響く歌声、空色の約束を交わします!! ◆7pf62HiyTE
土煙が晴れる。
「ううっ……一条さん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ……だが、響君は?」
視線を良牙とマッハキャリバーのあった所に向ける、そこには爆砕点穴によるクレーターが出来ていた。そしてその中央には良牙――
「Why ?(何故?)」
それにマッハキャリバーがあった。指はほんの1センチ、マッハキャリバーを外していた。
「……」
良牙は無言でマッハキャリバーを拾い上げる。
「Do you think that tender feeling were applied?(情けをかけるつもりですか?)」
「……情けだぁ? 何で俺がテメェを気遣わなきゃならねぇんだ……」
「良牙さん……」
「大体、散々好き勝手やっておきながら……壊してもらおうなんざ虫が良すぎるだろうが!」
「まさかマッハさん……」
「そうか……だからわざと響君を逆上させる様に挑発したのか……」
マッハキャリバーは自責の念に堪えかね、自らを破壊して貰うつもりだったのだ。
幸か不幸か現れた良牙は
シャンプーの友人であり、スバルの顛末にあそこまで怒り嘆き悲しんでくれた。
だからこそ意図的に彼を逆上させ壊させる様に仕向けたのである。
「I am not allowed!! Therefore, I am broken!!(私は許されない!! だからこそ私を壊してくれ!!)
「断る! テメェは壊されて満足だろうが……壊す俺にとっては目覚めが悪すぎるんだよ!! 何で俺がテメェの自己満足に付き合って嫌な気分にならなきゃならねぇんだ。都合良いことばっか言ってんじゃねぇ!!」
「But...(しかし……)」
「絶対にテメェは壊させねぇ……最後まで付き合ってもらうぜ……ったく……死ぬ事でしか救われない……死んで救われるなんて話……そんなもんもう二度と聞きたくねぇんだ……」
それが良牙の出した審判である。それでもマッハキャリバーは納得していない様だったが、
「マッハキャリバー、何故私達がここに来たかわかるか? 泣き声が聞こえたからだ……君の声だ……」
「Crying ? No , I ...(泣く? いや私は泣いて……)」
「ほんのかすかだったが確かに聞こえたんだ……君の心の声かもしれない……君はソレワターセに操られていたとはいえ自分がした事に責任を感じ悔やんだ。だからこそ悲しみの声を……」
「No. I don't ...(いや、私には心は……)」
「君は何故、シャンプーを殺した事を伏せていた? それは響君に後ろめたい感情があったからだ。君はずっとその事を後悔していた……それはまさしく君自身の心だ……君は泣いていたんだ……」
「But...(しかし……)」
「君の罪は私にも許す事は出来ない。だが、君を悲しませたままにする事も私には出来ない……私の友もきっと今の君を見れば放ってはおかないだろう……もう君が悲しみの涙を流す必要は無いんだ……
君がそれでも苦しむのなら……君の力を我々に貸して欲しい、戦わなくても構わない、仲間達の支えになるだけでいいんだ……もう、人々の笑顔が失われるのは沢山だ……君も含めてだ」
一条がそう言葉を紡ぎ出す。
「Can I who committed the crime which is not allowed change?(許されざる罪を犯した私は変われるのでしょうか?)」
「……私にも貴方の罪を許す事はできません」
他の2人同様、ブロッサムも許す事は出来ないと応える。何故なら、多くの犠牲者の嘆きをブロッサムの独断で許す事は、ある意味では犠牲者達に対する最大の冒涜だからだ。
「そして、マッハさんの心が悪に染まった事も間違いありません。ですが、変わる事は出来ます、やり直しがきかないなんて事はありません。
だって、まだマッハさんは生きています。生きているならば何度でもチャンスはあります。今からでも変わる事は絶対に出来ます。もし、変わる事すら許さないという人がいるならば……そんな人達から私が貴方のこころの花を守ります!」
「That voice ... It seems that it is talking with Ms.Fate...(その声……フェイトと話している様だ……)」
そんなつぼみを余所に
「悪い一条、迷惑を掛けちまったな……」
「いや、私の配慮も足りなかった……それに踏みとどまってくれてくれたんだ、今は十分だ……」
「ああ、そういや一条達は見たのか……?」
「見た? 何をだ?」
「いや、見てないんだったら別に良い……」
実の所、あの瞬間まで良牙はマッハキャリバーを破壊するつもりだった。理屈ではわかっていても最早感情は止められなかったのだ。
だが、その寸前――
『お願い!! 壊さないで!!』
目の前に青い髪で全裸の少女の幻が泣きながら訴えてきたのだ。
その正体を良牙は理解した。そう、スバルの幻だ。
何故、そんなものが現れたのか――幽霊なのかもしれないし、妄想レベルの幻かもしれない、
あるいはソレワターセと一体化していた影響か、スバルの残留思念がマッハキャリバーに刻み込まれていてそれがマッハキャリバーを守る為に飛び出したのかも知れない。
真相は誰にも知り得ない話だが、理由はどうあれ良牙はその幻を見た、そういう話だ。
その幻を見た瞬間、良牙の意識は急激にクリアになった。そしてマッハキャリバーがスバルと同じ事をしている事に気が付いたのだ。
自らを壊させる事で救われようとしてる事に――
それに気付いた瞬間、良牙は破壊する事を止めたのだ。死ぬ事で救われる事は良牙自身が一番否定していた事なのだ、ここで壊してしまえば死ねば救われる事を認めた事になってしまう。それはどうしても出来なかった。
勿論、マッハキャリバーに言った事も本心だ。許すつもりは無いからこそ生きて苦しめという意味合いだ。
もっとも、外したのは意識がスバルの方を向いた事で獅子咆哮弾による重力を耐えようとしたバランスが僅かに崩れたからという理由もあることを付記しておく。
「それより君に1つ大事な事を話しておく……君の一番の目的は……」
「あかねさんとの合流、忘れるわけがねぇ」
「ああ、だが……」
それだけで良牙は一条の意図を理解した。
乱馬が死亡した事であかねが殺し合いに乗る可能性があるという事だ。
それが絶対に無いとは言い切れない。
正義感溢れる人々が堕ちてしまうという事例を良牙は沢山見てきた。
そして、マッハキャリバーの挑発に乗り、良牙自身も惨劇を起こしかけたのだ。
(良牙にとっては否定したい事だが)愛する乱馬が死んであかねがどうするかは読み切れない。
もしかしたらガイアメモリを手にし他の参加者を既に殺しているかもしれない。
そしてその影響で最早戻れない所にまで来ているかもしれない。
「……勿論、私としても奴等の良い様にはさせないつもりだ」
「……絶対に助けるとは言わねぇんだな」
「……すまない」
本当なら絶対に助けると言いたい、だが嘘がつけない以上こういう風にしか言えないのだ。
「いや、いい……もしそんな事になったら……」
「自分で決着を着けるか……だが、1つだけ約束してくれ……君がどんな選択を取るかはわからない、だがどんな選択を取っても人々の笑顔を守る為ならば幾らでも力を貸す……だから……
中途半端はしないでくれ……頼む……」
「一条……アンタ……」
良牙は何故一条が懇願しながらも強く言えないのか考えた。
恐らくそれは五代への想いなのだろう。
良牙は短い付き合いではあったものの五代の姿を見て、どう考えても戦いに向いている奴じゃないと思っていた。
それがいざ戦いになれば自分よりも圧倒的に頼れる存在だった。
人々の笑顔を守る為にクウガへと変身する力を得た、それはわからないでもないが、正直自分達にそんな事をする気は起きない。
変身体質なんぞ好きこのんで得るものではないからだ。勿論、
パンスト太郎の様にそれを喜ぶ奴もいるがそれは強さを得たというメリットが大きいからだ。
だが、五代はそうではない、五代は強さなど求めていない。人々の笑顔を守りたいだけでしかない。
蹂躙される人々を守る為に蹂躙する人々をクウガの力で蹂躙する。冷静に考えて見れば矛盾している。
五代はそれを割り切りっていたのだろうが、一条はそんな矛盾の中にいた五代を見て苦しんでいたのだろう。
一条はクウガとして戦おうとする五代に中途半端はするなと言った、そして五代はその言葉通り中途半端はせず全力で戦った。
その結果五代を矛盾の中に放り込む事となった。ある意味『中途半端はするな』という言葉が呪縛になっていたのかも知れない。
そして恐らく良牙もその矛盾の中に入る可能性がある。どちらに転んでも過酷な状況に陥る――
それ故に『中途半端』しない様に言った、だが五代の事を考えると強くは言えなかった――
「俺は……」
一体、自分はどうすれば良いのだろうか?
その最中――気が付いたら歌が聞こえていた。
「何だ……?」
「あれは……」
ふと地面にi-podがイヤホンの外れた状態で落ちているのを見つけた。
恐らく、良牙の懐に入っていたが、いつの間にか落ちてしまっていたのだろう。
マッハキャリバーに気を取られていたため今まで気にも留めなかったが今更ながらに気付いたという事だ。
そしてある曲が響き渡る中――
「あれ……この曲……」
「Master...」
マッハキャリバーは何処かもの哀しげに呟いていた。
一方の良牙も、
「ちっ……何て哀しそうな顔で……笑っていやがる……」
夕焼けに染まる空を見上げる――そこには全裸のスバルの幻が見えていた――
何か言っている様な気もするが流石にそれは聞こえない。
謝っているのか、感謝しているのか、相棒の事を託しているのか――
「Is it visible?(見えているのですか?)」
「さぁな……だが……テメェの事を怨んではいない事だけは間違いねぇ……そうでなきゃ……あんな風に笑えねぇよ……それでもまだフザケタ事抜かすつもりか……マッハキャリバー……」
マッハキャリバーにはその幻は見えなかった――だが、良牙の言葉通り彼女はそこにいたのだろう。
死してなお、裏切り者の自分を救うために。
今更、戻れるとは思えない――だが、そこまでする『相棒』の言葉を無碍にする事も出来なかった――
「Appreciate...my great buddy ...(感謝します……私の偉大な『相棒』……)」
だからこそ、空へと誓う――
「この曲……まさかナカジマが……?」
「……似た声の人の曲だと思います……本人かどうかまでは……」
「一体何故……」
「確か、イヤホンを外した時、その時に合った音楽を流すという機能がありました……」
「それは知っている……だが、そんな都合の良いことが……」
「……いいじゃないですか、都合の良い話でも……マッハさんの心が元気になったんです……偶然であっても、何かの理由があってもそんなことはもう……関係無いです……」
「そう……だな……」
そう一条と話しつつつぼみはi-podを持ち上げる。ディスプレイには曲名が映し出されていた――
PART.7 空色の約束
PART.8 岐路
そして移動を再開した
無駄とは言わないまでも大分時間を消費した。迅速に目的地に向かわねばならない。
先程と違うのは今度はクウガこと一条は赤のクウガの状態でビートチェイサーに乗っている所だ。元々一条の世界のバイクなので一条が乗る事に何の疑問も無い。
ちなみにあの場所にあった荷物の殆どはひとまず一条の手元においてある。
但し、つぼみ達をモデルにしたマンガ本は元々つぼみ達の世界のものなのでキュアブロッサムことつぼみが、
呪泉郷関係の品は当然その関係者である良牙が所持している。
そしてここまでの経緯もありマッハキャリバー及びリボルバーナックルは現状良牙が所持している。
ちなみに破損はあるものの現状使用に差し支えはない。重量があるとはいえ良牙ならば十分使用出来る――とはいえ良牙自身現状使う気は起きないし今後も使うかどうかは全く別問題だ。
「(結局、
バラゴは戻ってこなかった……状況から考え冴島が撃破出来た可能性は高い……冴島達の安否は不明だが……どちらにしても無事ならば街で合流出来る筈……今は進むしか無い……)」
鋼牙達の安否が気がかりではあるものの、捜索する余裕は無い。じきに始まる放送である程度わかる以上、この場は進むしかない。
「(だが、懸念はある……)」
一条は1つの不安要素を見出していた。それはバラゴが偽の情報を吹き込んだレイジングハートの存在だ。
「(もし、レイジングハートがバラゴを善人と認識した場合、仮に冴島がバラゴを仕留めたならば……レイジングハートは一層彼を憎むだろう)」
そう、フェイトを殺した鋼牙がバラゴを殺した場合、レイジングハートの憎悪は更に深まると考えて良い。
「(インテリジェントデバイス……魔法を補佐する力……普通の人間ならばそこまで問題は無いが……もし、魔法、あるいはそれに準ずる力を持つ悪意ある参加者が手にした場合……)」
それは一転して大きな脅威となる事を意味する。マッハキャリバーの存在からもそれは考えた方が良い。
また、仮にそうでなくてもレイジングハートは誤った情報を拡散させる事になる。
つまり、鋼牙達魔戒騎士を警戒する連中が現れるという事だ。これでは折角一丸となりつつある仲間達が分裂しかねない。
「(可能ならば他のインテリジェントデバイスも回収した方が良い……残りはバルディッシュとクロスミラージュ……クロスミラージュはあの戦いで壊されたらしいが……まだ生きている可能性もあるか……?)」
それ以外にも問題はある。仮にバラゴが倒されたとして脅威の1つは払拭されたとしても脅威となり得る参加者は何人かいる。
元から殺し合いに乗る危険人物に限った事では無い、殺し合いとは無縁であってもガイアメモリなどの悪意で堕ちる者もいる。
しかし、
ダークプリキュアに関してはつぼみ達プリキュアが、あかねに関しては良牙が対応するだろう。
無論彼等に甘えるつもりは毛頭無い――だが、それ以上に一条自身が対応せねばならない相手がいるだろう。
「(残る2体の未確認……奴等との対応は私がやらねばならない……)」
そう、未確認生命体への対応は一条がとらねばならないのだ。仲間達が協力するとはいってもそれに甘えるわけにはいかない。
だが一条は勝てるのだろうか? 確実に残っているB11号は赤の金の力でも倒せず更に強化した黒の金の力で倒したという事だ。
赤の金の力でも数キロ四方に影響を与える力、それ以上の力を自分は扱えるのか?
それ以上に残るもう1人、仮にその人物がB11号以上の力を持っているならば――黒と金の力すら通用しないならば?
クウガにとっての最強の力――それは金の力ではなく、聖なる泉枯れ果てた時に現れる凄まじき戦士の事である。
そのフレーズからもわかる通り、それは決してなってはいけない姿、
五代は自身の無力さから一度その姿のヴィジョンを見た。その上で絶対にならないと約束してくれた。
金の力の強化は結局の所、それを避ける為の手段でもあったのだ。
だが、それすらも無駄だとしたら――
「(五代、お前だったらどうする? 金の力すらも通じない相手が現れたら……)」
五代ならばどうするか、それでも尚凄まじき戦士とならないのか、それとも皆の笑顔を守る為、自己を捨ててでも凄まじき戦士となるのか――どちらが正しいのかは一条にも知り得ない。
確実に言える事は、仮に凄まじき戦士となって戻れなくなった場合、五代は一条に自分を止める事を頼む筈だ、一条ならば迷うこと無く闇に墜ちたクウガを五代毎仕留めてくれると信じているからだ。
「(確かに人々の笑顔を守る為に必要ならば、俺は五代を撃つ事も厭わない……だが……)」
問題は今のクウガは五代ではなく一条という事だ、同じ様に凄まじき戦士となった時、誰が自分を止めてくれる?
それがどれだけ辛いことか、それを仲間達に押しつけるというのか?
どちらにしてもその時に備え何れこの事は仲間達に伝えねばならないだろう。その時は確実に近づいている――
「(なぁ五代……もし仮に……俺とお前の立場が逆だったら……俺が凄まじき戦士となった時、お前はどうする……俺を殺してでも止めるか……それとも……)」
一方の良牙は先程同様キュアブロッサムに抱きかかえられたまま移動していた。
その耳にはi-Podから繋がれたイヤホンが嵌められている。流れている曲目は『乱馬ダ☆RANMA』である。
「中途半端はするな……か……」
その曲は曲名通り乱馬や天道家の面々、そしてその仲間達が自分達の事を歌っている曲、そして良牙自身の声も何故か入っている。
「ふっ……」
と、ふと水の入った容器を取り出す。容器には『黒豚溺泉』と書かれている。
今更語るまでも無いが、それは良牙自身をずっと悩ませていた変身体質の元凶だ。密かにそれを確保していたのだ。
確かに良牙はその体質を解消した。しかしそれは同時にPちゃんとしての姿も失われた事も意味している。
それが切欠で出会ったブタ好きな雲竜あかりが悲しむがそれについてはこの際置いておこう。彼女はPちゃんの正体が自分だと知っているわけだしそこまで気にする問題じゃ無い。
もう二度とPちゃんとしてあかねに可愛がって貰える事も無い――という意味では(多分)ない。
ふと考えたのだ、既に乱馬を失った彼女に――Pちゃんまで知らない所で失われるのはどれだけ辛いことかと――
あかねがPちゃんの正体が自分だと知らないし、良牙自身もそれを明かすつもりはない。
知らずに大事な人物が消える、それはどれだけ辛い事だろう。だからこそ何の気無しに確保したのだ。
しかし――
容器を開け、投げ捨てた。中身は全て地面に零れ容器は勢いよく転がった。
「良牙さん、今のは……やっぱり……」
「いや、気にしなくていい……」
「そう……ですか……」
まさか折角元の体質に戻れたのに再びあの体質に戻るというのか?
散々その為に仲間達に迷惑かけたのにそれを台無しにするというのか?
いや、それだけじゃない――
そんな中途半端な気持ちで本当にあかねを守り、救う事が出来るのか?
そんな中途半端な気持ちがなければまだ救えた奴もいたんじゃないのか?
そんな中途半端な気持ちを少しでも振り切るために、『黒豚溺泉』の水を捨てたのだ――
「(ちっ……本当だったら乱馬……それはお前がやるべき事だった筈だぜ……何で勝手に死んじまったんだ……)」
内心で何処かで死んだらしい友への思いを口にする。
「(格闘と名がついたら負けるワケにはいかねぇって何時も言ってるテメェの事だ……勝つために死ぬ事も気にせず戦って……勝ち負けはともかくそれで死んだんだろ……))」
勿論、乱馬の性格上それは理解出来なくはない。しかし、
「(けどな……それで勝ったとしてもそれで死んでどうするつもりだ……テメェは良や大道の野郎と違って他に大事なものがあった筈だろう……無差別格闘早乙女流……俺との決着……それになにより……あかねさんだ……)」
勝手に死んでいった乱馬をどうしても許せないでいる。
「(まさか、俺に託すつもりか……ムースの野郎じゃあるまいしこんな形で譲られて喜ぶわけがねぇだろ……)」
とはいえ、あかねを守るという意志に揺らぎは無い。
「(いいだろう、テメェがそのつもりならこっちにも考えがある……テメェ無しで幸せそうにしているあかねさんの姿を見せつけてやる……それをあの世で悔しそうに見ているんだな……勝手に死んだ自分を怨んでろ……
テメェはあっちでシャンプーやパンスト太郎達と仲良くやっているんだな……)」
そう言って乱馬への言葉を切り上げる。
悲しみもあるが怒りもある。死者に対しては無礼かも知れないが、唯々泣いているよりこう挑発気味に言った方が乱馬も安心するだろう。むしろ挑発に乗ってくれた方が少しは溜飲も下がる。
とはいえ、実の所半分は強がりだ――
「(だが……俺に救えるのか……あかねさんを……)」
内心では不安が募る――
「(これじゃ良の言ってた通りじゃねぇか……)」
思い返せば村雨と出会った時、村雨は良牙にそれは無理だと言っていた。
勿論、村雨の意図としては実力の及ばない良牙では無残にも殺されるだけという不器用ながらも親切な忠告として言っていたわけだが、今更ながらにその通りだと実感した。
何にせよ、今はその村雨の眠る地へと向かっている。彼の失われた記憶を返す為に――
「(……そういやアイツ……言っていたな……)」
記憶を失った村雨が何故か優勝して記憶を取り戻そうとしない事が気になった良牙はその事について聞いた事がある。その時、村雨は
『女が涙を流すのだ』
『ただ……お前を助けようとしたあの時……女は喜んでいた様に見えた……』
その女性が誰かは知らないと語っていた、恋人かも知れないし家族かも知れないだろう。
「(そうか……きっとアレは良と同じ……)」
自身にだけ見えたスバルの幻、正直何故現れたのかはわからない。だが、村雨の話を思い出しそれと似た様な現象なのだろうと考えた。
ちなみに、その時良牙はこう返した。
『よくわからんがその女はお前が殺し合いに乗る事を望んでいないって事だな』
実際、その時の良牙に取ってみればエターナル並に得体の知れない力を持つ村雨が敵では無いというだけで十分だった。それ故にそう答えたのだ。
「(ははっ……なんだ、俺は判ってたんじゃねぇか……あんな顔して泣いている奴が……大切なものを壊すのを望むわけなんかねぇって事を……)」
その幻は今は見えない。だが、その姿は今でも思い出せる。あんな哀しそうに訴える姿、忘れられるわけがない。
「ふっ……やはり俺は……自分で思ってたより……ずっとセンチでいいやつだったらしい……」
「え、確かにそう思いますけど……?」
「What you talking about, Mr.Ryoga(冗談は顔だけにしてください)」
そんな良牙の言動を正直不安に思うキュアブロッサムとマッハキャリバーだった。
「(何にせよ……このまま無碍にする事は出来んか……)」
結局の所、スバルにマッハキャリバーを託された事になる。
「(一番良いのは知り合いに渡す事だろうが……確か保護した女の子がいたって言っていたな……ヴィヴィオだったか……しかしその子にもまた話さなきゃいけねぇのか……
あかねさんが保護していれば良いが……まさかとは思うが乱馬が……いや、いくら何でもそれはないな……)」
良牙は知らない、そのヴィヴィオがこの地で乱馬が何かと世話を焼いた少女である事を。
そして、ヴィヴィオが乱馬から大切なものを渡されている事を。
「(まさかとは思うが俺がPちゃんだという事を吹き込んではいないだろうな……)」
いいえ、吹き込んでいます。しっかりと。
「(ま……約束は出来ねぇが、運良く出逢えたら助けてやるさ……だからもう……そんな哀しい顔をするなよ……)」
そう言って瞳を閉じ、スバルの幻に語る良牙だった。
良牙にとってスバルは最早五代の死の遠縁となった狂戦士では無くなっていた。
数多の悪意に翻弄され続け悲劇の結末を迎えるしかなかった1人の少女でしか無い。
そんな彼女の為にティアナを始めとした彼女の仲間達が翻弄され犠牲となった。
それは余りにも辛い出来事だった――
だからもう、そんな悪意の為に、彼女達が哀しむのは見たくはなかったのだ――
瞼を閉じれば今でもそんなスバルの姿が見える――
「……!!」
そう、全裸の――
「いや、違うんだ! そんなんじゃないんだぁぁぁぁぁ!! 俺にそんなつもりはないんだ、あかねさん!! あかりちゃぁぁぁぁぁん!!」
と、突如思わず顔を染めて叫ぶ良牙であった。
「落ち着いて下さい良牙さん!! というか……あかりちゃんって誰ですか!?」
「Don't carry out hot britches with the marvelous body of buddy!!(相棒のマーベラスな躰で欲情するんじゃねぇ!!)」
「違う、誤解なんだぁぁぁぁぁ!!」
「何があったか知らないが……その体勢(女の子にお姫様だっこされている状態)ならば誤解されても仕方ないと思うが……」
【1日目 夕方】
【D-6/森】
【
響良牙@らんま1/2】
[状態]:全身にダメージ(中)、負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(大)、腹部に軽い斬傷、五代・乱馬・村雨の死に対する悲しみと後悔と決意、男溺泉によって体質改善、デストロン戦闘員スーツ着用、キュアブロッサムにお姫様抱っこされている、絶叫
[装備]:ロストドライバー+エターナルメモリ@仮面ライダーW、昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー、マッハキャリバー(待機状態・破損有(使用可能な程度))@魔法少女リリカルなのはシリーズ、リボルバーナックル(両手・収納中)@魔法少女リリカルなのはシリーズ、
[道具]:支給品一式×2(食料一食分消費、(良牙、克己))、水とお湯の入ったポット1つずつ、志葉家のモヂカラディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ(ゾーン)@仮面ライダーW、ムースの眼鏡@らんま1/2 、細胞維持酵素×2@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、歳の数茸×2(7cm、7cm)@らんま1/2、デストロン戦闘員マスク@仮面ライダーSPIRITS、プラカード+サインペン&クリーナー@らんま1/2、メモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS、呪泉郷の水(娘溺泉、男溺泉、数は不明)@らんま1/2、呪泉郷顧客名簿、呪泉郷地図、特殊i-pod
[思考]
基本:
天道あかねを守る
0:違うんだぁ、誤解だぁぁぁ!
1:
村雨良の死地に向かってメモリーキューブをはめ込んだ後、警察署に向かう。
2:天道あかねとの合流、だがもし殺し合いに乗っていたら……?
3:いざというときは仮面ライダーとして戦う
4:マッハキャリバーについてはとりあえずヴィヴィオを探してみる……だから欲情はしてねぇ!
[備考]
※参戦時期は原作36巻PART.2『カミング・スーン』(高原での雲竜あかりとのデート)以降です。
※夢で遭遇したシャンプーの要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」
「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。
尚、乱馬が死亡したため、これについてどうするかは不明です。
※ゾーンメモリとの適合率は非常に悪いです。
※エターナルでゾーンのマキシマムドライブを発動しても、本人が知覚していない位置からメモリを集めるのは不可能になっています。
(マップ中から集めたり、エターナルが知らない隠されているメモリを集めたりは不可能です)
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※
第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※つぼみ、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。
※男溺泉に浸かったので、体質は改善され、普通の男の子に戻りました。
【
花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、加頭に怒りと恐怖、強い悲しみと決意、デストロン戦闘員スーツ着用(変身前)、キュアブロッサム変身+赤いこころの種使用中でスピードアップ(+イナズマ気分に)、良牙をお姫様抱っこ中
[装備]:プリキュアの種&ココロパフューム
[道具]:支給品一式×4(食料一食分消費、(つぼみ、えりか、三影、さやか))、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)、スティンガー×6@魔法少女リリカルなのは、プリキュアの種&ココロパフューム(えりか)@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&ココロポット(ゆり)@ハートキャッチプリキュア!、こころの種(赤、青、マゼンダ)@ハートキャッチプリキュア!、破邪の剣@牙浪―GARO―、ガイアメモリ(T2ウェザー)@仮面ライダーW、まどかのノート@魔法小少女まどか☆マギカ、大貝形手盾@侍戦隊シンケンジャー、反ディスク@侍戦隊シンケンジャー、デストロン戦闘員スーツ(スーツ+マスク)@仮面ライダーSPIRITS、デストロン戦闘員マスク(現在着ているものの、着替え、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!
[思考]
基本:殺し合いはさせない!
0:大丈夫ですか!? ところであかりちゃんって……?
1:村雨良の死地に向かってメモリーキューブをはめ込んだ後、警察署に向かう。
2:この殺し合いに巻き込まれた人間を守り、悪人であろうと救える限り心を救う
3:南東へ進む、18時までに一文字たちと市街地で合流する(間に合わないだろうができる限り急ぐ)
4:ダークプリキュア…
5:……そんなにフェイトさんと声が似ていますか?
[備考]
※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。少なくとも43話後。DX2および劇場版『花の都でファッションショー…ですか!? 』経験済み
そのためフレプリ勢と面識があります
※
溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。鋼牙達との情報交換で悪人だと知りました。
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※プリキュアとしての正体を明かすことに迷いは無くなりました。
※
サラマンダー男爵が主催側にいるのはオリヴィエが人質に取られているからだと考えています。
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました。
※この殺し合いにおいて『変身』あるいは『変わる事』が重要な意味を持っているのではないのかと考えています。
※放送が嘘である可能性も少なからず考えていますが、殺し合いそのものは着実に進んでいると理解しています。
※ゆりが死んだこと、ゆりとダークプリキュアが姉妹であることを知りました。
※
大道克己により、「ゆりはゲームに乗った」、「えりかはゆりが殺した」などの情報を得ましたが、半信半疑です。
※ダークプリキュアにより、「えりかはダークプリキュアが殺した」という情報を得ましたが、上記の情報と矛盾するため混乱しています。
※所持しているランダム支給品とデイパックがえりかのものであることは知りません。
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※良牙、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。
【
一条薫@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(大、特に背部)、アマダム吸収、クウガマイティフォームに変身中、ビートチェイサー2000に騎乗
[装備]:ミカヤ・シェベルの居合刀@魔法少女リリカルなのはシリーズ、レミントンM870(8/8)@現実、ビートチェイサー2000@仮面ライダークウガ
[道具]:支給品一式×8(食料一食分消費、(一条、五代、十臓、京水、タカヤ、シンヤ、丈瑠、パンスト、冴子、シャンプー、
ノーザ、ゴオマ、速水、バラゴ))、警察手帳、プロトタイプアークル@小説 仮面ライダークウガ、ガイアメモリ(T2ルナ)@仮面ライダーW、細胞維持酵素×4@仮面ライダーW、克己のハーモニカ@仮面ライダーW、バッドショット+バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン+スタッグメモリ@仮面ライダーW、テッククリスタル(シンヤ)@宇宙の騎士テッカマンブレード、T2メタルメモリ@仮面ライダーW、水とお湯の入ったポット1つずつ、力の源@らんま1/2、スパイダーショック+スパイダーメモリ@仮面ライダーW、まねきねこ@侍戦隊シンケンジャー、滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、黒子の装束@侍戦隊シンケンジャー、『戦争と平和』@仮面ライダークウガ、『長いお別れ』@仮面ライダーW、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、双眼鏡@現実、ランダム支給品1~7(シャンプー0~1、ゴオマ0~1、バラゴ0~2、冴子1~3)、水とお湯の入ったポット1つずつ、バグンダダ@仮面ライダークウガ
[思考]
基本:民間人の保護
0:その体勢では誤解も仕方ないと思うが……
1:警察として、また仮面ライダーとして人々を守る。
2:村雨良の死地に向かってメモリーキューブをはめ込んだ後、警察署に向かう。
3:他に保護するべき人間を捜す
4:未確認生命体に警戒
5:可能ならばデバイスを回収する。
6:凄まじき戦士の力をどうするか……
※参戦時期は少なくとも
ゴ・ガドル・バの死亡後です
※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。
※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。
※アマダムを吸収したため、仮面ライダークウガに変身できます。アマダム自体が強化されているため、ライジングフォームへの無制限の変身やアメイジングマイティフォームへの変身も可能かもしれませんが、今の所実践していないので詳細は不明です。
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※つぼみ、良牙、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。
※
泉京水の支給品を回収しました
※タカヤの支給品などは返す予定です(ただし、京水の所持デイパックを纏めて受け取ったのでメモリーキューブがタカヤのものである事は知りません)。
【共通備考】
※D-7で回収したもの以外の支給品一式は全員で均等に分けています(状態表では殆ど一条のところにありますが、基本支給品は共有しています)。D-7で回収した支給品一式(冴子、シャンプー、ノーザ、ゴオマ、速水、バラゴ)は現状一条が所持しています。
※男溺泉、娘溺泉以外の呪泉郷の水は全て処分しました。
※マッハキャリバー及び収納しているリボルバーナックルの破損は使用には現状問題はありません。
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最終更新:2014年03月19日 00:37