襲い掛かった。
共通するのは、仮面ライダーという超人的な力を得た戦士であること。
一緒に戦う心強い仲間になれたかもしれない青年の力が、今は危険人物の振るう暴力として自分へ牙を剥こうとしている。
自然と表情が強張る桃へ、面倒事はさっさと終わらせるべくワイズマンが襲い掛かった。
MNRの目的はただ桃を殺すだけではない。
照にしたのと同じく苦痛を与え、性器を解体し殺す。
故に最初の一撃で急所を狙い仕留めるのではなく、死なない程度に痛めつけ拘束する算段だ。
とはいえ相手は仮面ライダーとは違うものの、変身したという事は相応に力も強化されているはず。
だったら面倒とはいえ、気を抜き過ぎるのは禁物。
先の戦闘とて瞬間移動の魔法を使わねば、敗北していたのは自分の方だったのだから。
照にしたのと同じく苦痛を与え、性器を解体し殺す。
故に最初の一撃で急所を狙い仕留めるのではなく、死なない程度に痛めつけ拘束する算段だ。
とはいえ相手は仮面ライダーとは違うものの、変身したという事は相応に力も強化されているはず。
だったら面倒とはいえ、気を抜き過ぎるのは禁物。
先の戦闘とて瞬間移動の魔法を使わねば、敗北していたのは自分の方だったのだから。
「じゃあ、死のうか(せっかち)」
まだ殺す気はないのに矛盾した台詞を放つのは、淫夢ファミリーならではのガバガバさ故だろう(適当)。
言動はガバガバのスカスカでも繰り出す攻撃は脅威そのもの。
笛型の剣、ワイズマン専用装備のハーメルケインを振り下ろす。
強度も切れ味もウィザードの装備に引けを取らない程強力。
発想が明後日の方向に向かっているシャミ子が使うナントカの杖と比べ、分かり易いくらいの武器だ。
装飾の美しさのみだけでなく、十全の殺意が籠った刃が桃の柔肌を切り裂くべく襲い来る。
言動はガバガバのスカスカでも繰り出す攻撃は脅威そのもの。
笛型の剣、ワイズマン専用装備のハーメルケインを振り下ろす。
強度も切れ味もウィザードの装備に引けを取らない程強力。
発想が明後日の方向に向かっているシャミ子が使うナントカの杖と比べ、分かり易いくらいの武器だ。
装飾の美しさのみだけでなく、十全の殺意が籠った刃が桃の柔肌を切り裂くべく襲い来る。
「ふぅっ…!」
ワイズマンが接近し武器を振るう速度は並外れているが、ただの人間以上の力を持つのは桃も同じ。
通常時でさえ高い身体能力を、フレッシュピーチへの変身で更に強化している。
自分を狙う黄金色の刃をしっかりと目で捉えた上で、回避に移行。
ハーメルケインは桃の真横の地面を切り裂くに終わった。
地面目掛けて武器を振り下ろしたままの体勢で、ワイズマンの全身がほんの僅かに硬直。
次の動作へ移させる桃ではなく、頭部目掛けて蹴りを放つ。
通常時でさえ高い身体能力を、フレッシュピーチへの変身で更に強化している。
自分を狙う黄金色の刃をしっかりと目で捉えた上で、回避に移行。
ハーメルケインは桃の真横の地面を切り裂くに終わった。
地面目掛けて武器を振り下ろしたままの体勢で、ワイズマンの全身がほんの僅かに硬直。
次の動作へ移させる桃ではなく、頭部目掛けて蹴りを放つ。
「危ないなぁ…」
仮面に覆われているとはいえ、直撃すれば脳を揺さぶられるだろう一撃。
どこぞの悶絶少年専属調教師と違い、甘んじて受け入れるような性癖をMNRは持ち合わせていない。
ハーメルケインを顔の真横に翳した直後、腕へと伝わる鈍い振動。
生半可な武器なら防御に回した所で無意味、破壊され蹴りが到達するのを防げはしない。
そうはならずに無事防御を成功、これだけでも武器の性能が如何に高いかが分かる。
今更関心を抱きはせずハーメルケインで相手を押し返そうとし、ふと腕に掛かった力が消えたのに気付く。
このままでは体勢を崩され、今度はこっちが隙を見せてしまう。
即座に判断した桃は足を引っ込め、ワイズマンの背後へと回った。
どこぞの悶絶少年専属調教師と違い、甘んじて受け入れるような性癖をMNRは持ち合わせていない。
ハーメルケインを顔の真横に翳した直後、腕へと伝わる鈍い振動。
生半可な武器なら防御に回した所で無意味、破壊され蹴りが到達するのを防げはしない。
そうはならずに無事防御を成功、これだけでも武器の性能が如何に高いかが分かる。
今更関心を抱きはせずハーメルケインで相手を押し返そうとし、ふと腕に掛かった力が消えたのに気付く。
このままでは体勢を崩され、今度はこっちが隙を見せてしまう。
即座に判断した桃は足を引っ込め、ワイズマンの背後へと回った。
「そんなの無駄だってば」
「っ、みたいだね…!」
「っ、みたいだね…!」
背後から殴りかかろうと拳を振り被るも、攻撃は中断するしかない。
桃へ視線を寄越さないまま、すぐ真後ろへとハーメルケインを突き出した。
ギラリと輝く刀身が狙うは桃の腹部。
嘗て付けられた古傷が残る場所へ、また一つ痛々しい痕が刻まれてしまう。
脚へと力を込め後方へと跳ぶ。
ヒュンと空気が切り裂かれる音を鼓膜が拾い、そこでようやくワイズマンは背後へと向き直る。
少し離れた位置に立つ桃の体へ自分が付けた外傷は、掠り傷すら存在しない。
余計な手間を掛けさせられ苛立ち、ハーメルケインを握る手に力が籠る。
身勝手な怒りを向けられた所で桃には、大人しく体と命を差し出すつもりは微塵も無し。
こちらの番とばかりに両足へ力を集中、一気に加速し急接近。
桃へ視線を寄越さないまま、すぐ真後ろへとハーメルケインを突き出した。
ギラリと輝く刀身が狙うは桃の腹部。
嘗て付けられた古傷が残る場所へ、また一つ痛々しい痕が刻まれてしまう。
脚へと力を込め後方へと跳ぶ。
ヒュンと空気が切り裂かれる音を鼓膜が拾い、そこでようやくワイズマンは背後へと向き直る。
少し離れた位置に立つ桃の体へ自分が付けた外傷は、掠り傷すら存在しない。
余計な手間を掛けさせられ苛立ち、ハーメルケインを握る手に力が籠る。
身勝手な怒りを向けられた所で桃には、大人しく体と命を差し出すつもりは微塵も無し。
こちらの番とばかりに両足へ力を集中、一気に加速し急接近。
「はぁっ!」
弾丸を思わせる勢いで拳を真っ直ぐに突き出す。
再度ハーメルケインを翳し防ぐが、両腕に伝わる振動は先程よりもずっと上。
強く柄を握っていなければ耐え切れず、武器を取り落としていたかもしれない。
続けて反対の手で握り拳を作り、ワイズマンの腹部へと叩き込む。
これもまた防御、但しハーメルケインではなく曲げた膝を腹部の前へ持って行ってだ。
魔法衣に覆われた四肢の耐久力は生身の人間とは段違い。
小枝のようにへし折れただろう末路は、変身していた為に回避された。
それでも、少なからず痺れにも似た痛みが走るのまでは防げない。
再度ハーメルケインを翳し防ぐが、両腕に伝わる振動は先程よりもずっと上。
強く柄を握っていなければ耐え切れず、武器を取り落としていたかもしれない。
続けて反対の手で握り拳を作り、ワイズマンの腹部へと叩き込む。
これもまた防御、但しハーメルケインではなく曲げた膝を腹部の前へ持って行ってだ。
魔法衣に覆われた四肢の耐久力は生身の人間とは段違い。
小枝のようにへし折れただろう末路は、変身していた為に回避された。
それでも、少なからず痺れにも似た痛みが走るのまでは防げない。
日常生活から筋トレを趣味にしているのもあって、桃は武闘派の魔法少女である。
シャミ子曰くやわらかぬるい華奢な腕からは、想像もつかないようなパワーを持つ。
加えて先の犠牲者である照は異能こそ強力であれど、元々普通の人間。
対して桃は魔法少女としての経験を詰んでおり、命懸けの戦いにも勝利を収めてきた。
たとえ相手が仮面ライダーであっても、桃の力は十分通用するのだ。
更に現在の彼女はまどかのように保護した一般人や、永夢のような共闘相手もいない一人。
言い換えれば、同行者へ気を回す必要が無く眼前の敵へ集中できるということ。
片桐相手に翻弄され、ポセイドン相手には慄くしか出来なかったが、ここに来て桃の本領が発揮されていた。
シャミ子曰くやわらかぬるい華奢な腕からは、想像もつかないようなパワーを持つ。
加えて先の犠牲者である照は異能こそ強力であれど、元々普通の人間。
対して桃は魔法少女としての経験を詰んでおり、命懸けの戦いにも勝利を収めてきた。
たとえ相手が仮面ライダーであっても、桃の力は十分通用するのだ。
更に現在の彼女はまどかのように保護した一般人や、永夢のような共闘相手もいない一人。
言い換えれば、同行者へ気を回す必要が無く眼前の敵へ集中できるということ。
片桐相手に翻弄され、ポセイドン相手には慄くしか出来なかったが、ここに来て桃の本領が発揮されていた。
突き出す拳は岩石だろう砕き、繰り出す蹴りは大木をも引き裂く。
威力もさることながら、速度も最早人間が出せる限界をとっくに超えている。
相手によっては為す術なく一方的に殴打を叩き込まれ、地面に倒れ伏すのは確実。
威力もさることながら、速度も最早人間が出せる限界をとっくに超えている。
相手によっては為す術なく一方的に殴打を叩き込まれ、地面に倒れ伏すのは確実。
「なんで大人しくしてくれないのかな?」
ボソリと呟いた声に籠められたのは苛立ちのみで、桃の猛攻への焦りは皆無。
事実、ワイズマンは桃の打撃を一つ残らず防ぎ、或いは躱していた。
ワイズマンこと白い魔法使いは元々、インフィニティスタイルの仮面ライダーウィザードと互角以上に渡り合う性能を誇る。
おまけに変身者であるMNRもまた淫夢ファミリーの宿命か、若しくは恩恵なのか。
TDNホモビ出典のキャラクターではありえない、超人的な身体能力を付与されているのだ。
事実、ワイズマンは桃の打撃を一つ残らず防ぎ、或いは躱していた。
ワイズマンこと白い魔法使いは元々、インフィニティスタイルの仮面ライダーウィザードと互角以上に渡り合う性能を誇る。
おまけに変身者であるMNRもまた淫夢ファミリーの宿命か、若しくは恩恵なのか。
TDNホモビ出典のキャラクターではありえない、超人的な身体能力を付与されているのだ。
「はぁ~~~~(クソデカため息)」
面倒くさくて堪らず、ワイズマンは桃の蹴りを防いだと同時に背後へ大きく跳ぶ。
ハーメルケインへ掛かった力にあえて逆らわない事で、十分な距離を取った。
無論、このまま棒立ちしていればすぐに接近されるのが分かり切っている。
だから今度はハーメルケインを振るうのではない、別の手に出るまで。
武器を振るうだけがワイズマンの全てでは無い。
元の世界では晴人達へ、ゲームでは照にも使用した魔法を放つべくドライバーへ指輪を翳す。
ハーメルケインへ掛かった力にあえて逆らわない事で、十分な距離を取った。
無論、このまま棒立ちしていればすぐに接近されるのが分かり切っている。
だから今度はハーメルケインを振るうのではない、別の手に出るまで。
武器を振るうだけがワイズマンの全てでは無い。
元の世界では晴人達へ、ゲームでは照にも使用した魔法を放つべくドライバーへ指輪を翳す。
しかしワイズマンが距離を取ったのは、桃にとってもある意味好都合。
桃が使う戦法とて素手での殴り合いのみではない。
変身に使ったのとは別の可愛らしい装飾のステッキを装備。
必殺の魔力を集中させる。
桃が使う戦法とて素手での殴り合いのみではない。
変身に使ったのとは別の可愛らしい装飾のステッキを装備。
必殺の魔力を集中させる。
『エクスプロージョン・ナウ』
「フレッシュピーチハートシャワー!」
展開された魔法陣を中心に爆発が発生。
ハートフルピーチモーフィングステッキより放たれた桃色の閃光と激突。
高威力の技はどちらも打ち勝てずに相殺、巻き起こった爆風が両者の視界を遮った。
ハートフルピーチモーフィングステッキより放たれた桃色の閃光と激突。
高威力の技はどちらも打ち勝てずに相殺、巻き起こった爆風が両者の視界を遮った。
(っ!?どこに……)
煙が目に入ったせいで痛みを感じ、咄嗟に閉じようとするも悪手だ。
現に煙を切り裂き迫る黄金色を認識すると、目の痛みも無視して躱す。
生身ならば不利となる視界の悪さも、頭部をマスクで覆い隠したワイズマンには無関係らしい。
現に煙を切り裂き迫る黄金色を認識すると、目の痛みも無視して躱す。
生身ならば不利となる視界の悪さも、頭部をマスクで覆い隠したワイズマンには無関係らしい。
僅かに掠めた腕から赤い雫が数滴地面に落ちる。
光の一族と契約した魔法少女にとって、出血は魔力の減少に繋がってしまう。
まして桃は既に片桐との戦闘で少なくない傷を負わされたのだ。
常人よりも傷の回復は遥かに速いと言えど、余計な傷は負わないに限る。
光の一族と契約した魔法少女にとって、出血は魔力の減少に繋がってしまう。
まして桃は既に片桐との戦闘で少なくない傷を負わされたのだ。
常人よりも傷の回復は遥かに速いと言えど、余計な傷は負わないに限る。
敵の武器は刃物。
血を流させるのに適した得物を使うなら、こっちも攻撃方法を変えるべきか。
桃本来の装備とは違うものを手にするべく、デイパックから取り出した。
血を流させるのに適した得物を使うなら、こっちも攻撃方法を変えるべきか。
桃本来の装備とは違うものを手にするべく、デイパックから取り出した。
(永夢さん、使わせてもらうよ)
装備したのはエグゼイドが使用する可変型の武器、ガシャコンブレイカー。
打撃をメインとしたハンマーモードと、斬撃をメインにするソードモードの二形態の内桃が選択したのは後者。
ゲームのコントローラーに付いているようなボタンをタッチし、ソードモードへ変形。
エグゼイドの頭部保護パーツを思わせる刃が出現。
永夢から託された想いを無視する癖に、遺した武器だけは平然と使うのか。
自責の念に今だけは蓋をして、ワイズマンのハーメルケインを迎え撃つ。
打撃をメインとしたハンマーモードと、斬撃をメインにするソードモードの二形態の内桃が選択したのは後者。
ゲームのコントローラーに付いているようなボタンをタッチし、ソードモードへ変形。
エグゼイドの頭部保護パーツを思わせる刃が出現。
永夢から託された想いを無視する癖に、遺した武器だけは平然と使うのか。
自責の念に今だけは蓋をして、ワイズマンのハーメルケインを迎え撃つ。
「しつこいなぁ…!」
「それはこっちの台詞…!」
「それはこっちの台詞…!」
黄金色の刃と派手なピンク色の刃がぶつかる。
剣を手にした事で先程までは行えなかった、ハーメルケインとの打ち合いが可能となった。
敵が武器を振るうなら、こちらはそれ以上の勢いで振るうだけだ。
剣を手にした事で先程までは行えなかった、ハーメルケインとの打ち合いが可能となった。
敵が武器を振るうなら、こちらはそれ以上の勢いで振るうだけだ。
(この剣…思ったよりも使い易い…?)
闇堕ちした時には刀を振るっていたのもあってか、刀剣類の扱いが苦手という訳ではない。
しかし今使っているのは持ち主であるエグゼイドと同様、中々に奇抜な見た目の武器だ。
自分に使いこなせるかどうかを懸念していたが、どうやら杞憂で済むかもしれないと思い直す。
しかし今使っているのは持ち主であるエグゼイドと同様、中々に奇抜な見た目の武器だ。
自分に使いこなせるかどうかを懸念していたが、どうやら杞憂で済むかもしれないと思い直す。
ガシャコンブレイカーは攻撃スピードを重視しており、その為グリップ部分は軽量設計になっている。
おまけに使用者の能力に応じてシステムデータを更新し、武器性能をより向上させる機能も搭載済み。
思った以上に軽く、それでいて使い易い。
これならばいけると、剣を振るう速度を一段階引き上げた。
おまけに使用者の能力に応じてシステムデータを更新し、武器性能をより向上させる機能も搭載済み。
思った以上に軽く、それでいて使い易い。
これならばいけると、剣を振るう速度を一段階引き上げた。
「はぁぁ…!!」
「うっ…」
「うっ…」
桃の気迫が押しったのか、ワイズマンの肩へ刃が走る。
散らされる火花とHITのエフェクトがダメージを伝え、ハーメルケインを持つ力も弱まった。
またとないチャンス、一気に倒すにはここだとガシャコンブレイカーで追撃を仕掛ける。
だが今の自分が隙を晒し、敵がそこを確実に突いて来るのはワイズマン自身にも察しが付く。
癇癪を起した子供のように腕を滅茶苦茶に振り回す。
狙いもまともに付けないハーメルケインの攻撃だが、一瞬とはいえ桃の勢いを削ぐ目的は果たせたのなら上出来。
散らされる火花とHITのエフェクトがダメージを伝え、ハーメルケインを持つ力も弱まった。
またとないチャンス、一気に倒すにはここだとガシャコンブレイカーで追撃を仕掛ける。
だが今の自分が隙を晒し、敵がそこを確実に突いて来るのはワイズマン自身にも察しが付く。
癇癪を起した子供のように腕を滅茶苦茶に振り回す。
狙いもまともに付けないハーメルケインの攻撃だが、一瞬とはいえ桃の勢いを削ぐ目的は果たせたのなら上出来。
すかさず魔法を発動しようと指輪を翳す。
が、ドライバーに指輪を近づけたまさにその瞬間、手首をがっちりと掴まれた。
爆発を起こす魔法を使った際、ワイズマンが指輪をドライバーに翳したのを桃は見逃してはいない。
敵が魔法を使うには指輪をベルトの手形部分に翳す工程が必要だと、先程の動作で気付いたのだ。
が、ドライバーに指輪を近づけたまさにその瞬間、手首をがっちりと掴まれた。
爆発を起こす魔法を使った際、ワイズマンが指輪をドライバーに翳したのを桃は見逃してはいない。
敵が魔法を使うには指輪をベルトの手形部分に翳す工程が必要だと、先程の動作で気付いたのだ。
「離してよ…!」
「分かった」
「分かった」
万力のように手首を締め付けられ、変身しても不快感が募る。
離せといいながら振り払おうとすれば、どういう訳かあっさりと承諾。
何のつもりだと言う疑問は即座に解消された。
魔力をコントロールし腕力をより強化した桃はなんと、ワイズマンを掴んだまま持ち上げたのだ。
突然の事に慌てるワイズマンの望み通り、思いっ切り投げ飛ばす形で手を放した。
離せといいながら振り払おうとすれば、どういう訳かあっさりと承諾。
何のつもりだと言う疑問は即座に解消された。
魔力をコントロールし腕力をより強化した桃はなんと、ワイズマンを掴んだまま持ち上げたのだ。
突然の事に慌てるワイズマンの望み通り、思いっ切り投げ飛ばす形で手を放した。
「うわ、ぁっ!?」
飛んで行くワイズマンを黙って見送らず、桃はより強烈な一撃を叩きまんとする。
取り出したのはガシャコンブレイカーと同じく、永夢が遺した支給品。
マイティアクションXのガシャットだ。
ゲーマドライバーが破損している為にエグゼイドへは変身出来なくとも、ガシャットは無傷のまま。
ならばエグゼイドになれなくとも使い道はある。
ガシャコンブレイカーのスロットにガシャットを装填しトリガーを押す。
取り出したのはガシャコンブレイカーと同じく、永夢が遺した支給品。
マイティアクションXのガシャットだ。
ゲーマドライバーが破損している為にエグゼイドへは変身出来なくとも、ガシャットは無傷のまま。
ならばエグゼイドになれなくとも使い道はある。
ガシャコンブレイカーのスロットにガシャットを装填しトリガーを押す。
『ガシャット!』
『キメワザ!』
『MIGHTY!CRITICAL FINISH!』
ブレード部分にエネルギーが集束され、桃がワイズマン目掛けて跳躍。
ガシャコンブレイカーを構えた体勢のままで高速回転する。
突進して来る桃に、ワイズマンとて何の抵抗もしないなど真っ平御免。
空中という不安定な場でありながらも、どうにか指輪を翳し魔法を発動した。
ガシャコンブレイカーを構えた体勢のままで高速回転する。
突進して来る桃に、ワイズマンとて何の抵抗もしないなど真っ平御免。
空中という不安定な場でありながらも、どうにか指輪を翳し魔法を発動した。
『チェイン・ナウ』
魔力で編まれた鎖が桃に絡みつき、回転を強制的に止めようとする。
だがガシャコンブレイカーのエネルギーのみならず、自身の魔力を上乗せし強引に鎖を引き千切り突破。
勢いこそ落ちたもののワイズマンの元へは到達。
マイティアクションXのエネルギーを纏わせた刃を叩きつける。
対するワイズマンもまた、桃が拘束された際の僅かな猶予でどうにかハーメルケインを構え直せた。
だがガシャコンブレイカーのエネルギーのみならず、自身の魔力を上乗せし強引に鎖を引き千切り突破。
勢いこそ落ちたもののワイズマンの元へは到達。
マイティアクションXのエネルギーを纏わせた刃を叩きつける。
対するワイズマンもまた、桃が拘束された際の僅かな猶予でどうにかハーメルケインを構え直せた。
「ぐぅぅ…!」
ワイズマンの全身を狙った連続斬り。
一撃、二撃、三撃、そして四撃と防いだのはそれだけワイズマンというライダーが高性能だからか。
しかし残る最後の攻撃だけは防御が間に合わず、胴体から大量の火花が散った。
地面へと叩きつけられ呻き声を上げる。
バグスター相手にはこれだけでも十分な威力であっても、ワイズマンを撃破ないし変身解除へ追い込むには足りない。
しぶとい相手に表情を険しくする桃だが、敵も同様に仮面の下で顔を歪めた。
一撃、二撃、三撃、そして四撃と防いだのはそれだけワイズマンというライダーが高性能だからか。
しかし残る最後の攻撃だけは防御が間に合わず、胴体から大量の火花が散った。
地面へと叩きつけられ呻き声を上げる。
バグスター相手にはこれだけでも十分な威力であっても、ワイズマンを撃破ないし変身解除へ追い込むには足りない。
しぶとい相手に表情を険しくする桃だが、敵も同様に仮面の下で顔を歪めた。
「痛い…痛いよ……」
「あの子はもっと痛かったはずだよ」
「あの子はもっと痛かったはずだよ」
吐き捨てながらも油断はせずにワイズマンを睨む。
今の攻撃でそれなりにダメージは与えられたように思う。
とはいえ自分もまた万全の状態とは言えず、公園での戦闘による傷と疲労は残っている。
流れに乗ったまま一気に攻め込み決着を着けるか。
今の攻撃でそれなりにダメージは与えられたように思う。
とはいえ自分もまた万全の状態とは言えず、公園での戦闘による傷と疲労は残っている。
流れに乗ったまま一気に攻め込み決着を着けるか。
一度深呼吸をした桃がワイズマンへと強く踏み込み――
その寸前で、二人の間に何かが降って来た。
「なっ…」
「えぇ…(困惑)」
「えぇ…(困惑)」
桃にもMNRにとっても予期せぬ事態。
舗装された道路が陥没する程の勢いで振って来るとは、一体全体何なのか。
というかもし生物であれば、生きているかも怪しい。
舗装された道路が陥没する程の勢いで振って来るとは、一体全体何なのか。
というかもし生物であれば、生きているかも怪しい。
両者完全に気を取られ、今この時だけは互いへの敵意も薄れている。
困惑と警戒が戦場の空気を塗り替える中、少女と少年が見つめる先で、とうとうソレが姿を現わす。
困惑と警戒が戦場の空気を塗り替える中、少女と少年が見つめる先で、とうとうソレが姿を現わす。
「猿どモがぁ……よクもこノ俺をォオオオオオおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
怒れる真紅の騎士が、新たな混乱を齎すべく参戦を果たした。