姿無き暴風が、街を駆け抜けていた。
“それ”は荒々しく、凄まじい勢いで疾走を続けていた。
そこに実体は存在しない。形があるはずもない。
だが、その暴風は確かに衆愚の街を吹き抜けていたのだ。
数多のビルの屋上を跳躍していき、街に吹き荒ぶ風の如く“彼女”は奔る。
アーチャーのサーヴァント、
ジャスティス。
彼女は霊体化した状態で街を駆け抜けていたのだ。
己がマスターを守るため、彼女は突き進む。
マスターである
前川みくから伝えられたのは僅かな念話のみ。
だが、その声は何かに酷く怯え恐怖していた。
マスターが何らかの危機に陥っていることは明白だ。
あれ以降マスターからの念話は届いていない。
マスターの安否はどうなっているのか、確認することは出来ない。
そのことがジャスティスの焦燥をより強めていく。
兎に角、みくの無事を祈るしかない。
今のジャスティスに出来ることは、一刻も早く彼女の元へと向かうことのみだ。
込み上げる焦燥を押さえ込み、ジャスティスはマスターの元へと向かう。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
「これは…」
路地裏へと足を踏み入れた
呉島光実は、『それ』の存在に目を見開く。
それはアーチャーが報告していた奇妙な植物。
蔦や葉が伸び、壁や通路を少しずつ侵食している。
そして植物から成っているのは紫色の奇妙な果実。
光実に取って見覚えのある――――それどころか、関わりの深い物体だった。
自分達ビートライダーズはこの植物から育つ果実の力を使い、戦っていたのだから。
ぽつりと光実の口から言葉が溢れ出る。
異空間『ヘルヘイムの森』に生息するはずの植物が、何故此処に存在している。
《その植物について知っているようね》
《ああ、これは異世界…ヘルヘイムの森に生息する筈の植物だ。
見覚えがあるなんてものじゃない。こいつは僕達の世界に存在していたはずなんだ》
《ヘルヘイムの森…》
《ひとまず、詳しい説明は後にするよ》
サーヴァントであるアーチャーの呼びかけに対し、僅かに動揺しつつ念話を返す。
そして光実は懐から取り出した戦極ドライバーを装着し、植物から成る果実をもぎ取る。
果実は光実の手の中で変形、そして錠前の様な物体へと変化する。
ロックシード。ドライバーによって無害な形へと変化した果実の成れの果て。
これはその中でも最低ランクとされるヒマワリロックシードだ。
ドライバーを装着した状態で手にした果実がロックシードへと姿を変えた。
その点を鑑みるに、やはりこれはヘルヘイムの植物そのものだろう。
アーチャーの話からこのゴッサムシティが仮想空間であるということは聞いている。
何故ヘルヘイムの植物が存在するというのか。
ユグドラシルタワーがゴッサムに存在するように、ヘルヘイムの植物でさえ再現の対象となったのか。
何らかの理由でヘルヘイムの侵食が仮想空間にさえ及んでいるのか。
それとも―――――――。
(傷痕…爪で抉った様な痕だな…)
ふと、光実が路地裏を挟むビルの壁を見つめる。
まるで鉤爪で引き裂いた様な奇妙な『傷痕』が出来ているのだ。
その時、光実の脳裏をあるものが過る。
ヘルヘイムとは世界を蝕む侵略者だ。
あらゆる世界を文明ごと侵食し、森と同化させる。
言わば時空を超えた外来種。
その森に飲み込まれた世界は同じヘルヘイムの森と化すのだ。
そして、森に成る果実を喰らった生物は遺伝子に変化が起こる。
森に適応した怪物へと変化し、森の植物の種子を運ぶ存在となるのだ。
その名はインベス。光実の脳裏を過ったものの正体だ。
このゴッサムにヘルヘイムの植物が存在するというのならば。
インベスが存在していたとしても、全く不思議ではない。
果実が身を付けているというのならば尚更だ。
この聖杯戦争にはヘルヘイムが絡んでいるというのか。
奴らはどこまで絡んでいる。
この世界でさえ侵食の対象に過ぎないのか、あるいは会場そのものが森に関係したナニカに過ぎないのか。
もしかすると、あのオーバーロードでさえも何らかの形で聖杯戦争に絡んでいるのか。
疑問は尽きないが、今は情報が少なすぎる。
眉間に皺を寄せ、足下に広がる植物を見渡す。
予想外の存在に驚愕と動揺を隠せず、光実は植物が繁殖する路地裏を見渡す。
そして、その通路の奥で――――あるものを目にする。
「…前川さん?」
植物の中に紛れるように転がっていたもの。
それは少し前に喫茶店で目にしたばかりの、猫のキーホルダーが付いた鞄。
ダンスチームの件に関する口止めの為に相席した後輩が持っていたモノだった。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
必死に走っていた。
口から荒く乱れた息を何度も零し。
細い身体を乱暴に揺らし。
恐怖に歪んだ表情を顔に貼り付け。
前川みくは、無我夢中で走り続けていた。
「はぁ―――はぁ―――はぁっ――――!」
空き缶や新聞紙といった足下のゴミを気にも留めずにみくは走る。
いつの間にか鞄を落としてしまったが、気にしている余裕などない。
足下に広がる『奇妙な植物』にも意識を向けることはない。
迷宮と錯覚してしまう程に入り組んだ路地裏の中を逃げ続ける。
自らを殺さんと追ってくる“追跡者”から逃れるべく、彼女はただ只管に走る。
そう、みくは追われているのだ。
人に似たカタチをした白緑の怪物が、彼女を殺さんと迫っている。
獰猛な鉤爪を何度も振るい、壁や地面を引き裂きながら激しく追い立てる。
路地裏が入り組んでいたこと、そして元の世界におけるアイドルのレッスンで培った運動神経。
それらのおかげでみくは辛うじて無傷のまま逃げられていた。
尤も、今の彼女には背後を振り返る余裕さえ無い。
逃げることだけで精一杯だ。
最早念話を飛ばすだけの余力も失われている。
みくの消耗は次第に蓄積していた。
冷静な判断力が次第に失われていく。
肉体の疲労が着実に蓄積している。
このまま、本当にあの怪物から逃げられるのか。
否。みくが追い付かれるのも時間の問題だろう。
じきにあの怪物が追い付く。
そして、彼女の柔な肉体は容易く引き裂かれるだろう。
前川みくに戦う術はない。その覚悟もまだ引き締められていない。
ただの無力な少女であるみくには、どうしようも出来ない。
(何、なんで、なんなの、あれ、なんなの)
故に彼女は戦く。
己の理解の範疇を超えた存在への恐怖に。
一度も味わったことのない死の恐怖に。
何でこんなことに?
あれは何なの?
どうして追われているの?
怖い。怖い。怖い。怖い。
嫌。嫌。嫌。
殺されるのはイヤ。
死にたくない。
死にたくない。
死にたくない!
「あっ……!」
そんな恐怖に蝕まれていた最中、みくの身体が沈んだ。
地面に伸びていた蔦に足を取られ、前のめりに転倒したのだ。
すぐに立ち上がろうと必死に地面を這いつくばる。
早く逃げないと。早く立ち上がらないと。
恐怖の涙を零しながら、彼女は必死に動こうとする。
だが、転倒によるたった一瞬のタイムロスが彼女にとっての命取りとなる。
「―――――あ、え」
振り返ったみくが目の当たりにしたもの。
それは這いつくばる自分を見下ろす怪物。
自分をずっと追い掛け続け、殺そうとしてきたバケモノ。
「あ……いや……ぁ…………」
――――逃げられない。
そう認識してしまった瞬間、みくは腰を抜かしてしまう。
おぞましい呻き声を上げ、怪物はゆらりと迫ってくる。
獰猛で鋭利な鉤爪を引きずり、こちらを見下ろしてくる。
いや。
こないで。
やめて。
こわい。
たすけて。
しにたくない。
混乱するみくの脳内に無数の言葉が渦巻く。
だが、現実は非常だ。
恐怖の余りまともな思考さえ出来なくなる少女に対し、人の道理が通じぬ怪物が容赦をする筈が無い。
怪物は、みくを殺すつもりなのだから。
怪物が、鉤爪を持つ右腕をゆっくりと掲げ。
そしてみく目掛けて、振り下ろす――――――。
「嫌ぁっ――――――――――――――!!!」
目を瞑り、頭を抑えてみくは叫ぶ。
死にたくない。死にたくない。死にたくない!
最後の足掻きと言わんばかりの悲鳴を、路地裏に響かせた。
だが、現実は。
『――――ブドウアームズ!』
『――――龍・砲!ハッ!ハッ!ハッ!』
「えっ?」
予想もしない方向へと進む。
間の抜けた謎の音声に呆気に取られていた矢先。
突如銃撃音が響き渡り、背中に攻撃を受けた怪物が怯んだのだ。
驚愕と共に振り返った怪物。
呆気に取られるみく。
二人が視線を向けた先に立っていたのは、緑の鎧を身に纏った戦士。
その右手には拳銃を握り締め、怪物へと向けている。
彼の姿にみくは覚えがあった。
直接知り合っている訳でもなく、目にしたことがある訳でもない。
ビートライダーズのダンスを見に行くよりも前に風の噂で聞いたのだ。
突如姿を現し、犯罪者を蹴散らして治安を守っているヒーローの存在を。
そのヒーローの存在によってビートライダーズは今もダンスを続けられていると。
その名はアーマードライダー龍玄。
ビートライダーズの活動地区に突如現れたとされる戦士。
悪を打ち払う、正義のヒーローだ。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
(やっぱりいたか…インベス)
アーマードライダー龍玄に変身した光実は、今まさにみくを襲わんとしていたインベスを銃撃した。
アーチャーには路地裏を挟むビルの屋上から周囲の警戒に当たらせている。
光実はインベスの相手ならば自分一人で十分だと考えたのだ。
それに、下手にサーヴァントの存在を晒したくもなかった。
何故、わざわざ駆け付けてしまったのだろう。
前川みくの鞄を発見した後、光実は急いで路地裏を走りこの場まで駆け付けてしまった。
何故恩も借りもない相手をわざわざ走って助けに来てしまったのか。
自分でも理由は解らない。本当に今日の自分はどうかしているのではないか。
そう思ってしまう程に突発的な行動だった。
とにかく、理由は後でいい。
今は目の前のインベス退治が優先だ。
「来い。お前の相手は、この僕だ」
その身に銃撃を受けたインベスが振り返り、龍玄へと睨みかかる。
インベスの注意は完全にみくから龍玄の方へと向けられている。
アーマードライダーとインベスが睨み合う。
沢芽市で何度も繰り広げられた戦いの再現と言わんばかりに、互いが己の武器を構える。
先に動いたのはインベスの方だった。
鉤爪を備えた片腕を構え、龍玄へと迫ったのだ。
龍玄は振り下ろされた鉤爪を身体を回転させるように回避。
そのままインベスの背後を取り、片手に握り締めた銃『ブドウ龍砲』による銃撃を行う。
インベスの背中に直撃したエネルギー弾が火花を散らす。
怒り狂ったように方向転換し、何度も切り掛かろうとしてくるインベス。
龍玄は冷静にブドウ龍砲を振るい、それらの攻撃を凌いでいく。
こうして純粋にインベス退治を行うのも、いつぶりなのか。
脳裏を過るのはアーマードライダー鎧武――――葛葉紘太の姿。
彼と共にインベスと戦い、ビートライダーズとしての縄張りを守った過去。
皆でダンスを踊り、笑い合えることの出来た日々
あんな風に自分達は日常を守り、大切な仲間達と共に平穏を過ごせると思っていた。
舞さん――――高司舞の笑顔をずっと見られると思っていた。
だが、そんなものは幻想だった。
全ては、憧れていた筈のあいつのせいで。
「――――ッ!」
追憶によって僅かに気を取られた龍玄が、その身に鉤爪の斬撃を受ける。
胴体の装甲から火花を散らし、僅かに怯んだ龍玄に更なる攻撃を叩き込まんとインベスが右腕を振るう。
「くそッ!」
龍玄は振るわれた鉤爪を咄嗟にブドウ龍砲で防御。
そのままインベスを右足で蹴り飛ばし、一先ず体勢を整えることに成功する。
蹴りによって転倒したインベスが立ち上がろうとした矢先。
ブドウ龍砲から放たれた無数の弾丸が全身に叩き込まれる。
強烈なダメージに耐え切れず、インベスは勢いよく地面を転がっていく。
「このまま、一気に終わらせる…!」
『―――ハイィーッ!』
『―――ブドウ・スカッシュ!』
龍玄が狙うは短期決戦。
何とか起き上がったインベスに対し、龍玄はドライバーのカッティングブレードを動かす。
直後に構えられしブドウ龍砲の銃口に、ブドウの果実に似たエネルギーが収束していく。
ドラゴンショット。無数のブドウ型のエネルギー弾を対象に向けて放つ、アーマードライダー龍玄の必殺技だ。
危機を察知しながらも突撃してきたインベスに照準を定め。
そのまま、引き金を引かんとした――――。
《マスター、聞こえる!?》
しかし、龍玄の動きは思わぬ声によって止められることになる。
自身のサーヴァントであるアーチャーからの念話だ。
こいつ、肝心な時に―――僅かな苛立ちを覚えつつ、龍玄はアーチャーの念話に返答する。
《どうした、アーチャー!?》
《サーヴァントの気配が迫ってきている!姿は確認出来ない、恐らく霊体化した状態で―――――――》
念話を伝えるアーチャーの声はどこか焦っている様子だった。
それもその筈だ。彼女の報告とは、サーヴァントの接近。
この場に『敵』が迫ってきているというのだ。
インベスに加えて、サーヴァント。
アーチャーの言い様からしてこちらに迫っていることは確実らしい。
戦闘の匂いを嗅ぎ付けてきたのか。
あるいはアーチャーの気配を察知したのか。
龍玄は動揺しつつ舌打ちをし、目の前に迫るインベスに対処しようとした。
《マスター!伏せてッ!!》
ほむらの言葉を耳にし、咄嗟に身を伏せる龍玄。
瞬間、横一閃の斬撃が放たれる。
両脇のビルの壁に大きな裂傷が生まれ。
回避の遅れたヘキジャインベスの首が、勢いよく吹き飛ばされた。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
奴は危険だ。
この世界に破壊を齎す悪魔だ。
闇の騎士は市街地を駆け抜ける。
その姿は誰にも見られることはない。
サーヴァントとしての能力、霊体化によって実体のない状態へと変化しているのだから。
あのアーチャーは危険だ。
混沌を好み、享楽の為に犯罪を犯す
ジョーカーとは別種の脅威だ。
ただ純粋に人類の敵として君臨する『破壊神』の姿を見た。
自身の宝具『衆愚の街、背徳の翼』は機能していない。
本来ならば夜間のゴッサムシティを再現し、その中で有利な補正を受ける固有結界だ。
だが、会場のゴッサムと融合した結果その性質は変化している。
機能するのは『夜間』のみ。日没から夜明けまでの間、能力補正が自動発動する宝具と化しているのだ。
故に彼は補正を受けられぬまま、ジャスティスを追跡していることになる。
だが、奴を野放しにする訳にはいかない。
まだ気配を感じ取れる内に、奴を追跡しなければならない。
狂気に触れし闇の騎士は、勝算無き戦いへと赴く。
全てはこのゴッサムシティを護る為に。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
首を切断され、崩れ落ちるインベス。
驚愕の表情でそれを見つめていた龍玄は、背後に出現した気配に気付く。
振り返った先にいたのは、刀剣状の片腕を備えた『怪物』。
インベスの首を切り落とした張本人―――サーヴァント。
霊体化を解除し、右腕に形成したミカエルソードによってインベスを斬首したのだ。
鮮血のような紅い長髪。
怪物じみた威圧的な巨躯。
強靭な尾や鉤爪を備える獣じみた肉体。
機械にも似た白亜の外殻。
それは怪物という他無い異形の姿だった。
人間の手で生み出された殺戮兵器――――ジャスティス。
此度の聖杯戦争においてアーチャーとして召還されたサーヴァントだ。
ジャスティスはちらりと背後へ視線を向ける。
奇妙な植物の茂る地面の上で腰を抜かし、怯えた表情で震える前川みくの姿が視界に映った。
みくは恐怖の余り声も出せないのか、ただ呆然とこちらを見つめているのみだ。
そんなマスターを尻目に、サーヴァントであるジャスティスはもう一人の戦士へと目を向ける。
「サーヴァント…!」
「…マスターか」
よろよろと立ち上がりながら呟いた龍玄の言葉に対し、ジャスティスはぽつりと呟く。
この鎧の戦士はジャスティスを目にし、『サーヴァント』という単語を零した。
通常の科学技術とは異なる武装に加え、サーヴァントに対する知識。
それだけでも龍玄が聖杯戦争の関係者であるという証明になる。
そして、感じ取れる魔力は精々常人と大差ないレベル―――このことから相手はマスターであると判断した。
龍玄――――光実は仮面の下で動揺の表情を浮かべる。
腕が微かに震えている。
凄まじい威圧感に飲み込まれそうになる。
光実はそんな己の感情に薄々気付いた。
彼は目の前に現れたサーヴァントに対する恐怖を覚えていたのだ。
全人類への叛逆者に刻まれた呪いの象徴であるスキル『破壊神』。
全人類への叛逆者としての伝説が具現化した宝具『叛逆の王(ギルティギア)』。
それらの力により、ジャスティスは相対した人間に強大な畏怖と威圧感を抱かせる。
故に光実が恐怖という感情を覚えるのも無理はない。
ましてや、元の世界でオーバーロードの力を一度は目の当たりにしたのならば尚更だ。
正真正銘『全人類の敵』という存在の恐ろしさを既に脳髄に焼き付けられているのだから。
互いに睨み合いが続く。
龍玄は、ジャスティスは、殺意を秘めながら向かい合っていた。
二人は既に直感していたのだ。
目の前の相手は、敵であると。
「聖杯戦争の参加者ならば…貴様も敵、という訳だろうな。
良かろう、ならば―――――――――」
直後、ジャスティスの言葉は予期せぬ形で打ち切られることになる。
突如ジャスティスの目の前に『爆弾』が出現。
そのまま即座に起爆し、彼女の身体を飲み込んだのだ。
ジャスティスを爆炎が包む中、一つの存在がビルの屋上から飛び降りた。
霊体化を解除し、魔力で構成された肉体を形成。
己の肉体を実体化させた『少女』は漆黒の長髪を靡かせながら着地する。
サーヴァント、
暁美ほむら。
もう一人の弓兵(アーチャー)が姿を現したのだ。
「ほう、貴様が奴のサーヴァントか。ならば貴様も消してやろう」
「生憎だけれど、此処で消されるつもりは無いわ」
爆炎を振り払ったジャスティスが、再びその姿を露にする。
その身にまともな負傷は一つとして存在しなかった。
暁美ほむらが時間停止と共に仕掛けた爆弾は確かに直撃していた。
しかし、如何に直撃したと言えど手製の爆弾などジャスティスにとっては玩具に等しい。
闇の騎士の爆破ジェルに耐え切った肉体が、この程度で傷付けられる道理は無い。
相対する中、ジャスティスは暁美ほむらに宝具『叛逆の王』が機能していないことに気付く。
それもその筈だ。暁美ほむらは円環の理という概念に干渉し、神にも等しい存在となっていた親友を掌握した。
彼女は親友を愛の力で人間の座まで引き摺り下ろし、自分の理想の世界を作り上げてしまったのだ。
神をも穢し、世界を書き換える。
そんな所業を行える存在が果たして『人間』と言えるだろうか。
それは最早人の理を超えた『悪魔』と言う他ない。
彼女が人間として判定される訳がないのだ。
尤も、それでジャスティスが不利になるか――――と聞かれれば、答えは否だ。
純粋にステータスの差が歴然だからだ。
ジャスティス自身、己の実力には確固たる自身を持つ。
故に立ち止まるつもりはない。
ただ目の前に立ちはだかった敵を粉砕するのみだ。
迫り来るジャスティスを見据え、ほむらはその手に弓矢を出現させる。
『穢された願い(まどか・マギカ)』。
暁美ほむらを象徴する二つの宝具の片割れ。
改変されし世界で戦った魔法少女としての奇跡の具現。
そして魔法少女・鹿目まどかの使用していた力の再現。
ほう、とジャスティスは興味深げに声を上げる。
弓矢による武装。この小娘は大方アーチャーのサーヴァントだろう。
そう判断したのだ。
そして、弦より放たれた矢がジャスティスへと迫る。
ジャスティスは右腕を変形させた剣を瞬時に振るい、矢を掻き消す。
だが、尚もほむらの攻撃は止まらない。
一発が駄目なら、何発でも叩き込むのみ。
間髪入れずに二撃目、三撃目、四撃目、五撃目―――――次々と矢は放たれる。
それらはジャスティスに全て弾かれるも、彼女を少しでも足止めする手段としては機能していた。
マスターである光実は高い戦闘能力を持つものの、サーヴァントに対しては無力に等しい。
それ故にほむらが何としてでもジャスティスを止める必要があった。
(ありったけ、叩き込む――――!)
暁美ほむらは重火器を使わず、弓矢による攻撃を駆使していた。
元よりマスターならまだしも、サーヴァントに神秘の薄い重火器は有効ではない。
特に目の前の赤髪のサーヴァントには尚更効果は薄いだろう。
爆弾を直撃させたにも関わらず手傷を負わせられなかったのだから。
その上火器は数に限度がある。無駄撃ちによる消費は出来る限り避けるべきだと考えた。
しかし矢による射撃ならば別である。
宝具『穢された願い』で形成される弓矢は紛れもない魔術武器だ。
魔法少女の力によって発揮される真性の異能なのだ。
故に霊体であるサーヴァント相手にも相応の威力を発揮出来る。
宝具の片割れである『やり直しの願い』は奇襲や搦め手、敵マスターの攻撃において力を発揮する。
対する『穢された願い』はよりサーヴァント戦に特化した性能となっていたのだ。
それでも、勝算はあるのか。
何度も放たれる矢を剣で悉く弾きながら、ジャスティスはこちらに迫らんとする。
ジャスティスの足止めは多少なりとも行えている。
だが、結局の所今のほむらが行えているのはその程度のことだ。
矢による効果的なダメージは与えられず、その全てがいなされている。
ほむらは相対した瞬間から直感していた。
敵は強大だ。圧倒的な戦闘力を備えている。
実力の差は歴然だろう。
頬に一筋の汗を流し、ほむらは敵を見据える。
冷静な表情を装いながらも、内心では確かな焦りを抱いていた。
だが、ほむらは屈することはない。
自分はこの聖杯戦争に勝ち残らなければならないのだから。
愛する者をこの手で完全に取り戻す為に。
奇跡の願望器を、掌握しなければならない。
その為にも、屈するつもりなどない。
こんな所で、立ち止まってたまるものか―――――!
何度も放たれる矢によってジャスティスは足止めされていた。
一発一発をミカエルソードによって弾いていき、防いでいく。
本来ならばこの程度の攻撃、訳も無く突破出来るだろう。
だが、ジャスティスは魔力不足によって全力を出せぬ状況下にある
それに彼女の後方にはマスターである前川みくがいるのだ。
下手に矢を振り切れば、最悪マスターが射撃される可能性もある。
故にジャスティスは攻撃の一つ一つを確実に防いでいた。
そんな状況を好奇と見てか、ほむらは自らの番える矢により強力な魔力を込める。
連射による攻撃が止んだと見たジャスティスは即座に接近の体勢を取る。
これがほむらの狙いだ。
ジャスティスを引き付け、有りっ丈の魔力を籠めた矢で貫く。
通常の矢なら幾らでも凌げようと、全力を籠めた一撃ならばどうか。
ほむらは、接近せんとするジャスティス目掛けて照準を定め。
彼女を引き付けるべく、身構える―――!
「甘いな、小娘」
―――――瞬間、ほむらの身体が宙を舞った。
呆気に取られていたほむらは自身の状況に気付く。
凄まじい質量が猛烈な勢いで衝突し、自身は吹き飛ばされたということに。
ジャスティスは一瞬だけ魔力放出スキルを発動し、その加速の勢いを乗せほむらに体当たりを仕掛けたのだ。
余りにも突然だったが故に対処出来なかった。
矢で足止めされていたサーヴァントが、何の脈絡も無く凄まじい瞬発力を発揮したのだから。
「アーチャー!!」
吹き飛ばされ、路地裏の地面を転がるほむらを見て龍玄が声を上げる。
そのまま彼は咄嗟にブドウ龍砲を構え、照準をジャスティスへと向ける。
そして彼は、瞬時に引き金を引いた。
―――――ドラゴンショット。
先程撃ち損ねた必殺技だ。
無数のブドウ型のエネルギー弾が放たれ、ジャスティスへと次々に殺到していく。
それらは白亜の甲冑の様な彼女の身に直撃し、激しく火花を散らした。
「…何だ、それは?」
だが、ジャスティスは動じなかった。
その身に負傷の一つも存在しない。
一切の動揺も無く、無慈悲な瞳で龍玄を見据えた。
(やはり効かないか…!)
龍玄の仮面の下で光実は舌打ちをする。
アーマードライダーとしての武装はサーヴァントには通用しない。
既にほむらからも忠告されていたことだ。
苦し紛れに放った銃撃は通用せず、精々時間稼ぎ程度の意味しか為さなかった。
異界の果実を用いた技術と言えど、それ自体はあくまでユグドラシル・コーポレーションによる化学兵器に過ぎない。
化学は神秘に非ず。神秘でなければ英霊は傷付けられない。
光実の兄である
呉島貴虎の武装はキャスターの魔術を介さねばサーヴァントを攻撃出来ない。
それと同様に、呉島光実の武装もまた霊体であるサーヴァントに干渉することは出来ないのだ。
「愚かだな、アーチャーのマスター。
そんな玩具で私を止められるとでも思ったのか?」
ゆらりとその身を揺らしながら、ジャスティスは歩き出す。
後ずさる龍玄を睨み、彼の方へとゆっくりと近付いていく。
直後、立ち上がったほむらが咄嗟に龍玄の前へと躍り出る。
彼を護るように身構え、ジャスティスを睨む。
龍玄―――光実はジャスティスを見上げ、震える手を抑えながら思考を繰り返していた。
サーヴァントの能力は圧倒的に相手が上。
こちらに効果的な攻撃手段は存在しない。
このまま勝機の薄い戦いを続けるか。
アーチャーを使って何とか時間を稼ぐか。
あるいは、アーチャーのもう一つの宝具で逃走を試みるか。
――――前川みくを見捨てて、このまま逃げるか?
どうする、呉島光実。
どうする。
「死ね――――」
「―――や、やめてっ、アーチャーっ!!」
唐突に声が響き渡る。
光実らを救ったのは、予期せぬ存在だった。
恐怖に震えていた前川みくが立ち上がり、赤髪のサーヴァントへと駆け寄ったのだ。
「…マスター」
「そのっ、怖くて、言い出せなかったけど!その人、みくを助けてくれた人なの…!
だから…お願い、その人たちを…傷付けないで…っ」
僅かに目を見開き、ジャスティスはみくを見下ろす。
怯えて腰を抜かしているだけのみくだったが、ようやく動くだけの気力が湧いたのか。
無言でマスターを見下ろすジャスティスを見据え、龍玄は仮面の下で驚愕の表情を浮かべる。
(前川さんが、奴のマスターだったのか…!?)
あの赤髪のサーヴァントのマスターが前川みくであるという事実。
龍玄――光実はそのことに驚愕を隠せなかった。
否、実際のところ可能性には薄々感付いていた。
奴は前川みくが襲われていた所に都合良く駆け付け、インベスを殺害したのだ。
最初は単に自分達主従を襲撃しに来たのだと思っていた。
だが「前川みくがマスターである」という事実もまた妥当と言えるものだった。
己のマスターの危機に駆け付け、敵性存在を排除した。
そう考えれば、ジャスティスの行動はサーヴァントとして至極真っ当なものだったのだから。
だというのに、何故自分は前川みくへの攻撃をほむらに指示しなかったのか。
まだ前川みくがマスターであるという確証が得られなかったからか。
あるいは、自分が前川みくへの攻撃を無意識に拒んでいたからなのか。
答えは解らない。
自分の中の奇妙な感情に動揺を隠せずにいた光実は、ジャスティスらを見据える。
その時、龍玄は己の視界に『黒い何か』が割り込んで来たことに気付く。
ほむらやジャスティスも何かに気付いたのか、再び身構える。
龍玄は顔を上げ、それを視界に入れる。
それは空中を滑空するように存在していた。
それは凄まじい勢いで空から急降下してきた。
それは前川みく達の後方へと、降り立たんとしていた――――!
「前川さん、危ないッ!!!」
龍玄が声を荒らげるように叫んだ。
え、と呆気に取られた様な表情を浮かべたみく。
彼女はふと、あることに気付く。
(なんで、みくの名前を―――――)
唖然としたように龍玄を見つめていたみく。
その後方に、漆黒の影が降り立った。
「―――――見つけたぞ、アーチャー」
降臨する3人目のサーヴァント。
地面に膝を突き、ゆっくりと立ち上がる漆黒の影。
衆愚の街を守護する『闇の騎士(ダークナイト)』。
悪を滅ぼす絶対的な恐怖。
その名は
バットマン。
「追って来たか、ライダー。格の差と言うものを理解出来ないらしいな」
「格の差など関係ない。私はこの街を守る…その為にもお前の存在を見過ごす訳にはいかない」
「…狂人め」
守護者(バットマン)と破壊神(ジャスティス)が睨み合い、互いに言葉を交わす。
新たな来訪者に対しみくは変わらず怯えた表情を浮かべる。
ジャスティスはそんな彼女の肩に触れ、庇護するように抱き寄せた。
視線を動かすジャスティス。
前方には身構えるアーチャー、そしてそのマスター。
後方には黒いマントを揺らすライダー。
前門の虎、後門の狼とでも言うべきか。
自分の実力ならば彼らを相手取ることも不可能ではないだろう。
そう、全力を発揮出来るのならば。
ジャスティスは己の片手で肩を抱き寄せるマスターを見下ろす。
今この場には無力なマスターが存在する。
全力を出せぬ状態で、彼女を庇護しながら戦えるか。
恐らく、相応のリスクが生じるだろう。
下手をすればマスターを狙われる可能性もある。
そうなれば一貫の終わりだ。
ならば、打つ手は一つ。
《…マスター、飛ぶぞ》
《…えっ?》
念話でジャスティスに伝えられ、呆気に取られたように答えるみく。
直後、瞬時にみくの身体が抱えられる。
ジャスティスの両手が彼女を抱き寄せ、抱え上げたのだ。
そのまま、ジャスティスは凄まじい勢いで跳躍する。
マスターを抱えての逃走だ。
ジャスティスに抱えられる形で宙を跳び、みくは間抜けな悲鳴を上げる。
即座に自身も跳躍し、それを追跡せんとするライダー。
だが、そんな彼の行動を阻むようにエネルギー弾が襲い掛かる。
咄嗟に防御態勢を取り、ライダーはそれらを全て防御する。
「――――はぁっ…」
攻撃を放ったのは、緑の甲冑を纏った戦士。
そう、アーマードライダー龍玄だ。
その右手に構えられた龍砲が火を噴き、ライダーを攻撃したのだ。
傍に立つアーチャーが僅かな驚愕を見せ、己のマスターである龍玄へと視線を向ける。
龍玄の攻撃はサーヴァントには通用しない。
ジャスティスに向けて放った攻撃が一切効かなかったのがその証拠だ。
通常ならばサーヴァントに向けて攻撃することなど意味はない。
だが、初撃に限れば足止めとして機能する。
突如放たれた未知の攻撃に対し反射的に防御や回避を行うのは当然の反応なのだから。
ライダーは突如攻撃を仕掛けて来た龍玄を見据える。
あの場で足止めを行ったということは、つまり赤髪のアーチャーの逃走を手助けしたということだ。
彼らはアーチャーらと協力しているのか。
あるいは―――――無力な少女にしか見えぬアーチャーのマスターを護ったのか。
ライダーは僅かな睨み合いの直後、再び跳躍する。
壁を蹴って三角跳びを行い、瞬時にビルの屋上まで駆け上がったのだ。
待て、と叫ぶ龍玄の声に耳を傾けることも無く。
彼はビルの屋上を駆け抜け、再び霊体化を行った。
そのままビルの屋上から屋上へと滑空を続け、移動を繰り返す。
(…見失ったか)
一瞬の足止めによってアーチャーを見失ってしまったことに気付くライダー。
彼はアーチャーのマスターに対する僅かな驚愕を覚えていた。
絶対的な破壊神とさえ思えたあのサーヴァントの主人が、あどけない少女だったのだから。
まさか、自身とジョーカーと同じように相容れぬ存在同士が契約を結んでしまったのか。
(そもそも、アーチャーが私をあの場で殺さなかったのは――――マスターの危機を察知し、護ろうとしたからなのか)
その真意は解らない。
だが、奴とはいつかまた相見えることになるだろう。
あの少女のサーヴァントや果実の甲冑を纏った戦士も同様だ。
漆黒の騎士は、街中へと姿を消す。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
―――撒いたか。
廃墟となったビルの屋上にジャスティスが降り立つ。
彼女は周囲のサーヴァントの気配が消失したことを確認した。
「大丈夫か、マスター」
周囲の様子に警戒をしつつ、抱えていたマスターをゆっくりと己の手の内から下ろす。
みくはただ呆然とした表情で壁に寄り掛かり、顔を俯かせる。
やはり、先程までの死の恐怖が余程堪えたのか。
ジャスティスは無言で己のマスターを見下ろし続ける。
暫しの沈黙の後、みくは涙を瞳に溜めながら顔を上げた。
そして、ジャスティスの片腕に無言で抱きつく。
「…おい、マスター」
「ふぇ……ひっく……うわぁぁぁぁんっ……!」
そのままみくは、子供のように泣き出したのだ。
安心と恐怖が入り交じったように、顔をぐしゃぐしゃにして涙を流し続けている
ジャスティスは呆気に取られたように、僅かながら困惑した様子でみくを見下ろす。
今のマスターが何を思って涙を流すのか、自分には解らない。
恐怖しているのか。安心しているのか。あるいは混乱しているのか。
それさえも今の彼女には理解出来ない。
ただ解ることは、彼女が泣き続けているということだけだ。
ジャスティスの脳裏に過ったのは、顔も知らぬ娘の存在。
顔は勿論、その姿も、名前さえも知らない。
娘と顔を合わせることも無く、自分は死んだのだから。
その時の記憶は朧げだ。サーヴァントとして召還された際に何らかの障害が発生しているのか。
ともかく、今のマスターの姿は知りもしない娘のことを想起させたのだ。
―――人間ならば、こうするのだろうか。
ジャスティスは自らの朧げな人間時代の記憶を探る。
そのまま彼女は、抱きつかれていない右腕―――既に剣の状態から元の手の形状へと戻している―――を、ゆっくりとみくの頭に乗せた。
不器用な仕草で、そのまま彼女の頭をゆっくりと撫でる。
兵器であるジャスティスは、慣れぬ手つきで泣きじゃくる己のマスターを慰め続けた。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆
異界の植物が茂る路地裏にて。
残された二人の主従は、その場で立ち尽くしていた。
《…敵は見失ったわ。既にこの場を離れている》
《そうか》
アーチャーの報告を聞き、光実は腑に落ちぬ態度で呟く。
既に変身は解除している。その姿は生身のままだ。
露になった表情はどこか俯きがちであり、陰を落としていた。
そんなマスターの様子をやや呆れた様子で見た後、アーチャーは問いかける。
《何故あのアーチャーを助ける様な真似をしたの?》
《僕にも…よく解らない。ただ反射的に、あのライダーを攻撃していて…》
《前川さん…だったかしら。もしかして、あの子を助けたの?》
《……黙っていてくれ》
どこか苛立った様子で、光実は己のサーヴァントに釘を刺す。
あの時、ライダーを攻撃したのは殆ど反射的な行動だった。
まるでアーチャーを助ける様な真似をしてしまったのだ。
その理由は本人も薄々気付いている。
前川みくを助ける為に、彼はライダーを妨害したのだ。
そう、アーチャーの発言は図星だった。
光実は内心、前川みくへの好意を抱いていた。
彼女はビートライダーズでの有りの侭の自分を見てくれた。
純粋な表情で自分の価値を認めてくれたのだ。
呉島光実は自分の価値を認め、評価してくれる人物には好意的だ。
だからこそ彼はみくに助言をしてしまったし、元気を取り戻した彼女に無意識の安心感を覚えてしまった。
彼女を助けてしまったのも、必然だったのかもしれない。
(くそ…今日の僕は、本当にどうかしている)
そんな自分の感情に苛立ちを覚えつつ、光実は歩を進めていく。
恐らくみくに自分の正体は知られていない。
あくまで龍玄としての仮面を被り、戦っていたのだから。
それだけでもマシなのかもしれない。
兎も角、余りこの場に長居をしていれば他の主従にも気付かれてしまうかもしれない。
早急にこの場を去らなければ。
霊体化するほむらを率いて、光実は足早に路地裏を後にした。
【UPTOWN SOUTH PT/1日目 午前】
【呉島光実@仮面ライダー鎧武】
[状態]疲労(小)、肉体的ダメージ(小)、精神的疲労(小)
[令呪]残り三画
[装備]私服、戦極ドライバー、ブドウロックシード
[道具]鞄、ゲネシスドライバー、各種ロックシード
[所持金]現金十万程、クレジットカード(ゴールド)
[思考・状況]
基本:無駄な戦闘は避けつつ聖杯を狙う
1 今日の自分は本当にどうかしている。
2 前川みくがマスターだったことに対する驚愕と僅かな動揺
3 アーチャーが弱すぎて頭が痛い
4 兄さんはマスターなのか?
5 赤髪のアーチャー(ジャスティス)、黒のライダー(バットマン)、ヘルヘイムの植物に警戒
[備考]
※所持ロックシードの内訳は以下の通りです
ブドウ、キウイ、メロンエナジー、ローズアタッカー、ヒマワリ
※前川みくがマスターだと気づきました
※アーチャー(ジャスティス)、ライダー(バットマン)のステータスを確認しました。
※ヘルヘイムの植物の存在に気づきました
※呉島貴虎がマスターではないかと疑っていますが確証は掴めていません。もしマスターであった場合殺すのは最後にするべきと考えています
※聖杯は時間の操作や平行世界への干渉も可能だと考えています
【アーチャー(暁美ほむら)@劇場版魔法少女まどか☆マギカ~叛逆の物語~】
[状態]魔力消費(小)、疲労(小)、肉体的ダメージ(中)
[装備]魔法少女の服、双眼鏡、弓矢
[所持金]光実に依存
[思考・状況]
基本:今のところは光実の采配に従う
1 赤髪のアーチャー(ジャスティス)、ライダー(バットマン)に警戒
2 ヘルヘイムの森が何なのか気になる
3 引き続き周辺を警戒する
[備考]
※呉島貴虎がマスターではないかと疑っていますが確証は掴めていません
※
前川みく&アーチャー(ジャスティス)、ライダー(バットマン)の存在を確認しました
【ライダー(バットマン)@バットマン】
[状態]魔力消費(極小)、疲労(小)、肉体的ダメージ(小)
[装備]バットスーツ、疑似的な飛行(滑空に近い)を可能とするマント
[道具]バッタラン、殺生以外の様々な用途に用いる手榴弾、グラップルガン、爆破ジェル、ショックグローブ等
[思考・状況]
基本:ゴッサムシティを守る
1. ジョーカーの野望を挫く
2. 赤髪のアーチャー(ジャスティス)に最大限の警戒
3. アーチャーのマスター(前川みく)への僅かな驚愕
4. あの鎧の戦士(龍玄)とアーチャー(暁美ほむら)に警戒
[備考]
※現在ジョーカーの位置を探しています
※並行してゴッサムに迫る危機も守ろうとしています
※アルフレッドの姿を、可能なら見てみたいと思っています
※ジャスティスと交戦しました
※宝具『衆愚の街、背徳の翼』は日没~夜明けまでの夜間にのみ発動します。
自動発動のため夜間では常に宝具による能力補正が与えられます。
【UPTOWN SOUTH POINT/1日目 午前】
【前川みく@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]疲労(大)、精神的疲労(中)
[令呪]残り三画
[装備]私服、眼鏡
[所持金]五千程度
[思考・状況]
基本:死にたくない、誰も殺したくない
1. 恐怖と安心がごちゃ混ぜになって何が何だか解らない。
2. ジャスティスと話し合いたい。
3. あの人(龍玄)は何でみくの名前を知っていたんだろう…?
[備考]
※呉島光実がマスターだと気づいていません
※アーマードライダー龍玄の姿を確認しました。光実とは気付いていません
※アーチャー(暁美ほむら)、ライダー(バットマン)のステータスを確認しました。
【アーチャー(ジャスティス)@GUILTY GEARシリーズ】
[状態]魔力消費(中)、疲労(小)、肉体的ダメージ(極小)
[装備]自身に備わる兵装の数々
[道具]
[思考・状況]
基本:聖杯を勝ち取る
1. マスターを一応守る
2. 敵によるマスター襲撃には極力警戒
3. マスターの負担軽減の為、なるべくなら本気を出さない
4. マスターへの複雑な心境
[備考]
※前川みくの負担を考慮して、本気を出せない状況下にあります
※バットマンの存在を認識しました
※インベスの存在を認識しました
※暁美ほむらに宝具『叛逆の王』は機能しません。
最終更新:2016年07月18日 12:24