「なぜ君が連れて来られている...!?」
名簿を確認した堂島は拳を握りしめる。
名簿に連ねられた名前、佐神善。
彼はかつて堂島が医者として救った少年である。
名簿に連ねられた名前、佐神善。
彼はかつて堂島が医者として救った少年である。
堂島にとって佐神善という少年は特別な存在だった。
最初は彼に対してもなにも感じていなかった。
退院してからも、病弱の幼馴染、糸葱(あさつき)シスカに会いに病院に通っていたのを見かけた時だって、時期に来なくなると思っていた。
けれど、彼は何度も足を運んでいた。毎週必ず、雨の日でも雪の日でも。小学生から中学生に、高校生になってもずっとお見舞いに足を運び続けた。
退院してからも、病弱の幼馴染、糸葱(あさつき)シスカに会いに病院に通っていたのを見かけた時だって、時期に来なくなると思っていた。
けれど、彼は何度も足を運んでいた。毎週必ず、雨の日でも雪の日でも。小学生から中学生に、高校生になってもずっとお見舞いに足を運び続けた。
そんな彼に次第に興味を持った。
どうしてそこまで気を配ってやれるのか、食事でもしながら話を聞いてみたかった。
聞けば、大層な理由もなかった。『シスカに元気になってほしい』。ただそんな優しさだけで彼女のもとへ足を運んでいたと分かった時、堂島は嬉しくなった。
優しさに溢れた命を救うことが出来たんだという、医者の喜びに改めて向き合えた。
シスカに対してもそうだ。
彼女の病気は何度手術をしても治らなかった。堂島自身、先も長くないとどこか諦めていた。今でも完治する確率は低いと見立てている。
けれど、確信していた。
善の優しさがシスカの支えとなっており、ある晴れの日に彼らが手を繋いで退院してくれることを。
どうしてそこまで気を配ってやれるのか、食事でもしながら話を聞いてみたかった。
聞けば、大層な理由もなかった。『シスカに元気になってほしい』。ただそんな優しさだけで彼女のもとへ足を運んでいたと分かった時、堂島は嬉しくなった。
優しさに溢れた命を救うことが出来たんだという、医者の喜びに改めて向き合えた。
シスカに対してもそうだ。
彼女の病気は何度手術をしても治らなかった。堂島自身、先も長くないとどこか諦めていた。今でも完治する確率は低いと見立てている。
けれど、確信していた。
善の優しさがシスカの支えとなっており、ある晴れの日に彼らが手を繋いで退院してくれることを。
医者とは常に成功する業種ではない。
手術に携わる者ならば猶更だ。
同じ病気の手術をしたところで救える命と救えない命の両方のケースがある。
だから彼は割り切っていた。
如何な難病の治療を成功させても失敗させても、そういうものだと感情に栓をした。
その割り切っていたはずの感情が、再び蘇ってきた。
彼のような優しい命を救いたい。その優しさで傍の人を救ってほしい。そんな者がいれば、きっと世の中は綺麗になるんだと。
それが医者である自分の本来の願いだったのだと。
手術に携わる者ならば猶更だ。
同じ病気の手術をしたところで救える命と救えない命の両方のケースがある。
だから彼は割り切っていた。
如何な難病の治療を成功させても失敗させても、そういうものだと感情に栓をした。
その割り切っていたはずの感情が、再び蘇ってきた。
彼のような優しい命を救いたい。その優しさで傍の人を救ってほしい。そんな者がいれば、きっと世の中は綺麗になるんだと。
それが医者である自分の本来の願いだったのだと。
互いに友人であり互いに恩人である。
堂島にとっての佐神善はそういう人間だ。
だから彼が吸血鬼の世界に入ってきた時もどうにか関わるのをやめさせようとした。
幾度、己の正義を邪魔されても、決して死んでほしくないと何度も戦いから降りさせようとした。
彼が決して諦めないのを知った上でだ。
堂島にとっての佐神善はそういう人間だ。
だから彼が吸血鬼の世界に入ってきた時もどうにか関わるのをやめさせようとした。
幾度、己の正義を邪魔されても、決して死んでほしくないと何度も戦いから降りさせようとした。
彼が決して諦めないのを知った上でだ。
その彼が殺し合いに巻き込まれている。
堂島がヒーローになり救いたいと願う優しき命が、この悪魔の所業の贄にされようとしている。
きっと彼はそれでも己の身を粉にして誰かを護るために戦い続けるだろう。
救わなくては。
何者よりも優しい彼を。
帰さなくては。
シスカと共に陽の当たる道へと。
堂島がヒーローになり救いたいと願う優しき命が、この悪魔の所業の贄にされようとしている。
きっと彼はそれでも己の身を粉にして誰かを護るために戦い続けるだろう。
救わなくては。
何者よりも優しい彼を。
帰さなくては。
シスカと共に陽の当たる道へと。
『さっきの子は殺したのに』
脳内に声が響く。いつまでもまとわりつく霧島の声が。
『彼女と佐神くんの違いはなにかしら?ただ顔見知りというだけの差で、彼は正義で彼女は悪だったのかしら』
ケラケラケラ、と堂島をせせら笑う。
『ええ、そうよね。その場その場で悪の基準を都合のいいように改ざんする。その信念を今度こそ彼の前で誇らしげに語ってみなさいな、【ヒーロー】』
「ッ...!」
「ッ...!」
霧島の声から耳を背けるように目を瞑り、改めてこれからの方針を考える。
善と自分以外に連れて来られているのは三名。ドミノ・サザーランド、日ノ元明―――日ノ元士郎。
自分たち吸血鬼(ヴァンパイア)の頂点に立つ者が二人もこの会場にいる。
非情に悩ましい種だ。この二人に正面から挑んでは勝ち目は間違いなく零なのだから。
自分たち吸血鬼(ヴァンパイア)の頂点に立つ者が二人もこの会場にいる。
非情に悩ましい種だ。この二人に正面から挑んでは勝ち目は間違いなく零なのだから。
(だが、これは考えようによっては最大の好機でもある)
自分が連れて来られる前に受けていたダメージがなくなっていたことから、彼らもまた同じ処置が施されているだろうと予測はつく。
しかし、万全状態とはいえ、あの島での決戦とは違い、盾となり矛となる主力の配下はほとんどおらず、日ノ元に至っては奴一人だけだ。
ドミノと日ノ元、始末すべきなのは間違いなく日ノ元であるため、ドミノと明、そして自分の三人で挑めば勝機を掴めるだろう。
あるいはそう考えるであろうドミノたちを、消耗したところで後ろから刺し彼女の心臓を喰らい日ノ元を討つ。
しかし、万全状態とはいえ、あの島での決戦とは違い、盾となり矛となる主力の配下はほとんどおらず、日ノ元に至っては奴一人だけだ。
ドミノと日ノ元、始末すべきなのは間違いなく日ノ元であるため、ドミノと明、そして自分の三人で挑めば勝機を掴めるだろう。
あるいはそう考えるであろうドミノたちを、消耗したところで後ろから刺し彼女の心臓を喰らい日ノ元を討つ。
ああ、そうだ。自分の本来の計画はこの形に一番近いじゃないか。
「...ハッハッハッ」
笑う。まるで強がるように。纏わりつく声を振り払うように。
そうだ。どれだけ綺麗ごとを語っても結果が伴わなければ価値はない。
そんなものいくらでも経験させられた―――医者としても、吸血鬼としても。誰よりもわかっていることだ。
そうだ。どれだけ綺麗ごとを語っても結果が伴わなければ価値はない。
そんなものいくらでも経験させられた―――医者としても、吸血鬼としても。誰よりもわかっていることだ。
ならばもう立ち止まる暇はない。進むしかない。
いまはただ、如何な犠牲を払おうともあの巨悪を討つことだけを考える。
しかしそれでも。
『こんな虐殺をやってそれでも手にしたい願いなんて、僕は絶対に認めないぞ!!』
『だれも...ころさないで...』
『だれも...ころさないで...』
彼に、【ヒーロー】にぶつけられた優しい信念が、頭の片隅から消えることはなかった。
【Dー6/一日目/深夜】
【堂島正@血と灰の女王】
[状態]:精神的な疲労(大)、まどかを斬った罪悪感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生き残り正義のヒーローになる。
0:日ノ元士郎を討つ。そのあとは...?
1:善を死なせたくはない
[状態]:精神的な疲労(大)、まどかを斬った罪悪感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生き残り正義のヒーローになる。
0:日ノ元士郎を討つ。そのあとは...?
1:善を死なせたくはない
[備考]
※参戦時期は101話より。
※まどかを殺したと思っています。
※参戦時期は101話より。
※まどかを殺したと思っています。
015:勝利の影に | 投下順 | 016:平安とは無縁な者達 |
I need a hero to save me now | 堂島正 | 029灰色の世界の下で ーThe Beginningー |