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  • 間諜Q一号(工事中)

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間諜Q一号(工事中)

最終更新:2020年01月21日 01:31

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管理者のみ編集可
間諜Q一号
山本周五郎


【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)外村重太夫《とのむらしげだゆう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)坂|蔵屋敷《くらやしき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定]
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56]


[#5字下げ]一[#「一」は中見出し]

[

「中井さん牒報局長がお呼びです」

給仕が入って来て知らせた。呼ばれた中井、名前が良太、耀くわが牒報局の中でも、ピカ一と云われる花形だった。「よしきた、直ぐに行く」

答えた中井は鼠色背広の上衣をひっかけて大股に局長室へ入って行った。谷屋牒報局長は黙って椅子を指差し、中井良太が腰かけるのを待って静かにきりだした。「スパイQという名を忘れはすまいな?」「知っています局長」「彼の居処が分ったんだ」

中井良太は恫りとした。|スパイQというのは、xxxx国の軍事探偵で、二三年まえから日本で暗躍をしている怪物だった。彼はおもに海軍方面の密偵を専門にするすばらしい腕利きで、製艦の機密を探り出す神速さには道の日本軍部でさえ

いところ一

うでき

さすが

きょうたん

かかわらずどこ

こんにちよう

そうせき」

きゃつ

おもてむき」

まごめまち

やしき

せむ

もら

間諜Q一号

驚歎させられていた。然し当局の必死の追求にも不拘、何処にどう潜伏しているか、今日まで査としてその踪跡をつき止める事が出来なかったのである。本「それは本当ですか」「彼奴はモリイ・コルマンという名で、表向は鯨油会社東洋支配人だと称し、大森区馬込町の森の中に邸宅を構えている――これがその邸の図面だ」

と局長は一枚の見取図を渡して「家には個便の老僕を一人使っているだけで、然もこの儘優は別棟の小舎に住んでいるから、夜になると本館の方はコルマン一人になる、―そこで、君に今夜ひと仕事して貰いたいんだ」日「面白いです、是非やらして下さい」「実はスパイQの奴、今度の新鋭駆逐艦の砲塔部の密図を盗み出した形跡があるんだ。それは緑色封筒に入れてあって、中に『い・あ・3号』という符号が押してある、これを取戻して来て貰いたい――それから、どんな事があっても奴を傷けたり殺害したりしないように、迂闊すると国際問題になるからこの点は厳重に守ってくれ、分ったね」「分りました」

華月まうのは訓「では頼む、成功を祈るぞ」

きずっ

うっかり?________________



そこ

しろもの

こっち

けが

ちょっ

まゆ

[病-番首

中井良太はにっこり笑って局長室を出た。元気に引受けはしたがこれは大仕事である、今日までの敏腕ぶりから考えてもスパイQは其処いらに転がっている俗な代物とは人物が違う。それでなくてもスパイという仕事は命がけなのだ、向うはどんな逆襲をするかも知れぬし、此方は相手に怪我もさせてはならんと云うのである。、

、、うる「こいつ些と面倒だぞ」と中井良太は、いささか眉を曇らせた。球家譜、気の出

る人かくてその夜十時を過ぎた頃、中井良太は自動車を大森へ走らせ、馬込町の天神坂で車をすてると、徒歩で丘を下り、久保山を登って目的の場所へ近寄って行った。――そこは馬込町でも一番高い台地で、古い椎木や杉のこんもり茂ったひどく淋しい一区劃をなし、その中央に混凝土塗りの洋館が建っている、それがモリイ・コルマン、実はスパイQの邸宅であった。

中井良太は低い薔薇の生垣を裏手へ廻ってみた。本館の横手に小さな番小舎のようなものがあるのは、個優の老僕が住んでいるのであろう、もう寝てしまったのか燈も消えて、ひっそりと物音も聞えない。――中井良太はひらりと生垣を越えて本館の裏口へ近づいた。

てんじんざか

(やま

コンク

ばら一

あかり」

「ドアあいかぎ

けんじゅう」

おどか」

そうてん

あしおと

わな

さすが

すべ

しばら

うかが

裏口の扉を合鍵で明けて中へ入る、耳を澄ましたが何の音もしない、中井良太は右手に拳銃を握って、(無論それは脅しのためで、実は空弾が装填してあるのだ)整音を忍ばせながら見取図に書いてある書斎の方へ進んで行った。―何処にどういう罠があるか知れない、道に豪胆な中井良太も、いつか拳銃を握る手はじっとり汗ばんでいた。一

書斎はすぐに分った。扉を明けてするように中へはいる、そのまま暫く様子を窺っていたが何も聞えない。「占めた、然し――これからがひと芝居だ」。「そう云って中井良太は変な事を始めた。先ず静かに卓子の方へ歩み寄って、音を立てぬように次々と抽出を明け、中から手当り次第に書類を取出して四辺へぶちまける、それが済むと書棚の方へ行って、ぎっしり詰っている書物を取下しては床の上へ散らかした。――そして、充分に部屋の中を掻廻して了うと、「宜し、これで舞台は出来た」と呟いて、窓の方へ進むと、何を思ったかいきなり眩で窓硝子をぐわんと突いた。ガラガラ!ガシャーン!深夜のしじまを破って凄じい反響を起しながら硝子が砕け飛ぶ、とたんに中井良

ま」

テーブル

間諜Q-号

ひきだし

「あたり

とりおろ」

かきまわ

つぶや

ガラス

すさま」

693?________________



ひるが

、ドア

)わき

酬太は身を飜えして扉の脇へ身を隠した。―吉か?凶か?全身の神経を集めた

中井良太の耳へ、とんとんと急ぎ足に近寄って来る人の違音が聞えてきた。ス

いつ

「でんとうっ

テーブ

かきみだ

あきら

臆病一番首

意外スパイQ殺さるドアいきおい|扉が勢よく開いてパッと電燈が点いた。そして太い大きな声で、「誰だー」い

うと叫びながら眼の鋭い老外国人が、拳銃を右手に書斎の中へ入って来た。――見ると、卓子の廻りも書棚も乱暴に掻乱され窓硝子が破れている、明かに誰か忍込んで、何物かを盗んだうえ窓を破って逃げた様子だ。「しまった」

老外人は狼狽して、思わず右手の壁へ走寄ると、せかせかと壁の表を手探りしていたが、やがてピンという微かな音がして、壁の一部へまるくポッカリ開いた穴。あっ――秘密金庫だ――老外人は夢中で中を覗き込んだ。と、不意に、「手を挙げろ、モリイ・コルマン」

が開『鋭い声がして、中井良太が扉の蔭からとび出して来た。老外人が仰天して手を挙げながら振返る、その鼻先へ拳銃をつきつけながら、大股に中井良太は近寄って行

ろうばい

かす

あなた一

いたずら

すなわ

間諜Q一号

った。こ「ははあ、こんな所に秘密金庫があったのですな、スパイQさん」「な、何だと?」「自分で捜すより貴方に教えて貰う方が早いと思ったから、些いと悪戯をしたんですよ。――この通り部屋中ひっ掻廻してあるので、貴方はてっきり誰かに機密書類を盗み去られたと思い、先ず何よりも重大な物が無事かどうかを調べにかかった……即ち、この秘密金庫の中に、貴方の一番大切な物が入っているという訳ですな」

本田らい「貴様は、だ、誰だ?」「日本の特務機関員。さあ退いて下さい、緑色の封筒を頂戴します。――おっと、動くとぶっ放しますよ、なにしろモリイ・コルマン実は××××国軍事探偵という種はあがっているんだ、暗殺しても宜しいと許可も出ている。下手にあがかず退いて居給え!」

中井良太のすばらしい詭計にかかって、遺に敏腕を謳われたスパイQも策の施しようがないか、口惜しそうに歯噛みをしながら、両手を挙げて見戌るばかりだった。秘密金庫の中からひと束の書類を取出した中井良太は、束の中から大型緑色封筒

ちょうだい

よろ

いたま

トリック

さすが、

うた

まも

うち

納?________________



なついん

696

まと

もうしわた

たちの一

ら

  • ドアたた

首

臆病一番首

を抜取り手早く中身を改めると正しく砲塔機密図で、「い・あ・3号」と云う捺印も相違なかった。にっこり笑って他の書類とひと纏めにポケットへ納め、拳銃をつきつけたまま、ひらりと扉の方へ身を飜えす。

(13)「やあ、どうもお邪魔さまでした。コルマン君、これで失敬しますが、お別れに臨んで申渡します、どうか三日以内に日本を立退いて下さい。でないと危険です、お分りですか、貴方の生命は絶えず狙われているんですからね、ではさようなら」でそう云って廊下へ出ると扉を叩きつけるようにパタンと閉めて、中井良太は外へ脱出した。「成功、大成功である。日本軍部を震撼させたスパイQを、ものの見事にぎゃふんと云わせたのだ。中井良太は雀躍しながら森を走りぬけると、天神坂までひと走りに戻り、そこに待たせてあった自動車で、はち切れそうな悦びにひたりながら赤坂さんのう山王にある自分のアパアトへ帰った。その明る朝起きると朝食もそこそこに諜報部へ駆けつけると、奪回して来た機密書類を持って、局長室へ元気いっぱいに入って行った。――局長室の中は何だかひどく混雑していたが、中井良太の姿を見るなり、谷屋局長が、「どうしたんだ中井」

しんかん)

こおどり」

よろこ

「あかさか

あく

どな」

と大声に吸鳴りつけた、「あれ程厳重に云ったのに、到頭君は失敗したな?」「え?失敗ですって?」海人、「国際問題になると面倒だから、傷をさせてもいかんと云ったじゃないか」着「僕には何だか分りませんが、コルマンがどうかしたのですか」ち出し「コルマンは殺されているぞ」

仰天する中井良太の前へ、局長は朝刊新聞を拠出した。取る手遅しと披いてみれ号ば、驚くべし五段ぬきの大標題で、でかでかと左のような記事が出ている。

ほうりだ

ひら

おおみだし

間諜Q-号

ニューヨーク

こんちょう

「あかあか」

紐育鯨油会社支配人殺害さる昨夜大森区馬込町東三丁目、モリイ・コルマン氏邸へ何者か侵入し、コルマン氏を殺害したる上家宅捜索をして逃亡せり。今朝午前三時半、同氏邸まえを通りかかりし農夫川村一平が、同邸の玄関が開いたまま明々と電燈がつき居るより、訝しく思いて立寄りたるに、玄関さきにコルマン氏が血まみれとなって倒れ、その脊中にぐさと短刀の突刺さりおるを発見、仰天して東三丁目巡査派出所へ急報せり。

気のスパ)

いぶか

せなか?________________



磁

みは

「あ!こ、これは」中井良太は夢ではないかと眼を瞠った。谷屋局長はそれを見ると、手にしていた号外をさし出して、い

の「見給え、これが第二報だ」

世

歯ブラシの謎

臆病一番首

いずこ

ただち」

コルマン殺人事件第二報。(今朝突発せるコルマン殺人事件は、更に驚くべき発展を示せり。――即ち、農夫川村一平の急報に依り、東三丁目派出所の巡査が現場へ駆けつけたるところ、驚くべし、現場にはコルマン氏の血染の上衣のみありて、意外にも屍体はすでに何処かへ運び去られし後なりしと、依って同巡査は直に番小舎なる老個僕を呼起し、仔細に屋内を検査する一方、急を警視庁に報ぜしかば、検察当局は直に出動活躍を開始せり。因に、老僕の証言に依れば、コルマン氏は書斎内に特殊写真装置を設けありし由にて、侵入せし犯人の姿はこの写真機に撮されありしものなるべく、監識課にて唯今これが現像を急ぎつつあり。

しさい

ちなみ

よし、

ただいま

テーブル

ゆうべ

あらた

たしか

間諜Q-号

「どうだ、それでも失敗ではないか」

原料の大学の「局長、これは大変な間違です、これは僕のした事ではありません」。関西人中井良太は決然と叫んだ。「僕はコルマンの体へ指も触れなかったのです、―御覧下さい、これが御命令の書類です」

そう云って緑色封筒と一束の書類を卓子の上へ置いて、手短かに昨夜の事件を物語った。―谷屋局長は書類を検めて、正に相違ない事をぜめると、やがて顔をあげて云った。量は「なるほど、そう聞いてみると君では無さそうだ、君の立去った後で誰かが忍込み、コルマンを殺したに相違ない――然し、号外で見ると書斎に写真機が装置してあったと云うから、もしも君の姿が写っているとすると面倒な事になるぞ」「局長、お願いがあります」

中井良太は進寄って「僕にこの事件を探査させて下さい。僕の仕事にけちをつけられたのですから僕が解決したいと思います」1)、中無S「やれる自信があるか」

すすみよ?________________



たちあが

しっか

%「必ず犯人を捕えてみせます」

谷屋局長は暫く考えていたが、やがて椅子から起上ると、しっかり中井の手を握って激励するように会った。-トーーク、「宜しい、やって貰おう、難事件と思われるから確り頼むぞ、あとの事は引受けた」

(

6「有難うございます、必ず犯人を挙げておめにかけます」真依子

中井良太は確信あり気に云って局長室を出た。「彼は何の成算もなかった。事件は実に奇怪である。犯人はコルマンを殺害し、通りかかった農夫が発見して派出所へ急報に行った後、コルマンの屍体を運び去ったと云う。「謎はこれだ、何のために屍体を運び去ったのか、事件の鍵はここにある。宜

臆病一番首

うなず。

中井良太は何事か頷いて外へ出た。その日の夜八時頃、彼はコルマン邸へ車を走らせた。もうひとわたり捜索が済んだらしく、二人ばかりの警官が残っているきりで、検事や刑事課長の人々は引揚げてしまった後だった。

ん動

号

おびただちだま

むご

Q-

中井良太は大胆にも正面から、のべ

る「やあ御苦労さまです」今日も

、文了)本間と警官に話しかけた。

中世界中事会で、「僕は東都新聞社の者ですが、その後何か手懸りはありましたか」、「何も無いよ」

術。「屍体のあったのは其処ですね」

中井良太は玄関を覗きこんだ。――屍体の在った場所であろう、そこにはどす動く夥しい血溜りの跡があって、虐たらしく切裂かれた血まみれの上衣投出してある。中井はそっと玄関へ入り、殆ど床の上を這うようにしながら丁寧に検べはじめた。―――警官の一人がそれを見て側へ寄って来ながら、嘲るように云った。言葉「シャーロック・ホルムズの真似かい?新聞屋さん。そんな所はもう腕利きの刑事連が塵も余さず捜索してあるぜ」「そうですか。おや?」海売あ

警官の嘲弄などは知らぬ顔で、せっせと検べ廻っていた中井は、ふと、……血溜りの跡から妙な物をみつけて拾いあげた。この本でも見らm「何か発見したかね、ホルムズ先生」

なのだ。

諜

あざけー

間

まー

ちょうろう?________________



はブラシ

はブラシ

臆病-番首

&「さあ、大した物じゃ無さそうですよ」

そう云いながら、電燈の光にすかしてみると、それは二三本血でかたまった長さ半吋ばかりの灰色の剛い毛であった、―――なんだか見覚えのある毛だが何の毛だろう、と見ていると、警官が覗きこんで、「なんだ、歯刷毛から抜けた毛じゃないか」

と云った。なるほど、見覚えのある筈、誰でも毎朝使う歯刷毛の毛だ。中井良太は苦笑して捨てようとしたが、ふと思いかえしてポケットの中へ入れた。警官は笑って、「そんな物をどうする気だね、家へ帰って壊れた歯刷毛の修繕にでも使うか」「何に使うか僕も考えていませんがね。――ところでこの血溜りがこすれているのは何ですか、刑事さんが何か検べたんですか」「犯人が屍体を引摺って行った跡さ」「屍体の在った場所から、ずっと玄関の外まで、ひどくかすれた血の跡がある。それは犯人が屍体を引摺って運んだ跡であった。――中井は懐中電燈をさしつけながら、仔細にその跡を跟けて行った。……するとその跡から又しても、二三本ずつ固った歯周毛の抜け毛を発見したのである。彼は思わず呻いた。

ひきず

かたま

「せつな

じんも、


Q

「分らん、どうして歯刷毛の毛がこんなに飛び飛びに落ちているんだ」

しょうたいああ正体はこれか

パーク「二十分ほど後、中井良太は番小舎へ出掛けて行った、個優の老僕はすぐ出て来たが、中井の顔を見た刹那、ひどく狼狽してよろめいた。恐らくまた刑事が来たとでも思ったのであろう、中井は静かに刑事ではないと説明して、

国内で号「君がコルマン氏の召使だね」。

と優しく訊いた。「僕は新聞記者で別に君を苦しめてまで訊問する訳ではないから、正直に知っている事を聞かせてくれ給え」「へい、へい、私はなんにも……」うき

う

き1「君はアメリカ人かね」「私は黒人と白人の混血児でがす、名はサムソンと云いやして五十二歳、もう十五年もコルマンの旦那に仕えておりやすで、へい」-中井はちらと老僕の様子を見た。サムソンは顔中髭だらけで肌の色は褐色、脊中

へ岩でも脊負っているようなひどい」優である。言いる理&「コルマン氏は書斎へ特殊な写真機を設えつけて置いたと云うが、どんな装置だ

間課

わたし

あいのこ

だんな」

そな?________________



704

「へい、それは壁へ隠してあって、侵入して来る者があると自動的に撮影する仕掛けになっとりますんで」「何と云う用意周到さだ。中井は思わず心の内で舌を巻いたが――やがて、ふと疑いが起った。バ

ッテリーdel「然し、君はどうしてそれを知っているんだ」し時期に「へえ、その、旦那様は、私には何でも話して下すったでがす、何しろ十五年も仕えているだで」。

そうかも知れない、と思っていると、不意に小舎の後でギャーギャーと騒がしい臆啼声が起った。老僕はにやりとして、

「豚でがすよ、旦那様が濠洲から種を取らしった素晴しい奴でがす、十二匹いますだ」行き場「へえー、豚を十二匹も?――そんなに飼っていてどうするんだね」「何でも品評会へ出して賞品を貰うだと云わしっていただが、それも今となってはもう無駄になりやしただ」「――あっ、そうかッ」

病一番首

なきごえ

ごうしゅう」

つったちあが

びっくり

はりばん一

ごちそう

間諜Q一号

不意に中井良太が突立上った。どうしたのか?――老僕は吃驚して、みた。「ど、どうなすっただか」

が「いや、いや何でもない」

との装置真から、大き中井は慌てて首を振ると、「済まないが君、ちょっと本館へ行って警官を一人呼んで来てくれ給え」あ

なたがたは「警官を―?」号「なに、張番をして疲れただろうから、ここへ呼んで一緒にお茶でも御馳走になろうと思うのさ、お茶はあるだろうな」「へい、呼んで来てから私が淹れますべえ」

巻気

でいる。「そう云って老僕は出て行った。

老僕が立去るや否や、中井良太はすばやく妙な事をしはじめた。先ず入口の板壁にかけてあった老僕の帽子を外し、帽子かけの釘を抜いて、一帆半ほど上へ打ち込み、そこへ今度は自分の帽子をかけた。それが済むと小舎を出て裏手へ廻り、懐中電燈で豚小舎の中を検べ始めた。(

本部「コルマン殺人事件の正体はこれか、ふふっ」

っ中井は嬉しそうに呟いた。(でも興、

身

査中(COM

わっしい

くぎ

705?________________



はげ

っき

臆病一番首

s「なるほどねえ、スパイQという奴は頭の良い奴だ。脊中へぶつり短刀のひと刺しか、あっははは、豚が十二匹に、歯刷毛の抜け毛か……」

丸くなって寝ている豚をひとわたり検べ終った時である、本館の方から遽しい雀音が聞えて来たと思うと、老僕を先頭に刑事課長や警官たちが七八名、足も宙に走って来て、

子部のブーストさ「や、いたいた」

本車「逃がすな、それが殺人犯だ」

喚きながら、ぐるりと中井良太の周囲を取巻く、刑事課長が拳銃を突つけながら、「手を挙げろ、コルマン殺しの犯人」「と叫んだ。中井は手を挙げながら、「僕がどうして犯人ですか」「白ばっくれても駄目だ、これを見ろ」刑事課長はそう云って一葉の写真を差出した。――見るとそれには右手に拳銃を擬した中井良太の姿が歴々と写っている。コルマンの特殊装置写真機で写されたものに相違ない。「どうだ、これでも犯人でないと云うか、いまこの写真の焼付けが出来たので、こ

ありあり、

ちょっ

号

課Q-

こへやって来て見せると、張番の警官と老僕が見て、貴様が来ている事を知ったのだ――殺人犯人は殺した後で必ず一度は現場へやって来ると云われているが、貴様も大胆な事をする奴だ。さあ一緒に来い」の場

合、「些と待って下さい」

中井は静かに遮った。「犯人は僕ではありません、信じて頂けないかも知れませんが犯人は外にいるんです」「下らぬ事を云うな、現にこの通り拳銃を持った貴様の写真が撮られているんだぞ、何と云っても駄目だ、歩け!」「それでは二十分だけ待ってくれませんか」、してみ

ての間「待つことは出来ん」

「では五分だけ」「駄目だ」で

す

、「じゃあ二分間待って下さい、その間に真犯人を捕縛してお眼にかけましょう」「なに、何だと―?」-刑事課長は呆れた。その隙を見て中井良太は大股に番小舎の中へ入って行った。

あき

すき

おおまた

707?________________



708

おくやみ

「ばか

病一番首

怪事件解決無

茶入、小、中へ。番小屋の中へ入った中井は、刑事課長と老僕サムソンを前に、取巻く警官たちを、一わたり見廻して、静かに口を切った。「僕はいま、真犯人を捕縛すると云いましたが、実はコルマン殺しの犯人という者は存在しないのです」「何を馬鹿な!」中井は冷静な口調で続ける。「第一に、コルマン氏の屍体がないのに、どうして殺害犯人だけいる訳がありますか」癌「屍体は犯人が運び去ったのさ」

で、資料の真、いい人「何のために?」「そうする必要があったのだろう」モリコの前で眠球もり「冗談じゃありません。すでに川村一平という農夫に屍体を発見されているのに、何の必要があって態々危険な屍体運搬などしますか――運んで行ったところで人間の屍体は喰えませんよ」「ではどうしたと云うのだ」

わさ

みんな

あぜん

「コルマンは生きています」。

中井良太の言葉は雷のように皆を驚かした。人々は唖然として声をのんだ――が、刑事課長はからからと笑い出した。・「馬鹿々々しい、そんな冗談を云うために二分間待てと云ったのかい。もう一分十秒過ぎたぜ」競ーク

「コルマンは生きています」号中井良太は再び繰返した。

中長過

ぎ「一分二十秒だ」と

の「コルマンは殺された真似をしたのです。そうしなければならぬ理由があったので間す。彼は三日間に日本を退去しなければならぬ理由があったのです」隊長

「一分四十秒だ」「僕は断言します、コルマンは生きている」

アンド「じゃあ会わせて貰おうか」

刑事課長は時計をしまって立上った、「生きているコルマン氏に会わせて貰おう、丁度いま二分だ」8「宜しい、来て下さい」?________________



首

臆病一番首

m_中井良太も立上った。

刑事課長と警官たちは中井を取巻いて小舎を出ようとした。中井は思いだしたように振返って、な定「ああ君、サムソン君」

と老僕に云った。「済まないが其処にかかっている帽子を取ってくれ給え」「へえー」と答えて、個優の老僕が帽子かけから帽子を取ろうとしてのび上った。その刹那、中井良太が、、。「おや、サムソン君、君はよく其処まで手が届くねえ」

と云った。老僕がぎょっとして振返るとたんに、中井良太は身を躍らせて老僕にとびかかり、其処へ捻伏せて叫んだ。「手錠を、早く手錠を下さい」

突然の出来事に狼狽している刑事の手から、奪うように手錠を取って、すばやく老僕の手へはめると、中井良太は静かに立上って、「御紹介いたします」とにっこり笑いながら云った。

ねじふ

こうやっていくのうが165

、

ひきおこ

かみのけ

つか

る人に物部行ってあるんか。きっとくだしい時

しりめ

つっこ

かつら、

はりもの一

間諜Q-号

「生きているモリイ・コルマン氏でございます」「ば、ば、馬鹿な」

中井は老僕が呆れて遮るのを引起しながら、いきなり髪毛を?んで引張った。すると意外にも白髪まじりの髪がすぽっと?れて、あとには房々とした金髪が現われたではないか。。。「あ!あ!これは?」

スライと驚く人々を尻眼に、中井良太は老僕の上衣の脊へ手を突込んで白い山形にふくれた張物を取出した。――髪は憂であった。そして個優と見せたのは脊中へ張物を入れていたのだ。3人「何誰か手巾を濡らして来て顔を拭いてやって下さい。あの褐色の下には白い皮膚がある筈です、―さて刑事課長」

と中井は向直って、「これで僕の云った事がお分りでしょうな?」「だが、あの血は……?」「血の正体はこれです」

。中井はポケットからさっきの歯刷毛の抜け毛のような物を取出した。刑事課長はmひと眼見て、

中国

の3

どなた、ハンカチぬ

711?________________



そろ

とが

臆病一番首

他「ああ、それは血溜りの中に落ちていた歯刷毛の毛じゃないか」

「そうです、僕も初めはそう思いました、然し熟く見て下さい、歯刷毛の毛は先を揃えて切ってありますが、これは自然のままに細く尖っていますよ」「と云うと……」「刷毛に作らない前の毛です、課長は歯刷毛の毛に何を使うか御存じですか」「――豚の毛だと聞いているが」「そうです、実に豚の毛です。つまりあの血は豚の血だったんです。御覧に入れましょうか、この裏にまだ十一匹もいますよ」

事件の転変は全く人々を驚愕させた。刑事課長も思わず嘆賞の声をあげたが、「然し、そうすると老僕はどうしたのかね」の言。「まだお分りになりませんか、老僕などと云う者は初めからいなかったんです。つまりコルマン自身が必要な場合老僕に変装していたのですよ。僕はそう気がつきましたから、彼奴を警官のところへ呼びにやり、あとで帽子懸けを一同半も上へ附け直して置いたのです、本当の個便なら今度は手が届かぬ筈でしょう、ところが奴は偽ですからまんまと一杯ひっかかって楽々と取りました。つまりどたん場で尻尾を出したという訳です」

きょうがく

フィート

にせ

しっぽ

てぬぐい

はげお

きち

どぎも

Na

メダル

そのあいだに、警官の一人が濡れ手拭で老僕の顔を拭いていたが、中井の云う通り、褐色の顔料が?落ちたあとから、紛れもないモリイ・コルマンの顔が現われたのである。

刑事課長はこの見知らぬ青年のすばらしい奇智に、すっかり度胆をぬかれた態あったが、やがて顔をあげて云った。

職場「君はいったい誰だ」号「僕ですか、僕はこういう者です」-中井良太は上衣の衿を返して見せた、そこには深報局員の鉄章が鈍く光っていた。

――刑事課長が驚いて挙手の礼をしたのを、中井良太は愉快そうに笑っておしとめ間た。

「もし僕が、あの血溜りの中に落ちていた毛を、歯刷毛から抜け落ちた物だと思いきっていたら、サムソンから豚の話を聞いた時にも事件の謎が分らず、今頃はコルマン殺人犯人として捕縛されていたでしょうなーいゃ、矢張りスパイQは恐るべき奴でしたよ」そう云って帽子を冠ると、さも愉しそうに口笛を吹きながら、大股に外へ出て行

やっぱ

713



底本:「周五郎少年文庫 臆病一番首 時代小説集」新潮文庫、新潮社
   2019(令和1)年10月1日発行
底本の親本:「新少年」
   1936(昭和11)年8月号
初出:「新少年」
   1936(昭和11)年8月号
※表題は底本では、「間諜《スパイ》Q《キュー》一号」となっています。
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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