「それじゃあ、二人とも同じようにこのゲームには反対なんですね?」
ホームレスのような小汚ない格好のくたびれた中年男性、ソン・ギフンが問いかけると、残りの二人は軽快に口を開いた。
「俺も同意見だ。こうも早く気が合う参加者と出会えてラッキーだな」
胸元を大胆に露出させたロングブレザーに、金髪のオールバックと派手な装いの男、ハク・ジウンは、当然といった顔で殺し合いを否定する。
「ああ、俺もこんなイカれた見世物に従う気はない。大韓民国の男は金で魂は売らないぜ!」
続けてトゲトゲ頭の胴着姿の好青年、朴星日(パク・スンイル)が、力強い覚悟と正義感を感じさせる眼で同調した。
年齢も職業もバラバラな三人はある共通点がある。コリアン、つまり大韓民国出身の参加者だったのだ。
序盤で接した参加者が同国の者という幸運もあり、彼らは比較的穏便にチームを組む流れとなった。
20億という賞金の魅力に飲まれず、対主催という立ち位置が概ね共通していた事もプラスになり、付近に攻撃的なNPCも居らず、殺し合いの場に似合わない和気藹々とした意見交換が行われていた。
年齢も職業もバラバラな三人はある共通点がある。コリアン、つまり大韓民国出身の参加者だったのだ。
序盤で接した参加者が同国の者という幸運もあり、彼らは比較的穏便にチームを組む流れとなった。
20億という賞金の魅力に飲まれず、対主催という立ち位置が概ね共通していた事もプラスになり、付近に攻撃的なNPCも居らず、殺し合いの場に似合わない和気藹々とした意見交換が行われていた。
「ジウンさんはK-POPスターなんですよね?曲はどんなものを?」
ソン・ギフンは、一際派手な出で立ちのジウンに問いかける。
国を代表するポップカルチャーのスターと名乗った男に興味を引かれるのは当然だった。
ギフンは彼の事を知らないが、自信満々な表情は裏打ちされた実力を表しているようで、さぞ売れている歌手なのだろう。
国を代表するポップカルチャーのスターと名乗った男に興味を引かれるのは当然だった。
ギフンは彼の事を知らないが、自信満々な表情は裏打ちされた実力を表しているようで、さぞ売れている歌手なのだろう。
「あぁ、最近だとシングルアルバムの『カット・スルー・ユー』がヒットしたね。自信作だったんだけど、知らない?」
「うーん、すみません。ちょっと知らないですね。最近の流行には疎くて…」
「あー……良いよ、そういう事もあるさ」
少し落胆したようだが、ジウンは気にしていないようだ。
知らないのなら、これから知られるように努力すれば良い。そう言いきったジウンの顔は夢に歩む原動力に溢れていて、ギウンには眩しく映った。
こういう前向きな姿勢が、スターとして大成するための秘訣なのだろうか。
初対面だが、ギフンはジウンに好意的だった。
知らないのなら、これから知られるように努力すれば良い。そう言いきったジウンの顔は夢に歩む原動力に溢れていて、ギウンには眩しく映った。
こういう前向きな姿勢が、スターとして大成するための秘訣なのだろうか。
初対面だが、ギフンはジウンに好意的だった。
「我が国の文化芸能を担うスター拉致するなんて…許せねぇぜ!」
朴が怒りの声をあげる。三人の中で一番主催への反抗心を表しているのは彼だ。愛国心に裏打ちされた情熱が、この理不尽な催しへの怒りに駆り立てている。
聞けば、朴はテコンドーの達人らしい。三人の中では若さもあって一番強いのが彼だろうとギフンは判断していた。
協力者が正義感を持つ相手であったのは幸いだが、ギフンは浮かない表情を隠せなかった。
聞けば、朴はテコンドーの達人らしい。三人の中では若さもあって一番強いのが彼だろうとギフンは判断していた。
協力者が正義感を持つ相手であったのは幸いだが、ギフンは浮かない表情を隠せなかった。
「三人で力を合わせて、薄汚い主催のチョッパリどもを皆殺しにしよう!」
主催者を日本人と断定した朴の言葉には、確信があった。
その眼には燃えるような義憤と、害虫駆除業者の意識が混合していた。
その眼には燃えるような義憤と、害虫駆除業者の意識が混合していた。
出会って早々、朴はギフンとジウンに悪逆非道な日本人野郎こそがこのゲームの黒幕であり、駆逐するべき相手だと力説してきたのだ。
あまりにも力強い言葉に、何か情報があるのかとギフンは問いかけたが、朴は逆に怪訝な顔で答えた。
あまりにも力強い言葉に、何か情報があるのかとギフンは問いかけたが、朴は逆に怪訝な顔で答えた。
『こんな酷い事をするのは、劣等民族で根性が腐った差別主義国家のチョッパリしか有り得ない』と……。
そんな根拠とも言えない言い掛かりで、朴は主催者を日本人と断定し、義憤を燃やしていたのだ。
世界最高民族である韓国人が殺し合いに乗ることは有り得ない。
信頼できる彼らと共に、邪悪なチョッパリ(日本人野郎)を駆逐しなければっ!
世界最高民族である韓国人が殺し合いに乗ることは有り得ない。
信頼できる彼らと共に、邪悪なチョッパリ(日本人野郎)を駆逐しなければっ!
熱く語る朴に対して、ギフンは気後れを感じていた。口にはしないが、過激な発言にジウンも引いているようだ。
ギフンは、その思想には反対だった。
愛国心は素晴らしいが、時に弱者にしか見えない人間が、底知れぬ悪行をなす事をギフンは知っている。逆もまた然り。
アリ・アブドゥルのように、善意で人を助ける外国人も存在するのだ。人の善悪に国の違いは関係がない。
しかし、直接口にだして訂正するのは躊躇された。
朴がジウンとギフンに向ける眼差しは裏表のない信頼に溢れている。心から同胞である二人を信じているのは明白だ。
思想の是非は兎も角、これほど信頼を向けてくる相手に水を差すような事を言うのは気が引けた。
愛国心は素晴らしいが、時に弱者にしか見えない人間が、底知れぬ悪行をなす事をギフンは知っている。逆もまた然り。
アリ・アブドゥルのように、善意で人を助ける外国人も存在するのだ。人の善悪に国の違いは関係がない。
しかし、直接口にだして訂正するのは躊躇された。
朴がジウンとギフンに向ける眼差しは裏表のない信頼に溢れている。心から同胞である二人を信じているのは明白だ。
思想の是非は兎も角、これほど信頼を向けてくる相手に水を差すような事を言うのは気が引けた。
(流石に見過ごせなくなったらとめれば良いか)
幸いにも、同郷のギフンの言葉は聞いてくれる。思想は過激だが、殺し合い自体には断固として反対しているようだ。
ジウンと協力して説得すれば、何とかなるだろう。まだ協力はできる。ギフンはそう結論付けた。
信頼できる仲間は貴重だ。特に金に左右されない相手は特に。その事をギフンは嫌という程知っていた。
ジウンと協力して説得すれば、何とかなるだろう。まだ協力はできる。ギフンはそう結論付けた。
信頼できる仲間は貴重だ。特に金に左右されない相手は特に。その事をギフンは嫌という程知っていた。
(……もう殺し合いなんてウンザリだ。今度こそとめてやる……!)
大金をかけた死のゲームを経験したギフンは、朴に劣らない確かな使命感を胸に抱いていた。
もうこれ以上、金のために人が殺される光景を見るのは御免だ。
血に濡れた金を手に入れても満たされない。少なくとも、自分は。
きっとそれは、己だけではない。名も知れぬホームレスを助けた誰かのように、人には確かに良心があるのだ。
このバトル・ロワイアルはあのゲームと違って同意の元に行われている訳ではない。
動機もなく殺し合いを強要されたのなら、優勝賞金よりもゲームを否定する者の方が多い筈だ。
乗り気の連中に彼らが殺される前に準備を済ませる。数を集め徒党を組めば、きっと主催者に届く。
いや、絶対に届かせる。
名も知れぬ少女の冥福を祈り、ギフンはこのゲームの打開を誓った。
もうこれ以上、金のために人が殺される光景を見るのは御免だ。
血に濡れた金を手に入れても満たされない。少なくとも、自分は。
きっとそれは、己だけではない。名も知れぬホームレスを助けた誰かのように、人には確かに良心があるのだ。
このバトル・ロワイアルはあのゲームと違って同意の元に行われている訳ではない。
動機もなく殺し合いを強要されたのなら、優勝賞金よりもゲームを否定する者の方が多い筈だ。
乗り気の連中に彼らが殺される前に準備を済ませる。数を集め徒党を組めば、きっと主催者に届く。
いや、絶対に届かせる。
名も知れぬ少女の冥福を祈り、ギフンはこのゲームの打開を誓った。
【ソン・ギフン@イカゲーム】
[状態]:困惑(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]基本方針:対主催
1:ハク・ジウン、パク・スンイルと行動する
2:仲間を募り、このゲームの打開方法を探る
[備考]
参戦時期は本編終了後。イルナムとの賭けに勝った後
イカゲームの詳細はまだ語っていません。
[状態]:困惑(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]基本方針:対主催
1:ハク・ジウン、パク・スンイルと行動する
2:仲間を募り、このゲームの打開方法を探る
[備考]
参戦時期は本編終了後。イルナムとの賭けに勝った後
イカゲームの詳細はまだ語っていません。
【朴 星日(パク・スンイル)@テコンダー朴】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]基本方針:主催者を倒す
1:ソン・ギフン、ハク・ジウンと行動を共にする。
2:強悪非道な日本人野郎(チョッパリ)を打倒する
[備考]
参戦時期は書き手に任せます
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3
[思考・状況]基本方針:主催者を倒す
1:ソン・ギフン、ハク・ジウンと行動を共にする。
2:強悪非道な日本人野郎(チョッパリ)を打倒する
[備考]
参戦時期は書き手に任せます
第一段階は上手くいった。
微笑みの下で二人を嘲笑いながら、ジウンは愉悦に浸っていた。
ハク・ジウンにとって、自分を魅力的で親しみやすいように見せかける事は慣れていた。人心掌握はスターの必須スキルといっても過言ではない。
自分のヒット曲も知らないようなド田舎の一般人くらい、取り入るのは簡単だ。
微笑みの下で二人を嘲笑いながら、ジウンは愉悦に浸っていた。
ハク・ジウンにとって、自分を魅力的で親しみやすいように見せかける事は慣れていた。人心掌握はスターの必須スキルといっても過言ではない。
自分のヒット曲も知らないようなド田舎の一般人くらい、取り入るのは簡単だ。
ここは儀式の場ではない。エンティティの新たな気紛れか、それともかの女神すら意図しない展開か、ジオンには図りかねた。だが、そんなことはどうでも良い。
名声を得られる場であれば、儀式だろうと殺し合いだろうと構わない。
名声を得られる場であれば、儀式だろうと殺し合いだろうと構わない。
朴とソンに語ったのは全て嘘だ。ジウンは優勝を狙っているし、何なら殺人すらも枷にはなり得ない。
躊躇する倫理観など、バンドメンバーを焼き殺した時に捨ててしまった。
見知らぬ他人の命を尊重するより、内なる衝動を満たす事がジウンにとって優先するべき事柄である。
躊躇する倫理観など、バンドメンバーを焼き殺した時に捨ててしまった。
見知らぬ他人の命を尊重するより、内なる衝動を満たす事がジウンにとって優先するべき事柄である。
ハク・ジウンはヒエール・ジョコマンに嫉妬していた。同時に、燃えるような対抗心も感じている。
冒頭のPVは壮大かつ派手であり、彼のインスピレーションを大いに刺激したのだ。
冒頭のPVは壮大かつ派手であり、彼のインスピレーションを大いに刺激したのだ。
あの少女の死に様は美しかった。
見てくれは汁にまみれて最悪ではあったが、最後の断末魔には生死の境にある生命の輝きを感じた。それこそが彼が求める音であり、目指すべきものだ。
惜しいのは、あの悲鳴を録音できなかった事か。あの音源を曲に組み込めば、最高の名曲が仕上がると確信していた。
あの音源を調律し、シングルアルバムで売り出せば、歴代チャートを塗り替える記録を打ち立てられるだろう。
まだ機会は失われた訳ではない。
この忌々しい首輪には、少女の処刑に使われた物と同じナノマシンが仕込んである。あの光景の再現は充分できるのだ。
あれほどの素材は早々見つかるとは思えないが、参加者の中にはきっとより良い素質を持つものも居るだろう。
殺し合いという舞台は、素材探しにはうってつけだ。
見てくれは汁にまみれて最悪ではあったが、最後の断末魔には生死の境にある生命の輝きを感じた。それこそが彼が求める音であり、目指すべきものだ。
惜しいのは、あの悲鳴を録音できなかった事か。あの音源を曲に組み込めば、最高の名曲が仕上がると確信していた。
あの音源を調律し、シングルアルバムで売り出せば、歴代チャートを塗り替える記録を打ち立てられるだろう。
まだ機会は失われた訳ではない。
この忌々しい首輪には、少女の処刑に使われた物と同じナノマシンが仕込んである。あの光景の再現は充分できるのだ。
あれほどの素材は早々見つかるとは思えないが、参加者の中にはきっとより良い素質を持つものも居るだろう。
殺し合いという舞台は、素材探しにはうってつけだ。
幸いにも、パク・スンイルは過激な反日家だ。自覚はないだろうが、この有り様では放っておいても勝手に敵を増やすだろうし、呈の良いスケープゴートに最適と言える。
見繕った”素材”が日本人ならば、差別主義者だと適当にでっち上げれば喜んで楽器作りにも協力してくれそうだ。それほどの過激さを彼からは感じた。
見繕った”素材”が日本人ならば、差別主義者だと適当にでっち上げれば喜んで楽器作りにも協力してくれそうだ。それほどの過激さを彼からは感じた。
(でもコイツは邪魔だな……)
問題なのはソン・ギフンだ。話してみて解ったが、この男は生粋の善人。朴の差別的な言動にも口にはしないが難色を示しているのは明らかだ。
それに、この男にはどこか侮れない何かを感じる。
人生から転がり落ちた凡人といった風貌に似合わず、それなりの修羅場を潜ってきたような、霧の森で狩っていた生存者と同じようなオーラを感じる。
それに、この男にはどこか侮れない何かを感じる。
人生から転がり落ちた凡人といった風貌に似合わず、それなりの修羅場を潜ってきたような、霧の森で狩っていた生存者と同じようなオーラを感じる。
ジウンの本質には毛ほども感づいてはいないようだが、侮っていたら足元を掬われるかもかもしれない。
どう考えても後々邪魔になる。
だがまだ始末するのは早い。序盤で危険視されて退場なんて失態、ジウンは犯すつもりはない。
問題なのは時期と場所。幸いにもここは殺し合いの場、火種には事欠かない。
暫く行動を共にし、準備を済ませた上で彼には脱落してもらう。
始末した所で、同胞への盲目的な信頼を抱くパクならば、韓国人以外の相手に罪を擦り付ければあっさり信じるだろう。
名声を得るには、努力と下積みが最大の近道なのだ。ジオンは、そのための手間隙を惜しむ男ではなかった。
次なる名声に想いを馳せ、トリックスターは笑った。
彼の懐には、煌めくナイフが肉を抉る瞬間を静かに待ち構えていた。
どう考えても後々邪魔になる。
だがまだ始末するのは早い。序盤で危険視されて退場なんて失態、ジウンは犯すつもりはない。
問題なのは時期と場所。幸いにもここは殺し合いの場、火種には事欠かない。
暫く行動を共にし、準備を済ませた上で彼には脱落してもらう。
始末した所で、同胞への盲目的な信頼を抱くパクならば、韓国人以外の相手に罪を擦り付ければあっさり信じるだろう。
名声を得るには、努力と下積みが最大の近道なのだ。ジオンは、そのための手間隙を惜しむ男ではなかった。
次なる名声に想いを馳せ、トリックスターは笑った。
彼の懐には、煌めくナイフが肉を抉る瞬間を静かに待ち構えていた。
【ハク・ジウン(トリックスター)@Dead by Daylight】
[状態]:健康
[装備]:ナイフ詰め合わせ@DBD
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。ナノマシンを使用して断末魔を録音したい
1:ソン・ギフンは頃合いを見て始末する
2:朴は利用できるが、扱いに困ったら始末するかな……
[備考]
参戦時期はエンティティにより霧の森に招かれた後。
[状態]:健康
[装備]:ナイフ詰め合わせ@DBD
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。ナノマシンを使用して断末魔を録音したい
1:ソン・ギフンは頃合いを見て始末する
2:朴は利用できるが、扱いに困ったら始末するかな……
[備考]
参戦時期はエンティティにより霧の森に招かれた後。
【ナイフ詰め合わせ@DBD】
トリックスターの扱うゲーミングナイフ。44本でワンセット扱いだが細かい所持本数は書き手に任せます。
トリックスターの扱うゲーミングナイフ。44本でワンセット扱いだが細かい所持本数は書き手に任せます。