イグニッションコイルを調べる
一般的にコイルの点火力は…
2次起電力=1次起電力×2次コイル巻数÷1次コイル巻数
と、言われても巻数なんてわからないし、材質でも違うと言われるとさらにわからん。笑
イグニッションコイルを考えるでは、簡易的には1次抵抗値と2次抵抗値を巻数と置き換え、比較してみましたがコイルテスターというものがある!
謎が解明出来るかも?
謎が解明出来るかも?
となれば奮発してテスターを入手!
謎多きコイルを確認してみました。
謎多きコイルを確認してみました。
テスターで計測出来るものは以下の通り。
絶対最大仕様テスト
ADT:絶対最大ドエルタイム(ms)
ACC:絶対最大コイル電流(A)
ACP:最大エネルギー蓄積能力
ADT:絶対最大ドエルタイム(ms)
ACC:絶対最大コイル電流(A)
ACP:最大エネルギー蓄積能力
固定ドエルタイムテスト
SDT:テストドエルタイム(ms)
ECC:設定ドエルタイム終了時電流(A)
RCP:設定ドエルタイムエネルギー蓄積量
SDT:テストドエルタイム(ms)
ECC:設定ドエルタイム終了時電流(A)
RCP:設定ドエルタイムエネルギー蓄積量
テストは6種類、電圧を変えながら行いました。
1. ダブルコイル
2. ダブルコイル+外部抵抗0.8Ω
3. ダブルコイル+外部抵抗1.6Ω
4. ウオタニSPII
5. ウオタニSPII+外部抵抗0.8Ω
6. ウオタニSPII+外部抵抗1.6Ω
2. ダブルコイル+外部抵抗0.8Ω
3. ダブルコイル+外部抵抗1.6Ω
4. ウオタニSPII
5. ウオタニSPII+外部抵抗0.8Ω
6. ウオタニSPII+外部抵抗1.6Ω
電圧は…
12.5v
13.0v
13.5v
14.5v
13.0v
13.5v
14.5v
ひとつ飛ばした気もしますが…。笑
実験はイグニッションコイルだけではなくスパークプラグまで繋ぎ、実際と同じような結線を行うので結構面倒…

電圧も変えながら実験するので昇圧装置を挟み…
↓こんな感じの結線
↓こんな感じの結線

手始めに絶対最大仕様を確認
各電圧各パターンを5回測定して平均値を記録
結果で予想外だったのはコイル、外部抵抗の抵抗値がテスターで計測した時と作動時のアクティブ値で150〜200%位高かったことですかね。

わかりにくいので、それぞれグラフにしてみます。
はじめにADTとACC、6種類をパターン別で…
最初はダブルコイル!
電圧が上がるにつれて、ADTは短くなり、ACCは増加してます。
電圧が上がるとコイルへのチャージ時間は短く済むのでADTが減るのは想定通り、ACCはオームの法則通りという感じ。

次はダブルコイル+外部抵抗0.8Ω
値は違えど形としては同じ傾向です。

次はダブルコイル+外部抵抗1.6Ω
若干ブレているところありますが、おおよそ同じ。
誤差かな…

次はウオタニSPII
ダブルコイルよりADT短くなってます。
コイルの1次抵抗値がダブルコイルより小さいのでADTが短くなるって事かな。
コイルの1次抵抗値がダブルコイルより小さいのでADTが短くなるって事かな。
グラフの傾向は同じ。

次はウオタニSPII+外部抵抗0.8Ω
やはり値は違えど傾向は同じ。

ウオタニSPII+外部抵抗1.6Ω
こちらも傾向は同じ。

今度はACPを確認していきます。
まずはダブルコイル
ちょっとイメージと違いますね。
最大エネルギー蓄積能力ということなので、想像では同じ値を示すのかと思ってました。
最大エネルギー蓄積能力ということなので、想像では同じ値を示すのかと思ってました。
13.0vが怪しいですが電圧が上がると下がるイメージ?

次にダブルコイル+外部抵抗0.8Ω
あれれ?

ダブルコイル+外部抵抗1.6Ω
あれれ??

続いてウオタニSPIIのACP
やっと規則性が…
でも同じじゃないと気持ち悪いんだけどな…
でも同じじゃないと気持ち悪いんだけどな…

ウオタニSPII+外部抵抗0.8Ω
こちらも規則性

ウオタニSPII+外部抵抗1.6Ω
ん…???

今度は14.5vで、6種類のパターン別に合成抵抗値、アクティブ抵抗値、ADT、ACCを比較
若干ブレがありますが、規則性あることがわかりました。
電圧を一定とすると、抵抗値が小さくなるに従いACCが増加
ADTは理屈の上では電流が増加すると短くなる想定なんですけど…

懸念していたACPも同じく14.5vで横並び比較
こうやってみると納得出来る傾向
ん?
あれれ?
ウオタニSPIIの方がダブルコイルよりACP小さいの?
と思いましたが、よく考えてみると絶対性能なので正確には実際のドエルタイムで条件合わせ比較しないとわからないですね。

続いてドエルタイムを固定し、コイルの性能比較
あわせて、1次抵抗値の低いコイルには外部抵抗値を追加し、3.2Ω以下にしないとマニュアルに記載の件を確認
一体どれ位まで大丈夫そうなのかを確認してみました。
まず確認するドエルタイムはAccusparkのレンジを参考にピックアップ

実験は…
ドエルタイム:6.5ms〜2.0msのレンジ
電圧 :14.5v
コイル :ウオタニSPII
電圧 :14.5v
コイル :ウオタニSPII
まずECCを確認
各ドエルタイムで5回測定して平均値を求めます。
表だとわかりにくいので、いつも通りグラフにすると、こんなイメージで規則性あり。
表だとわかりにくいので、いつも通りグラフにすると、こんなイメージで規則性あり。

続いてRCPも同様に各ドエルタイム5回の平均値で確認するとこんな感じで同じく規則性あり。

いよいよ本題、同条件でのコイル性能比較!
測定ドエルタイムは4.6~2.7ms(1500〜4000rpm相当)
測定ドエルタイムは4.6~2.7ms(1500〜4000rpm相当)
まずはECC
確認すると抵抗値が低いウオタニSPIIは電流値が高いのは先の実験通り。

次が本題、点火力を示すコイル性能比較
やはりウオタニSPIIのRCPが高いです。
やはりウオタニSPIIのRCPが高いです。
とは言え、点火力が強いからという理由だけで、そのまま使えないので、実際に使える組み合わせを確認してみました。

まずノーマルポイント式のドエルタイムに対して、13.0vと14.5vの測定したADTを比較
色付きのところは、測定したADT(コイルの最大ドエルタイム)超過した部分
あれれ?
定番のダブルコイル(1.6Ω)+外部抵抗値1.6Ωの組み合わせも超過するの???
3.2Ω以下にならないようになので、0.1Ωの差を許さないの???
3.2Ω以下にならないようになので、0.1Ωの差を許さないの???

今度はAccusparkのドエルタイムで同様の確認
さすがにウオタニSPIIは抵抗値が低すぎて超過しましたが、ダブルコイルはクリア
やはりAccusparkとの組み合わせは外部抵抗無しで大丈夫でしたね。
参照:ポイントレスキットの効果は如何に Part5
参照:ポイントレスキットの効果は如何に Part5

定番の組み合わせがADTを超過となったので、ドエルタイムではなく電流をベースにして際確認
マニュアルにあるイグニションコイル抵抗値3.3Ωを基準に電流を求めて、コイルテスターで測定したACCと比較してみると…
アクティブ抵抗値が通常測定値よりも高くでるのでダブルコイルだと+0.8Ωでクリア、ウオタニSPIIは+1.6Ωでクリアとなりました。
これでイイのかもしれないです。
あとは個体差もあると思うのでマージンをどう考えるか。
あとは個体差もあると思うのでマージンをどう考えるか。

まとめ(テスターのマニュアルより)
- コイルは容量以上に電流を流しても点火力は増加しない。
- ADTは、コイル容量に対して供給する電力で決まる。
- 電圧を上げると電流が増えるのでADTは短くなる。
- 電圧が低くても、ドエルタイムを長くすれば同等の性能になる。
- ADTを超過して通電すると発熱して最悪コイルが壊れる。
- コイルはコア形状、材質、磁気シールド有無で時期エネルギーの限界容量が決まる。
- 1次コイル導線の太さ、巻数で抵抗値が決まり、供給する電圧により電流が決まる。
- 導線が太いと抵抗が減り電流が増加、ドエルタイムは短くなる。
- 導線の巻数が多いと抵抗が増えるので、ドエルタイムは長くなる。
- 容量の大きいコイルは、多く電流を流すか、ドエルタイムを長くする。
- 導線の巻数が多いコイルの方が、コイルの効率は高い場合が多い。
- 2次コイルで放電電圧が決まるが、プラグギャップに応じて一定以上には上がらない。
いやぁ〜面白かったなぁ。
深いです。
深いです。
Written by kita