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シンカヲまとめ@ ウィキ

35-8

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匿名ユーザー

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「キス、してよ」
カヲルの誘いはいつも唐突だ。
瞼を閉じて、シンジは迷惑そうに言った。
「触るなよ」
いつもこうだった。閉じた瞳の奥に動揺はひとつも見えない。
シンジの素っ気無い言葉や動作のひとつひとつが、かえってカヲルを熱くさせた。
体の中から湧いてくる衝動を抑えられない。

シンジが誰を想っているのかは知っていた。
そして自分を嫌っていることも。
「誰のこと考えてるの」
こんなとき、分かっているのに聞いてしまう。
シンジが答えるはずはないのも分かっている。だが確かめずにいられない。
「帰れよ!」
開かれた瞳と共に発された冷たい言葉。彼を怒らせたいわけではない。
けれどその強い響きに、カヲルはどうしようもない興奮を覚えてしまう。

カヲルはシンジの
閉じた瞳が開かれる瞬間が好きだった。
何も映していなかった眼に、自分だけが映し出される瞬間。
そこに強い感情が伴えば尚更だ。
「嫌だ。帰らない」
「いい加減にしろよ…」
独り言のように呟くシンジ。
シンジの部屋に窓はない。日も落ちかけ、眼を凝らさなければ表情は読み取り辛い。
「僕は我慢するつもりがないだけだよ」

冷え切った彼の心をここまで熱くさせることができるのはきっと今は自分しかいない。
カヲルはそう確信する。それがどんな形でも、あの擦れ違いの少女と自分は違うのだ。
「……」
うな垂れるシンジを、カヲルはただ見つめていた。
暫くの沈黙の後、シンジがゆっくりと口を開く。
「さっき誰のこと考えてたかって、聞いただろ」
予想外の言葉に、カヲルは眼を細めた。

「君がここに来る前から…僕がずっと考えてることは」
「言わないでよ!!」
声を張り上げたカヲルは自分で驚いていた。
シンジの言葉を折る自分の心が自分でも分からなかった。
「なんでさ?聞いたのは君の方だろ」
カヲルとは対照的に、シンジの声は落ち着いていた。
そしてその中には、冷笑が微かに混じっていた。

「キスして欲しいんだろ?」
そう言って、カヲルの腕を掴み引き寄せる。
掴まれた腕の、怖いほどの熱さに、カヲルは眩暈すら感じる。
ゆっくりと顔を寄せて、鋭く射抜くような眼を向けられる。
こんなに間近にシンジを見るのは、シンジを部屋に泊めて以来だった。

「い、いやだ…」
思わず漏れた言葉に、カヲルはあっけなく解放される。

「もう、帰る…」
そう呟き、逃げ去るようにシンジの部屋を出た。

日が落ち、暗くなった街を一人歩く。
分かりきった真実を彼の口から聞いてしまえば、辛さは増すばかりだ。
最初から期待などしていなかった。それなのに。
頬に感じる冷たさから、泣いてる自分に気付く。
この感情も、彼女のものなのか。
そうだとしても、今苦しいほどに圧し掛かるこの息苦しさを
自分以外の誰が理解できるだろう。



「嫌われるより、僕は……君に好かれたい」


(シンジ×カヲル 269氏)
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