ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

Song for friends

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Song for friends ◆UcWYhusQhw



タンタンと規則正しい音がある暗い一室に響いている。
その音を奏でているのはこの儀式のプレイヤー、神崎黎人
彼は格調の高い椅子に深く腰掛け、指でこれまた格調の高いテーブルを叩いている。
神崎は自室にて今までの儀式の経緯を休憩がてら確認していた。
しかしながら今の状況は余り芳しくないのだ。
無意識に鳴らしている指と微かに曇っている顔がそれを如実に表していた。

(全員集まったか……)

その原因になっているのは教会に反抗している参加者が全員集合してしまった事。
あれだけ散らばっていた参加者が凪の到着を機に続々と集結し始め遂に14人全員集まってしまった。
それに今、数々の情報を持っている九条むつみも教会に向かっている。
状況的には不利になっていく一方だ。
それに何故か

(深優の反逆を境に吾妻玲二もそれに同調し……ユメイ羽藤桂によって折れ、山辺美希は方針の通り生存の見込める方に鞍替えと……殺し合いに乗る者が次々に鞍替えをしていく)

殺し合いに乗っていた者が次々と反逆していくのだ。
深優の反逆に玲二が同調。
その後、ユメイ、美希と次々に鞍替えしていき殺し合いに乗っているものは現在来ヶ谷唯湖しか居ない。
6時間の間に4人もの殺し合いに乗った人間が反旗を翻したのだ。
せめて朽ち果てればいいものの反逆したら邪魔でしかない。
それに

玖我なつき深優・グリーアと杉浦碧の覚醒、大十字九郎とアル・アジフの合流、凪の開放……本来の実力を取り戻す人間も増えている)

この6時間の間にHiME達がチャイルドを呼び戻せるようになり力を増している。
本来の契約関係である大十字九郎とアルアジフも合流し凪も一番地の因縁から解放されていた。
怪我を負っているものもいるが本来の力を取り戻す人間が増えてきている。
それに、ユメイとアルの力である程度は回復されるだろう。
つまり反逆者達は着々と力を得ていた。

(しかし……この短い間に余りにも彼らにいい様に運命が動いている。不自然といっても可笑しくないぐらいに)

神崎は溜め息をつきながらこの推移に疑問を思ってしまう。
余りに事が綺麗に反逆者に良い様に動いているのだ。
まるで神が操作している様に……

(馬鹿な……彼女はプレイヤーの座から降りた。それでこそ幻想だ)

その邪神の邪悪な笑みをを頭を振って否定する。
自身の弱気から出た単なる逃げでしかない。
落ち着くように紅茶を一口飲み、深呼吸をした。

神崎は自分の手元に居る駒を確認するように今度は意識して指を規則正しく鳴らし始める。
まずは自身の妹である命。信頼できる。
つぎにエルザ。怪しいそぶりもあるが……まぁ信頼できるだろう。
ついですず。これ忠誠心の欠片も無いが如月双七の死がばれるまで騙しきる事は可能だろう。所詮獣だ。
この3人はいまの所、自由に使える駒であろう。

そしてシアーズ財団の面々だ。
従っているに見えるが……何処か怪しい。
何をしているか証拠がつかめないが。
警戒に値する駒だ。

最後に言峰綺札。
毒にしかならない駒。
排除できるのならしたいが……まあ今はおいておく事にしよう。


(確かに自由に使える駒は少ない……が)

そこで神崎は考えていたある一案を思い出す。
自由に使える駒は少ないといえる。
だが。

(無いならば増やせばいいだけだ)

無いならば増やせばいい。
盤面に一つだけポツンと浮いている駒がある。
これは味方とも敵ともいえない第三の駒。

「来ヶ谷唯湖」

参加者の中で未だに殺し合いに乗り続けている者。
クリス・ヴェルティンの為に罪を重ねている人間。
武装も豊富で身体能力の中々の彼女。

その彼女を。

「汲み取るか」

取り入れようとする。

このままだと来ヶ谷唯湖は教会に到着しクリスと会うだろう。
そしてそこで死を選ぶかまたはクリスに説得されるか。
それが誰でも予想できるシナリオの流れ。
だが……

「全てが流れ通りなど……詰まらないだけだ。全て『貴方』の言う通りのシナリオにはさせませんよ」

そう神崎は言い椅子から立ち上がる。
その言葉は何処かで見ている『彼女』に言うように。

「しかし、来ヶ谷唯湖……彼女も愚かだ。彼女はちゃんとした肉体があるというのに。彼女の勘違いだというのに……本当に愚かだ」

そう、唯湖の事を言って。
神崎は強い意志を持ち部屋から出た。

神崎の心にあるのは一つ。

儀式を完遂させる。

唯。

それのみだった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「ふう……」

私――来ヶ谷唯湖――は碧君から離れた後、学校に行き休憩をとっていた。
この学校は風華学園という名前で私は水晶宮という場所で休んでいる。

何か……疲れたのだ。

碧君は怒っていた。

当然か。

私はエゴ故に殺していたのだから。
生を侮辱しているのかもしれない。


だが。

だがな。

私は生きれないのだよ。
もう、本当の肉体など無いのだから。

だから最後の我が儘。

クリス君の為に。
私の為に。

彼の胸で死にたいんだ。


千華留君は言った。

生きなさいと。

リトルバスターズを継げと。

無理だというのに。
私にはその資格などないと言うののに。
私は捨てたのだから。

理樹君を。
鈴君を。
恭介氏を。
真人少年を。
謙吾君を。
千華留君を。

彼らが繋いできたリトルバスターズを捨てたのだから。
永遠に不滅のリトルバスターズを捨てた、愚か者だからだよ。

彼らは私を軽蔑するだろう。

リトルバスターズの代わりができそちらに鞍替えをした私を。

クリス君の為にリトルバスターズを捨てた私を。


それで居て構わない。

許してもらいたくない。

私が選んだ道なのだから。

クリス君の為に。


許されてしまったら。
どうすればいいか分からないというのだから。


だから私は最後まで罪人でいい。

愚か者でいいんだ。


そうではなかったら……私は……

……私は……


「聞こえてるかい……? 唯湖さん」
「……っ!?」


突如聞こえてくる声に私はハッとする。
穏やかそうな声で何処か邪悪な声。

この声は……

「神崎黎人!」
「そうだよ、唯湖さん」

主催者、神崎黎人。
突然聞こえてくる声に私は動揺する。

何故、私単独で話しかけてくるのだろうか?

流石に解らなかった。

「さて、唯湖さん。君はクリス君の為に殺し合いに乗ってるんだね?」
「……ああ、そうだ」

神崎の問いに私は答える。
彼にクリスの名前を出されるのが苛立たしい。
それが嫌で

「さっさと用件をいったらどうだね? 神崎氏」
「……おや、物分かりがいい人だ」

私は彼に用件を聞く。
戸惑ったが、よく考えれば直ぐ答えが浮かぶ。
こんな単独な私に接触するなど用件が無ければありえない。
そして、私は彼にとって都合がいい人材であるはずだ。
殺し合いに乗っているのだから。

「では、単刀直入に言おう。此方の駒になってもらうと思う。君を僕の手元に置こうと言う事だ」
「……はっ? 何を馬鹿を言ってるのだね。私が殺し合いに乗っている理由がわかっているのだろう?」
「ああ、だから全てが終わった後に安全にクリス君に会わせてあげようという事だ。それまでは僕に従って欲しい。その後に望みどおりにしてあげよう」
「つまりは……一旦そちら側に来いと言うことか」
「簡単に言うとそうだね。物分かりが早くて助かるよ」

つまりは神崎の駒になると言う事。
しかしだ……クリス君の安全が確かではない。
では……何故?


……そうか。

「……つまりは現状、殺し合いに乗ってるのが遂に私一人になったんだな、だからこそクリス君が安全と言い切れるのか」

思いついた答えはひとつ。
それは私以外殺し合いに乗ったものが消えたと言う事。
もう大局は決まったのだろう。
つまり殺し合いを打破しようとしている人間の方が圧倒的に多いという事だ。
私以外殺し合いに乗ってないのだからクリス君が安全に決まっている。
そして、私を手元に置く意味……それは彼らが主催陣営に殴り込みをしようとしているからだ。
首輪も何とかできたのだろう。
だから、駒として欲しい。
彼らを撃退する役目として。

そういうことだ。

「……唯湖さんの察しの通りさ。どうだい? 従えば僕達からクリス君を襲う事はしないよ」

神崎は私がわかったことを察して提案してくる。

成程悪くない。


……だが。


「……ふふふふふ」
「……?」

……だがな。


私は。


愚か者だ。
罪人だ。


だがな。


「悪いが……神崎……ふざけるな」
「……なっ!?」


ああ、久しぶりだ。
こんな怒りは。

全身から怒りが湧き出ていると感じるのは。


「確かにクリス君の下で望みを果たせるかもしれない。しかしな。神崎。貴様は忘れている」
「……何をだ」
「直接的な原因は無いかもしれない……だが貴様のせいで……理樹君が! 鈴君が! 恭介氏が! 真人君が! 謙吾君が! 死んだんだ!
 私はリトルバスターズを最初に壊そうとした奴におめおめと下るほど……落ちぶれては居ない!」
「……」
「私は……私自身の力でクリス君の為に! 自分自身の為に! 全てをかける! 貴様の手など借りるものか!」


そうだ。

神崎は。

理樹君を。
鈴君を。
恭介氏を。
真人君を。
謙吾君を。

殺す原因を作ったんだ。
リトルバスターズが壊れる原因を!

私は……そんな奴に下りたくは無い!


彼らに申し訳ない。
彼らの生を死を侮辱したくない!

私は。

それでも。

まえは彼らは掛け替えの無い仲間だったんだ!


そんな仲間の生を。

これ以上侮辱したくは無いんだ。

それにクリス君のことは私のエゴだ。

私は自分自身でそれをやり遂げる事に意味があるのだというのだから。

だから私は従わない。


「ふん、来ヶ谷唯湖……ならば君の首輪を爆破してもいいんだよ。一人だけなら許されている」
「勝手にすればいい」

クリス君の下で逝けないとしても。

私は。
これ以上侮辱してくはないんだ。

だから。
だからこそ。

私はひか……


「……それならばクリス君の首輪を爆破しよう」
「……!?」


………………な。


ば、馬鹿な。


クリスく……んを?


「嘘だ。クリス君は首輪を……」
「しているよ。嘘だと思うのならそれでいい。次の放送で彼が呼ばれても知らないがな」
「……くっ」



そ……………………んな。


わたしのせいで……クリス君が…………?


それは……

そんな……


「可哀想だな。クリス君は。君のせいで死ぬのだから」


やめ………………ろ。


そんな事いうな……

言わないでくれ。


やめ……………………ろ

「やめ……ろ」
「来ヶ谷唯湖。君は逆らう術は無いのだよ、君がクリス君の生を望む限り、君は僕に逆らえない」



く…………そ……。


すまない……皆。


私は。

私は…………

皆の生を侮辱する事になったとしても。
皆を死を侮辱する事になったとしても。

それでも……



それ……でも。


クリス君が。


「わかった……神崎氏……従おう。好きにするがいい」



――――好きなんだ。生きて欲しいんだ。




すまない……
すま……ない……


理樹君。
鈴君。
恭介氏。
真人君。
謙吾君。


すまない……



「ふむ、唯湖さん。最初からそうすればよかったのだよ。生徒会室に行け。そこから僕達のいる場所にいける」
「……わかった」
「……では、また後で」

そして神崎の声は消える。



私は……泣いていた。


哀しくて。
苦しくて。


私は……

もう


救いようの無いほどの愚者なんだな……

罪人なんだな……


すまない……許してくれ。


でも……

私は……

クリス君の為に……



愚者で居続けよう。
罪人で居続けよう。


だから、

理樹君。
鈴君。
恭介氏。
真人君。
謙吾君。


リトルバスターズ。

そしてクリス君。

私を。

私を絶対に許さないでくれ。


主催者に下った私を。


なぁクリス君

……待ってるよ。


君が罪を裁くのを。
君が私を殺すのを。


君たちが許さない主催者の下で。


……待ってると。



この水晶宮で。

歌を送ろう。


「ラララララ……ラララ」


この歌は大切だった友の為に。


リトルバスターズだった来ヶ谷唯湖が。

さらなる愚者に落ちる前に。


死んでいった友の為に。


送る……鎮魂歌。


もう、私は戻る事ができないだろう。


だから、この最後に。


友に送ろう。


理樹君に。
鈴君に。
恭介氏に。
真人君に。
謙吾君に。


謝罪と。
感謝と。

全ての思いを篭めて。

リトルバスターズ『だった』来ヶ谷唯湖の思いを全て篭めて。


歌を歌おう。



ありがとう。
御免なさい。


そして――――さようなら。


「ラララ……ララ……ラ……」


涙……

涙が溢れながら。


私は……クリス君の断罪を待って。


リトルバスターズから『永遠』に離れていった。



【???/主催基地に行く途中/2日目 昼】



【来ヶ谷唯湖@リトルバスターズ!】
【装備】:S&WM37エアーウェイト(1/5)デザートイーグル50AE(2/7)@Phantom-PHANTOMOFINFERNO- カリバーン@Fate/staynight サバイバルナイフ
【所持品1】:支給品一式×13、デザートイーグル50AEの予備マガジン×3、S&WM37エアーウェイトの予備弾(×5)
     オペラグラス、マスク・ザ・斉藤の仮面@リトルバスターズ! 首輪×4(蒼井、橘、鉄乙女)
     RPG-7V1(弾頭1/1)、OG-7V-対歩兵用弾頭×2、斬妖刀文壱@あやかしびと?幻妖異聞録?、89式小銃(28/30)、
     鴉天狗秘伝の塗り薬(90%)@あやかしびと?幻妖異聞録?、不明支給品1?2(確認済み)
【所持品2】:ナイトゴーント@機神咆哮デモンベイン、斧、投石器、ウィルス@リトルバスターズ!、S&W M38(0/5)、37mmスタンダード弾×5発
     工具一式、拡声器、第1次放送時の死亡者とスパイに関するメモ、放送案の原稿、黒須太一の遺書、ウィンフィールドのメモ、
     ゲーム用メダル400枚@ギャルゲロワ2ndオリジナル、ICレコーダー
【所持品3】:イタクァ(5/6)@機神咆哮デモンベイン、スプリングフィールドXD(9mm4/16)、理樹の制服、トランシーバー
     銃の取り扱い説明書、草壁優季のくずかごノート@ToHeart2、鎮痛剤(白い粉が瓶に入っている)
      ハサンの髑髏面、女物の下着数枚、木彫りのヒトデ6/64@CLANNAD、聖ミアトル女学院制服@StrawberryPanic!
      地獄蝶々@つよきす-MightyHeart- 我埋葬にあたわず@機神咆哮デモンベイン
      Love&Spanner@CLANNAD、 アルのページ断片(シャンタク)@機神咆哮デモンベイン、包丁
【状態】:深い哀しみ、脇腹に浅い傷(処置済み)、全身に打ち身、膝に擦り傷、髪を後ろで結わえた
【思考・行動】
 基本:クリスを護る為、罪を重ねる為に殺し合いに乗る。そして最期にクリスに殺してもらう。
 0:すまない……
 1:クリス君、。
 2:クリスが彼女を殺さざるを得ない状況になるまで手を血で染める。
 3:人を殺し、哀しみの連鎖を進めるもしくは断ち切る。
 4:神崎黎人に従う。
 5:太一の遺言を叶える?(原稿をスパイに届ける) 。
 6:リトルバスターズメンバーに罪悪感。
【備考】
 ※精神世界より参戦しています。
 ※クリスは唯湖を殺す哀しみを負って生きてゆけると信じました。
 ※クリスはなにか精神錯覚、幻覚をみていると判断。今の所危険性はないと考えています。
 ※神崎黎人に従います。
 ※学校の生徒会から主催基地に行けます。
 ※彼女の肉体はしっかりとあり、かえる場所も有ります。


【神崎黎人@舞-HiME運命の系統樹】
 ※命のために擬似エレメントの製造を命令しました。弥勒は引き続き彼が装備します。
 ※凪が儀式の内容を話したペナルティのため、次の放送はナイアに任せます。
 ※唯湖を配下に加えました。
 ※首輪爆破は単なるブラフです。


243:FO(U)R(Ⅳ) 投下順 245:第六回放送――はじまり。
時系列順
238:この青空に約束を―(後編) 来ヶ谷唯湖 >第二幕へ続く
242:Alteration 神崎黎人



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