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harukaze_lab @ ウィキ

孤島

最終更新:2019年11月14日 09:23

harukaze_lab

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管理者のみ編集可
孤島
山本周五郎

-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)凪《なぎ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#8字下げ]
-------------------------------------------------------

[#8字下げ]一[#「一」は中見出し]

 西海丸が鳥羽の港を出帆したのは、天文三年四月十日のことであった。
 その日は朝から良い凪《なぎ》で、鳥羽の多島湾を出て熊野灘へかかるまでは、まるで池のうえを航《はし》るように静かだったが、大王崎の沖を過ぎる頃から空模様が変り、西南の強い風が吹きはじめた。
 鳥羽で乗った二十人ばかりの客のうちに、若い武家の兄妹がいて、舷から沿岸をながめていたが、船が揺れはじめると妹の方が酔って来たとみえ、蒼白くなった顔を伏せてかがみこんでしまった。
「夏江、どうした」
 兄の方が心配そうに、「気持でも悪いのか」
「はい、何だが少し胸が苦しくなって」
「それはいけない」
 兄の武士は覗きこんで、「では下へおりていよう、ひどく酔うと困るから」
「ではそうして……」
 苦しげに頷きながら立った。
 荷物を持って、梯子口から妹を援《たす》けつつ胴間へ下りて行った武士は、うす暗い十五畳敷ばかりの仕切の中央へ、荷物を置き、妹を座らせてやった。――十人あまりの客が、思い思いにかたまって雑談をしている。
「少し横になったらどうだ」
「ええ、でもこの方が楽のようですわ」
「薬を出そうか……」
 と云いかけて、不意に若い武士は顔をあげた。――隅の方で一人の武士が、船売りの肴をつまみながら酒を呑んでいる。
「ああ!」
 若い武士はそれを見ると呻くように、「栖崎《すざき》が……十次郎がいる」
「え?」
 妹もその声に振返ったが、「あ……!」
 と色を変えた。――一瞬、兄妹は撃たれたように居竦んだが、すぐに兄の方が大剣をひっ掴んで立ち、
「栖崎十次郎、此処にいたか!」
 と叫びながら踏み寄った。栖崎十次郎と呼ばれた武士は、盃を持ったまま驚く気色もなく面をあげた。――浅黒く引緊まった類、澄んだ眸子《ひとみ》、高く広い額と濃い眉。
「到頭みつけたか」
 静かに微笑しながら、「意外なところで対面するなあ」
「立て、立ち居れ」
 若い武士は刀の柄に手をかけて、「父の敵、尋常に勝負せい」
「父の敵……それは少し違うぞ」
 十次郎は低い声で、「曽根、まあ聞け、貴公の父藤左衛門殿を討ったのは事実だ、併しあれは向うから仕掛けた勝負で、その場に居合せた者にはよく事情が分っていた筈だ」
「ええ黙れ」
 曽根欣之助はうわずった声で叫ぶ、「この期に及んで言訳が通ると思うか、理非は例えどうあろうとも、討たれた父の仇は仇、――そのために二年この方、妹と共々苦心を重ねて捜して来たのだ」
「妹――? あれは夏江どのか」
 十次郎はちらと、向うに顫えながら身構えている娘の方へ眼をやった。
 ――欣之助は苛だって詰寄り、
「立て、立て栖崎」
「待てよ、まあ待てよ」
 十次郎は総立ちになった乗合の客たちの方を見て、「飽くまで勝負しろと云うなら、致し方がない勝負しよう――が、此処ではいかん、若しも乗合の方々に怪我があっては気の毒だ、船が大阪へ着くまで待て」
「逃げる気だな」
「見張って居たらよかろう。――さあ、そう定ったら船の中だけ昔の友達になって呑もうではないか、一盞やらぬか」
 十次郎が差出す盃を、
「貴様の酒が呑めるか」
 と欣之助は吐出すように、「大阪へ着いたとき卑怯なまねをするなッ」
 と云うと憎々しげに睨み据えて妹の方へ戻って行き、荷物を持って夏江を急《せ》きたてながら再びおもて[#「おもて」に傍点]へ登ってしまった。
「親爺に似て、頑固な奴だ」
 十次郎は呟いて再び盃を取上げた。
 併し、もう酒も旨くない、――二三杯呑むと十次郎は大剣をひきつけて、ごろりと横になった。船の揺れが段々ひどくなって来た。

[#8字下げ]二[#「二」は中見出し]

 栖崎十次郎は高山藩で百五十石を取っていた。江戸詰の馬廻りで若いに似合わず思慮が深く、朋輩のあいだにも人望があったが、二年前の端午の節句の宵に、ふとした事から留守役頭の曽根藤左衛門と口論になり、仕掛けられてやむなく抜合せた結果、遂に相手を斬ってしまった。
 理窟は十次郎の方にあったが、上役を斬ったとなればそのままでは済まぬ、朋輩がすすめるに任せて十次郎は藩を立退いた。――欣之助とは二つ違いで、少年時代から普通につき合って来たし、夏江ともしばしば会って話をしたことがある、……それが今は敵同志となって同じ船に乗合せているのだ。
「奇妙だなあ、人の運というやつは。つまらぬ口論から一人が死に、そのために三人の人間が命を狙い合わねばならぬ、己れが生きるためには欣之助と夏江を斬るより外にないし、二人を生かすためには己れが……」
 そんな事を回想しながら、酔いが出たのであろう、いつか十次郎はうとうとと眠りこんでしまった。
 一刻ばかりも経ったであろうか、けたたましく罵り騒ぐ声に、ふっと十次郎が眼を覚ますと、胴間はいつか乗合の客でいっぱいになり、いずれも顔色を変えて何か叫びあっている。――十次郎は身を起した。
「何か起ったのか」
「えらい事になりましたよ」
 商人風の男が振返った、「急に疾風《はやて》がやって来ましてな、船はいま物凄い勢いで流されています、ひどく波をかぶりよりますぜ」
 十次郎は曽根兄妹はいるかと、伸び上って見廻したが、二人の姿はそこに見当らなかった。船はひどく揺れていた。甚しい時には坐っている者までが片側へ倒れるほど傾き、隅に積んであった荷包が別れてごろごろと右へ左へ転げた。
「潮岬《しおのみさき》というのは通り過ぎたか」
「どうしまして旦那」
 男は色の失せた唇をなめなめ、「一刻ばかり前に、ちらと西の方へ見えたっきりで、それからこっちずっと南へ流されどおしです、どうも是はとんだ事になりそうですよ」
 十次郎は立上って、揺れ動く床を一歩々々踏みしめながら、梯子口を登っておもて[#「おもて」に傍点]へ出てみた。――なる程恐ろしい有様だ。空には不気味な雨雲がいっぱいにひろがり、風にひき千切られて飛礫《つぶて》のように、海面とすれすれの低さを飛んでいる。海はどす黒くなって凄まじいうねりを盛上げ、船の周囲へうち当って泡立ち騒いでいる。――船夫《かこ》たちは甲板のうえを縦横に駆け廻っては、綱を緊めたり船具を縛りつけたりしていた。
 十次郎は帆柱の蔭に、曽根兄妹がかがんでいるのをみつけたので、物に掴まりながら近寄って行き、
「曽根、中へ入ったらどうだ」
 と呼びかけた、「飛沫《しぶき》で濡れてしまうぞ」
 併し飛沫どころではなかった、十次郎の言集が終らぬうちに、左舷へ山のような波が襲いかかり、凄まじい響きと共に、どーと甲板に崩れ込む、それを真向に浴びて欣之助と夏江が押倒された、――十次郎は驚いて、
「危い!」
 と叫びながら走り寄って二人を援け起す。同時に船は左舷へ、ぐぐぐっと烈しく傾き、たち直ったと思うまもなく再び船首を怒涛の横腹へ突込んだ。その刹那、
「ひー!」
 と云う悲鳴が起ったので振向くと、船夫が二人海上へ抛り出され、手を振りながら浮きつ沈みつしている、十次郎は咄嗟に夏江を抱え、
「曽根、早く中へッ」
 と叫びながら梯子口の方へ引返す。その足下で、ぴしー! と耳をつんざく響きがしたと思うと、舷側がひき裂けて腰きりの波が奔流のように甲板へ殺到した。
「お兄さまーッ」
「夏江、だ、大丈夫だぞ」
 波に押流されまいとして、十次郎を中に兄妹は手を握りあい、懸命に踏み耐《こら》えながら、ようやく梯子口へとびこんだ。
「お客さまがたよ――」
 船頭の悲しげな声がした、「お念仏をたのみますぞよ――」
 そして暗い胴間のなかに、絶望的な念仏唱名の声が起った。
 天文三年四月の大暴風雨は、年代記にも特筆されている猛烈なもので「前後三日些かも歇《や》まず、漁舟の覆えるもの無数、南海沿岸の家多くは倒壊して、全きもの一屋も無し」と記されてある。陸地でさえそうであったから、海上の有様は想像に難くあるまい、――それから半刻と経たぬうちに、西海丸は帆柱を吹折られ両舷を砕かれ、更に舵を失って南へ南へと漂流し始めた。

[#8字下げ]三[#「三」は中見出し]

 日暮れがたのことであった。
 胴間の人いきれに胸苦しくなった十次郎が、外の気を吸おうとして梯子口へ足をかけた時、上から恐ろしい勢いで水が雪崩《なだれ》れ込み、同時に船は竜骨を砕きながら右へ顛覆した。
「きゃーッ」
 と云う喉を劈くような悲鳴、
「助けて呉れーッ」
「わあー」
 ぞっとするような喚きの中に、十次郎は船腹へ体を叩きつけられたが、そのまま曽根兄妹の方へ戻ろうとする、――上から、猛烈な力で波が押しかかり、船を引裂いてあらゆる物を混沌の渦へ巻込んでしまった。
 ぐるぐると揉みあう木片や箱を、踏みのけ突きのけながら、ようやく海面へ浮びあがった十次郎は、二三間さきを流れてゆく大きな船腹の破片と思われる板をみつけ、必死に追いついて取縋った。――同時に、
「栖崎……妹を」
 と云う声がするので、はっ[#「はっ」に傍点]として振返ると、曽根欣之助が片手で妹の体をつきあげるようにしながら漂っているのをみつけた。
「よし、行くぞ」
 十次郎は手をあげて、「夏江どのを放すな、しっかり支えて居れよ!」
 と呼びかけつつ、懸命に水をけって泳ぎつき、押放すように大板を進めた。欣之助はそれを掴むと同時に、もう気を失っているらしい夏江の体を板の上へあげようとする。
「半身で宜いぞ、全身乗せると波をかぶった時に覆える。――よし、その手をこっちへかせ、貴公胸を支えておれ」
 十次郎は力を合わせて夏江の半身を大板の上へ俯伏せにもたせかけた。
 それから苦闘が始まった。生き残った者は三人だけらしく、海上は見渡すかぎり一物もなかった。怒涛は疾駆する雲まで届くかとばかり奔騰し、泡を噛んでもみあい、雷のように轟きながらまっしぐらに崩れては盛上る。烈風に吹き払われた飛沫はそのまま潮けぶりとなって、濃霧のように海面を閉し、条《しま》を描きながら北へ北へとなびいた。
 波をかぶる度に大板の上から押流されようとする夏江の体を揺りあげ押上げする一方十次郎は、既に精根のつきた欣之助がともすれば気を失いそうになるのを、
「曽根、確りするんだ」
 と叱りつけるように、「こんな事に参るようでどうする、気を慥《たしか》にもつんだ」と励声して叫んだ。――それを聞くと欣之助は大きく眼を瞠き、唇を噛みながら喘ぐのだが、すぐにまた腕の力がぬけてがくりと沈みそうになる。
「見苦しいぞ、欣之助」
「…………」
「貴様、父の仇をどうする、敵を討たずに死んでいいのか、栖崎十次郎は此処に生きているぞ、曽根」
「妹を……妹を頼む」
 欣之助は苦しげに、「己はもう力がつきた、妹だけは助け度い、出来るなら、夏江を助けてやって呉れ」
「くそッ弱音を……」
 ぐたりとなる欣之助の方へ、つと片手を伸ばした十次郎、相手の乱髪をひっ掴んで、「それでも武士か、曽根、曽根ーッ」
 と喚きながら、ぐいぐい小突いたが、欣之助は海松《みる》のようにくたくたと揺れながら、ずぶりと波の中へ沈みこんだ。十次郎は咄嗟に掴んだ髪毛を手許へ引寄せ、片手で欣之助の脇を抱えると顔だけ水面に押上げ、襲いかかる涛を乗越えながら夏江と反対の側へ廻って、失心した欣之助の体を半身だけ大板の上へ俯伏せに押上げた。
 それからどのくらい刻が過ぎたろう。十次郎は人間に与えられた力と精根のある限り頑張った。休むまなく襲って来る怒涛から兄妹を護り、しだいに尽きて来る自分の体力と闘いながら、絶望の海を――到底救い手の望まれぬ海を押流されて行くのだ。
 言葉では表現しようのない恐ろしい刻が過ぎて――朝が来た。
「ふしぎな運命だ……」
 全身が痺れるような睡魔を感じはじめて、十次郎は強く頭を振りながら呟いた、「己の命を狙う兄妹を、狙われている己がこうやって命懸けで助けようとしている。――これでも三人とも助かるとしたら……」
 雲の一部が切れて、強烈な太陽の光が暗澹たる海上を鋭く照しだした。そして水平線のあたりにくっきりと島の影を描いた。
「あ!」
 十次郎は垂れさがってくる重い目蓋《まぶた》を、くっと大きく瞠きながら、「島だ!」と叫んだ。――併し再びたしかめるまもなく、雲が太陽を閉じ、島の影も消えた。

[#8字下げ]四[#「四」は中見出し]

 欣之助は誰かに呼ばれるように思った。
 それから余程暫くして後、小鳥の鳴く声をかすかに聞き、爽かな微風が耳許を吹いているのを感じられた。
「その火を消さぬようにして下さい」
「何処かへいらっしゃいますの?」
「椰子《やし》の実を採って来ます、――欣之助殿に陽の当らぬように注意して」
「はい……」
 誰かの遠ざかって行く足音がする、――ひどい暑さと、強い潮の匂いのなかに、欣之助は段々意識の甦えるのを覚え、やがて悪夢から醒めるようにふっと眼を明いた。
「あ、お兄さま」
 妹の声がした、「お気がつきまして?」
「む……」
 欣之助は重い頭を振向けた、夏江の白い健康な顔が近々と覗きかかっている。――欣之助は粘りつく舌を二三度動かして後、
「どうしたのだ」
 と嗄れ声で訊いた、「まるで夢を見ているようだ、おれ達はどうなったのだ」
「助かったのです。栖崎さまのお蔭で三日まえにこの島へあがったのですわ」
「栖崎……」
 欣之助はぎょっとした。――卒然として幻想がくりひろげられた。鳥羽で乗った船、敵との思いがけぬ邂逅、暴風、怒涛、難船……そして大板に取縋って漂流した恐ろしい幾刻。自分はあの時、十次郎に妹を托して海中へ沈んだと思っていたが。
「この島へあがるのはわたくしも知りませんでした。気がつくと栖崎さまが火を焚いて、わたくし達を介抱していて下すったのです、――それから今日まで、お兄さまは死んだように眠っていらしったのですわ」
「全体、此処はどこなのだ」
「まるで分りませんの、なんでもお国から余程遠いところらしいのです、何方を見ても島も陸も見えず、この島も無人島だと栖崎さまがおっしゃって居られました」
「無人島……?」
 欣之助は絶望しながら四辺を見廻した。――そこは海から二十町あまりも斜面をあがった疎林のなかであった。ついぞ見たことのない樹(椰子樹であった)がすばらしい高さで青空へ伸び、びっくりするほど大きな歯朶類《しだるい》や、毒々しい花を咲かせた蔓草《つるくさ》がむぐらをなし、ところどころに檳榔樹《びんろうじゅ》や竜舌蘭《りゅうぜつらん》のような植物が逞しく生い茂っている。――欣之助はさんさんと照り輝く日光に眼を細めながら、暫くは驚きを抑えかねたまま四辺の珍しい風景に見入っていた。
「やあ気がついたな」
 そう云いながら、椰子樹の間を大股に十次郎が近寄って来た、見ると両腕いっぱいに、大きな胡桃《くるみ》の実のような物(椰子の実であった)を抱えている。
「気分はどうだ」
「忝ない」
 欣之助は肉親の兄に会うような、強いなつかしさと信頼を籠めた眼で見上げながら去った。「頭が少し重いだけで、気分はさっぱりしている。――兄妹ふたりが、貴公のおかげで命を拾った、何と礼を云って宜いか……」
「礼はお互いだよ」
 十次郎はどっかと木蔭に坐って、「貴公たちがいなかったら、拙者もあの時参っていたに違いないのだ。こんな所へ流れ着いて……どうなるか分らぬが、兎に角こうして命を永らえたのは何よりだ」
「無人島だそうではないか」
「全部見て廻った訳ではないが、どうやらそう思われる。なに、併しそのうちに沖を船でも通ったら呼び止めるさ」
 十次郎は元気な声で、
「夏江どの、その脇差を取って下さい」
「はい」
 夏江の取って差出すのを、きらりと抜いて椰子の実の角へ押当てた。欣之助は不思議そうに見やって、
「それは何だ」と訊く。
「是か、是は椰子の実だ。己も現物は初めてだが、ものの書では度々見ている。南蛮、呂宋《ルソン》の境に成長するというから、恐らくこの島もそれに近いのであろうよ」
「南蛮……呂宋?」
 欣之助は世界のはてへ突放されたような暗い気持に落ち入り、例えようのない寂しさと苦痛を感じながら眼をつむった。
「さあ呑んでみるが宜い」
 十次郎は巧みに割った椰子の実の殻を、そう云いながら差出した。欣之助が見ると、白い不気味な果肉の中に、半透明の液が溢れるように溜っている。
「いや、拙者は要らぬ」
 欣之助は気味悪そうに頭を振った。

[#8字下げ]五[#「五」は中見出し]

 併しまもなくすべてに馴れた。
 椰子の実の汁も吸い、脂の強い果肉を食い、芭蕉の実(バナナであろう)も貪り、海へ出ては見知らぬ貝、珍しい体色をした魚などを採って、干したり焼いたりして食べた。
「どうだ、結構住めるではないか」
 十次郎は元気な顔で、「食物は有り余っているに、窮屈な勤めはないし、これで酒でもあると極楽浄土だがのう」
「ほんとうに」
 夏江は頓《とみ》に陽やけ[#「やけ」に傍点]のした頬を、はちきれるような健康な笑いで崩しながら、「まるでわたくし、生返ったような気が致します。なんだか此頃手も足も伸びるようですわ」
「如何にも見違えるようになられた」
 十次郎はふと夏江の方を見たが、薄着をしている娘のやつくち[#「やつくち」に傍点]が明いて、張りきった乳房がくっきりと白く覗いているのをみつけ、思わず胸のときめくのを感じながらそっと眼を外らした。
 ひと月ほど経った。
 その頃三人はひどい寂しさに襲われ始めた。郷愁というものであろう、故郷の山河、知己の俤が絶えず幻のようにつき廻って、到底そこへ帰ることが出来ないという絶望が、不断に胸を緊めつけるのだ。
 夜であった。欣之助は疎林の中に枝を組合せて造った小屋で、ひとり仰向きに寝転んだまま幾度となく、
「ああ!」
 と堪らなそうに呻いた。
「みんなどうしているだろう、お庭の菖蒲も終ったろうし、藤も散ったろうな。……槙村《まきむら》のやつは根岸の妓にうちこんでいたが、あの妓は己に好意をもっていたのだ」
 骨へしみ透るように酒の香が思い出され、妓の肌のぬくみや髪油のむせるような匂が、まざまざと欣之助の官能を呼び覚した。
「帰りたい、どうかして一度帰りたい」
 欣之助は悩ましげに寝返りをうった。
 その頃、十次郎は入江の方にいた、汀に石で囲いを造り、そこへ魚を呼込むために小貝の肉を撒いて置くのである。海の方から静かな微風が吹き寄って小波をたて、どこか林の奥の方で夜鳥の鳴く声がする……石を運びながら十次郎が振返ると、夏江は汀に坐ってぼんやりと星空を見上げていた。
「どうしたのです」
 十次郎は足を止めて、「餌はもう作ってしまったのですか」
「…………」
 夏江はこちらへ振向いたけれど、答えようともせずに燃えるような眼で十次郎を睨みつけた。
「一体どうしたのです、そんな顔をして、――何かお気に障りましたか」
「構わないで下さい」
 夏江は不機嫌に叫んだ、「何も彼も厭です。餌をつくって、魚を漁って、それがなんになりましょう、どうせわたくし達は望みのない体なんですわ、こんな物……」
 と云うと、転げている餌用の小貝を掴んでばらばらと海へ投げ始めた。
「何をするッ」
 十次郎はかっとなって、「馬鹿な……」
 と思わず走り寄って夏江の手を掴んだ。夏江はすっと立つや、
「放って下さい、何をしようとわたくしの勝手ですわ、なぜ……」
「止めなさい」尚も足をあげて貝を蹴散らそうとする夏江の体を、「何という乱暴をするのです」
 と云いながら引寄せると、夏江は裂けるように何か喚きながら、いきなり十次郎の体へつきかかって来た。思いもよらぬ相手の乱暴に、十次郎も前後を忘れて身をひらきざま、ぐいと娘の腕をとって、力任せに肩を抱緊めた。夏江は一瞬、野獣のように喘ぎながら、緊めつける腕から身をのがれようと藻掻いたが、すぐに全身の筋が痺れてゆくのを感じ、ぐったりと男の胸へ倒れかかると堰を切ったように、
「ああ!」
 と呻いて啜りあげた、「どうかして……どうかなすって下さい、わたくし気が違いそうになります」
 男の胸へ頬をすりつけながら、夏江は狂おしく叫んだ。
 十次郎はくらくらと眩暈《めまい》を感じた。――果実の熟れるような、甘酸っぱい女の匂が鼻をうち、抱緊めた弾力のある柔かい肌から、燃えるように熱い血のぬくみが伝わって、痛いような神経の酔いが体中にひろがってゆく、――十次郎は我知らず、
「夏江……」
 と低く叫びながら、娘の体を抱きあげようとしたが、その刹那にふいと、
(敵同志だぞ!)と囁く声を聞いた。
 十次郎は水を浴びたように立ち竦み、夏江を抱えた手をふりほどくと夢中で椰子の林の方へ走り去った。

[#8字下げ]六[#「六」は中見出し]

 それから十次郎の様子が変ってしまった。向合っている時でも絶えず黙りこんで、欣之助が話しかけてもろくろく返辞をせず、殊に夏江の眼を避けよう避けようとする。――三人そろって漁《すなど》りをするような場合には、きまって一人遠くへ離れていた。――そして暫くすると、ふいに――山の中腹へ別に小舎《こや》を作ったからと云って、自分だけ一人で其方へ移って行ってしまった。
「どうなすったのでしょう」
 夏江は気遣わしげに、「何かお気に召さぬことがあったのでしょうか」
「別にそんな事もあるまいが」
 と云いながら、併し欣之助には思いあたることがあるような気がした。――そして或る日、海辺へ出た時に十次郎をとらえて、
「栖崎――」
 と静かに云った、「若しや貴公は、まだあの事を気にかけているのではないか」
「何を――?」
「敵同志ということだ。若し……」
 と欣之助は躊《ためら》いながら、「思い切って云うが、若しそうなら止めて呉れ、拙者はもう敵討などと云うことは考えてもいない。あの漂流の時に一度死んだ体だ、命を助けられた恩こそあれ、貴公を憎む気持は些かも残ってはいないのだ」
「そうか。だが……」
 と云いかけて、十次郎はぐっと言葉をのみ、苦しそうに微笑しながら、「そんな事はなにも、今ここで定めるにも及ぶまい、拙者が小舎を別にしたのは、別に含むことがある訳ではなくて、船の通るのを見張るのに便利だからだ、気にかけないで呉れ」
 何気なく云って十次郎は立去った。
 十日ばかり過ぎた一夜、夜半と思われる頃であった、静まりかえった夜の空へ、突然ぱあっと真紅の光がみなぎったと思うと、どどどと云う凄じい地鳴りの音に夢を破られ、夏江と欣之助はびっくりしてはね起きた。
「何でしょう……?」
「ばかに外が明るいようだな」
 呟き合った時、ざあっと周囲の樹立がざわめき、大地が波のように揺れはじめた。欣之助はいきなり夏江の手を掴んで、
「地震だ、外へ出ろ」
「お兄さま!」
 呼びあいながら小舎を出る、四辺をこめる光にふと振返ると、西北の水平線を割って、眼の眩むようなすばらしい火柱が、高く高く天に届くばかり噴き上っていた。
「怖い、どうなるんでしょう」
 夏江は身を顫わせながら兄の体へ縋りついた。欣之助も夢中で、
「栖崎のところへ行こう」
 と夏江を援けながら走りだした。――併しふたりが山へかかるまえに、栖崎十次郎が上から駆け下りて来て、
「大丈夫だ、大丈夫だ」
 と大声に叫んだ。夏江はその声を聞くと、一時に心の落着くのを覚え、烈しい、ふしぎな愛着と恐怖のいりまじった情熱に巻込まれながら、
「栖崎さま」
 と叫んで十次郎にすり寄った、「何でしょう、わたくし怖くって胸がこんなに」
「大丈夫ですよ」
 十次郎はそっと夏江から離れながら、「海の中で火山が爆発したのです。殊によると津波がくるかも知れませんから、今夜は上でおやすみなさい。――大した事はないでしょう」
「まあ火山……」
 夏江は顫えながら十次郎を見上げた。――噴火の光に照された逞しい男の頬、盛上った肩の筋肉、夏江はふいに、あの夜抱緊められた強い力と男の体のぬくみが、全身に甦ってくるのを感じて、思わずさっと赤くなりながら太息をついた。――その間にも絶えず地は震い、凄じい鳴動と潮鳴りの轟きが伝わって来た。
 噴火は五日ほど続いてやんだ。
 気遣っていた津波もそれほどのことはなくて、水が十尺ばかり高くなったが噴火のやむと同時に元通りになった。それから半月あまりというもの海が灰色に濁り、夥しい軽石が毎日浜へうちあげられたが、やがて水も澄み石の流れも止まると、島はまた以前のように静かな朝夕を迎えはじめた。
 一年余日が経った。――その間に二度ばかり遠い沖を帆影の通るのを見たが、此方で振る布は眼に入らなかったとみえ、いずれもそのまま通り去ってしまった。西北の水平線には、毎日白い煙がたち昇り、夜になると空がぼうーと赤く彩られたけれど、その後ずっと噴火もせず、ときどき低く地鳴りを伝えるだけで、何の変化もない日が続いて行った。

[#8字下げ]七[#「七」は中見出し]

 南風の強く吹く日であった。
 午後になって十次郎が、密林の中へ木の実を採りに入ると、暫くして欣之助のけたたましく呼ぶのが聞えた。
「おーい、船だ、船だ」
 はっとして見返ると、山の中腹に立って狂気のように手足を振りながら、「船が来た、早く、早く来て見ろーッ」
「船が来た?」
 十次郎は採った木の実をそとへ抛り出し、身を翻えして走りだした。
 船だ船だ、山の中腹まで登って行くと、夏江が懸命に布切を振りながら、沖を指さして夢中に、
「御覧なさいませ、あそこに船が、そら此方へ舳先を向けましたわ」
「おーい、おーい」
 欣之助も雀躍《こおどり》しながら喚きたてた。
 十次郎も見た、五百石あまりの船が、満帆に風をはらんで今此方へ船首を変えている。合図の布切をみつけたのであろう、舳先に人が立って小さな手旗を振っているのが見える。
「助かるぞ、もう大丈夫だ、己達は助かるのだ栖崎、みろ此方へ来る、船が此方へやって来るぞ」
「十次郎さまッ」
 夏江は躾みも忘れて、とびかかるように十次郎の手を掴み、強く烈しくうち振った。「わたくし達は故国へ帰れますのね、もうこの島にいなくても済みますのね」
「浜へ下りていよう」
 十次郎は夏江の手を振放した。
 船は三人を焦らすように、極めて徐々に近づいて来たが、浜から三町ばかり沖へ来ると船足が止まってしまった。
「どうしたのだ」
 欣之助がどきっとして呟くと、――船首に立っていた男がよく通る声で、
「おーイ」
 と叫ぶのが聞えた、「潮が速くて小舟が下ろせないんだ、明日の朝満潮になるのを待って行くから、それまで待っていて呉れろ」
 既に日暮れ近くで、落潮《おちしお》の烈しい刻になっていたから、岩礁の多いこの磯へは危くて近寄れないのである。――船が南側の入江になっている方へ廻って、錨をおろすのを見届けてから三人は小舎へ帰った。
 欣之助も夏江もすっかり浮き浮きしていた。焼いた魚と椰子の実の夜食も、これが最後だと思うと云いようのない懐しさを覚え、そのなつかしさは直ぐに故郷の幻想をよびさますのであった。――併し兄妹は、夢のような喜びに酔って、十次郎がいつか深い憂いに沈んでいるのには気がつかなかった。
「どうしたのだ」
 欣之助はさっきから黙っている十次郎の方へ向いて、「ばかに浮かぬ顔をしているが、気分でも悪いのか」
「ほんとうに、お顔の色が悪うございますわ、どうなさいまして……?」
「いや、何でもない」
 十次郎は無理に笑って、「助かったと知れたら急に胸がつかえてしまって、喜んで宜いのか悲しんで宜いのか分らない気持がする」
「全くだ、まるで夢のようだ」
「ああ早く朝になると宜いが、――あの船へ乗って、帆がいっぱいに巻上ると、もう故郷へ帰ったも同じことねえ」
「直ぐだ、もう直ぐだぞ」
 欣之助もはずむような声で、「この島もいよいよ今夜限りだ、ああすばらしいなあ」
 十次郎は静かに立上った。夏江が驚いたように振仰いで、
「何処へいらっしゃいますの」
「小舎へ行くのです」
「冗談じゃない、今夜は三人揃って此処で語り明かそうではないか」
「いや」
 十次郎は微笑しながら、「今夜きりだから行くのだ、折角ながい間世話になった小舎だ、今夜はゆっくり別れを惜しむとしよう」
「併し……」
「おやすみ」
 十次郎は夏江の眼を眤《じっ》と覓《みつ》めて、「明日は多分早いでしょうから、夜更しをせずにおやすみなさい、――曽根、拙者は寝坊だ、もし起きて来ないようだったら頼むぞ」
「それは心得たが、併し本当に……」
「じゃあ、又あした」
 そう云って、もう一度夏江の眼を強く覓めてから、十次郎はくるっと踵をかえして外へ出て行った。夏江がうしろから労わるように、
「おやすみなさいませ……」
 と呼びかけたが、十次郎の返辞はなくて、草を踏んで行く足音がしだいに遠くなり、やがて林の彼方へ消えてしまった。――夏江はじっと黙ったまま、夜鳥の啼く声に耳を傾けていたが、やがて襲われるような不安が胸いっぱいに溢れてくるのを感じて、
「お兄さま」
 と低く云った、「栖崎さまの御様子がなんだか気懸りでなりませんけれど」
「変だ、いつもの栖崎とは別人のようだ」
「何か不吉なことがあるのではないでしょうか、わたくしひどく胸騒ぎが致しますわ、お一人で置いて大丈夫でしょうかしら」
「心配する程のこともあるまいが」
 そう云ったが、欣之助もなんとなく落着かぬ気持だった。ごーという低い地鳴りがして、西北の空の赤さが一瞬濃くなった。またしても小さな噴火があったらしい。ぶきみな鳴動を聞くと、ふいに欣之助が立上って、
「なんだか気になる」
 と呟くように、「ちょっと行って栖崎の様子をみて来るぞ」
「わたくしも」
「いや一人の方が宜い」
 そう云って欣之助は小舎を出た。
 いつもより烈しい噴火とみえて、火柱こそ見えなかったが四辺は薄明のように明るかった、欣之助は不安に追われるような気持で林をぬけ、足にまかせて山の中腹まで一気に登って、岩蔭にある十次郎の小舎のまえに近寄った。
「栖崎……」
 欣之助は表から声をかけたが、十次郎の答えはなくて、低い呻き声が聞える。
「栖崎、どうかしたのか」
 と云いながら小舎の中へ入ると、ぷんと鼻をつく血の匂い、ぎょっとして様子を窺うと、小舎の中央に端坐して十次郎がみごとに切腹していた。欣之助は仰反《のけぞ》るばかりに驚いて、
「や! と、是は」
 と走り寄る。十次郎は苦痛の呻きをもらすまいとするのであろう、歯をくいしばりながら、「騒ぐな、曽根……」
 と強く制した。
「来る時が来たのだ、首を討て!」
「早まったな栖崎、己は、己は仇討を断念したと云ったではないか、討って宜いなら疾くに討っている、今になって何のために」
「狼狽《うろた》えるな」
 十次郎は歯のあいだから叫んだ、
「この、この島に住んでこそ、恩讐の外に生きられるのだ、この……孤島には束縛はない、が、――故郷には秩序がある、動かし難い枷があるぞ、故国へ帰って貴公たちの生きる道は、藩へ帰参をするほかに術はあるまい、藩へ帰参するためには、父の敵を討たねばならぬ、それが分らぬ貴公か」
 欣之助はそこへ崩れるように坐った、十次郎は肺腑をしばるような声で、
「己の体は藤左衛門殿の血で汚れている、その血をいま返すのだ、あのとき、大阪へあがったら斬られてやろうと思った己だ、――二年がほど生きのびて、初めて知ったよろこびもある。もうこの世に未練はない、斬れ……曽根」
 欣之助は顔も上げ得ず泣き伏した。
「夏江、夏江どのを仕合せにしてやって呉れ、あの人がいなかったら……」
 云いかけて、心神悩乱したらしく、遂に十次郎はがくりと前へ倒れた。そして欣之助には聞えぬ低い声で呟いた、「あの人が若し敵同志でなかったら、己は飽くまで生きたかも知れぬ」
 ぶきみな地鳴りが伝わって来た。西北のかた遠く、ぼうーと赤いかがりが、十次郎を弔うかのようにたちのぼった。



底本:「感動小説集」実業之日本社
   1975(昭和50)年6月10日 初版発行
   1978(昭和53)年5月10日 九版発行
底本の親本:「雄弁」
   1935(昭和10)年8月号
初出:「雄弁」
   1935(昭和10)年8月号
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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