思い出す、回想する、追憶する。
赤い海、砕けた月に、黒い大地に、何も変わらない満点の夜空。
黙示録、人も悪魔も相打った終末の歴史の中。
赤い海、砕けた月に、黒い大地に、何も変わらない満点の夜空。
黙示録、人も悪魔も相打った終末の歴史の中。
同志も、抵抗者も、反逆者も、何もかも死に絶えて、亡骸が大海を赤い夢幻で染め上げた、世界最後の夜の下。友であった男の亡骸を抱いて
――僕は、泣いた
○ ○ ○
昼も夜も無く、未だ辺獄に赤き月の廻る頃に、それは鳴り響く。
『ボンジュール! と言ってもこの場所は昼も夜の境界なんて無いに等しいのだけれどさ!』
軽快な音楽、そいて雰囲気に恐ろしく反した明るい音声
「そーろそろ6時間経過した頃だから、みんなお待ちかね! 死亡者情報の発表と行こうか!」
まるで玩具で遊ぶような気楽さで、道化師は楽しそうに死亡者の名を紡ぐ
『柳瀬舞衣』
『村田勤』
『ユカポンファンの吸血鬼』
『由香』
『スキャッター』
『オフェンダー』
『伊藤大祐』
『藤原美奈都』
『ブサイク大統領』
『ヒエ』
『ワム』
『ガビ』
『バボ』
『カミソリ鉄』
『チェーン万次郎』
『ドス六』
『メリケン錠』
『死神』
『沼の鬼』
『ドドンタス』
『カンフーマン』
『ホワイト』
『恵羽千』
『優木せつ菜』
『モッコス』
『吹石琴美』
『細谷はるな』
『司城夕月』
『北条沙都子』
『広瀬あゆり』
『ノワール伯爵』
『益子薫』
『三島英吾』
『ミスティ』
『絶鬼』
『フェザー』
『赤城みりあ』
『村田勤』
『ユカポンファンの吸血鬼』
『由香』
『スキャッター』
『オフェンダー』
『伊藤大祐』
『藤原美奈都』
『ブサイク大統領』
『ヒエ』
『ワム』
『ガビ』
『バボ』
『カミソリ鉄』
『チェーン万次郎』
『ドス六』
『メリケン錠』
『死神』
『沼の鬼』
『ドドンタス』
『カンフーマン』
『ホワイト』
『恵羽千』
『優木せつ菜』
『モッコス』
『吹石琴美』
『細谷はるな』
『司城夕月』
『北条沙都子』
『広瀬あゆり』
『ノワール伯爵』
『益子薫』
『三島英吾』
『ミスティ』
『絶鬼』
『フェザー』
『赤城みりあ』
「以上、死んだの38名。いやぁ、みんな張り切ってるようで何より何より! ……では次に禁止エリアの発表だけれど。抽選の結果この3つ!」
『C-5』『E-3』『F-7』
「というわけで、今言われたエリアに居る参加者は早く出ないとドッカ~ン!」
「では放送はこれまで、次の放送も楽しみにしていてね、ボン・ボヤージュッ!」
○ ○ ○
そこは、間違いなく『違う世界』と形容する他無く。
平安京という中世日本の舞台にはあまりにも相応しくない場所であった。
静謐さと、神々しさ、それでいて恐ろしき虚空か。
平安京という中世日本の舞台にはあまりにも相応しくない場所であった。
静謐さと、神々しさ、それでいて恐ろしき虚空か。
「……もう第一回放送か」
白と黒、その二色で構成された一室、空間にその男はいた。
タブレットに映る会場の参加者たちを、画面越しに俯瞰する。金髪の青年。
神の如き蒼玉の双眸が揺らめき、僅かに瞬く。
タブレットに映る会場の参加者たちを、画面越しに俯瞰する。金髪の青年。
神の如き蒼玉の双眸が揺らめき、僅かに瞬く。
「変わらず愚かだな、人は。」
感傷もなく、さも当然と、必然とばかりに呟いた。
「殺し合わせる催しには特に意見は無いが、戦略的もなく享楽のためとは、これのどこが面白いのだか。」
「俺はおもしれぇと思うぜ。……参加できねぇのは残念だがな。あいつにリベンジ果たしてぇ所だったが。」
「……私が言えた立場ではありませんが、あの敗北を経験してその根性はある意味称賛しますよ。」
「俺はおもしれぇと思うぜ。……参加できねぇのは残念だがな。あいつにリベンジ果たしてぇ所だったが。」
「……私が言えた立場ではありませんが、あの敗北を経験してその根性はある意味称賛しますよ。」
青年の背後に、二人。片やスマホの画面片手にエナジードリンクを呑み込み、観客気分で殺し合いの映像を楽しむドレッドヘアの男。
そして片や……それは染め上がったワインレッドのたてがみのような髪型を持った、まるで悪魔のような形相の男。
そして片や……それは染め上がったワインレッドのたてがみのような髪型を持った、まるで悪魔のような形相の男。
この3人は、かのキャスター・リンボが呼び寄せた、謂わば『客将』と呼ばれる立ち位置。
恐竜蔓延る古代の時より現存し、神に寄って滅ぼされた創造主の失敗作。
幻想の存在として呼称するなら、それは正しく『悪魔』である。
恐竜蔓延る古代の時より現存し、神に寄って滅ぼされた創造主の失敗作。
幻想の存在として呼称するなら、それは正しく『悪魔』である。
「つーかさぁ、どう思うんだよ。あのキャスター・リンボってやつ?」
ふと、口を開けたのはドレッドヘアの男、。
悪魔人間にされ、弱肉強食の摂理に従い悪魔側へ裏切った元人間。
悪魔人間にされ、弱肉強食の摂理に従い悪魔側へ裏切った元人間。
「どう考えても怪しいだろアイツ。ディメーンだかメフィストフェレスもだが、人間魔改造しての殺戮マシーンの手法も胡散くせぇし。」
「それに関しては同意です。神の力を人間ごときに宿らせるという事実も私としては気に入らない。……なぜサタン様はあのような男と……。」
「いいじゃねぇか、こうやってもう一度命もらってるわけなんだしよ。」
「………」
「それに関しては同意です。神の力を人間ごときに宿らせるという事実も私としては気に入らない。……なぜサタン様はあのような男と……。」
「いいじゃねぇか、こうやってもう一度命もらってるわけなんだしよ。」
「………」
幸田の言葉に賛同しつつも、「やはり人間であった性根はどうしようもないな」と呆れ顔をするワインレッドの男、悪魔サイコジェニー。
「―――今の我らは客人としての立ち位置。こうしてサタン様と再開できたのも奇跡に等しい。今は大人しく従っておくこととしましょう。貴方も勝手な真似はしないように。」
「はいはい、わかってますって。」
「はいはい、わかってますって。」
サイコジェニーも、悪魔人間・幸田燃寛もいまだ結末を知らない。
サタンが『彼』に打ち勝つも、結局神の気まぐれにただ消されるだけだった終幕を。
そしてそれを、サタン――金髪の青年、飛鳥了が語ることは無いであろう、おそらくは。
サタンが『彼』に打ち勝つも、結局神の気まぐれにただ消されるだけだった終幕を。
そしてそれを、サタン――金髪の青年、飛鳥了が語ることは無いであろう、おそらくは。
(―――明)
映像を止め、ただ一人を、不動明という悪魔人間の姿を、飛鳥了は見つめている。
不動明が八将神に選出されるにあたり、『勇者アモンを疑似生誕させてくれ。ただ魂を弄るのではなく、元の不動明と両者が存在するように』という提案をしたのは飛鳥了である。
実のところ、リンボは純粋な『勇者アモン』だけを将神として顕現させるつもりだったし、別段言えば他にも将神の候補は居たわけで。
不動明が八将神に選出されるにあたり、『勇者アモンを疑似生誕させてくれ。ただ魂を弄るのではなく、元の不動明と両者が存在するように』という提案をしたのは飛鳥了である。
実のところ、リンボは純粋な『勇者アモン』だけを将神として顕現させるつもりだったし、別段言えば他にも将神の候補は居たわけで。
『おやおや、サタン様とあろうお方が、存外素直でござったか。』
蛆が湧くような、虫が体中に忍び寄るような感覚が襲いかかった、リンボの過去の言葉。
愛などない、故に心もない。――そう思っていた。不動明がいて、愛も心も知った。
愛などない、故に心もない。――そう思っていた。不動明がいて、愛も心も知った。
本当は、不動明を蘇らせたかっただけなのだろうか、そう思いたかった。
結局、仲を違い、憎まれ争うしかなかっただけで。
結局、仲を違い、憎まれ争うしかなかっただけで。
(……もし生き残れていたら。出来れば、君とは。)
もう一度会いたい、そして話し合おう。そう思い、ガラス越しに見える赤い月をサタンは見上げていた。
そういえば別の世界では月に兎がいるとは言っていたらしい、もし事が済めば明を連れて月の兎に会いに生きたいものだ。
そういえば別の世界では月に兎がいるとは言っていたらしい、もし事が済めば明を連れて月の兎に会いに生きたいものだ。
――そして飛鳥了は未だ知らないであろう。あの不動明が、彼の知るデビルマンではない、という事実を
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