日刊バレグ636年10月~12月分

636年10月

10月1日~10日分
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10月1日分 ギッザスにスイーツ専門店が開店
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 国外からの多様な人間が集まるギッザスに新たにスイーツ専門店が開店した。「ノイエ・サルタン」、主に下級貴族や高給市民を対象にした店で、昼間は営業していないバーを間借りし、オーナーに美食家として名高いアンシ家の次期当主クライメル・フォン・アンシさん(22)、パティシエのアマーレ・アイエルさん(28)とアンシ家の専属コックのリーゼロッテ・クラマルク・ガークさん(22)の三人で9月から日中だけの営業を始めている。

 「ノイエ・サルタン」は、クライメル・フォン・アンシさんが理想とする「極上のスイーツ」を打ち出し、フルーツの旬を楽しめるラインナップを客層に拘らずに提案する。アンシさんの一押しは、バルーンリンゴ、赤氷、ルドンバーグ・バステク、スキュヌルを使ったパフェと、ココセフの入ったオートロット生地にクリームと苔イチゴを載せたケーキの2種類を販売する。

 パフェは、アンシ家の人脈を以ってクラッツ寒林帯から直に仕入れてきた新鮮な赤氷と、パンノニアで収穫されたバルーンリンゴの二つの果実をバセン原産のルドンバーグ・バステクのゼリーの下に詰め込み、その他にも北半球で採れるスキュヌルなどを使った16層のフルーツパフェ。東西の海の近くで育った果実の甘さと酸味をスキュヌルやバステクが引き立てる。合成食材は使用しておらず、全てが人間の手によって丁寧に育て上げられている。価格は、最低800ダルク。価格は食材の在庫状況によって最大1600ダルクまで上昇する。

 また、ケーキの方は、皇国で採れるというゼリー状の果肉がぎっしりつまったココセフが入ったオートロット生地に、北は遠くフォウ王国から遠路はるばる取り寄せた苔イチゴを20個使った4ホールケーキ。甘くて栄養価たっぷりのココセフの食感と柔らかいオートロット生地の食感が食べる者を楽しませてくれる。価格は1200ダルクだが在庫によっては三倍以上になり、最悪販売しないこともある。
10月2日分 第三組合の社長に創業家のバルトリッヒ氏
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 大手建設会社の第三組合は、創業家出身のマギナス・バルトリッヒ取締役(46)が11月1日付で社長に就く人事を固めた。創業家から社長が輩出されるのは旧本社時代の601年以来。領内各地域で建設ラッシュが続いて業績が向上しているところに、創業家の人を社長に据えることでパトロンからの支持を集める狙いだ。オスカル・ヘルツ現社長はバルトリッヒ氏と入れ違いで取締役になる。いずれも今月10日の取締役会で正式に決める見通し。

 バルトリッヒ氏は558年に設立した第三組合を形作った7つの建設会社の一つであるギルド・バルトリッヒの創業家出身で618年に第三組合に入社、33年に取締役に就任した。
10月3日分 ミネルグ市議会議事堂で爆発 ザイリーグ
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ザイリーグのミネルグ市議会議事堂近くで2日、自動車が爆発、議事堂警備隊の詰め所を破壊したが死者はなかった。現地メディアによると、自動車は三輪トラックで事件発生数時間前からそこに駐車してあったという。警察は新たなテロを警戒し、周辺を封鎖している。

 警察によると、不審な車は連邦製三輪トラックで、議事堂裏門の近くで数時間前から置かれていたという。裏門のそばには合同議員会館などもある。警察は議事堂周辺の安全が完全に確保されるまで関係者以外の立ち入りを制限している。

 連邦駐ザイリーグ軍や爆破事件に詳しいラオデギア市警などのザイリーグ外の部署も捜査に協力している。現地メディアによると、現在ミネルグ市議会は開かれておらず、議事堂からは議員が消え、捜査関係者のみがいるとみられている。また、ミネルグ以外のエーサルやパラマグラスなどの市議会にも特別に割り振られた臨時の議事堂警備隊が割り当てられているという。
10月4日分 皇国の謎のクルカ、ティグクルカの捕獲に成功
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土の中に潜み、一生の9割を土の中で過ごすといわれるクルカの一種「ディグクルカ」を掘り出し、生きたまま管理下に収納することジャンシャルマン大学とギッザス第二大学とテクノクラートのチームが初めて成功した。本種は500年代末に存在が確認されて以降、一度も捕獲できておらず、謎に包まれた本種の生態を知れる足がかりになると期待されている。

 ディグクルカは、クルカの仲間で主にサン=テルスタリ皇国に生息する。本体は銅のような赤茶色をしており茶色くに似た形で、土を盛り上げて山をつくり、作った山の中に身を潜めている。確認されている生態は極めて非活動的で、一日中全く動かず、どのように栄養をとり、どのように繁殖するのかが全くの不明である。人生のほとんどを地中で過ごすため、視力は非常に退化しているものとみられる。

 生息地がテルスタリア国の領土内のため、調査が難しいうえに皇国人なら誰しもが知っているというディグクルカの見つけ方を知らないため調査は難航を極めた。皇国人にとっては狩りの最中に掘って見つけて小腹満たしに使われる扱いだが、生態には謎が多い。

 ギッザス第二大学のS.N.カズラ教授らのグループは5月にテクノクラートの武装調査隊を率いてテルスタリア国に侵入、皇国で20年間ほど暮らしていたという元帝国敗残兵の助けを借りてこの難題に挑戦。皇国南部の森の4カ所でそれぞれ1個体を採取することに成功した。
10月5日分 ラターシド叛乱軍がアナンサラド盟邦暫定合議政府を自称
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 アナンサラド王国のラターシド族の叛乱軍(自称アナンサラド盟邦暫定合議政府)は4日、北部のザシュマクに"アナンサラド盟邦"と称する国家の建設を宣言。同時に暫定合議政府を組織したと発表した。ラターシド族居住区域のほとんどすべてとカハール族の北部領域などの占領した地域、一部同調した部族の支配地域を領土として占拠している。

 ラターシド叛乱軍は先月に蜂起して以来、北部を拠点に攻勢をかけ、歴代の蜂起軍で三番目となる5都市の占拠に成功。徐々に南に向けて進軍しつつあり、今月の末にはドブルジャが攻略されると予想されており、王国政府の降伏は目前と見られていた。

 だがドブルジャは長期の攻囲戦に耐え、今月1日に攻囲軍をさらに上から包囲してドブルジャを解放、攻囲軍は撤退に成功したものの部隊の半数を失った。これを機に全ての戦線で王国軍の親政府派とカッサニエの攻勢が開始、東部デルマデアルを解放し、カラヤルデアに迫っている。南部の反王国政府勢力を活動を停止させて地下に戻り、張り付けられていたカッサニエなどが北の戦線に配置転換をしているとみられる。

 ラターシド族の新国家樹立宣言は不利になっていく戦況に対して戦争の目的を明示し、また、あらかじめ組織を練っておくことで他部族からの信頼を勝ち取ろうというわけだ。さらにこれにはうれしい"おまけ"が付いてきており、領土を確定することで戦費調達のための税金の徴収が可能になるのだ。ただ、対立政府を宣言したことにより、以前とくらべて国外からの人気はさがるとみられる。参考までに軍部が捜査したラターシド族の軍事費は1600億帝国ダルクに達する。

 ラターシド族の叛乱軍とが王国政府との戦いは現在膠着状態に陥っている。カッサニエは明後日にでもバールタナ列線城塞に対して総攻撃を行う予定である。部族の慣例にそぐわない、予告ありきの攻撃は王国政府がこの逆賊の討伐に全力を尽くすことの現れであり、また叛乱した都市がどうなるかを示して今後の反政府活動を抑えようとするねらいがありそうだ。
10月6日分 ノールハイバールに住む家族が銃撃される
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 6日未明、ワートスシュレック行政区ノールハイバール市のズルトレン地区に住むシミンさんの自宅から銃声が聞こえたと近隣住民による通報があった。駆け付けた警備官らが家の中を確認したところ、男女5人が血を流して倒れているところを発見、すぐに病院に搬送されたが、ヤサンさんを除く4人の死亡が確認された。現場にはライフル弾と見られる複数の銃痕が確認されており、統合警察殺人課や製造業局火器及び生体器取締部などが合同して殺人事件として捜査を始めた。

 警察によると、殺害されたのはアシル・シミンさん(43)、次男のハイネヴァンさん(15)、孫のユリアちゃん(2)ユリアちゃんの母親でヤサンさんの妻のブルーンヒルト・クライオンさん(19)。生き残った長男のヤサンさん(20)は重傷のためノールハイバールのイスタシア・ガルフォン記念病院に入院している。現場の状況などから、5人は何者かによって襲撃を受け、体中に銃弾を受けて倒れたと見られている。

 シミンさんの家は、シミンさん夫妻と長男一家と長女一家が一緒に住む珍しい3世帯生活を送っていた。事件当時、シミンさんの妻のルーンさんと長女一家は家にいなかった。

 警察はヤサンさんの体調の回復を待って事情を聴くと共に、犯人の追跡と犯行に使用された火器の特定を進めている。犯人は重火器を持っていると思われるため、行政府は翌7日からノールハイバールでの夜間の外出を規制することを発表している。
10月7日分 帝国軍からラーヴァナ級が退役
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 艦隊戦の生き証人が消えていく――。400年代の末に採用され、幾度もの改良を経て近衛大叛乱後に改良され、622年にバレグ・ラーヴァナ級として再雇用。625年のギッザス事件でギッザスに条件駐留していたミランダ艦隊を追放し、西部境界線において簒奪政府を監視するなど常に帝国のために働いて来たラーヴァナ級及びバレグ・ラーヴァナ級が、今年いっぱいで退役する。第一、第二迎撃艦隊がバレグ・ラーヴァナ級を計24隻、教練艦隊が52年型ラーヴァナ級を2隻運用してきたが、どちらも生体器官の衰弱と船体の老朽化で退役することが決まった。

 490年代、当時国策で進められてきた積極的啓蒙活動を支援するための対地攻撃艦として設計、採用された。以来100年に渡り、対地攻撃艦として活躍してきたが500年代後半には夜間のみの出撃になり、末には属領艦隊もしくは予備役として少数が運用されるにとどまっていたが、近衛大叛乱経て艦船の数が激減した帝国軍がそれを補うべく属領艦隊のラーヴァナに対艦装備として16fin砲を搭載したバレグ・ラーヴァナ級を623年に採用した。

 625年14月のギッザス事件では、帝国軍がカルタグ裁定を理由としてギッザスに条件駐留していたミランダ艦隊に対して、同艦隊の下士官が関わっているとみられるアマトリ=デシュタイヤ家(当時)別邸襲撃事件の犯人をそれを知りつつ匿ったとする協定違反行為を事由に退去勧告を発令。帝国軍はそれを履行させるため、32隻のバレグ・ラーヴァナ級による大戦列を形成して圧力をかけ、無血のうちにミランダ艦隊を追放したなどの戦果を上げた。

 第二迎撃艦隊のデミス・ウクゾフ司令(62)は「本当に長い間帝国を支えてきてくれた船。我らが産まれる前から帝国のために血を流してきた彼女たちには我らも常に最大限の敬意を払って取り扱い、絆を結び、もはやそれは家族といってよいものだった。どうか幸せな引退生活を築いていってもらいたい。」と船との別れを惜しんだ。

 退役したラーヴァナ級は半分を冬眠状態にして予備役に送り、残りを武装解除した上で競売にだすという。迎撃艦隊のバレグ・ラーヴァナ級の後任には現在開発中のD級迎撃艦を数が揃い次第、充てる予定。
10月8日分 ポレシアンが生体義肢のモデルを公開
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 GAOF社が昨年設立したポレシアン生器のO-T.K.ポレシアン社長は9日、設立時より研究・開発していた新型の生体義肢を発表した。ポレシアン社が開発した「Pl-01C」の開発番号が振られている試作品は最新の細胞工学を駆使した生体義肢で、95%の人間が着用できるという。ポレシアン氏は「危険な仕事や、力のいる仕事を使用目的とした生体義肢」と説明した。

 「Pl-01C」はPi-BTLのC-35年型最適化装置に対応しており、同システムに登録されているガジェットを追加することができる。GAOF社と共同開発した樹脂状の外皮により人間の同じものの数倍の耐久度を確保するとしている。また同製品では筋線維を従来品に比べて強化するとのことで、危険で且つ重労働を強いられる鉱山や建設現場での使用を見込んでいる。

 ポレシアン氏は「最近では自分の四肢をわざと義肢に交換する人が増えてきている。この製品ではこうした需要を満たすべくこの製品を立案し、顧客が安全で快適な労働ができるよう、開発に邁進している」と説明。こうした生体義肢のおかげで、「生体義肢は腕や脚を失った時だけでなく、ある仕事の労力を上げたい時などに交換していく時代がやってくるだろう」と予想した。

 ポレシアン社は、この義肢の試作機を再来年までに完成させると意気込んでおり、将来の生体技術の発展が期待される。
10月9日分 連邦国連絡官にR・モルゼア氏 第二次枢密院政権の副院長
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 ダットファング大宰相は9日、アーキリア国との連絡官に第二次枢密院政権の副院長で現在は院外長老派を形成するラール・モルゼア氏(69)を連絡官として指名すると発表した。

 R・モルゼア氏はスタンリーヴ・モルゼア氏の三男で旧皇帝派議員を経て、第二次枢密院政権の副院長に就任。事実上の旧皇帝派代表として院長で旧辺境派代表のオーブ・ラットダームと対立し、主に対簒奪政府外交で激しく論戦を交わした。任期中にA・ラットダーム氏が死去し、J・モイピック氏が院長代理になるとそれまでの覇気を失い、論舌に激しさがなくなってしまった。モイピック氏に政権を取られると旧皇帝派代表の座をG・デシュタイヤ氏に移譲し、自身は院外長老派に入り引退生活を送っていた。

 R・モルゼア氏は引退後交易会社を設立。連邦との貿易を進めて人脈を築いたことから連邦連絡官として起用されることが決まった。起用にあたっては旧辺境諸派から反対の声が上がっていたが、ダットファング氏は旧辺境諸派と旧皇帝派とには連邦国に対する態度に特に違いはないとしてより人脈の太いモルゼア氏を起用した。

 ダットファング大宰相は同日、パゼリア国連絡官にバレグ・S.N.イルム・ザ・ザ=デシュタイアル=ヴィメルン・16元テクノクラート第16研究所所長(15)を指名することも発表した。
10月10日分 アイギス陛下が新帝都の廃兵院を訪問
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 アイギス陛下は10日、ギッザス第4区のアイギス記念廃兵院を訪問なされた。同廃兵院は昨年設立され、病床数は1130床、高度な治療設備がそろっている。滞在時間は30分ほどで、アイギス陛下は「国のために働き、倒れた者々を元に戻せるよう日夜努力しているここの人たちに感謝の意を送りたい。これからも、わらわのために、帝国のために尽くすがよいぞ」と廃兵院で働く人々にお言葉をかけられた。アイギス陛下は廃兵院を見回った後、同じ第4区にあるJ・デシュタイヤの別邸を尋ねられ、そこで3時間ほどJ・デシュタイヤ氏と会談なされた。
10月11日~20日分
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10月11日分 ラターシド族が南部へ大移動
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 ラターシド叛乱軍の首魁(自称暫定会統領)のジャムン・サッカル氏は11日、ザシュマクにある暫定合議政府官邸で記者会見し、全軍をアナンサラド南部、旧マン王国地域に移動させるハバルデアラーフ作戦を行うと発表した。北部にいる数十万人のラターシド族をわざわざ正反対の旧マン王国に移動する理由についてジャムン氏は「中央政府に反抗しているマン人と協力して斗いを進めるため、戦力を集中させる」と述べた。

 叛乱軍は6日のバールタナ列線城塞防衛戦でカッサニエ及び王国政府軍の攻撃をなんとか持ちこたえ、翌7日に防衛隊3万人を撤退させた。だが王国政府の攻勢は凄まじく、叛乱軍は正確な数字を明かしていないが、10日までに少なくとも1万人以上の兵士を失っていると見られる。

 一方、南部旧マン王国地域ではマン人の武装蜂起勢力が旧都デルマンの約3分の1を制圧、それ以外の都市でも武器庫を襲撃するなど戦闘を有利に進めている。また、双方ともが関係を否定しているがラターシド族の叛乱には僭称皇帝暗殺未遂事件を引き起こしたダバーム隊を養成したことで知られるカハール族が暗に協力しているとみられ、南部諸都市で散発的な戦闘を繰り広げている。

 叛乱軍はハバルデアラーフ作戦を明日実行に移し、さらに翌日の13日に南方へ向かわせる第一陣を見送る予定だが、王国政府軍の進軍は予想以上の速度で、第三陣出立以降に南方への移動ルートが確保し続けられているかの予測は立っていない。ラターシド族の一部では「移動ルートの偵察」と称して小規模な集団を率いて勝手に南部へ脱出していく部族が増加しており、ジャムン氏は全ラターシド族に対して自らの命令を無視した場合、氏族からの追放処分をとるとして敵前逃亡と見られる行動を許さないとした。

 もっとも兵員の多いマン人武装組織が南部にあり、経験豊富なカハール族の居住地も南方にあることからラターシド族の大移動は叛乱軍の主張通り、反王国政府勢力を結集させるためのものであろう。しかし、いくら遊牧民族とはいえ北部の希少な資源地帯を喪失してしまっては資金の調達が困難になり、今後の戦いがより困難になっていくと思われる。

 なお、叛乱軍はアーキリア製兵器の他にパゼリア製兵器も使用しており、王国政府はパゼリア国に対して叛乱軍に武器物資を売らないように抗議の意を送っている。
10月12日分 ヴィー市の大規模複合施設の建設計画が認可
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 カラロマノ帝国行政区ヴィー市において、HBSとA&S通商、公公公などが共同して3棟の高層産業塔を中心とした独立した心臓を持つ自己完結型の大規模複合施設を建設する計画について、殖民地建設公団が12日、この計画を認可し、開発特区指定の承認とパトロン契約を結ぶことを決定した。特区に指定されることで、高層産業塔などの建設の許可が簡略化される。

 予定地はヴィー市のうち昨年、簒奪政府から購入した北ハルター区の一角で、約2万平方メルト。計画では産業塔複合体は地上35階、地下4階、高さ約100メルトの産業塔が3棟建てられる。地下には脾臓が備え付けられ、低層部に各社の社宅や店舗、工場などが入り、中層部は事業所や工場、高層部はレストラン等貴族向けの施設または工場にする。また、産業塔複合体の北側に発電所、東側に心臓、北東部にHBS社の小型生体液製造プラントをそれぞれ整備する。総事業費は3億6000万ダルク。

 再開発事業の代表施行者は殖建公団のとの規約に基づきバイマン計画会議で、共同施行者としてHBS社とA&S通商と公公公が名前を連ねる。建設を行う会社はまだ決まっていない。

 ヴィー市ではバイマン計画に基づいて積極的な開発が進められており、円状農耕地や複数の産業塔が伸びてきている。カラロマノ行政区で最も大きい都市にふさわしい能力を補完するため、経済センターの建設が求められ、今回の計画が決まった。この大規模複合施設は公公公のヴィー市開発長期計画の一部で、公公公はこれ以外にもバッテンスヒェルン区で新しい産業塔の試作型である壁型産業塔を建設する計画を立てている。
10月13日分 ホンツニンゲン市で首のない死体が発見される
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13日14時ごろ、ギュール・ラ・ムール ホンツニンゲン市アラビの納屋で、首のない男性の死体を近くに住んでいた男性が発見し、大腿部の識別証からノーム侯領デクソブ城の、荘園隷農のGhL-Z.III-D.ジークさん(推定29)だと判明した。

 統合警察署によると、ジークさんは明後日までの予定でホンツニンゲン市で買い物をする仕事があり、昨日まで普通に働いていて今日も8時までは滞在先のホテルにいたが、それっきり行方が分からなくなっていたという。統合警察パンタール広域本部及びノーム侯領の統合警察ノーム侯領自治本部はなくなっている首を探して捜査を進めているという。
10月14日分 船舶専医を騙り医療行為を行った40歳男性を逮捕
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 船舶専医を騙り商船の診療及び治療行為を行ったとして、統合警察は14日、第5区のフリーダ・バリング氏(40)を特殊専門医療管理法違反の疑いで逮捕したことを発表した。

 統合警察によると、バリング容疑者は4月から6月にかけて、バリグ工業城塞において自らをノイガラート叛乱で免許を紛失した船舶専医と称して、入港してくる商船や艦船合計68隻に対して船の状態を確認する診療や彼女らの循環器等一部の生体部品の治療行為などを行った疑いがある。バリング容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているという。

 逮捕後に港湾職員が診察リストに載っている船全てを確認したが、被害は確認されていなかったという。

 統合警察は9月、ノイガラート叛乱に関する捜査のためバリグ工業城塞の港湾施設で捜査を進めていたところ、免許を紛失して再取得した免許で艦船に対して医療行為を行っているバリング容疑者を発見。捜査の結果、そもそも紛失などしておらず、再取得したという体で偽造していたことが判明、逮捕に踏み切った。統合警察では偽造された医師免許証を使用したなどとして誓約書偽造及び行使の疑いで再逮捕する予定だ。
10月15日分 ザイリーグのラモラウト州でクーデターが発生
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 アーキリア連邦のザイリーガ国ラモラウト独立州で14日、駐留する連邦軍第45師団によるクーデターが発生し、クーデターを主導したとされるミクル6世(2)は混乱する議会政治によってもたらされた国内の混乱を抑えるためとしてラモラウト議会を強制解散させ、国家再構築会議の設立を宣言した。

 14日未明にラモラウト市郊外の第45師団の駐屯地を発ったミクル6世終身代将率いる約3000人の部隊は10時ごろにラモラウト市中心部の知事府と州議会を襲撃、与党連合忠誠派を形成するラモラウト共和党新派帯剣派と二階席野党連合のラモラウト共和党右派極左による抵抗があったものの15時までに知事府と議会を完全に制圧、753名の議員を拘束して議員を議会から追放したうえで国家再構築会議を設立した。パラマグラスの別荘で就寝中だったイスハーク・ラウト・アッ=ジャムン知事は現地で亡命を宣言したのち、「民主主義の原則を破壊するクーデターは到底許されるべきことではない」と発言、一緒に寝ていた経済相のサミーラ・ラウト・アル=バドルは「国の基盤を根底からひっくり返す許されざる出来事だ、断固としてこれに抗議する」と話した。同じく寝ていた国防相のマリエッテ・ラウト・ブラウンは「国家に対する重大な挑戦であり、国に対する裏切りである。州軍にはこれを拒絶し、抵抗することを求める」と呼びかけた。

 ラモラウト州は630年にイスハーク氏とそのハレムによるクーデター以降、与党連合が2つに、野党連合が3つに、議会に議席を持つ政党数が12倍に分裂するなど議会が崩壊しており、あらゆる法案と共に5年分の国家予算が可決しないまま放置され、インフレ率は8000%になり経済は混乱状態になっていた。州軍はトリニール将軍の指揮下で傭兵稼業を営んでおり、トリニール将軍は国家再構築会議に合流し、稼いだ資金を国家の再建のために捧げるとしている。

 ミクル6世国家再構築会議議長はザイリーギアン・クルカ語北部方言で「ラモラウト州を破滅から救済するために州内で最も中立的な我が師団が行動を起こした。我々はこのラモラウト州における民主主義と議会と行政と司法と経済とを正常に戻すために全力を尽くす」と話した。
10月16日分 バウジッツ行政区の鉱山でメガストラクチャへの侵入口が発見
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 バウジッツ行政区ラウキルヒェン郡は16日、郡内のガスガンタ山にあるマル帝鉱(ギッザス)が所有するNGG-3鉱山で旧時代のメガストラクチャの一部と見られるものを発見したと発表した。バウジッツ行政区によると、同メガストラクチャは40年前に当時のマルクロー鉱山開発(現:マル帝鉱(インダストラリーゼ))が発見したが、その後発生した落盤事故で見失ったものと同じものと思われるという。

 郡によると15日13時ごろ、NGG-3鉱山の管理責任者から、鉱山内で大きさ不明の巨大な空洞に遭遇し、入っていったクルカ4匹が行方不明になっていると連絡があった。現地でグロースオットブヴェルダ大学が一次調査を行ったが、ただ広いということしか分からなかったためゴッシナサーラ地方の武装調査隊とテクノクラートのゴッシナサーラ支局と共に調査を行った結果、テクノクラートはこれをメガストラクチャだと断定。さらにバウジッツ行政区の過去の記録を参照して40年前に発見されるも見失ってしまったものと判明した。

 現在、六王湖地域で発見されているメガストラクチャへの侵入口の数は6個存在しており、今回の発見で7個目となる。これらの侵入口がすべて同じメガストラクチャに通じているとは限らないが、新たな侵入口を見つけたことによって、旧兵器の数が増加するわけではないため過度に警戒する必要はないと思われる。
10月17日分 工業省が設立する新会社が軍需企業5社を統合
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 バリグ産業複合体(CIB)とバリグ重火器工廠(帝国工廠)とファーザンオリギナ重火器工廠(MPoA)とロットウェスト生体工業(GRwBI)とオルテラニムッツ自動脚製造(OAI)の5社は17日、工業省の下、5つの軍需企業を統合し、幅広い分野にまたがる新しい軍需企業の複合体の結成に関する覚書を締結したことを発表した。上に挙げた5社の株を工業省が新しく設立する企業がそれぞれ51%ずつ保有して子会社化、さらに数年かけて完全に吸収合併する予定だ。

 5社の統合は、第一次枢密院政権と荘園領主連盟との確執によって産業が引き裂かれて以来10年の間に離散していった帝国の各工廠を呼び戻し、帝国の下で軍備を拡張、発展させていくための基礎とする目的がある。統合される企業側にとっては、空軍から事実上独立し、近年成長著しい空軍事業部とLSMに対抗する狙いもあるとみられる。

 5社はまた、生産システム、生体プラットフォームの共通化、新技術の開発分担、生産拠点の統合及び共用、部品調達の効率化等々複数の面で協力することにも合意した。

 工業大臣のホーカー・ドロテ・フォン・バイマン(49)は、「この件は合理的で画期的でもある合意であり、CIBと帝国工廠とMPoAとGRwBIとOAIのどの企業も満足できる合意だ。5社が帝国に貢献するべく、技術、経験、人材、資金すべてにおいて集中的に協力することで強力な効果を生み出し、帝国の新たな軍にふさわしい素晴らしい兵器ができあがるであろう。この統合によって、今までの帝国の歴史上に類を見ない、巨大で、革新的で、そして強い企業が誕生する。バリグ工業城塞という帝国の重要な柱が揺らぐ大きな国難に直面している今、対立と分断によって失ってしまったものを取り戻し、帝国の栄光を再び手にするべく、間もなく産声を上げるであろうこの新しい統合体を帝国の活力としていきたい」と述べた。

 軍事大臣のヨハネン・フォン・ゲーベルト(61)は、「長年に亘り数々の成果を生み出してきた各社には、我が国の軍事技術をさらに発展させることのできる確かなノウハウがあるはずだろう。今回の合意で、将来の軍隊が保有しているであろう兵器に求められる価値を生み出すことができるであろう。」と語った。

 工業省によると新会社の設立は遅くとも11月末までに、株式の取得は来年10月を目途に完了させる予定とのこと。
10月18日分 冬麦の収穫量が前年度に比べて10%増加
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 農猟業省は18日、今年度の冬麦の収穫量が、前年度に比べて10%増加したとの集計結果を公表した。

 前年の収穫量より約260万トンほど増加し、平年並みの状況なら21年産の生産量は2418万~2420万トンとなる。冬麦としては、遷都後の25年以降で初めて2600万トンを上回る見通しだ。

 六王湖北部地域において、簒奪政府からの土地の解放と保護が進み、農場が拡大していることに加え、テクノクラートが新たに開発した高収量品種のTR-33a-baregの普及が収穫量増加の理由とみられている。農猟業省によると穀物価格を安定させるために有機発電所へ麦を販売するよう、各農業事業者に求めているとのこと。
10月19日分 HBSがリッヘンフルゲンの2か所の工場を停止
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 ハウトマン生体科学は19日、リッヘンフルゲンの工場2か所計4ラインで、26日から順次、稼働を止めると発表した。稼働停止は無期限としている。製造した生体器官をチェックした際、一部の個体に感染症の疑いがある症状がみられたからという。収束までどれくらいの時間がかかるかの予測は立っておらず、長期的な生産への影響が懸念される。

 HBSによると、感染症の疑いがある症状が確認された、リッヘンフルゲンにある本社第4工場で10月26日から無期限で、C級ブランドの肉吐き器の「クラウーネ」の製造ラインを停止する。同じく、リッヘンフルゲンの本社第6工場では、B級ブランドの弱消化洗器の「ワッサII」とB級ブランドの液晶板「V750」を製造している2ラインの稼働を停止する。今夏以降に発売される新型ランクルの生産にも影響が出そうだ。

 この二つの工場では、稼働停止のほかにも、生産のペースを落とす予定だ。計10000台の減産になるという。

 HBSによるとこれらの工場で確認された感染症はT.C.P.48と呼ばれる感染症とみられており、発症すると主に生体器官の免疫システムを破壊して免疫不全による様々な病気を発症する。工場の外での感染は確認されていないが、HBS社は病原が社外から来たと主張しており、警戒するよう呼び掛けている
10月20日分 オルデンベルク領の鉱山で炭鉱火災があったことが判明
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 簒奪政府が支配するオルデンベルク領地において先月5日、オルデンベルク家が所有し、バセン人による強制労働が行われている帝炭北オルデンベルク第三新鉱山で火災事故が発生し、2000人以上が死亡していた事実が発覚したと、20日に第三課が発表した。簒奪政府はこの惨劇を隠蔽していたと思われ、旧帝都のメディアによる報道はなかった。

 第三課によると、現地時間9月5日15時30分頃、帝炭北オルデンベルク第三新鉱山の坑口より約14000メルトに位置する第一四層南部鉱区で電気系統の故障により出火。坑内ではオルデンベルク家保有のバセン人労働者が856名、"独立バセン国"からの出稼ぎ労働者が3150名、オルデンベルク市から派遣された監督官及び鉱山警備隊員が317名が鉱山内で作業にあたっていたが、監督官らを優先的にエレベータで坑外に脱出させた後、鉱山の管理責任者の独断で火災発生箇所である第一四層も含む第一〇層より下の層を全て閉鎖。鎮火のためとして近くを流れるアーゲント川の支流から引かれた水を流し込み、6日8時頃に鎮火した。これにより第一〇層から第一八層までの鉱区で働いていたバセン人労働者2142人が死亡したと見られる。

 独断で注水した管理責任者は秘密裁判の結果処刑されたものの、オルデンベルク家はあくまで「鉱山の地下にバセン公国民族解放戦線(NLFB)の極秘基地が存在しており、我々はそれを壊滅する作戦を行った」と主張しており、バセン人の犠牲者も「NLFBに共鳴した敵対的人間」としている。また、オルデンベルク家はNLFBの本部があるとしている"独立バセン国"に対してさらなる圧力を加えている。オルデンベルク家は旧デシュタイヤ公領から連行したバセン人を不当に労働させていることで知られ、簒奪政府はこの蛮行に目を瞑っている。
10月21日~30日分
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10月21日分 ラターシド叛乱軍南進第一陣が壊滅
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 王国政府とラターシド叛乱軍(自称アナンサラド盟邦暫定合議政府)との戦闘が続くアナンサラド王国で、ハバルデアラーフ(ハバルの導き)作戦によって13日にザシュマクを出立した南進第一陣が20日、アナネアルベア東15レウコほどの位置にあるホロネハジス隊商駅においてザイバン・アサク親衛隊大佐率いるカッサニエ部隊と交戦、第一陣リーダーでキーゼ・ソレンアール三等支族騎兵隊隊長のアルシアナ・カンドサールを失い、第一陣は実質壊滅したと、自由カルラ報道が報じた。カッサニエ部隊はウレドの到着を待って、四散した第一陣の残党狩りを進める見通し。

 カッサニエは10日に出された叛乱軍のハバルデアラーフ作戦を警戒、複数の部隊を予想される南進ルート上に展開していた。

 ラターシド叛乱軍首魁のジャムン・サッカル氏は「誰だって最初は失敗する。これは一時の挫折ではあるが、この挫折は我らの成長の糧となり、より強き軍を鍛え上げることができるであろう。」と軍営ザイル新聞を通じてこの喪失は作戦の障害にはならないことを強調した。

 旧マン王国地域では"対外戦争"として王国正規軍及びアーキル国債購入のカタで派遣された連邦軍のメギド駐留軍による攻勢が始まり、マンの叛乱軍はデルマンから撤退、郊外での戦いに移行している。また、北部のラターシド叛乱軍の本隊はカラヤルデアを放棄、本拠地ザシュマクに全部隊を集結させ、南方に向けて強行突破を図るものとみられている。関係が噂されているカハール族支配下の諸都市を拠点とするゲリラ部隊は第一陣の到着に合わせて活動をより一層活発化していたが第一陣壊滅の一報が届くと活動は顕性化した。

 ライディア・セブラン親衛隊大将は「国家に仇をなし、サラドの民を引き裂かんとするラターシドの叛逆者達はなんとしてでも打ちのめさなければならない。我々カッサニエはこの地に住まう人々を守るために全力で戦っていく。」とラターシド叛乱軍に対しての強い意思を示した。
10月22日分 パンタール災害で行方不明になっていた貨客船が発見
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 オー=ウンター行政区バララスマルク郡で22日、生体器官や外装の一部が剥がれ落ちたフィンガル級を改造したと思われる貨客船が見つかり、船内から5人の遺体が発見された。統合警察と運輸省航空運輸局によると、6月27日のパンタール災害で行方不明になっていたラ・アルマンヌ市内の貨物輸送などを行う会社が保有するル・ド・フォン・バウデンラーヘンとナンバーが一致したという。統合警察は遺体の身元の確認を急いでいる。

 統合警察などによると、ル・ド・フォン・バウデンラーヘンはバララスマルク郡オンターの郡道82号で見つかった。現場周辺では6月末のパンタール災害によって巻き上げられた残骸などが散乱しており、貨客船以外には合殻板の屋根などが発見された。ギッザス気象台によると、気流津波によって巻き上げられた貨客船は六王湖上空にあるとされる「六王湖の環」と呼ばれるジェット気流によっておよそ4ヶ月の間空中を回遊していたが、季節が変わり「六王湖の環」が消滅すると落下してきたという。

 同船は7月から捜索していたものの発見されなかったために10月3日に捜索を打ち切っていた。
10月23日分 リッヘンフルゲン 勝利を目指したのに手痛い敗北
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 速球派のリッヘンフルゲンのザイヒト・アウフシュテンは自信を持って射塁に上がった。

 ノイエインペリウムとの3番勝負の1回戦で9ターン0D6Fで登場し、三人続けてエンプラーブ。2回戦では、6ターン目からの5ターンを1ブレイクに抑えて勝利に貢献した。この試合も6ターン1D2Fからの登板だった。

 初回には直球を打たれ、勝ち越し点を許した。逆転した直後の7ターンには、先頭からの3連続テトラクラックで同点に追いつかれた。9ターンはタンブルの球を拾うも塁に返すには遅く、敵主将シュミットの脚によって1点を取られて降板した。後を託したグレンも長打を浴び、逃げ切られて敗北した。

 ナックルを主体に打ち取るのがうまいアウフシュテンが先発し、グレンが締める。継投で勝利を目指していたが負けた。カーツルミ監督も「定型で挑んだが待ったく歯が立たなかった。」と言った。
10月24日分 おしらせ
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 本日の日刊バレグは新帝国通信社統括部及びA.W社長の経営に対する怠惰的態度に抗議するため、誠に勝手ながら休刊とさせていただきます。また、統括部と社長の態度に改善が見られるまで再開いたしません。

日刊バレグ本部一同並びに日刊バレグ編集局長オプン・ヘルゲート
10月25日分 おしらせ
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本日休刊
10月26日分 おしらせ
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本日休刊
10月27日分 おしらせ
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本日休刊
10月28日分 抗SB阻害子薬を2回投与することでSB抗体のみを完全に抑制できることが判明
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 テクノクラート・バリグ研究所(MTBA)は28日、開発した抗SB抗体阻害子薬を1回目の投与後、さらに追加投与することで、同じSB由来の生体器官に対する抗体の発生を完全に抑えつつ、それ以外の病原体に対する抗体を増やせることが判明したと発表した。

 MTBAの阻害子薬は、生体器官移植におけるこれまでの常識であった4親等以内の同血系からのみという慣習を打ち破り、同じ種ならばどれだけ血が離れていても移植可能になるものだ。今回の研究では、1回目の投与後にもう一度投与することで、1回目の投与後よりも、SBに対する抗体の発生が強く抑えられ、それ以外の物に対しての抗体の量は変わらなかったという。

 MTBAはこの新発見により、クローンの製造に頼らず、また共通化プラットフォームを介さない、より直接的な生体器官の移植が可能になるとしており、今後は同じ種によらない様々な種でも移植を可能にするような技術を探究していくとしている。テクノクラートは阻害子薬の2回投与についての臨床試験を進めていくとのこと。

 おしらせ:A.W社長の態度が改善した事とオプン・ヘルゲート氏が旧帝都地下200mlt支局に栄転されたため、日刊バレグを再開します。
10月29日分 デルマンがマン系武装組織によって奪取
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 旧マン王国の王都だったデルマンにあるサラディアの合同基地で28日夜、王国軍とマン学生連合との間で戦闘が発生した。盟友通信によると王国軍デルマン駐留軍は壊滅、マン学生連合側も少なくない損害を負ったと伝えた。デルマンは21日に"対外戦争"として王国軍と国債購入を条件に連邦メギド駐留軍が出動して制圧。しかし国債が購入されるとメギド駐留軍は即座に引き上げ、補給線を失ったデルマンの王国軍は孤立した状態になっていた。

 21日のデルマン陥落の敗因を分析した結果、組織が整備されていないことに危機感を抱いたマン系武装諸組織は、数年前から独立運動を進めてきたマン学生連合の下に結集、マン学生連合の第一発言者であるシュラーヴァ・ヴルリュニーナの統一された指揮の下、攻勢をかけてデルマンを奪取した。ヴルリュニーナ氏は学生連合側に死者は出ていないとしている。

 自由カルラ報道によると、メギド駐留軍撤退後の王国軍は指揮系統が乱れ、元々諸部族の寄せ集めの事もありまともな指揮が出来ない状態であったという。学生連合による攻撃が始まるとより一層混乱し、一部部隊は学生連合側に寝がえるなど内部分裂を引き起こしたため部隊は満足に戦うこともできずに瓦解したという。

 同基地は、王国軍の基地であるだけでなく、カッサニエや連邦軍の基地も兼ねており、これを攻撃したことによりサラディア国外からの一連の叛乱組織に対しての態度の悪化が予想される。また、25日にザシュマクを出発したラターシド叛乱軍の本隊の到着予定地点でもある。
10月30日分 新設の第32師団司令官にラッテンバーグ中将が就任
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 今月に新設された陸軍第32師団は30日、バリグ城塞基地で新司令官の就任式を行い、ラッテンバーグ中将が新たな司令官に就任した。就任式にはゲーベルト軍事大臣やカルムカン陸軍大元帥も参加した。

 第32師団は元々はノイガラート騎士団としてノイガラート公の指揮下にあった部隊であったが、騎士団がエゲル盆地の地下メガストラクチャへ遠征している最中にノイガラート公率いるノイガラート艦隊を中心とした叛乱が発生。騎士団は状況が収まるまで待機した後、叛乱軍が鎮圧されると随伴していた第5空挺師団に降伏した。その後、師団に属していた兵士の皇帝への忠誠を確認し、再教育ののち10月に第32師団に再編成された。

 ノイガラート騎士団の元副騎士団長で改めて第32師団司令官に就任したラッテンバーグ中将は演説で、「我々は皇帝陛下の僕であり、いち貴族の手下ではないということをここに誓う。我が師団は皇帝陛下の命令の通りに忠実に動く。」とアイギス陛下への忠誠を示した。

 イル・デノラク・ツー・ラッテンバーグ中将は、旧帝都の士官学校出身で、カノッサ戦役やリューリア後の一連の叛乱鎮圧に従事。630年からノイガラート騎士団の副騎士団長を務めていた。

636年11月

11月1日~10日分
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11月1日分 貨客船が出港時に一部の気嚢が埠頭に接触
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 1日5時ごろ、ギッザスとカルタグを結ぶクランダルト新航空の定期便「バブルカス・アイギス」(EAS-600型貨客船、乗員122名、乗客965名)がギッザス港のC塔4番埠頭から出港した際、第6気嚢をとなりの3番埠頭に接触させたとギッザス港の運輸省入出港管理事務局が発表した。「バブルカス・アイギス」は船体に異常はないとして、そのままカルタグへと向かった。

 同事務局によると、管制官が接触に気付き、港を管理運営する六王湖港湾連合ギッザス支社が埠頭を点検したところ、埠頭に設置されている係船柱が2本折れ、長さ12メルト、幅35フィントの擦過痕があり、欄干の一部も破壊されていた。

 この影響で、3番埠頭は仮の係船柱を設置するため6時間ほど閉鎖され、ギッザス港の管制に多少の影響が生じた。
11月2日分 ノスギアの風リーダーに死刑判決
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 13件の襲撃事件で国家叛逆罪などに問われたケムッタール叛乱同盟系地下集団でゴッシナサーラ地方に拠点を置いていると見られるノスギアの風の総将軍の"陛下に対する逆賊"ドロージ・N・ローバン(42)に対し、帝国司法院新帝都国家裁判所は2日、侵襲刑(255時間)を言い渡した。

 代将軍の"国家に対する逆賊"ジャン・N・ストローユ(89)には銃殺刑を、同じく代将軍で"国家に対する逆賊"FNR(本名不詳)(自称37)には禁固3200年を言い渡した。

 逆賊達は622年から628年にかけてオルテラニムッツ市で民兵組織の襲撃、虐殺などを行った13の事件について、襲撃を計画し、実行したノスギアの風の構成員らに指示したとされ、国家叛逆罪(Ⅱ)と組織的武装行動禁止法(武装した集団による非武装の集団に対する攻撃)、オルテラニムッツ市火器取り扱い条例違反の罪に問われた。

 ノスギアの風は、ローバン朝ガリアグル王国を自称するケムッタール叛乱同盟(ノスギア叛乱軍)の下部組織で、600年ごろから活動を開始、ノスギア山脈の裏側のどこかにあると言われる根拠地ケムッタールの"原住民"を呼び戻すと称してゴッシナサーラ地方の各都市で未成年の拉致及びその保護者などの殺害を行っていることで知られている。628年のオルテラニムッツ市民兵組織襲撃事件は、未成年者を拉致していくノスギアの風から自らを守るために市民が主体となって結成された自警団に対し、これを排除しようとしたもの。ドロージ・N・ローバンは事件翌年の629年に拠点を国家破城槌部隊が急襲した際に逮捕された。
11月3日分 強盗の疑いで自称デシュタイヤ王爵を逮捕
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 統合警察は3日、ギッザス新帝都特別区第3区在住の自称貴族自称バリモス・フォン・デシュタイヤ自称王爵(自称121)を強盗の疑いで逮捕したと発表した。容疑を認めているという。

 統合警察によると、バリモスは2日29時ごろ、同区旧ラレルマーニュ通り152番地のインダストラリーゼ銀行(六王湖)旧ラレルマーニュ支店に入り、拳銃などで行員を脅して金を出すよう求め、現金約12万ダルクと約60万ダルクの価値がある証券などを奪った疑いがある。バリモスは約2時間後に銀行からの通報を受けて駆け付けた統合警察によって追い詰められ、近くの帝立第8銀行の支店に逃げ込み行員を人質にとろうとしたがその寸前で確保された。警察が銀行で身柄を拘束した際、トゥーラ11式拳銃と銃弾120発を所持していたという。トゥーラ11式拳銃は六王湖では流通していない。

 全デシュタイヤ家の統一機関、大デシュタイヤ血盟会議はバリモスについて「我々の知る限りデシュタイヤ家の人間ではない」としている。統合警察はバリモスの個人の特定と動機などを調べている。
11月4日分 働けなくなった人たちに光を 元艦長が提供する働く人のための義肢
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 戦地に赴き、戦って、戦って、そうして戦い抜いた果てに腕や脚を失った戦士を、人々の見知らぬところで支援する元艦長がノイエインダストラールの郊外にいる。半生体義肢などを提供する「戦線区私設廃兵院」の代表を務めるニック・(フォン・)ビリヒーハハ氏(53)。「自分も脚を2回失い、左腕をなくし、心臓も壊されたことがある。そんな時に助けてくれたのが生体義官。自分はこの義官をより広くの戦士に、より迅速に供給して助けたい」。そんな思いで仕事をしている。

 無駄のないスリムなデザインと所々に見られる機械的構造。ビリヒーハハ氏の会社が作る義肢はパンノニア由来の機械技術と洗練された生体技術とのミックスだ。「接合部分や構造的に負荷がかかるところなどを金属的な機械式にして、それ以外を生体式にすることで拒絶反応を全く出さずに、かつ簡易に生体義肢の取り換えが可能になる。」

 主に国家破城槌部隊や空軍の空挺部隊などの損耗が激しい部隊に半生体義肢は供給され、苛烈を極める戦場での戦いをサポートしている。そのほかにも多くの兵士に愛用されており、それらの兵士の要望に応じたオーダーメイド製品を提供し、機械部分の点検などメンテナンスも定期的に行う。

 ビリヒーハハ氏は士官学校を出た後、当時帝国で最強と謳われたガルフォン艦隊に所属するクライプティア級「イーウィグス・ジッチェン」の少尉として軍歴を始めた。

 元帝都艦隊所属で、他の艦より劣化が激しいという理由でガルフォン艦隊にやってきたクライプティア級の17番艦に配属された当初は「こんなオンボロに割り当てられるなんて。」と思った。だが、いざ戦闘に出ると認識を改めざるを得なくなった。他の艦より劣化が激しいということは他の艦より一際活発的で、運動性が高いという事。ビリヒーハハ氏にとって初めての戦闘となる第31次グランパルエ河口会戦で敵艦隊に単艦で切り込んだ際に後部発令所の近くに直撃弾を受け、そこにいたビリヒーハハ氏は両足を喪失した。戦いの後、ガルフォン艦隊に追従していた病院船へ運ばれ、そこで最初の義肢手術を受けた。「まるで何事もなかったかのように脚があって、素晴らしい技術だと感動した。」その後、長征作戦時にエクナン半島で反転して撤退していく敵の艦隊を追撃する際にも被弾を受け、この時は左腕を喪失した。

 36歳、ビリヒーハハ氏は順調に戦果を重ねて少佐になり、愛着が沸いたということで「イーウィグス・ジッチェン」の艦長になっていた。そんな時に発生したリューリア戦役において、帝都に向かって前進している連邦軍第四艦隊を最初に受け止めるイスタシア・ガルフォン戦隊に組み込まれる大役を授かった。しかし、旗艦を先頭に突進してきた第四艦隊に戦隊は半時間と持たず壊滅。イスタシア氏は戦死され、「イーウィグス・ジッチェン」も艦首から敵巡空艦の衝角攻撃を受けて艦橋が潰され、ビリヒーハハ氏は全身を潰された。生存は絶望的に見えたが、かつて義肢を施術してくれた病院船の院長によって心臓などを義官化し、奇跡的な回復を遂げた。軍務には復帰できなかったものの、同戦闘で著しく損害を負った病院船を貰い受け、六王湖へと移るガルフォン艦隊残党と共に戦線区に移住。病院船を落着させ、生体義肢の製造・提供と施術を専門とする病院兼工場を始めた。

 同院は今や帝国軍の精鋭部隊が信頼を寄せるメーカー。ただ、ビリヒーハハ氏はより多くの人に使ってもらえるようにこだわった。本来、個人個人に合わせて調整する義肢に機械的な接合部を取り付けた。パンノニアからやってきた職人の手を借り、試行錯誤して産み出された共通の規格。欠損した部位に応じて作られた腕や脚など約150種類を揃えることによって、損傷した人間の部位にあったものをより迅速に、より安く提供することができる。

 事業を始めて3年がたったころに、傷兵の復帰のための民兵組織を立ち上げた。そこで得た経験と長年、兵士として戦った経験を生かして顧客と向き合っている。

 「国のため、家のため、自分のために働く人間は美しい。だからその美しさを損なわないように、出来る限りの支援を提供したい」とビリヒーハハ氏。戦災や労災などで腕や脚を失い、働けなくなった人の復帰を願っている。
11月5日分 ノールハイバール市の路上で男女二人が意識不明
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 5日12時ごろ、ノールハイバール市アスカシュタ区の路上で、男性2人が血を流して倒れているのを、通りがかった通行人が見つけて通報した。

 統合警察などによると、10代後半くらいと思われる男女。2人とも首などに切り傷があり、すぐに病院へ搬送されたが意識不明だという。統合警察は事件の可能性があるとみて調べている。

 現場はアイギス大15高の東約1キロの住宅街。
11月6日分 ラターシド叛乱軍がハバルデアラーフ作戦の終結を宣言
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 アナンサラド王国ザシュマク市を25日に発ったラターシド叛乱軍(自称アナンサラド盟邦暫定合議政府)の本隊及び母体のラターシド族の一部が5日、デルマンに到着し同地を掌握しているマン学生連合と繋がった。叛乱軍は学生連合と合体して新たな勢力を形成する方針であり、抵抗勢力が一つに固まったことで紛争が長引くものと思われる。

 王国政府によると、叛乱軍本隊が南下を始める直前の10月24日に拠点としているザシュマクに一斉攻撃を開始。叛乱軍本隊は一部の部隊を切り離して南に向けて脱出し、同じく南下することになっていたラターシド族の隊は一部を除いて南下することに成功したという。

 カッサニエは1日に南下している途中の本隊を再度襲撃。中部カガンガ谷で待ち構え、谷沿いの道を進む本隊を山の上から榴弾砲や携行式迫撃砲などで攻撃したが正体不明の部隊による奇襲を受け、カッサニエが混乱している間に本隊は谷を抜け出した。軍営ザイル新聞によると、カッサニエと叛乱軍の双方が認めていないがこの正体不明の部隊はカハール族の私兵だという。

 叛乱軍は、5日にデルマンへ到着し、ハバルデアラーフ作戦の終結を宣言。さらに現地市民へ食料の配給や叛乱以降閉鎖されている水パイプラインの開放などを行い現地住民の懐柔を図っている。ハバルデアラーフ作戦で叛乱軍が受けた被害の規模は明らかになっていない
11月7日分 解体中の産業塔が爆発、炎上 下層地区に延焼も 旧帝都
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 7日9時ごろ、簒奪政府領旧帝都第18区で、解体中の産業塔が爆発、炎上した。旧帝都消防局によると、産業塔は52階建てで、上層階が激しく焼け、内部で崩壊を起こし、残骸が地下700メルトまで達する解体用の竪穴に落下し延焼している。死者は最低でも50人以上に上ると見られ、鎮火の見通しは立っていない。

 現場は近衛大叛乱時に爆破された軍港の近くで軍港爆破とそれに伴う大火災によって著しい被害を受け、工場などが撤退し、退廃地区化していた。32年から簒奪政府の主導の下、再開発と称して産業塔の解体と住人の拘束、追放を行っていた。

 鎮火に時間がかかっている要因について、旧帝都地下200mlt支局のオプン・ヘルゲート元編集局長(46)は「簒奪政府は火災を敢えて放置し、旧帝都の暗部たる無数に積み重なった老廃物の層をより完全に破壊するとともに、叛乱の温床となりうる下級労働者の共同体を破壊するつもりだ。」と報告した。
11月8日分 工業省が5社を吸収する新会社を設立 会社名は「ガドナ」
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 工業省は8日、バリグ産業複合体(CIB)とバリグ重火器工廠(帝国工廠)とファーザンオリギナ重火器工廠(MPoA)とロットウェスト生体工業(GRwBI)とオルテラニムッツ自動脚製造(OAI)の5社を吸収する統合軍需企業を設立し、会社名を「ガドナ」に決定したと発表した。

 ガドナとは、古クランダルト語の「Gadu」に由来し、「壺の足」を意味する。ガドナに決定したのは、関係各社の歴史と伝統、そして培ってきた技術に敬意を表すとともに、新しく洗練された帝国の軍とそれに携わる軍需産業を支え、変えていく確かな力と統合に向けて各社が努力していくことを表現しているという。

 各社が平等に吸収されることによって、空軍事業部連合やレート造船の上に立つ、六王湖最大の軍需企業が誕生する。

 新会社は、戦闘機、爆撃機から戦車や野戦砲、小銃や機関銃に至るまで、艦船以外すべての軍事兵器及び物資の需要をカバーする。また、パンノニアと深い繋がりのあるOAIのコネクションを活かして、パンノニアなどへの兵器の輸出も視野に入れることができる。

 また、生産システムと生体プラットフォーム、循環器の共通化と新技術への投資を最適化し、規模を拡大することで、よりよい利益を追求する。統合後に生産、または改造予定の航空機の4分の3以上を2つのプラットフォームに集約し、グランプラットフォームと汎用大型プラットフォームで、生産効率の上昇を図る。

 なお、統合プロジェクトの完了は、638年1月の予定だ。各社の株主の承認や工業省が出した特例法案の可決、軍事省との連絡や他の規制への適合が、統合プロジェクトの完了条件としている。
11月9日分 バリグ工業城塞で最も古いホテルが閉店
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 バリグ工業城塞第8区で、開店から105年がたつバリグマード・オテルが12月いっぱいで閉店する。ホテルの中心をなす産業住塔が老朽化で解体されるためで、建て替えや移転などの予定はないという。この店は約110年前にここにあったバリグ城塞を改築し、工業城塞とした当初から存在したホテルで現在までに3回、本館などを建て直しながら今まで宿を提供してきた。

 開店したのは530年14月で、当時の店名は「フューゲルシュトホテル・バリグ」。フューゲルシュトホテルは570年代まで存在したホテルで、六王湖に最初にできたホテルだった。

 その後、「フューゲルシュトホテル・バリグ」の店名は「ホテルウニオン・バリグ」「バリグマード・オテル」と変わった。572年にフューゲルシュトホテルが、創業家のフューゲルシュト伯爵家が当時のオット畿爵と裏で手を組んでフューゲルシュトホテル以外のオットのホテルを追い出していた疑獄事件が発覚。フューゲルシュト伯爵家は騎士爵に降格の末、家の者総出で北方大攻勢に従軍し、全員が死亡し断絶。運営していたホテルは新たに設立された合資制のホテルウニオンに加盟。622年の近衛大叛乱時に脱退し、バリグマード・オテルとなった。

 運営するノイエホテルウニオンによると、六王湖のホテルとしては最も古いという。閉店や移転がなかったため、人生をかけて働く人が多く、最長は創業以来親子六代にわたってこのホテルに勤続し続けてきたヴァッフェ"伯爵"家。現在働いているのはフロント支配人のライリー・ヴァッフェ4世(68)と客室副支配人のライリー・ヴァッフェ5世(45)、そしてフロント見習いのライリー・ヴァッフェ6世(19)の3人だ。

 ヴァッフェ4世氏は業務のほとんどを副支配人とヴァッフェ6世氏に任せており、これもまた親子代々の常連客とバーで語り合うのが日課だという。「ほんとうはとうのとっくに辞めてていいのだけれど、辞めないでくれと客がうるさいからね。それに孫の教育の事もあるし」と笑った。ヴァッフェ5世氏は「貴族でもないのにいつの間にか客やオーナーから"伯爵"って呼ばれてるんです。うちの家からオーナーになった人は一人もいないんですけどね」。ヴァッフェ6世氏は忙しそうだったので話を聞けなかったが、ヴァッフェ4世氏によるとオーナーの一人息子と婚約しており、十分に実力がついたら2人で新しいホテルを建てる予定だという。

 このホテルが全国的に注目されたのは620年7月。天命作戦を強行した連合艦隊の総司令であったグナウザ家当主が命令違反の容疑で手配中にこのホテルに逃げ込んだ。私兵約30名を連れて立てこもった彼らに対して、帝国政府はことを大きくしないために消極的態度をとっていたが六王湖地方政府はこれに対して虎の子の国家破城槌部隊を出動させた。銃撃戦の末、人質に1人の死者を出したが当主を捕縛することに成功した。この際、ホテル側は内部の様子を通信機を通じて密かに知らせており、これが突入の成功につながった。

 ヴァッフェ5世氏は当時客室係で、「突入してくる時、お客様に被害が出ないかとても心配だった。結果として銃撃戦の流れ弾で料理長が殺されてしまったがお客様には一人の死者もでなかった」と振り返る。

 ノイガラート叛乱の際にも多少荒らされたものの、大した被害はなかった。ホテルがしまった後、従業員は同じ系列のホテルに割り振られる予定だ。
11月10日分 カラロマノ行政区上空で衝突事故
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 10日6時40分ごろ、戦線区カラロマノ行政区の上空約4レウコで、「貨物船の船尾に猟船が衝突してけが人が出ている」と貨物船の船長から、運輸省航空運輸局に通報があった。

 航空運輸局戦線区基地によると、衝突したのは貨物船「BoR-127」とSB狩り猟船「クルカスレイヤーIII世」。4人が重軽傷を負ったが、命に別条はないという。BoR-127に乗っていた乗員5人のうち、2人が重傷で、1人が軽傷。クルカスレイヤーIII世の乗組員1人も軽傷を負ったという。

 ギッザス気象台によると、事故当時の天候は曇りで視界は悪く、気流は乱れていたという。
11月11日分~20日分
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11月11日分 オルテラニムッツ大開発の新種 一般販売へ
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 オルテラニムッツ大学がアウルカスとイッパーをかけ合わせて開発した交雑魚「オーリッパー」が、ゴッシナサーラ地方の市場に流通し始めている。月産1000匹限定で、同種が広域で販売されるのは初めて。

 オーリッパーはアウルカスを母、イッパーを父として作られた。アウルカスの特長でコリっとした歯ごたえと、イッパーのゼリー状の栄養胎の高い栄養素の両方を併せ持つ。人工で孵化させる完全養殖の魚だ。

 オルテラニムッツ大と連携する地元の食料品店では開発されて、販売し始めた6年前から毎年数万匹が売れる人気商品だが、他ではほとんど流通していない。オルテラニムッツ市でも販売しているのは大学近くの3軒のみにとどまっており、ほとんどの人は食べたことはおろか、存在すら知らない。

 オーリッパーの研究主任のT.K.ニー氏(39)は「濃厚な味とコリコリした食感がおいしいこの魚を世に広めることで、科学の発展を誇示し、さらなる高みを目指すための原動力にしたい。」と語った。
11月12日分 ラターシド叛乱軍が軍事パレード
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 デルマンを首都として独立を宣言したマン新国(旧マン学生連合)とデルマンを本拠地とするラターシド叛乱軍(自称アナンサラド盟邦暫定合議政府)が、戦車や携行式ラケーテなどで武装した「精鋭部隊」のパレードを、12日にデルマンで行った。一連の大移動で混乱し、思うような対策をとれていない王国政府を牽制し、組織の団結を誇示する狙いとみられる。

 約半時間のパレードの中で、叛乱軍は専制政治に叛對する諸部族による絶え間ない闘争が実を結び、デルマンからの中央政府軍の撤退に追い込んだと主張した。叛乱軍の蒼い旗を先頭に武装した200人以上の戦士が隊列を組んで行進。改造ダッカーやトエイ戦車なども披露された。

 ラターシド叛乱軍首魁のジャムン・サッカル氏は声明で「ハバルデアラーフ作戦に参加し、散っていった兵士の犠牲に感謝する。イブリール族以外の全ての部族は自らの権力を取り戻すために断固としてたたかわなければならない」と発言した。

 叛乱軍と学生連合はアナンサラドやマンの南部、ヒグラート渓谷上流地帯に基地を置き、弾薬の製造工場や軍事学校などを置き、アナンサラドに対する攻撃の準備を調えている。一方王国政府は1ヶ月以内にデルマンへの一斉攻撃を行うとしている。今後、より一層の戦闘の激化が懸念される。
11月13日分 バリグ第8地区の水道処理施設で火災
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 13日10時頃、バリグ工業城塞第8地区ダーララ通り10番の水道処理施設が出火、水道処理施設の建物と水浄化システムが全焼した。火は5時間後に消し止められた。

 バリグ水道局によると火災によって水道処理施設が受けた被害は甚大で、浄化システムが破壊されたほか、配水装置も正常に機能していないため、第8地区の広範囲にわたって水の不足が起こる可能性が高いとしている。バリグ水道局はこのことについて謝罪したのち、第7地区や第9地区などの近隣の地区の水道を分ける予定だという。新帝都防空隊は火災原因の究明に努めている。

 この火災では水道処理施設以外にも近くの住宅3棟に一部延焼していた。なお、これまでに死傷者は確認されていない。
11月14日分 休刊
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休刊
11月15日分 ガリアグルのいにしえの戦いを記した新たな文章が発見
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 六王湖に帝国が降り立って来る前、"北の民"と呼ばれた古代オーヂット帝国の一派、東ウル・アデトが六王湖の地に築いたウォード古城(ザニアル公領)で、東ウル・アデトとガリアグル王国と攻防戦を繰り広げた際に、ガリアグル側が攻撃するときに練られたと思われる作戦が書かれた文書が見つかった。これまでウォード古城攻防戦はガリアグル王国史の中でしか確認されていなかったが、今回の文書の発見でこの戦いがあったことと、このころには南半球におけるオーヂット帝国の勢力が衰退していたことがあらためて裏付けられた。歴史の薄い、六王湖の歴史に新たなページが加わる貴重な発見だという。

 ザニアル公領マルデア城が11月5日発表した。文書は今年1月、歴史学者のN.O.H.ツェラ.M氏がノルトスベハラーゲン在住の所有者から入手。城内の学者と共に持ち込まれた文書を調査していた。

 ガルーデアの民による攻撃から逃れるために南から北進してきたガリアグル王国は、100年代ごろに衰退しつつあるウル・アデトと接触。幾多の戦いを経てゲノラグルなどを征服、150年代ごろにはウル・アデトの首都であったコロノ・パーレ(現簒奪政府領ガリアグルのどこか)を落として東西に分断させると無人地帯であった六王湖に逃げ込んだ東ウル・アデトに狙いを定め、パンタール攻めに舵を切った。ガリアグル王国の歴史を纏めた「王国建国正史」には、164年、"北の民"の最後の居城であるウォード古城を、時のガリアグル王、シャロワート8世と彼に忠誠を誓う13人の戦婦が商人と街娘に変装し城内に侵入、酒や踊りを披露して城の兵士を酔わせ、眠らせた隙に本隊が夜襲をしかけ、城の兵士は一つの抵抗もできずに降伏した。と記述されている。

 部隊配置を示す文書は別動隊に宛てたものと見られ、冒頭には「デーアール隊」とあり、当時のガリアグルの破城槌部隊隊長であったデーアール氏が別動隊を率いて2方向から城を攻めたとみられる。親衛隊やK・W・ロートらコロノ・パーレ攻略戦にも参加した歴戦の猛者やこの戦いが初陣であるとみられるシャロワート8世の息子で後のシャロワート9世となるフィコイユなど5人の名前とそれぞれ率いた人数が記されていた。総勢は1180人。また、参謀のシャムーヌの印があった。

 王国建国正史では、シャロワート8世とその部下達が落としたことになっているが、この文章ではシャロワート8世は作戦の立案こそしたものの、シャムーヌらが作戦会議を行っている間は件の13人と淫蕩にふけっていたと文章中に書かれている。このことから、史実ではシャロワート8世はウォード古城攻撃の命とそれに充てる戦力を古城に向かわせたのみで自らは参加していないと思われ、王国建国正史の記述は正しくないとN.O.H.ツェラ.M氏は分析している。
11月16日分 UPOが追加資金を調達
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 オーソンパイプライン連合が300億ダルク規模の資金を調達する方向で調整していることが、16日にわかった。バレグ・バリグ銀行やインダストラリーゼ銀行(六王湖)からのローンの借り入れなどを想定しており、財務体質の改善を目指す。

 UPOは一昨年から相次ぐパイプラインの破損事故で旅客や貨物の大幅減に見舞われ、昨年から増資や借り入れで資金調達をしてきた。今年5月末時点で、財務中の自己資本率は40.5%で資金は850億ダルクと、当面の資金繰りにはめどをつけていた。ただ、今年は目立った事故が発生しておらず、信用が回復してきていることから、早めに追加の資金を確保する考えだ。

 UPOの1~5月期決算は純損益が65億ダルクの赤字。一昨年11~15月期から四期連続の赤字だった。
11月17日分 不調が続くヒグラートのラスピーレ猟 ザイリーグ系の猟団も
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 ヒグラート渓谷上空の中立地帯でエゲルラスピーレの収穫を行っているヒンメルミア艦子爵艦隊所属のラーヴァナ級ラスピーレ猟船6隻と改フレイア級1隻が、エシニョレ行政区ボーグノーにある旧第7空中要塞に帰港した。収穫物の荷下ろしや、弾薬の補給などが目的だ。

 17日0時すぎ、巨大な網を吊るした改フレイア級「グラン・ヒンメルミア」がさび付いていつ崩れてもおかしくないような薄暗い旧第7空中要塞に入港。すぐに収穫したエゲルラスピーレを下した。「今年は気流の向きがおかしくてただでさえ量が少ないのに、北の船団の横暴さはこれに追い打ちをかけている」ヒンメルミア艦子爵艦隊総司令兼グラン・ヒンメルミア艦長兼ヒンメルミア空中猟業社長のリヒテン・フォン・ヒンメルミア艦子爵(65)は語る。

 旧第7空中要塞によると、エゲルラスピーレの主な猟場であるヒグラート渓谷上空では昨年度まで簒奪政府の猟団と我が国の猟団が規約を結んで猟場を分け合っていたのだが、今年度に入ってザイリーグ系とみられる猟団が飛来。ジェット気流から飛び出して高速でラスピーレを狩っていく猟法に両国の猟団は妨害することすら叶わず、泣き寝入り状態だという。さらにザイリーグ系の中でもトーロック団系と呼ばれる集団は他の船団を襲って収穫物を強奪する手法をとっており、これらの対策としていままでデッドウェイトとなるため搭載していなかった弾薬などを積載したことにより燃費も悪化し収益がどんどん減っている。

 ヒンメルミア艦子爵によると、「今のところ(ヒンメルミア艦隊が猟をしている)このへんでは(トーロック団は)見かけない。」とのことだが、ザイリーグ系の猟団は着実に増加してきており、簒奪政府と帝国政府がつき合わせた情報によると、1月かた5月末までだけで687隻のザイリーグ系の猟団を発見しており、うち54隻は、猟団と交戦したとのことでこれらがトーロック団系の船団だと思われる。
11月18日分 マン学生連合がラターシド叛乱軍と断絶 王国政府と和解
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 アナンサラドで暫定政権の樹立を宣言したマン新国が、宣言を撤回し、共同戦線を貼っているラターシド叛乱軍(自称アナンサラド盟邦暫定合議政府)との関係を断ち切り、マン自治区として王国政府に下る方針であることが、マン学生連合への取材でわかった。マン新国は独立宣言時に近隣の国々に出席を求めたが、一切の反応がなく、認知もされなかったという。北半球諸国はアナンサラドでの内紛が続くことによるドブルジャガスの価格高騰を強く懸念しており、王国政府に事態の早期解決を実現するよう、圧力をかけていた。

 17日に取材に応じた幹部によると、学生連合の要求に対して否定的だった王国政府の態度が12日あたりから急に軟化しており、自治権の付与や自治軍の創設なども視野に入れた双方により良い関係の樹立を望んて来たという。「その条件の一つに叛乱軍と縁を切ることがあり、我々としてはこの地域とマン人の自治が認められるに越したことはなく、よりすみやかに交渉を進めることができるように、断絶を行った」と経緯を説明した。

 また幹部は、ラターシド叛乱軍に対して90時間以内のデルマンからの撤退を要請。撤退要請に応じない場合は即座に攻撃を開始するとしており、ラターシド叛乱軍に対する毅然とした態度をとることで王国政府の印象を良い方向にしていきたい意図が見える。

 軍営ザイル新聞は、マン学生連合とヴルリュニーナ氏以下幹部の決定について反応やコメントを発しておらず、依然としてデルマン郊外のラターシド叛乱軍の基地に数万の部隊を置いていると伝えた。
11月19日分 バウジッツで六王湖最大の一枚岩が発見される
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 バウジッツ行政区グロースオットブヴェルダ市は、同市内のフンメルシュハーム渓谷で六王湖最大級の一枚岩を発見したと発表した。段状に続く渓谷のなかに現れる丸い岩の大きさは直径2400メルトで高さが700メルト、「確認できる一枚岩の中では六王湖最大ではないか」とする。名称がないため、市は12月30日まで市民からこの岩の名前を公募する。

 岩の存在は渓谷の探検家やこの空域を担当する帝国空軍第71飛行隊などには知られていたが、上の方から少し見えているだけで、全容が分かっていなかった。同市内のGow大学が調査チームを結成し、昨年10月から数回、現地で調査を行い、さらに最新鋭の音響反射型小型測量装置を使い岩全体のサイズを計測。その結果や情報などを集めた結果、今年10月に全体の大きさをはじき出したという。

 この岩は主に石灰質砂岩で形成されており、渓谷が形成されていく過程で削られずに残っていったと思われる。Gow大学調査チームのS.N.タクタ氏は「ヒグラート渓谷にはまだ知られていないことが多い」と話す。岩は最も近くの都市から50レウコ以上離れており、近くに行くには空中から行く方法しかない。
11月20日分 渓谷内の腐ったトラックに人骨か パント行政区パンタール・ユーティ
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 20日10時ごろ、テノル=サン・ド・パント行政区パンタール・ユーティ郡のスーレ川沿いの山中で、狩をしていた男性が、スーレ川に繋がる渓谷下に若干腐った8脚トラックが横たわっているのを発見、パンタール・ユーティ警察署に通報した。署員がトラックを確認すると、トラックの生体部品とは別に、人の骨のようなものが見つかり、署が経緯を調べている。

 署によると、トラックはひどく腐敗しており、周囲には腐った肉片や骨のようなものが散らばっていたという。署は新帝都防空隊サン・ド・パント支部の生化学事故対策部隊の協力を仰ぐ方針。

 遺体の識別票を読み取ることはできなかったが、トラックのナンバーから持ち主は同市の50代男性とみられる。署によると5月にこの人物の家族から行方不明届が提出されていた。
11月21日分~30日分
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11月21日分 旧帝都を想う祈念碑に落書き
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 六王湖の中で旧帝都に最も近い地域である外ノーム非武装地帯ラッドで21日、旧帝都帰還を祈念する塔にミランダ家の紋章が落書きされているのが発見された。塔は「帝都最後の産業塔」という名前で、幅150メルト、奥行き72メルト、高さ15メルト。633年12月1日に完成し、来月1日には3周年式典を開く予定だった。

 30年に24名の貴族と引き換えに返還されたノー・ド・イグイノール行政区ネムカッツで採取された岩で形づくられ、旧帝都前で爆散した連邦国軍戦艦「ジッカス」の浮遊機関の破片が封じられている石棺にも、同じくミランダ家の紋章が落書きされていた。

 警察はタレアニズ地方に潜伏しているミランダ家忠誠派のミランダ騎士団が関与しているとみて捜査している。管理するD-Rt-H省盗領問題会議のアーリィ・ボッフトミット議長は「三代前からミランダ家はこの地を踏んだことすらないのにわざわざきなすって、ここはミランダのものだからそれ以外は出ていけみたいなことを表す意気込みには敬意を表する」とのコメントを出した。
11月22日分 ダットファング領の国境警備隊が表彰
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 ニメンゲンのダットファング公領の国境近くで10年にわたり植林活動を行っているダットファング軍第2師団のマッバグラッハ隊(総員50人)が、帝国貴族院から贈られる帝国の皇帝と国家の貴族に対する篤き忠誠賞を受賞した。22日に伝達式があり、帝国貴族院のユーグィナ・フォン・モルゼア院長から賞状と指輪を手渡されたシカゼ・マッバグラッハ大尉は「我々の長きに渡る献身が報われたようで身に余る光栄である」と語った。

 34年に定められた11月21日~30日の「国境強化期間」に合わせ関係各省庁が陸軍や民兵隊などを中心に兵士などを表彰している。今年は5部隊、220人が受賞した。マッバグラッハ隊は「人と土地を愛する兵士」として選ばれた。

 マッバグラッハ隊は626年から毎年4月、日毎20本の数で植林活動を行っており、国境沿いから近くの街、街道や駐屯地周辺など様々なところで植樹していた。10年間で約7000本の木を植えた。

 マッバグラッハ隊副隊長のムトア・アイエル軍曹は「痩せこけた土地に緑を戻したいという思いと努力が評価されてうれしい」とかたり、自ら率先して植林活動を行っていたグート・クライオン氏は「対戦車障害物として植えていたつもりなんだけど評価してもらえてうれしい」と話した。
11月23日分 オーラー大庭園のフユノが満開
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 ギュール・ラ・ムール行政区オーラーの「オーラー大庭園」のフユノが満開となった。入場が出来るのは12時~22時まで。入場無料。満開は来月10日ごろまでという。

 昨年は、テクノクラートが開発した新種のフユノ「アイギス」の初公開と兼ねていたこともあり、期間中に数万人が訪れた。今年は昨年の新種「アイギス」を改良した「バレグ・アイギス」を用意している。

 同園では広さ8mlt^2に39品種、計2000万本を超えるフユノを栽培しており、世界最大級の庭園だという。庭園を覆いつくす絨毯のようなピンクや白、黄色、青や緑など色とりどりの花を前に来園者は「大変綺麗で、とてもいい」「わぁっ…」と言葉を漏らし、昨年に続いて植えられている「アイギス」の黒褐色の花や改良種の「バレグ・アイギス」の黒褐色と白の入り混じった花には「素晴らしい」「我が国の技術力の成果」と素晴らしい技術に感動した。
11月24日分 新しい技術で広がる肉吐き器の未来
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 テクノクラートが、新しい遺伝子編集技術でできた肉吐き器の特許を国に届け出た。今まではただ食料生産の効率の上昇だけを追い求めてきた肉吐き器の開発であるが、この度新たに開発された肉吐き器は従来の効率化だけでなく、肉の味や器官そのものの耐久性の向上も目標に入っている。人造食を敬遠する傾向がある貴族階級への売り込みなどを視野に入れている。

 従来、十数年以上の長い時間がかかっていた品種改良を5年以内に短縮できる技術が登場した。分裂していない細胞の標的の遺伝子配列を切断し、挿入させるPAV-SDN3法により、簡易に遺伝子を挿入することができるようになり、改良速度の向上につながった。さらに新世代型シーケンサーの開発により、既存遺伝子の中にある休眠遺伝子の有効な活用手段を見いだし、これらの遺伝子から様々な資源を産出することができるようになった。テクノクラートではPAV-SDN3法が発見された8年前から研究を進めていた。

 新しい編集技術で、肉吐き器をより早く出力でき、日和見感染症への抵抗力を高め、クラス化された染色体により遺伝子のEP変異を簡略化させて好みに合った調節ができるなどの性質をもたせた。この新機種は、肉吐き器は下層民の給食というイメージを払しょくすることを期待されており、拡大する中産階級の人々を主なターゲットにしている。

 EP変異により、肉の色を変える、健康によいとされる成分を増やすなど、付加価値を付けることも可能であり、気温や気圧が変わっても耐えれるように強化する遺伝子を探索、変異させるなど、さまざまな研究が進んでいる
11月25日分 ラターシド叛乱軍からアッサラド支族が離脱
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 部族間紛争が終息しつつあるアナンサラド王国で24日、これまで叛乱に加わっていたラターシド族のアッサラド二等支族とキーゼ・ソレンアール三等支族が王国政府に降伏したと王国政府が発表した。王国政府はアッサラド二等支族の指揮下にある騎兵隊4000とキーゼ・ソレンアール三等支族の騎兵隊50の武装解除を進めているとしている。

 ラターシド叛乱以降、ラターシド支族から二等支族級が離脱するのは初めて。18日にマン学生連合がラターシド叛乱軍を裏切り王国側について叛乱軍をデルマンから追放して以来、叛乱軍は敗走を続けており、王国政府の発表によると18日から23日までに叛乱軍戦力は半減したという。一方、ラターシド叛乱軍は「戦力の離脱は起きておらず、我らラターシド族は一団となってイブリールの中央政府に攻撃を加えていく。現在、マン学生連合がイブリールに乗っ取られ、デルマンから離れざるを得なくなったため、新しい拠点に移動している」と自由カルラ報道を通じて主張した。

 叛乱軍はデルマン脱出の際、保有する重火器や装甲車両などを捨てており、現在は騎兵と少数の自動車のみが戦力と思われる。しかし、叛乱軍は敗走しつつも体制を整えており、アッサラド支族などが離脱した後も追撃を続けるカッサニエを撃退するなど、叛乱軍の脅威はなくなっていない。
11月26日分 集団脱走の600人 全員殺害
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 アーキリア国トスティラの牢獄都市から受刑者約600人が脱走した事件で、トスティラ当局は25日、逃走中だった最後の集団31人を上ラターマガ地区で発見し、射殺したと発表した。集団脱走から4年14ヶ月で、脱走囚全員が発見され殺害された。

 トスティラ労農階級解放闘争同盟左翼反対派武装革命戦線第二支部準備会の構成員約600人は631年10月、トスティラ国首都パラティから60レウコの地点にある第一収監地区から脱走。収監地区内に放置されていたヤグラを改造し、収監地区の壁に穴をあけて逃げたとみられ、当局は大規模な捜索を続けていた。同年のうちに、約半数名を拘束、射殺した。

 632年8月に首都パラディの大統領府周囲100メルトのトスティラ農民国政府管轄地に潜んでいた52人を爆殺、33年1月には同盟左翼反対派政治的研究連盟の党本部を襲撃した18人を殺害、その他36年9月までに大多数を発見、殺害していった。22日にトスティラ北部の耕作放棄地帯に潜伏していた同盟左翼反対派武装革命戦線第二支部準備会の最後の残党31人を発見。第5次革命政府は革命闘士団200人を投入し、残党31人を射殺した。現地メディアによると、殺害された31人は耕作放棄地の地下に拠点を建造していたという。

 第5次革命政府のグンダーアバル革命将軍は「党の方針に異を唱える連中はどうなるか、皆もよくわかったであろう」と声明を出した。

 なお、パラディではこの日、農民国政府によるクーデターが発生しており、翌日までに第5次革命政府は農民国政府に降伏した。
11月27日分 アイギス陛下が建設中のノスギア大離宮を視察
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 アイギス陛下は27日、ノスギアの山嶺にて建設中のノスギア大離宮を視察された。ノスギア大離宮は昨年に陛下からのご勅命で建設が開始され、完成は早くとも来年5月だという。アイギス陛下は完成が待ち遠しいのか早くも離宮にお入りになられ、国内外から集められた逸品の家具装飾が並ぶ自室を堪能なされた。アイギス陛下は自室とトイレの調子をお確かめになったあと、ノスギア大離宮の建設工事を進めている作業員らの負担を心配なされ、ノルマに間に合うように、ゆっくり作業するよう指示された。
11月28日分 クレンジャンで陥没事故
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 28日16時ごろ、サチャネノー行政区クレンジャンのフラン通りで大規模な陥没が発生、直径12メルト、深さ6メルトの大穴が形成され、周囲の建物2棟が崩れ落ちた。穴の底から2人の男性の遺体が見つかり、8人が意識不明の重体で発見された。

 新帝都防空隊によると、周辺に住む5人の所在と連絡が取れていないといい、防空隊は亡くなったのはこのうちの2人とみて身元を調べている。
11月29日分 新帝都で偽王党派の一団を摘発
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 新帝都などで簒奪政府の僭称皇帝フリッグの肖像画などを販売していたとして、常市監と憲兵隊は29日、ギッザス皇女派市民の会の会所2か所を襲撃し、責任者や倉庫番など50~70代の男女7人を国家叛逆罪で逮捕したと発表した。新帝都の造船区域の地下市街のそのさらに裏路地の一角に店を構え、看板を出さずに営業していたという。憲兵隊は「新帝都にいるの偽王党派の拠点は一掃した。引き続き警戒する」としている。

 摘発されたのは、第18区71号都市圏排水路にある勝手商店街「昼無し街」にあった店舗と第19区71号都市圏排水路8号立坑にあった店舗。常市監によると、簒奪政府領から武器や機材設備などを密輸入しており、そのついでで旧帝都の名産物や僭称帝の肖像画を買い、それを高値で売ることで武器などの購入費用を工面していたという。店舗と倉庫から蓮式短銃が120丁、ネードー短機関銃が30丁、シカーダ対甲ラケーテが10本と拳銃弾5000発が見つかった。発見された火器類の中にはゲッコーという新型とおぼしき短機関銃も8丁あった。

 憲兵隊が29日、店舗や倉庫を襲撃し、現場にいた6人を逮捕した。6人の認否は明らかになっていない。さらに同日、両店舗に裏口から侵入した関係者と思われる男1人も逮捕した。
11月30日分 簒奪政府の強襲偵察艦が緊急入港
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 30日9時ごろ、簒奪政府軍の遣皇国部隊に所属する32年型強襲偵察艦(正式名称不明)1隻が戦線区ノイエインダストラールの商用港に緊急入港した。軍事省によると、偵察艦はノイエインダストラール郊外にある共用軍港に移動したという。戦線区軍管区司令部は職員を派遣し、状況を確認している。

 旧領交流使節団によると、30日8時30分ごろにノイエインダストラール港の運輸省入出港管理事務局から「何かしらのトラブルで偽帝軍の船が入港」と連絡があり、強襲偵察艦が入港しているのを確認した。

 630年停戦仮協定では皇国回廊に存在する32の商用港への軍艦の入港の一切を禁止している

636年12月

12月1日~10日分
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12月1日分 新デシュタイヤ大の准教授が不正を行っていたことが発覚
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 偽造した領収書を提出して旅費の請求を行い、実際には行っていない旅費を不正に受け取っていたとして、新デシュタイヤ大学は下等文化研究センター所長の50代の男性准教授を20日付で懲戒解雇したことを、1日、発表した。

 新デシュタイヤ大によると、男性は予約した航空券を自費で立て替えて支払い自費で購入した航空券の日付やクラスなどを書き換えるなどして、3通の偽造領収書を大学に提出。昨年13月に旅費約4万帝国ダルクを不正に受け取っていたという。

 男性は全額を返納する意向を示しており、大学は訴訟は見送るとしている。
12月2日分 アナンサラド王国軍がラターシド叛乱軍との決戦に
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 アナンサラド王国政府は1日、ラターシド叛乱軍(自称アナンサラド盟邦暫定合議政府)の首魁(自称暫定会統領)のジャムン・サッカル・ラターシド・サラディア氏率いる叛乱軍の全勢力と交戦状態に突入したと発表した。叛乱軍はアナンサラド王国と六王湖の中間のヒグラート渓谷内にある旧マン王国のルヴュム城に籠り、騎兵隊を繰り出して防備を固めているという。

 アルム・イブリール国防相は会見で「王に歯向かう大逆賊に裁きが下る日がついにやってきた。無知蒙昧なうえに親愛なる国父様の愛を受け取ることを拒絶し、愛に暴力で返してきた不届き者を、ここで完全に打ち砕き、心の底から猛省させ、偉大な王の前に屈従させなければならない」と演説した。ライディア・セブラン親衛隊大将は「戦力差は3:1だが、こちらは実戦を経験したことがないのが半数なのに対して相手は歴戦の猛者だ、決して油断できる状況ではない」と語った。
12月3日分 ラターシド叛乱軍が壊滅
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 2日にアナンサラド王国ルヴュム城で行われた王国と叛乱軍の決戦の結果、ラターシド叛乱軍は壊滅した。前哨戦は1日から始まっていたが、城塞攻撃は日が明けて2日3時に開始、親衛隊の砲撃によって城塞はかなりのダメージを負ったが、叛乱軍は果敢に打ち出て7時には一部の包囲網を破壊し、王国軍が一時撤退するなど、一進一退の攻防戦が続いた。 しかし、8時に322級攻撃戦艦を旗艦としたアナンサラド艦隊が到着、ルヴュム城に猛烈な爆撃を行い、城塞が完全に破壊されると叛乱軍は崩壊、司令官のライディア・セブラン親衛隊大将は勝利宣言を発した。

 王国政府によると、叛乱の首謀者たるジャムン・サッカル氏はルヴュム城内で遺体となって発見され、即日火葬された。また、叛乱軍が蜂起した9月14日以降敷かれていた戒厳令を3日付けで取り消す。イブリール家に叛抗する氏族の行動を抑制する狙いがあったが今後はそのような心配はないと判断したためだ。なお、非常事態宣言は撤回されない。王国政府報道官は非常事態宣言の続行に関して「ザシュマクやカラヤルデアには未だに叛乱軍の残党が潜伏していると思われ、都市部の治安を回復するまでの一時的な措置」としている。

 爆撃後に自ら先陣を切って城塞に突入したアルム・イブリール国防相は「逆賊を何としてでも根絶やしにする」として勝利宣言に参加せず、残党軍を追って南に進軍している。なお、3日現在アルム国防相の部隊は六王湖地域及び皇国回廊とアナンサラドの軍事的中間線を越えており、ダットファング大宰相は地域の緊張を高める行為だとしてアナンサラド側に対して追撃戦の中止を求めている。
12月4日分 ラモラウト独立州で多党制が容認される アーキリア連邦ザイリーグ
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 アーキリア国の小国家ラモラウト独立州で3日、ラモラウト共和党系以外の政党の設立を合法化することの是非を問う国民投票があり、自由カルラ報道の報道によると、死者14人負傷者372人を出し、62%の賛成で可決した。投票率は75%、投票成功率は31%だった。今後、政党要件の定義や議会での扱いなどを定めた法整備が進むという。

 同国では585年に当時のラモラウト共和党が一党制を宣言、同党以外の政党の一切の存在を否定した。しかし587年に右派と左派が分離、翌年には本体も新派と旧派に分裂し、消滅。以来50前後のラモラウト共和党が存在していた。なお623年からは非合法政党として闘争改革党が勢力を伸ばしており、今度の国民投票は事実上闘争改革党の議会への参加の可否を問うものであった。

 連邦を構成するほかの国では632年、べクラチアで国民投票の結果結党が合法化され、翌年の選挙で反アーキリア人民統一党が政権を握った。一方、アッバラーダ人民共和国では634年にそれまで形式上で認められていた政党を禁止する判決をバルバ将軍が裁判長の裁判所が下し、今年から議会も廃止され、ほぼ全面的に政党が禁止された。
12月5日分 連邦軍捕虜も絶賛 悪名高い「チヨコ」を学生が徹底改良
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 アーキリア連邦軍に配給される糧食は非常に不味いことで悪名高いが、その中でも特に不味く、食べる生物兵器などと称される連邦チヨコを、アンシ調理学校の食材調教部の部員らが、独自に改良を加え、量産性と可食性、そしておいしさの三つの要素を丁度良く確保したチョコレート菓子を考え、ギッザス郊外のアンシ伯領のパン・ド・アンシ菓子店で「バレグ・アーキリアン・チヨコ」として商品化した。学校によると連邦糧食を元にした菓子は初めてという。

 「バレグ・アーキリアン・チヨコ」は、630年から文化・研究省新文化局が振興している「文化改良運動」の一環として開発された。美食貴族として名高いアンシ伯とアンシ調理学校は、これをテーマに様々な新メニューを打ち出しており、これまでに料理解体部による高級コース料理の世俗化や考古料理研究部によるガリアグルのアラカルト「オー・エヤン」の再生などを行ってきた。「バレグ・アーキリアン・チヨコ」は軍事省装備局からの依頼で、食材調教部が開発した。

 開発された菓子「バレグ・アーキリアン・チヨコ」は、ヒグラート渓谷で回収された連邦チヨコを高熱で溶かし、砂糖、塩、橘蜜などを混ぜ合わせ、キャラメルを絡めたラスクをコーティングし、劣化バターを塗って焼き上げたものだ。試食した連邦軍第五艦隊の捕虜は「元がチヨコだったとはとても思えない、すごくまずくない食べ物になっている」と絶賛した。

 1個200ダルクで、7日から来月6日までの期間限定でアンシ伯領のパン・ド・アンシ菓子店で販売する。来月6日以降は、バリグ第1捕虜収容所内のレストランで販売する。
12月6日分 アイギス陛下の肖像が描かれた偽札 魂の入っていない悪質な偽物
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 先月10日頃から、小売店や量販店などで、支払いに偽の100帝国ダルク紙幣が使われる被害が確認された。金融部と常設市民監査局は、偽造貨幣使用などの疑いで調査を開始すると同時に、偽札を受け取ったり使ってしまったりすることがないよう注意を呼びかけ、もし受け取ってしまった場合には近くの銀行に持ち込むように勧めている。

 統合警察新帝都署によると、同署が確認している限り先月の10~26日までにかけて、ギッザス区内にある7つの繁華街や工業地区近くにある小売店や量販店、飲食店や聴覚神経絶頂化センターなど合計62店舗で、卵細胞のころのアイギス陛下の肖像が描かれた100帝国ダルクの偽札が計約71枚見つかったという。

 偽札を使用した人間は同一ではなく、1人もしくは2人が店舗ごとに数百ダルク相当のサービスや1ダルク分の買い物などに使われて複数枚使ったりお釣りを受け取っていたという。

 本来の100帝国ダルク通貨券には32bpの遺伝情報が埋め込まれているが、使われた偽札にはそれが入っておらず、正規の製造法で作られていないことがわかる。なお、表面に書かれている番号の数字は、いずれも未使用の数字だったとのこと。
12月7日分 シミンさん一家殺害事件で新たな証言 元軍人の悔恨説
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 ワートスシュレック行政区ノールハイバール市ズルトレン地区に住むシミンさん一家が殺害された事件で、シミンさん一家が殺害された時間帯に旧帝国軍服を着用して歩いていた集団が目撃されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。ノールハイバール署は、殺害されたアシル・シミンさんが元軍人であったことを踏まえ、軍役時代に何らかの恨みがったのでないかとみて、犯人を捜査している。

 警察によると、アシル・シミンさん(当時43)、次男のハイネヴァンさん(当時15)、孫のユリアちゃん(当時2)、ユリアちゃんの母親でヤサンさんの妻のブルーンヒルト・クライオンさん(当時19)。長男のヤサンさん(20)一家は何者かによって襲撃され、多数の銃弾を受け、ヤサンさん以外の家族が全員殺害された。

 捜査関係者によると、重症を負い、意識不明の重体であったヤサンさんは入院先のI・ガルフォン記念病院で事情を聞ける状態までに回復。その際にヤサンさんは、謎の襲撃者はアシルさんが死亡したことを確認したあとすぐに立ち去ったという旨の供述をしたという。また、シミンさんの家には金庫等が設置されてあったが、荒らされたり、奪われたりした形跡は見つかっていない。
12月8日分 簒奪政府とアーキリア連邦ジャランパサが秘密協約を締結 皇国に対する協力が目的
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 第三課は8日、簒奪政府の秘密外交部が10月末に南北パンノニアの国境付近にある城でアーキリア国ジャランパサの代表と会談し、皇国に対する軍事的協力をすることで一致していたことを公表した。具体的にパンノニアのどこでいつ行われたのかは明らかにされていない。

 第三課が入手した情報によると、同秘密協約では皇国地域に限定した各種情報の共有や、皇国軍の装備品の目録のほか、ジャランパサからは皇国の首都である聖都の地図が、簒奪政府からはマンターハイム渓谷要塞の概略図などがやり取りされたと見られるとのこと。

 偽帝軍は侵攻して数十年経つものの未だにマンターハイム洞窟及び渓谷から先に進むことができず、苦戦を強いられている。一方、ジャランパサは以前から皇国が侵攻してくる可能性があるとして皇国に対する防衛力を強化しており、両者の目的が一致した恰好だ。

 なお、皇国は基本的に内向的な体制をとっており、本来友好国の連邦のいち構成国であるはずのジャランパサに対して侵攻を計画する理由は謎で、第三課の連邦アナリストは皇国に攻撃されるかもしれないと煽ることで本国からの支援を引き出していると分析しており、今回の秘密協約も本国に対するデモンストレーションなのではないかとのこと。
12月9日分 第14回日刊バレグ賞(春)が出走
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 8日に新帝都アイギス記念競ヴァ場で行われた第14回日刊バレグ賞(秋)(旧称帝国通信賞)は3200メルトの芝に16頭が出走して行われ、アイギスXII号(雌雄無し 6年)が1着となった。アイギスXII号はアイギス生誕記念杯から27連勝。テクノクラートが開発しているコマジクカヒダ(牡 5年、ノーウオテル生体機調教センター)は2着、ダットファング公のクァヴァーエス(牝 4歳、DPU厩舎)は7着、新帝国通信社のタズ・バレグは14着だった。
12月10日分 シュトローテラン行政区で野生のモソに襲われる事件が多発
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 シュトローテラン行政区で10日、森林伐採や散策などをしていた男女4人が相次いで野生のモソに襲われ、死傷した。

 ノルドレート郡の山林で13時ごろ、同郡に住むリヒテン・イコノさん(33)が、体長3メルトの野生化したモソに襲われ、右腕の脱臼と肋骨を折れるなどの重傷を負った。ノルドレート警察署によると、山で1人で訓練を行っていたとのこと。リヒテン・イコノさんは防疫軍第4連隊に所属する一等兵。

 また、レート署によると、レート市内にある作業場でオレダさん一家が木の伐採をしていたところ、野生化したモソに襲われ、ムート・オレダさん(12)が死亡、その両親が重傷を負った。

 レート署は事件現場から50メルト以内に民家があることを指摘し、住民に注意を呼びかけている。
12月11日~20日分
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12月11日分 3ヶ国の艦隊が合同訓練
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 オボロ・ブラッデンロス空軍長官は11日の会見で、パンノニア王国とネネツ王国の戦艦及び空母計3隻と帝国空軍の総旗艦「アドミラーレ・ウリヤノフール」とガーニェト艦隊などが5日から8日にかけて、オージア東部の空域で"地方艦隊の練度向上のため"に共同訓練を行った、と発表した。関係者によると、訓練は簒奪政府グレーヒェン家の領地であるヨダ管区の南方において実施されたといい、三国の艦隊が簒奪政府管区内で訓練を行うのは初めて。属領への締め付けを強める簒奪政府を念頭においたとみられる。

 訓練に参加した艦隊は、アーキリア連邦の旗艦を撃破したことで名高いネネツ艦隊旗艦の戦艦「ナドノフ」と先代の旗艦である軽空母「サンクトウラスノルスク」、そしてパンノニア王国の旗艦である戦闘空母「シュトラサ」。このほか、簒奪政府の2個属国監視艦隊なども加えて、計26隻の規模で行った。

 簒奪政府は共同訓練に対して、「演習ではないので本国が介入する必要はない」としている。
12月12日 グルイェチュノ市でクルカ脳炎を発症したクルカを確認 ヤスタラタ行政区
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 ヤスタラタ行政区は12日、同区グルイェチュノ市の都市部に住む都市クルカからクルカ脳炎ビールス(CEV)が確認されたと発表した。区は農猟業省にグルイェチュノ市への防疫軍の派遣を要請し、同市にいるクルカ推定5000匹を処分する予定。

 行政区によると、11日に、グルイェチュノ市の市民から「クルカが泣きながら無意味に空中を周回している」警察署に通報があり。行政区が通報のあった個体と周囲にいた10匹を検査すると、9匹がなんらかの病気に罹患していると判断され、防疫軍の施設での精密検査でクルカ脳炎と判定された。

 クルカ脳炎は北半球由来の人獣共通感染症で、罹患すると思考能力の低下、視力の低下などが見られ、急性期になるとスクムシなどの大型の虫を恐れる恐蟲症状、思考能力の著しい低下、一部意味記憶の喪失、脳組織の萎縮を引き起こし、末期には脳組織が部分的に崩壊して、クルカと同等の知能しか持たないほどに幼児退行する。またこの過程で精神錯乱を起こす場合もある。

 処分はニメンゲンの防疫軍第4連隊計2850人を動員し、16日までに終える予定。処分したクルカはグルイェチュノ市近辺に埋める。六王湖地域内でのクルカ脳炎ビールスの確認は7年ぶり。
12月13日 キガーリフの仕込み作業が最盛期
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 新帝都の一角、第4区の郊外で行われているキガーリフの仕込み作業が最盛期を迎えている。

 帝国貴族威厳増進連合会の「アンダスタ研究所」では、収穫したローヤクナイト(年数25、長さ18フィント)を20個ほど棒に括り付け、貴族が培養していた種を付ける作業が11月下旬から行われている。開口部の中にしっかりと押し込んで種を定着させた後、2月から新帝都の地下にある養殖場などで育てる。

 貴族が主体となって行う作業に、一際精を出して取り組んでいるキューネ・フォン・エグスティシュタン副伯(22)は「貴族たるもの自らが口にするものは自分で安全を確保せねばならない。私はそれを実践するだけでなく、自分の満足のいく食材になるように一から丹精を込めて育てていくことで普段の食事の価値をより高貴なものに出来るのだ。」と語っており、仕込み作業に集中していた。

 7月上旬に収穫を始め、早ければ来年の年末までに加工されたキガーリフが流通するという。
12月14日 ノスギアの風の秘密拠点撤去へ
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 オルテラニムッツ市の統合警察は14日、ケムッタール叛乱同盟系地下集団の一つの「ノスギアの風」の秘密拠点(同市北ヴェルタ区バーダ通り121番)の解体が始まったと発表した。ノスギアの風は、国家反逆罪で侵襲刑(255時間)に処された総将軍の"陛下に対する逆賊"ドロージ・N・ローバン(42)や代将軍の"国家に対する逆賊"ジャン・N・ストローユ(89)らが統制していた組織。629年の国家破城槌部隊の急襲後はノスギアの風の手に戻っていたが、トップを失った組織は分裂を繰り返し、現在は休戦派と呼ばれる一派が拠点を所有していた。総将軍に判決が下されたことで、国家委員会憲兵隊との協定により、13日付で拠点を引き払った。

 統合警察によると、ノスギアの風の分派の内、安定した関係を築いているのが2、ある程度の連絡を取り合う関係を築いているのが6、面会謝絶の非常に悪い関係にあるのが3となっており、特に地下抵抗派と呼ばれる一派は今月に入って民兵組織の襲撃事件を2件起こしており、非常に危険な状態だという。また、ケムッタール叛乱同盟系地下集団は六王湖全土に30以上存在すると統合警察は予想している。

 秘密拠点は閉塞されていた旧ケムッタール鉱山跡地にあり、28の部屋と最大200人が入る大ホールがある。解体は国家委員会憲兵隊の下で行われ、休戦派の人も解体に参加する。解体後、鉱山はよりしっかりと閉塞され、建物の残骸は市内の民間企業に売却される予定。
12月15日分 食産局バ=オーバー行政区会の職員が金融商品の取引で懲戒解雇
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 食産局バ=オーバー行政区会は15日、会本部に勤務していた職員3人が、以前に共済部で勤務していた際の顧客10人前後に私営の投資組合の金融商品の購入を勧めて収入を得たとして、金融商品取引法により12月14日付で懲戒解雇したと発表した。金融商品取引法では公務員が金融商品を扱う事を例外なく認めていない。

 元職員ら3人は今年1~10月、過去の顧客に投資組合の金融商品を紹介して買わせ、手数料を得ていたという。11月、別の問題で内部監査を実施したところ、金融商品の取引による儲けを得ていたことが発覚したという。食産局バ=オーバー行政区会はこの問題を常設企業監査局に報告したとし、「内部管制の強化など再発防止に取り組む」とコメントした。
12月16日分 マッタール=ガーダ-南マッタール支線で事故
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 16日10時ごろ、ノルトスベハラーゲン-レート線のマッタール=ガーダ-南マッタール支線の北マッタール駅とホア駅間でパイプラインの破損事故があった。運輸省によると、当線の全線が運転を見合わせている。

 この路線を運営するリンペルによると、この事故で同線に乗り入れているリンペルのうち、ホア駅より南側の全車両の運転を見合わせることを発表、12時頃から、ホア駅で折り返すように運転を切り替えた。
12月17日分 キーン国とルゲントの会議が開かれる
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 アーキリア連邦ザイリーガのキーン国と同ルゲント特別区の両軍は17日、ザイリーガ首都ミネルグで会議を開いた。ザイリーガではリューリア戦役の後、ザイリーガを支配していた軍閥政府が崩壊。アーキリア連邦下ではあるものの、各都市が軍閥化して中央政府の統治が及ばない状態になり、都市間での対立が発生していた。今回の会議ではザイリーグの再建を志向するルゲントとより一層の分権化と自治を求めるキーンの双方の主張が真っ向から対立し、話し合いは平行線に終わった。

 会議後、両軍を取り持ったザイリーグ西部軍管区本部の報道官は、「ザイリーグの将来に向けた建設的な協議を期待していたが喧嘩別れに終わってとても悲しい。双方共に相手の事を考えない非現実的な要求を出していた」とコメントした。

 両軍及びザイリーグ内の有力勢力の当局はザイリーグとしての枠組みを維持することでは合意しているが、中央への集権度や駐留軍の扱いなどが確定しておらず、キーンなどの自治主義者とルゲント、ラメシュなどの再建主義者による対立が続いており、ザイリーグ首都ミネルグでは双方の軍が駐留し、駐留部隊同士でのにらみ合いが続いている。
12月18日分 モイピック公領ODM飛行場付近に落下機体
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 18日9時ごろ、モイピック公領ビーエのODM飛行場付近で、「赤色の戦闘機らしきものが落下した」と目撃者から通報があった。ビーエの統合警察によると、ODM飛行場から4レウコ離れた場所で墜落した機体が見つかり、搭乗していたとみられる男性2人の遺体が発見された。

 ODM飛行場の管制官によると事故当時、周辺の気流は乱れており、それに加えて西南方向から強い風が吹いていたという。

 ギッザス気象台によると、事故当時のビーエの上空は晴れていて、風速1・3メートルと弱かったという。
12月19日分 GAOFが新しい栄養液プラントの建設を発表
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 GAOFは19日、植物由来の新しい栄養液生産プラント「BBF-MCプラント」を来月、戦線区内の5か所に建設すると発表した。バイマン計画の一環としており、ライバル企業の六王湖化学と共同で開発した。植物由来のプラントはHBSも研究開発している。

 GAOFによると、BBF-MCプラントは媒質に動物性触媒ではなく、豆や麦、黍などを原料にした植物性触媒を使っているとのこと。13月5日から戦線区の5か所で順次建設を始めていく予定で、これらの運転が成功した場合、プラントの更なる拡大と新設を目指すという。

 植物性触媒は動物性に比べて栄養液の生成効率が良く、不純物の混入も少ないうえ、原料を安く大量に確保できるためコストダウンにもつながるという。戦線区ではバイマン計画により開発が急速に進んでおり、栄養液の需要がひっ迫している。GAOFは新しいシステムを組み込んだプラントを建設することでこれに応えるねらいだ。

 BBF-MCプラントの建設費用は同サイズで現行最新のR4-MCプラントの約7倍
12月20日分 ノーム侯爵が監禁の現行犯で拘束、爵位剥奪
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 85年から領地の臣民を不当に監禁し、自身の欲求を満たすために殺害、死体破損、婦女暴行などを行っていたとして、帝国貴族院特別執行部は20日、タレアニズのパルドーヌ・ウンガー = ダルティア・マリー・ド・ノーム侯爵(32)とその一家合計11名と侯爵の騎士団長のフィリー・クルーズ・シール・ド・ボナン一等騎士(33)以下ノーム騎士団員計32名を不当監禁容疑と青少年及び婦女暴行の容疑で拘束、爵位の剥奪を行ったことを20日に発表した。また、先代当主のシャール・ウンガー = ダルティア・エデ・ド・ノーム侯爵(死亡時57)、先々代当主のレイゼン・ウンガー = ダルティア・バード・ド・ノーム侯爵(死亡時87)に与えられた勲章なども取り消される。

 特別執行部によると、ノーム家は約50年前から自身の治める領地に住む人々の中で気に入った人をノーム城郊外のバンダウォン要塞に連行、監禁し、そこでノーム侯やその親族、騎士団員達の性的欲求を晴らすために慰みものにした疑いがある。さらに一部の人間はその倒錯した性癖のために、監禁していた人間を殺害するなどの凶行に走っていた。

 9月に発生したXX殺害事件の捜査をしていた統合警察がこの事態を発見した。警察は特別執行部に通報し、事態を把握した執行部は19日にノーム城塞とバンダウォン要塞に抜き打ち査察という体で突入、現行犯で拘束した。

 日記などから、同家ではこれまでに24432人が閉じ込められていたと執行部はみている。また、被害者の3分の1は生まれた時から要塞の外に出たことがない。

 貴族院はノーム家がとりつぶしになったことを受け、ノーム城を一時的に自治都市にするほかタレアニズの地方貴族会の欠員を埋める選考を開始した。
12月21日~30日分
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12月21日分 簒奪政府が自律無人攻撃機の実験を行ったと主張
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 簒奪政府のノイエラント新報は21日、簒奪政府の首輪付きテクノクラートが先月18日に自律無人攻撃機の実験を行ったと発表した。軍事大臣のヨハネン・フォン・ゲーベルト氏は「自律機の研究をしていた技術者は全て我々の側にあり、彼らに残された技術で自律機の開発ができたとは思えない。もし開発できたとしても基礎技術がないわけだから、彼らが作った自律機とやらはよく調教されたクルカが操縦しているのだろう。」と語った。

 ノイエラント新報によると、簒奪政府は11月18日にガルーデア砂漠で実験を行い、SL偵察機を改造した無人爆撃機を3時間ほど規定のコースに沿って周回させたあと下降させ、爆撃目標を認識させる試験を8回行った後、それら8体の標的に爆撃し、全標的の破壊に成功したと伝えた。

 テクノクラートのS.N.ゴーグ氏は21日の記者会見で、「今回の実験は簒奪政府が自らの技術力が衰えていないことをアピールするためのフェイクにしか過ぎない。我々が自律機開発を目指すのとは全く意義が違う。」と強調。ただし、「我々は常に最新の技術を持ち合わせており、完全に無人で任務を遂行できるSL偵察機の第54世代型の運用を開始している。だが、これはバリグに移転する前にFK偵察機で開発済みだった技術であり、もしあちらにその時の資料が残っていればそこから研究を進めることができるかもしれない。」と語った。

 一方、簒奪政府の首輪付きテクノクラートの報道官は20日の定例会見で「今回の試験は、我々の兵器開発史に新たなページを挟むものだ。新鋭の無人機を多数開発、配備運用することにより、人的損害を最小限に抑えつつ、北の蛮民に懲罰を与えることができる。」とした。
12月22日分 デルマンの旧ラターシド叛乱軍基地で爆発
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 アナンサラド南部マン自治区のデルマンにある基地で21日に爆発が起こり、軍営ザイル新聞は少なくとも52人の死者が発生したと伝えた。ラターシド叛乱軍の残した弾薬が暴発したとみられ、王国政府は叛乱軍が放棄した基地の弾薬に注意するよう呼びかけた。

 軍営ザイル新聞によると、ラターシド叛乱軍が使っていたデルマンの基地からデルマンの自警団が残されていた武器弾薬を運び出している最中に信管の誤作動とみられる爆発が起き、弾薬庫全体を吹き飛ばした。これによる死者は52人までに達し、重傷者も100人以上に上るという。

 デルマンの基地は11月18日にマン学生連合がラターシド叛乱軍を電撃的に追放したことにより多数の武器弾薬が残り、新設された自警団はこれらを元に戦力を形成する予定だった。なお、ラターシド叛乱軍の残党は王都アナネアルベアや本邦の戦線区内でも確認されており、王国政府は残党によるテロ行為に警戒するように呼びかけていた。
12月23日分 Gdn-CIBが改良戦闘機のモデルを公開
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 10月に設立された統合軍需企業ガドナ及び期限付き子会社のバリグ産業複合体は23日、ギッザスで開かれた帝覧展示会で、新型の改良戦闘機のモデル機を公開した。正式に生産されるかどうかは未定で、装備局の判断が来るのを待つという。

 新型改良機はグランヴィナスをベースとしており、ネネツ国のムリヤのような爆弾投下能力を持たせた近接航空支援用の機体。固定武装は機関銃が2門、対甲ラケーテ2本、追加武装で爆弾を懸架できるが最大爆装量は公開されていない。生体器官は左右と後ろに加えて小さいのを前に加えて計4器。前につけることで短距離発進と機首の引上げが早くなるという。

 新型機は、六王湖内で相次ぐ小中規模の叛乱に対処するべく構想、設計された。開発元のGdn-CIBの関係者は「今までの航空機開発は、いつ侵攻してくるかも分からない偽帝軍に対しての迎撃機だったのですが、意外にも彼らは臆病だったようであまり使われませんでした。実際に多発した小規模な地方叛乱や貴族同士の武力抗争には航続距離が短く、対地能力の低いフィッターのような機体は全く不向きであり、いつまでも旧式のマコランビアに頼る必要がありましたがこれが完成した暁にはもうそのような心配はなくなります。」と語った。
12月24日分 ノーム家の拉致監禁についてダットファング氏が声明 「非常に残念」
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 ノーム領において恒常的に臣民の拉致監禁や殺害、暴行などを行っていたことで爵位剥奪の上拘束されたノーム家について、大宰相ダットファング氏は24日の記者会見で声明を発表した。

 声明でダットファング氏は「ノーム家、特に先代は内政的に優れた視点を持っていて、大叛乱後の六王湖の行政再編に注力してくれただけに非常に残念。」とノーム家が犯した犯罪について無念であることを示し、その上で「ノーム家は奴隷を使役していたことで悪名高かったが使役している分だけ税率が低く、低い税を求めて多くの人があの街に行った。それらから選り好んで攫い、自らの欲求を満たしたノーム家には貴族を名乗る資格はない」と断罪した。

 ノーム家が属している旧辺境派(中立)の閥長のサレル・フォン・マッマ氏は自らが開いた会見で「この様な下衆な人間が我らが閥内に籍を置いていたことを大変恥ずかしく思う。同じような輩がいないか綱紀粛正に務める。」とした。なお、ダットファング氏は"犯罪的遺伝子の排除"として8親等以内の全てのノーム家血族の爵位を剝奪したため、爵位取り消しになった人数は106人に増えた。
12月25日分 六王湖国内国外航空の旅客機が消息を絶つ
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 20日にバリグの飛行場を出発した六王湖国内国外航空の旅客機が消息を経ったと25日、運輸省航空運輸局が発表した。

 航空運輸局の発表によると、同機はバリグ発、ギッザス、ストラテ経由のカルタグ行きの便で、乗員乗客242名を乗せていた。同機の所在は未だ不明で、墜落したのかどうかも判明していない。皇国回廊から22ゲイアス南方を掠める航路であることから、偽帝軍の攻撃を受けた可能性もありえるという。

 航空運輸局は、同機の所在について広く情報提供を呼びかけると共に、空軍に協力を要請し、一刻も早い事態の解決に務めるとしている。
12月26日分 アーキリア国刑務所でまたもや集団脱走 今年三度目
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 アーキリア国南西部オーヨ州の刑務所が24日に襲撃され、約400人の囚人が逃げ出したと盟友通信などが伝えた。6月に今年2度目の集団脱走を許した同国の警察のさらなる失態に、市民は警察の治安維持能力に関して強い不信感を抱いている。

 盟友通信によると、24日の昼過ぎに刑務所の下水管が突如破裂し、刑務官らがそれの対処に追われている間に囚人が2、3名ほど脱走、脱走した囚人は詰所を襲うと武器弾薬と監獄の鍵を奪取し、仲間の囚人400人の脱走を支援したという。下水管の破裂に対処していた刑務官らが脱走に気づいたのは詰所が襲われてから1時間後だったという。

 アーキリアでは3月にハユタ州の刑務所をトーロック団などの大規模犯罪集団が襲撃して約2200人の囚人が逃亡した他、7月にはバースラーン州でも警察署が重火器で武装したラオデギアファミリーによって襲撃され、警官などに112人の死傷者を出した末、60人の囚人が脱走したばかりだった。盟友通信は今年11月までに脱走した囚人の数は去年と一昨年を足した数よりも多いとしてアーキリア警察の対応を批判している。
12月27日分 貴族艦隊の合同観艦式が開かれる バリグ工業城塞
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 貴族院が主催する、貴族艦隊の合同観艦式が27日、バリグ工業城塞の壁外軍港区上空で開かれた。集まった艦隊が軍港区の周辺をゆっくりと周回し、バリグ市民や観光客らが記念撮影を楽しんでいた。

 観艦式にはダットファング艦隊やモイピック艦隊、ダーライダ艦隊など全12艦隊が参加。軍港区上空を3時間に渡って周回した後、軍港に入港した。なお、二重艦隊保有問題があるデシュタイヤの2艦隊は娘の方が参加した。

 5回目となった今回は「忠誠の美」と題し、4月の叛乱事件の際に撃沈したノイガラート艦隊旗艦のグロアール級「ド=アルボー」を修復して隊列に加え、12艦隊の旗艦による一斉射で完全に破壊するというパフォーマンスを行った。参加艦艇には叛乱において「ド=アルボー」を沈めたモルゼア艦隊の旗艦、ディル級「アドミラーレ・モルゼアⅢ」や撃沈数30を誇る改ガルエ級臼砲駆逐艦「ボップトフルウント」も参加し、会場を盛り上げた。
12月28日分 第八回評議員選定会が始まる
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 ダットファング大宰相は28日、ノイガラート叛乱後の摂政評議会の暫定的体制を終了することを宣言した。これに伴い、8回目の評議員選定会が始まる。

 大宰相は「名家であったノイガラート家が叛乱したことにより、摂政評議会の信頼は非常に損なわれてしまった。その信頼回復のために皇帝陛下が評議員を直接使命する暫定的体制をとっていたが、問題のない運営を重ねて目立った批判も見られないことから評議会の信頼は回復されたと判断し、この体制を終わらせ、改めて評議員の選定を行う」と宣言した。評議員選定会は1日から行われる。被選定権を持つ子爵以上の貴族の中から44名を、皇帝陛下と選定権を持つ騎士以上伯爵以下の貴族が選ぶ。選定会は3日までに終了し、新しい評議員を確定させる。
12月29日分 リッヘンフルゲンで男女二人の学生の死体が発見
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 マリ=デュ=オーブル行政区リッヘンフルゲン市の居住塔の一室で入居している女子学生(17)が首を切り取られた状態で発見された。また、居住塔内部の吹き抜けの底に背部を切り裂かれた男子学生の遺体が見つかっている。マリ=デュ=オーブルの統合警察は、同一人物の犯行とみて捜査を進めている。

 統合警察によると、29日7時ごろ、女子学生宅に遊びに行く予定だった友人が室内で女子学生の遺体を発見。遺体は頭部がなく、また腹部付近には複数の刺し傷があったという。

 同日10時過ぎ、通報を受けて駆け付けた警察が塔全体を捜査していたところ、吹き抜けの一番下、ゴミ溜めになっているところで女子学生宅の反対の部屋に住む同じ学校に通う男子学生の遺体を発見。脊髄を断ち切るように背部を大きく切り裂かれており、その場で死亡が確認された。

 同塔に住む120代の女性は「どちらも3代前からこの塔に住んでいる家族で、仲のいい間がらだったと思う」と語り、「突然のことで一体何が起きたのか分からない」と困惑した様子で話した。
12月30日分 簒奪政府が自律無人機の実験を行う
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 簒奪政府のノイエラント新報は30日、簒奪政府の首輪付きテクノクラートが先月28日に自律無人爆撃機の実験を行ったと発表した。軍事省のヨハネン・フォン・ゲーベルト大臣は「自律機の研究をしていた技術者は全て我々の側にあり、彼らに残された技術で自律機の開発ができたとは思えない。もし開発できたとしても基礎技術がないわけだから、彼らが作った自律機とやらはよく調教されたクルカが操縦しているのだろう。」と語った。

 ノイエラント新報によると、簒奪政府は先月28日にガルーデア砂漠で実験を行い、SR自律偵察機を改造した無人爆撃機を3時間ほど規定のコースに沿って周回させたあと下降させ、爆撃目標を認識させる試験を8回行った後、それら8体の標的に爆撃し、全標的の破壊に成功したと伝えた。

 テクノクラートのS.N.ゴーグ氏は30日の記者会見で、「今回の実験は簒奪政府が自らの技術力が衰えていないことをアピールするためのフェイクにしか過ぎない。我々が自律機開発を目指すのとは全く意義が違う。」と強調。ただし、「我々は常に最新の技術を持ち合わせており、完全に無人で任務を遂行できるSR自律偵察機の第9世代の運用を開始している。だが、これはバリグに移転する前に開発済みだった技術であり、もしあちらにその時の資料が残っていればそこから研究を進めることができるかもしれない」と語った。

 一方、簒奪政府の首輪付きテクノクラートの報道官は29日の定例会見で「今回の試験は、我々の兵器開発史に新たなページを挟むものだ。新鋭の無人機を多数開発、配備運用することにより、人的損害を最小限に抑えつつ、北の蛮民に懲罰を与えることができる。」とした。
  • ちゃっかりジャランパサが出てて草 - Astalos (2022-10-04 11:13:52)
最終更新:2025年04月05日 22:13