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  • 怪少年鵯十郎(工事中)

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怪少年鵯十郎(工事中)

最終更新:2020年01月21日 01:25

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管理者のみ編集可
怪少年鵯十郎
山本周五郎


【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)外村重太夫《とのむらしげだゆう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)坂|蔵屋敷《くらやしき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定]
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56]


[#3字下げ][#中見出し]たた! 大変だ※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり]


あまもよ」
ぬる
しばぐち一
さむらい
くだんさむらい
おび
「さむらいはず

 天明四年の春、三月の宵節句。
雨催いのなま温い夜、芝口の方からきた一人の武士が、今しも土橋の起を曲がろ首うとするとたん。「ぴいよ」という、鳥の鳴声のよ
の中からきこえてきた。と、件の武士病は突然そこに立ちどまって怯えたように、刀の柄に手をかけて身がまえた。
「ぴいよ」鳥の鳴声はまたきこえた。武士は息を喘ませながら闇をすかしてあたりに気をくばると、二三間先の暗がりに、がさがさと物のうごく気配がした、すわ!とそっちへ武士の足が動く、とたんに傍の闇から躍りでた小さな黒い影。「やっ!」と叫ぶと飛礫のごとく跳んで、構のくずれた武士の脇腹へ、不破流の強い当て身をくれた。「む!」と息を含んで前のめりに倒れる武士、小さな怪しい影は狼のように武士に
さむらい
つぶて
かまえ一
さむらいわきばら。
ふわりゅう
さむらい
おおかみ
さむらい
なべやき
じい
しい島のを真ると、奪取った刀をかかえて、ふたたび闇の中へ消えてしまった。大胆ともなんともいえぬ仕業だ。
この有様を、さっきから向うの辻に荷をおろして見ていた、鍋焼うどん屋の爺さんは、曲者の姿が見えなくなると、びっくりして動かなくなった口をもぐもぐやりながら、突然大声にどなりたてた。
「たた、大変だあ! 鵯十郎が出たぞ!」

[#3字下げ][#中見出し]鵯十郎とは何者※[#感嘆符疑問符、1-8-78][#中見出し終わり]


「くせもの
ふる
年
人間、

 鵯十郎! 何者だろう。
 誰も彼の顔を見た者がない。どこから出て、どこへ消えるか誰も知らない。しかし、江戸の街町は今、鴨十郎とよばれる怪少年の名に顫えあがっている。なぜそんな小体のために江戸市中が怯えているか、仔細を話せば分るだろう。
天明四年の春、まだ梅盛りのころから、ふしぎな事件がたびたび江戸の辻で行われた。それは夜道を行く武士だけがおそわれるので、暗闇から鴨の鳴声を口笛で吹姉きながらふいに一人の怪少年があらわれて、すこぶる見事な不破流柔術当て身の一
こせがれ
さむらい」?________________




    • さむらい
うわさ
おさしりょう
ひと
病一番首
}

手で相手を倒し、そのおびている刀を強奪し、ふたたび鴨の鳴声を口笛にしながら消えてゆくのだ。上での間の創口部分
相手が武士であり、盗む方が少年であり、しかも盗む物が、武士の魂たる刀なので、この噂はたちまち江戸中の人気を背負った。それから更にふしぎなのは、この怪少年は、盗んだ刀を必ずその翌日、相手におくりかえすことだった。そして、刀に添えていつもおなじ左のような手紙が添えられてあるのだ。-一筆啓上。調音・結構なる御差料拝見、有難く存じます、今後は他人に盗まれぬよう、大切に御扱い遊ばせ、敬白。鵯十郎拝。「うーん畜生!」誰だってこんな文句を見れば腹が立つ。しかし、鴨十郎と名乗る怪少年は、そんなことにはお構なく、なんの心願でか、毎晩風のごとく江戸の辻々にあらわれては、この刀盗みをくりかえすのであった。
さればこそ、鴨の鳴声を聞けば、泣く児も黙り、野良犬も咆えやむといわれるくらいなのであった。
鴨十郎!鵯十郎!今宵土橋の辻で、とおりがかりの武士をおそい、その刀を奪って去ったのも、実にこう少年の業だったの。
かまえ
さむらい」
たちさ
何のために:
)
いわきりまさむね
さむらい」
ふきかえ
しげはらひょうまてい
あるじ
怪少年鴨十郎
おかちしゅう
どっこく
ぶち

[#3字下げ]岩切正宗《いわきりまさむね》にまつわる争い[#「岩切正宗にまつわる争い」は中見出し]

いうものです、、、うん。

 話はすこし外《そ》れる。
 その同じ夜。土橋の辻で武士《さむらい》が息を吹返している時分、芝飯倉の繁原兵馬邸で、宵節句の酒宴が、たけなわだった。
かちがしらかわいじゅうざえもん酒宴といっても主客合せて三人。上客は同藩の徒士頭河合重左衛門それに主人繁原兵馬の同輩で御徒士衆五十石十人扶持をとる村上宗兵衛の三人だった。怪「ならぬと申すか?」
河合重左衛門が酒気を吐きながら上役をかさにきた声でどなった。「なりませぬ、この岩切正宗の一腰は、拙者家に伝わる重宝。こればかりは、藩侯の御所望でも手放すことはなりませぬ!」(
日イ!村上宗兵衛もきっとしてことわった。そして、眼前においてある家宝の一刀を、
手早く錦の袋に納めてしまった。訓その夜、宵節句に招待された心ばかりの馳走にと、村上宗兵衛日ごろ土蔵の奥深
むらかみそうべえ
「せっしゃいえ|
にしき」
ちそう?________________




よだれ
ごうだん
ゆずりう
臆病一番首

く秘蔵する家宝、「岩切」と銘のある一刀を持ってきたのを、組頭である河合重左衛門がひと眼見て、涎を流さんばかりにほしがり、酒の酔も手伝って、譲ってくれと強談をはじめたのである。「家宝と申したとて、刀は使わねば役に立つまい、ぜひにも拙者が譲受けよう!」「いや、この儀ばかりはたとえ組頭のおおせでも、承わるわけにはまいりませぬ」「これほど申してるか」「断じて!」「ええ頼まぬ!よいわ!」
河合重左衛門色をなして突立ちあがった。そして、主人繁原兵馬のとめる袖をふりきって、帰って行ってしまった。「困ったことだな!」
繁原は友達の身を案じ顔に、村上宗兵衛を見やりながらいった。「あの頑固屋のことだから、ああ怒ってはなにをしでかすか知れたものではない。間違がおこらねばいいが……」「外のことならともかく、この岩切正宗だけは、拙者として譲ることはできない」二も言え隻をこなう会えた「よう、どうにかなるだろう!」
つった。
「あるじ
そで
「まさか強奪もできまいさ、あははは」「笑って、村上宗兵衛は繁原邸を辞した。

[#3字下げ]鵯が人を斬《き》った![#「鵯が人を斬った!」は中見出し]

いきなりここには終的には1976年3月31日
やしき
さくらだまち
怪少年鴨十郎
かたわら一
ぬきうち

 繁原邸を辞した村上宗兵衛。
 木挽町《こびきちょう》にある自分の邸へかえろうと、桜田町を芝口へと道をいそいできた。別にたいして飲みはしなかったが、ほろ酔機嫌で、いま土橋の辻に出ようとする。「ああよく曇る空だ、今夜こそ雨かな!」と空を見あげる辻の角、とたんにつつ――と傍の暗闇から忍びょった怪しの影。「……」気合を殺して、さっと、突然抜討に村上宗兵衛の脊へ斬つけた。「む!」たたと、ふた足、前へのめった宗兵衛、「曲者!」と叫んでようやく腰の刀を抜く。(1)パリでは「ぴいよ、ぴいよー」と、曲者は口笛で鴨の鳴声。立直って構えた宗兵衛、だが
肩から脊へかけて八寸にあまる深手で、もう気息奄々だ。~「うむ、鵯十郎か!」
たちなお
ふかで
きそくえんえん)?________________




やいば|
ふみ
まっこう
Da
S
「やっ!」
 曲者の刃《やいば》がきらりと空に弧を描く。必死の宗兵衛身をしずめて横にふるう。届かぬ、曲者は一二間跳び退る、宗兵衛が詰よる。「やっ!」踏こんだ曲者、宗兵衛の真向へさっ!行くと見せて返えす剣、合わす間がなく、宗兵衛の脇腹へざっくり斬こんだ。
「うっ!」首「……ぴいよ」
(0.15曲者は宗兵衛の弱腰をける。朽ちた木のように倒れる宗兵衛、錦の袋にはいった岩切正宗の銘刀が、ばったり落ちた。
出「これか!」と曲者、錦の袋をひろいとるともう一度、最る
。「ぴいよ、ぴぃ|よ」と鴨の声をまねて闇の中へ消えてしまった。間もなく通りかかった人が、びっくりして、倒れている宗兵衛を抱おこした時、瀕死の声を、ふりしぼって宗兵衛がいった。
「ひ、ひ、鵯……十郎……」

[#3字下げ][#中見出し]怪しい魚屋の小僧※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり]

つぶれ103


はばか
おれ
から
「のぞ
「ええ、熊さん聞いたかい」「なんでえ鵯十郎が人を殺したって話かい」「そうよ、もう知っているのか」「べら棒め、大工の熊さんを知らねえか、憚んながら己さまはな、いつでも十里四
方の出来ごとは見透しでいらっしゃるんだ」郎「へん、唐の遠眼鏡で寒天を覗きゃしめえし、見透しもすさまじいや。だがなんだ鴨ぜえ、鵯十郎は刀こそ盗むが、決して人を斬ったり殺したりしねえっていう話だぜ」
)「おいらもそうだと思ってた。しかしこうなって見ると、そいつも嘘だったのよなあ」「話している時、ちょうどそこへ魚の荷をかついで通りかかった十四五の小僧。この話を耳にしたとみえてつかつかと傍へ寄ってきた。「なんだい小父さん、その鵯が人を殺したってのは、何のことだい」「おや、手前魚屋の銀だな。手前まだ知らねえのか」と熊さんは、自慢げに昨夜芝土橋の辻で斬られていた武士のあったこと、死ぬ間際に介抱する人へ「鵯十郎!」
うそ
おじ
てめえ」
「てめえ」
ゆうべ
どばし)
さむら、
まぎわ
321?________________




さむらい」
スターひとみ
巡

といったこと、その晩おなじ場所で、鴨十郎がもう一人の武士から刀を奪うところ
を、鍋焼うどん屋が見ていたから、その村上宗兵衛という人を斬ったのは、たしかに鴨に相違ないだろうということなどを、くわしく話してきかせた。
「どうでえ、驚いたか?」
「驚いたよ」と、魚売の小僧は怪しく光る眸で、じっと空をみつめながら首を振っていった。
「だが鴨十郎は決して人を斬らねえはずだがな」
員。今、CCRS
「だからおかしなことだと話していたんだ」

いった

「全くだ、おかしなことだぜ、有難うよ、又魚を買ってくんねえ!」そういって魚扇屋の小僧は、荷を担いでそこを去って行った。

員さすらあり、会い

「おや!」

県気の

 魚屋がいってしまうと、大工の若者二人もそこを立去ろうとして、二三歩行った時、熊さんが何かみつけて立停《たちど》まった。
「何でえ、そこに落ちているのは?」

、

 そういわれて吉《きっ》さんが道の上から拾いあげたのは一通の書付《かきつけ》だ。
「きんさんと記名が書いてある、こいつうおいうこよこした手芸、全体誰
臆病一番首
かっ
たちど
きつ
かきつけ、
「あてな
COLLI.
きずつ
つかまつそうろう
せつ
そそりためただいま
一筆啓上-鴨十郎は決して人を傷けたり殺したり仕らず候。村上宗兵衛を殺害したるは必-ず他に下手人あることと存じ候故、汚名を雪ぐ為唯今より鴨十郎が自ら活躍し
て、真の下手人を探索仕るべく候、敬白。鵯十郎。正る。
「や! こりゃ鵯からきた手紙だ!」
「わあっ!」と云《い》うと、びっくりして二人の若者は、その手紙を持って自身番へ駈けつけた。

場合は
不要で
無念資「

 さていよいよ鵯十郎が自ら「土橋殺人事件」の真相を探偵するために出動するという――。果して鴨十郎とは何者か、どんなめざましい活躍をするであろうか。

[#3字下げ][#中見出し]鵯現わる※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり]

めたのは、体が持ってた

 同じ朝。
 昨夜繁原邸で村上宗兵衛とあらそって、自分の家へかえってきた河合重左衛門、今朝その居間で眼ざめて、ふと枕元を見た時、思わず、
「あっ!」と云って眼を瞠った。どうしたのだ、枕元にはいつ誰が持ってきておい
まくらもと
まなこみは|?________________




つぶ
あらた
せが
J

たのか、見覚えのある錦の刀袋がある。。
「まさかP:」と呟やきながら、いそいで取あげて袋の中を検めてみると、果して昨夜繁原邸で、自分が村上宗兵衛に譲ってくれと強請んだ『岩切正宗』の一腰が入っていた。「だが、どうしてこれがここに?」
重左衛門は考えたが分らぬので召使を呼んだ。「なんぞ御用でござりますか?」って話番いいで「この錦の刀袋を誰が持参したか」人き下一の真中の出題さい。重左衛門は頸える声でたずねた。召使は不審そうに見やっていたが、頭を横にふ
臆病一番首
どなた
「私、存じませぬ、まだ今朝ほどは何誰もお客さまは見えませぬ!」「存ぜぬと申して現に……」云いかけたが、重左衛門は手をふって、「もうよい、下がってよい」と召使を下げた。選曲で3頭目で頭「はて、何としたことだろう」
です。ト1用発言昨夜あんなに喧嘩腰でことわった宗兵衛が、急に気をかえて譲る気になったとも
ララララ
けんかごし
くちばや
もうしたっ
怪少年鴨十郎
がくぜ!
「何事じゃ!」「唯今、藩より急使でござります」野
見のいいパン藩から急使ときいて重左衛門、いそいで支度をととのえて客間へ出ると、急使の者は口早に用向を伝えた。その「昨夜芝土橋附近において、藩士御徒士組村上宗兵衛殿何者かのために暗殺され、家宝岩切正宗の一腰を奪われし趣、申達します!」
放「なにP:宗兵衛が暗殺とな。」
重左衛門は愕然として声をあげた。急使は用向を述べると、早々に帰っていった。「宗兵衛が殺され、岩切正宗が盗まれた――」
と、重左衛門は急使の帰った後で、ひとり蒼白な顔をして呟いた。「では、では儂の枕元におかれてあったあの、岩切正宗の一腰は、誰が持ってきたのだろう、何のためだろう――」
考えていた時、突然欄間からぱったり落ちてきた物がある、拾って見ると紙片へ書いた手紙で、外資用
。一筆啓上に導か。
まっさお
らんま
かみきれ
カラーがき
325?________________




おたちのき
あだねら
よみおわ
腕、

直ちに江戸を御立退なさるべし。村上宗兵衛遺族共、必ず貴殿を仇と狙うべく
わたしよろはからもうすべく、長候、あとは私宜しく計い可申候、敬白。鵯十郎。
重左衛門が手紙を読終ったとたん、廊下で、「ぴいよー」と鋭い口笛の音がした。ヴ(大きいので
、「あっ、鴨十郎!」叫んで重左衛門、押取刀で障子を明けたが、もうそこには猫の仔一匹いなかった。
おっとりがたな
臆病一番首

[#3字下げ][#中見出し]又しても魚屋の小僧※[#感嘆符疑問符、1-8-78][#中見出し終わり]

いきおい
ぶあい
  • ここは木挽町にある村上宗兵衛の邸である。「こんちゃ、魚屋でござい!」と裏口から、さっき八丁堀の長屋で見た魚屋の小僧が、荷を担いで勢よく入ってきた。「魚ならもう買ったよ!」と下女が不愛そうにことわるのを、出る時の
たいい。「そんなこと云わねえで買っとくんなせえよ、鯛の良いのがあるんだ、まあ見てくんなよ」「要ういっこう、要らないよ」と、女は見向きうさずこど会った。すると魚
そうす、
そうじろ
ひそひそ
屋の本は、気が流に夢中になっているのを見すまして、そこへ荷をおくと、ぱっと横跳に傍の植込の中へ身をかくした。
人間、(この魚屋の小僧、何をするのだろう。
この時、この邸の奥座敷では、亡き宗兵衛の妻さよ、長男宗助、二男宗二郎、れから、宗兵衛の親友繁原兵馬が、なにか密々と話していた。本「私は信じません!」宗助が膝で詰よりながら叫んだ。た
「父は鴨十郎などと申す小件ごとき者に、闇々討たれるような腰抜ではござりませ鴨ぬ!」
「それに!」と傍から弟の宗二郎もいった。父の会場へ「鵯十郎とか申す者は、決して人を傷けぬと云うこと、これには必ず他に下手人のあることと存じます!」「どうかお話し下さい、昨夜あなたのお邸で何かあったのではございませんか?」「こう詰よられて、繁原兵馬いまはぜひなく、「いや、かくなる上はお話し申そう。実は昨夜拙者邸にて、組頭河合重左衛門殿が、
岩切正宗の一腰を所望なされた。勿論村上氏はきっぱりことわったので、河合殿は函気色張ってお帰りになったのでござる、御承知のとおり利かぬ気の老人、なにか間
怪少年?十郎
もちろん?________________





ちがい
かげ
、行っていかもしれさん、三年時に
うたが、

違《》でもおこらねばよいと存じて、拙者も実は陰ながら心痛いたしておったのだが――」
「それだ!」と、宗助は膝を進めた。
「さては河合め、岩切正宗がほしさに、父の帰途をねらって、父を暗殺、正宗を奪ったのだ。そして自分に疑のかからぬようにと、近ごろ世間にやかましい鵯十郎の真似をしたのだ!」
「そうだ、それに違いない!」宗二郎も叫んだ。
「行こう、重左衛門に会って、容子《ようす》をたしかめ、父の仇を討たねばならぬ!」
「まあ、待たれい!」
 繁原兵馬が、逸《はや》りたつ兄弟を止めた。

[#3字下げ]黒装束の男[#「黒装束の男」は中見出し]


の
うた
ようす。
臆病一番首
はや
き
ぎ

「まあ待たれい、まだ河合が敵と定《き》まった訳ではない。まず心を落着けて事の実否を組さねばならぬ。それには拙者によき考がござる。――お耳を」
ひそひそ「……」兄弟と繁原が何事か密々と耳うちをしていた時、廊下にふっと人の動く気配がした。
ただ
かんがえ
ねずみ
かわ
うえこみ
たいひらめ|
よびた
,よびと
怪少年?十郎
影、やっ!と叫んで宗助が投げた手裏剣、飛礫のごとく飛んで曲者の脊中へ、ぐざり!突刺さったか、否、鼠のように身を交した曲者。「ぴぃーよ」と鴨の鳴声を真似るとそのまま、植込の中へ隠れてしまった。「鴨だ、追え!」と叫ぶ兵馬。押取刀で宗助兄弟が庭へ跳び出し、木戸までくるとばったり会ったのは魚の荷を担いだ、さっきの魚屋の小僧だ。「え―鯛に鮮やあい」と大声で呼立てる。と、「こら小僧!」宗二郎が呼止めた。「今ここを怪しい男がとおらなかったか?」「へえ、なんですか変な男が息せききって裏門の方へ跳び出して行きましたよ!」「それだ、宗二郎急げっ!」「おっ!」と叫んで兄弟は、足も宙に追っていった。
おしぬぐ後に残った例の魚屋の小僧、ほっとひと息つくと脇の下の汗を押拭って、「ああ危なかった、もうひと息だった!」と呟やいたとたん、すぐ脊後で、
時前。幽「小僧!もっと危ないぞ!」と、叫ぶ声がした。ぎょっとして小僧が振向くと、
うしろ?________________




さむらい
ふりかむ
ほう-
さむらい
つばめ
さむらい
かたわら
ましら
つたわ
臆病一番首
颯

そこには黒装束に覆面の武士《さむらい》が、大刀を振冠って詰寄っていた。
「あっ!」と叫んでその小僧、さっと身を沈めると、荷を拠り出して、打こんでくる武士の大刀の下を燕のようにかい潜ると、「そうか!貴様だったな!」と喚いた。黒装束の武士は、「なに、貴様とな!」、「ぴぃーよ」小僧は鋭く口笛を吹いた。そしてやっ!と叫ぶと傍の松の木へとびついて、するすると、猿のように枝を伝って、塀の上に立った。当「土橋の辻で…」
と塀の上から小僧が笑った。。「あっははは知っているぞあははは」そして塀の外へ跳びおりて見えなくなった。
鵯十郎とは何者か、宗兵衛を討ったのは誰か、魚屋の小僧とは?:黒装束の武士は?:この謎はどう解けるであろう。

[#3字下げ]闇《やみ》にひびく鵯《ひよどり》の声[#「闇にひびく鵯の声」は中見出し]

108



うまくやみ
ひよどり


闇にひびく鵯の声
さむらい
NO
やとうた
こむら
もうしつ一
ちこ
怪少年鴨十郎
と樹立の中へはいってきた。「弥藤太!弥藤太!」「武士がひくい声で呼んだ。と、傍らの木簇の中から、黒装束の男がしのび出て、はっとそこへ手をついた。「繁……」「これ!静かにいたせ、かねて申附けておいたこと、しかといたしたか!」「はっ、首尾よく河合邸に忍びいり」「うんよし、それから――近うよれ!こん度はこれだ」「はっ!」「用向はこれに書したためてあるから、ぬからずやれ、分ったか」「はっ!」
ハーーーー黒羽二重の武士は、黒装束の男に、一通の書付をわたすと、小判で拾両、ぽんと投与えて、見向きもせずに、もときた方へ引返していった。
「拾両か」と、黒装束の男は金をひろい集めて呟やいた。劉「また、人を殺すのだろう。だが、拾両ときちゃあ悪くねえぞ!」
ようむき
かき
かきつけ
なげあた?________________

め
せいがん)
じっとら
ねら、
すき
きあい」
いたち
つばめ
つか
たいひょう
かつ
臆病一番首
郷「名乗れ!名乗れ!」と喚いて、剣を青眼につけたまま、じりっじりと詰めた。曲者は蛇と虎のように武士を狙っていたが、どう隙をみつけたか、「……」何ともいいようのない無気味な気合と共に、ぱっと鼬のように武士の手許へ跳こんだ。「おっ!」と答えてかわす、とたんに振あげて岩をも断てと斬下ろす剣、燕のように潜った小さな曲者、どうとったか武士の右手を?むと、「やっ!うん!」五尺八寸はあろうと見える大兵の武士を、肩に担いで二三間先九り出した、うん!
!といって気絶する武士。曲者はさも愉快らしく、ぴぃーよ」と高く鴨の鳴声をまねて、倒れている武士の覆面へ手をかけた。とたんに物陰から、ばらばらと跳り出た手先捕方の人々、「曲者!御用だ!」と、叫んで押取まいた。ちです。授ら、認証、
面】《
オーどうやら解けた謎
ものかげ
おど
てさきとりかた
おっとり
この時、或合う方へ、でくる二人の武がうった。
はたしあい
き
すすみで
怪少年鵠十郎
「兄上、何かやっています!」「うん、果合かもしれぬ」のの
、「急ぎましょう」後も
観二人は急いで近寄った。ですが、見ると十四五ともみえる黒装束の少年を、十人にあまる大勢が押取巻いている容子だ。気早な宗二郎が進出て、「意恨か、果合か、暗殺か?」と呼びかけた。と取巻いている手先の中から、同心
と見える男が答えた。怪「捕物でござる、鴨十郎をおいつめてござる」
03「なに、鴨十郎」宗助が驚いてすすみよった。
福「鵯十郎とあれば捕方衆に御助勢申す、拙者兄弟は村上宗兵衛の遺子、父の死について問札したき儀がござる、御助勢おゆるしくだされ」「よろしく!」と同心が答えた。と、今まで石のように動かなかった?十郎、
「ぴいよ」と鋭く鳴くと、ぱっと捕方の人数の中へとびこんだ。さっと破れる人垣。始鵯の拳が二三度空に躍ったかと見ると、ばったばったと三四人が、不破流の当身で
といただ
にんず
こぶし?________________

うちたお
しった
おっ
つまず
あかり
鈴打倒された。
嬉01「にがすな、巻け!」と同心が手先を叱咤した時には囲みを破った鵯十郎、銀杏の幹に手をかけて、するすると猿のようにはいあがって、
優
領の手「ぴいよ、あははははは」間のOJK
と声を残したまま見えなくなった。職場に、
「残念!」といって宗二郎が追かけようとした時、なにかに躓いてのめった。ふり首かえって見ると、黒羽二重の武士の倒れているのをみつけた。-
「やっ、誰かやられている、燈を!」
抱おこして、手先の差出すがんどう提燈で見ると、村上兄弟は思わず声をあげた。「やあ、これは繁原氏だ!」「この声は、銀杏の木から跳びうつって、傍の武家邸の塀の中にしのんでいた、鴨十郎の耳にはっきり入った。「やっぱりそうか、これで謎は解けた!」と独り呟やいた鴨十郎、「ぴぃーよ」と鋭く口笛を鳴らすと、そのまま闇へ消えた。(こくびゃく
黒白は私より!
臆病一番首
だき
ちょうちん
かたわら
つま
かたきおもいちが
たちの
き
わし
こころ|
怪少年鴨十郎
業全なの河合へ、三人の客が訪れてきた。いうまでもなく村上宗男兄弟と附添として繁原兵馬。
昨日の朝、鴨十郎から「村上兄弟が貴殿を仇と思違えているから一時江戸を立退くように!」と書いた手紙をもらった時、人、取業す自員間、「ばかな、万一ここで儂が江戸を出奔すれば、罪なくして自分から罪を衣るようなものだ、身潔白なれば心神に通ずだ!」
そう決心して、鴨十郎の忠告をのけ、邸に籠って待っていた今朝―。果して兄弟がやってきたのだ。現
に、貴の年間合「この度は宗兵衛殿には不慮なこと―」で開いて、
あいさっと河合重左衛門まず丁寧に挨拶した。の、「いや、さような御挨拶は後のこと、今日私共兄弟の推参いたしたのは!」と宗助が膝を進めた。61「父の死につき、貴殿よりしかと承りたきことがござる、と申すのは、ある方面よりたしかに聞知ったが、貴殿、父が暗殺された折奪われた岩切正宗の一腰、御所持なさる趣、いかがでござる」ら、河合重左衛門さっと顔色が変った。(
合気!
ひざ
ききし?________________

かたわら|
まくらもと
(「何事もお包みなく、お話しあるがよろしいかと存じます、河合殿!」と傍から繁
原兵馬も膝を進めた。河合は大きく頷いて、「よろしい、いかにも拙者ふしぎなる次第で岩切正宗を持っている、そのわけをお

かみもっ.うそ..

話し申そう、貴殿がたに信じていただけば幸いじゃ、拙者においては神以て嘘はいわぬつもりでござるー」
と正宗の一刀が枕元におかれてあったこと、また鵯十郎の手紙までそこへならべ首て話した。是
いるのを「嘘だ!」重左衛門の言葉も終らぬうち、気早な宗二郎がわめいて立った。「そんな甘手に乗る我等兄弟でないぞ。岩切正宗が貴殿の手にある以上、最早問答は無益だ、我々は直ちに藩の目附役へお届け申す、父の仇動くまいぞ!」(3・と宗助も荒々しく叫んで立った。-ののの「そう思われるなら是非もない、お好きになさるがよろしい!」、「投げるようにいって、重左衛門は帰る三人を見送りもせず、自分の居間へ立った。
居間へきた重左衛門、机の前に坐ると、ふとそこに一通の書面のおいてあるのを見つけた。「はてな?
病一番首
あまて
はや
めつけやく
こくびゃく|
もうすべくそうろう
怪少年?十郎
「現上げてみると、十より、とある。急いでいて読みくだすと、走り書で、
一筆啓上。藩よりお達しのあり次第、直ちに御出でなさるべし、黒白はその節、相分り可申候。御安心ありたく候、敬白。置、低中、主人
間鴨十郎。兵馬明日会うぞ!鴨が走っている。――その日の夜だ。例によって黒装束、風のように夜更の街を走ってゆく。どこへ行くのだ。
鼠のように、風のように、走ってきたのは芝飯倉にある繁原兵馬の邸である。走りついた鴨、黒塀へ手をかけると、やっ!と喚いて、一丈にあまる高塀をぱっと躍越えた。この間、京大、
本間、,しのびい庭から広縁、つつーと座敷へ忍入る。・客間に人の話声がする。広縁に耳をつけて聞くと、芝の山内で会った黒装束の男の声である。「して、あの書付は?」と訊くのは主人兵馬だ。
う
よけ
おどりこ
さんない
き?________________

てんく
付横は腹失なを
こら一
とうか
とこのまかたなかけ
しのびよ」
さや
つばもと
おうみかねすけ
臆病一番首
郷「はっ、何分にも相手は天狗のような奴、あっという間に蹴られまして、不
覚ながら気絶、やがて我に返りました時には、最早あの書付くなっておりました」間の語
鴨はこれだけ聞くと、可笑しさを耐えて、主人の居間の方へ忍ん、居間には誰もいない、客間からもれる燈火で見廻すと、床間に刀架がある。つつと忍寄って、架けてある一刀を?んだ。
たいよ。「これだな!」と呟やいて洩れ燈の方へくる。音のしないように鞘を払って、肥と刀身をみつめた、刀身鍔元近く、「近江兼相」と云う銘がはっきり読めた。「む!さては案の定そうだったか」
鴨の面には輝くばかり満足の色があふれた。「これで本望も達せられるぞ!」「しっ!」客間で対談中であった主人繁原兵馬、ふと隣の居間で人の気配がしたので、耳を澄ませた。「誰かいるようだ!」フ
場の時に「見てまいりましょう!」「男が立つ。間の美をうける、とんこ中から躍り出た?十郎、ずっと男に不破流
おもて
あい、ふすま
ぬきうち
の当をくれると、ばったり相手が倒れるとたん。「ぴいよ」と鳴いて兵馬の眼前三尺の空を、飛鳥のように広縁へ跳んでいた。目にもとまらぬ早業だ。「えっ!」兵馬、抜討にかぶせて斬る、ぱっと後ろっ跳びに庭へ下りた鴨、からからと笑って、「兵馬!明日会うぞ!」とひと言。庭の闇へ姿を消した。いろ。「不思議な奴!」呻いて、兵馬は気絶している男を抱起した。活を入れると、はっと我に返った男。「てて天狗はP」といって金壺眼を剥きながら、あたりを見まわした。
現れた鴨十郎
だきおこ
怪少年鴨十郎
かなつぼまなこむ
かちがしら」
よびだ
翌日。
いちい替藩の目附の名を以て、徒士頭河合重左衛門は呼出された。支度を改めて出仕すると、すぐに評定所へまわされた。
C09年そこには、もう繁原兵馬附添となって、村上兄弟が控えていた。重左衛門が座につくと、目附役が村上宗兵衛暗殺の事件を詳しく読みあげた。
つきそえ」?________________

しさい
臆病一番首
A「右の通り、村上兄弟及び繁原兵馬相違ないか?」(成長をして、「はい、委細そのとおりにござります」
そこで目附は、河合重左衛門に、どうして岩切正宗の一腰を手にいれたか、仔細を包まず申述べよと命じた。重左衛門は形を正して
る
。「宗兵衛殿最期の翌朝、私の枕元においてあったのを私が見附ましたばかり、何者か私を罪に堕さんと計りしものと存ずるが別に心当りもなく、我ながら不審しく存じます!」-
目附役は、ふふんという顔で、
「さような申立がとおると思うか」慮「通るかとおらぬか存ぜぬが、拙者はただありのままを申上るばかりでござる!」
「重左衛門もきっとして答えた。目附役はそんな言葉には耳もかさず、「村上兄弟は、父の遺恨を晴らすがよかろう、河合重左衛門には死罪を申付くべきところ、格別の慈悲を以て、村上兄弟と尋常の勝負をゆるす!」1そういって立った。かねて用意してあったらしく、目附役が立つと、入代りに検使役が三人ずっと出
もうしたて
いりかわ
うち一
怪少年鴨十郎
「河合重左衛門、村上完売並に流として業度兵馬、広庭にて試合お許しがあったぞ!」「はっ!」村上兄弟は手早く支度をして座を立った。河合重左衛門、心の中で「ああ、とんだことになった、それにしてもあの鴨十郎は本当にきてくれるのであろうか、今日こそは誰が罪人であるかはっきり分ると書いてよこしたが、何をしているのだろう」長門の職員で、
いいか呟やきながら、促されるままに支度をして、広庭へ出た。でも、広庭の周囲には四五十人の警護の侍がかためていた。支度がととのうと、検使役が合図をした。村上兄弟は刀をぬいて、正面から重左衛門に迫った。老いてはいるが河合重左衛門、愛刀助広二尺八寸という大刀を、青眼にかまえて兄弟にむかった。
国語る
。「河合重左衛門、亡父の恨だ、覚悟!」「父の敵だ、覚悟!」|共々に叫んでじりじりとよる!
本場)「敵と呼ばれるおぼえないぞ、血迷うな!これはお上からの上意試合だ、仇討でないぞ!」
すけひろ
うらみ
あだうち、?________________

さ
344
はや
ひね|
わきばら
臆病一番首
老人はおめず臆せず叫び返した。ひきょう「卑怯な!うぬ!」若いから血気に逸る宗二郎、苛ってつつと踏こむ。隙、重左衛門さっと片手で宗二郎へ薙ぐ、とたんに誘われて斬こむ宗助、身を捻って体当り、のめる宗助、「はっ!」と喚いて老人自慢の燕返し、宗助の脇腹へさっ峯打ちだ、宗助斬られた
と思ったから、脇腹を抑えて膝をつく、弟宗二郎、同く兄が斬られたと見て逆上、首「やっ、えっ!」と無法に斬りまくってくる。ぱっぱっと外ずして二三歩、あしらいながら退る、うしろに控えていた村上兄弟附添の繁原兵馬、いつ抜いたか抜刀を
構えて、さがってくる重左衛門の背中へ廻った。「大臆「えっ!」鋭くつけいる宗二郎。かわしてひく重左衛門、虎のように隙を窺っていた繁原兵馬、充分に重左衛門の隙を見抜いたから、つっーと寄る、抜刀をふりかぶって「やっ!」斬ったか?:|!:ち「わっ!」と叫びざま、血煙あげて倒れたのは繁原兵馬だ。当時らくるの巻仰天して一同がふり返ると、そこに血刀を提げて、一人の少年が立っていた。「ぴいよ」と少年は鴨の鳴声を口笛で吹いた。「わっ!?十郎」会を回っていた警護の侍達はどっと突いて詰寄った。
うかが
ひっさ
たちあが。
怪少年?十郎
たちあい
怪少年鴨十郎は、河合重左衛門と村上兄弟の間にわっていった。「村上宗兵衛殿を討ち、岩切正宗を奪った男は河合殿ではない」「誰だ!」織田プロ
起上ってきた宗助も色をかえて詰寄った。鵯十郎は、つと倒れている繁原兵馬を指差していった。ボー
ルの「繁原兵馬、この男だ!」
の「やっ!」
会組幅果た年「お検使役の方々にもお立合くだされ」の三平,宮間/
H
OKO鴨の言葉に、呆れて見守っていた検使の人々も傍へよってきた。鵯十郎は続ける|ですが「そしてこの男は私にとっても親の仇だったのだ、繁原兵馬とは嘘り、本名は赤松由範と申す男、紀州藩士で二百石どりの侍であったが、酒の上から私の父曾正を暗殺し、秘蔵の愛刀近江兼相を奪ってにげ去ったものでござる、即ちこれが父の愛刀近江兼相、またたしかな証拠は、奉行所に差出してござる仇討許可の書付に姉したためてあります」
と
あき
そば
かたき
いつわ
よしのり
じょう
「すなわ?________________

編
およ
かちがしら」
臆病一番首
鴨十郎は、そういうと倒れている兵馬の襟髪をつかんでひきおこし、「親の敵赤松由範、思知ったか!」と胸を刺した。こ「されど、繁原兵馬が我等の父宗兵衛を暗殺したという証拠は?」-村上兄弟が訊ねた。鴨は話し出した。
父置組「兵馬は河合殿さえいなくなれば、自分が徒士頭になれるので、いつか河合殿を無き者にしようと企んでいた。ところで宵節句の晩、正宗の一腰を譲れ譲らぬと争いのおこったのを幸い、人を使って宗兵衛殿を殺し、ただちに河合殿の邸へしのびこみ、重左衛門殿が節句の酒に酔って眠るのを幸い、居間へ正宗をおいてこさせたのです。そればかりでなく兵馬は、村上御兄弟が首尾よく河合氏を討果たした後で、御兄弟をも暗殺しようと企んでいたのです」「なに、拙者等兄弟を!」「これを御覧なされ!」アンプルに調で
す
。鴨十郎が取出して見せたのは、先夜芝山内で奪取った暗殺状だった。
うちは一
うばいと
村上宗助暗殺すべし
同宗二郎
そうたろう。
かたき
ゆえ
ぼしほくろ
うわさ
そそ
かたき」
「こうして自分ひとりは徒士頭となって、口を拭っているつもりだったのです」鴨十郎は調子を強くつづけた。「私は曾根弾正の一子、荘太郎と申します、鴨十郎と名乗っていたのは敵の顔をしらぬ故『近江兼相』と銘のある刀、左の腕に三星の黒子のある男と、それをめあてにさがし出すため、街に出ては、武家の刀と左の腕をあらためていたのです。ところが、十郎が人を殺したという噂が出たので、一つには自分の汚名を雪ぐため、この事件を探索しはじめたところ、意外にも自分の狙う仇を探し出すことになったのです!」
話を聞いて人々は、ほっと感歎の声を洩らすばかり。「では、正しく父宗兵衛を討ったはこの繁原兵馬でござるか!」村上宗助が無念そうに唇を噛んだ。「さよう!なお御不審ならば町奉行所へおいでなされ、兵馬に頼まれて宗兵衛殿
たかはしごんぞうを暗殺した高橋権造と申す浪人が捕えられているはずでございます!」
そこで改めて、村上兄弟は繁原兵馬に一太刀ずつ恨を晴らした。洲一時にふた組の仇討、近来めずらしいことと、江戸市中は鴨十郎の噂とともに賑
怪少年鴉十郎
「かんたん?________________

0わった。
7それから後、江戸の市中には再び鴨の鳴声はしなかった。鵯十郎、実は曾根荘太郎は、主家紀伊侯に召返されて、めでたく曾根家を再興したということである。



底本:「周五郎少年文庫 臆病一番首 時代小説集」新潮文庫、新潮社
   2019(令和1)年10月1日発行
底本の親本:「少年少女譚海」
   1931(昭和6)年4月号、5月号
初出:「少年少女譚海」
   1931(昭和6)年4月号、5月号
※表題は底本では、「怪少年《かいしょうねん》鵯十郎《ひよどりじゅうろう》」となっています。
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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