自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

260 外伝51

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tapper

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358 :外パラサイト:2010/05/16(日) 12:30:16 ID:6LiHdjEo0
「それじゃ行ってくるね~♪」
カレアント皇国女王ミレナ・カンレアクはお気楽な声を残して出港していった。
桟橋から見送るのはカラマンボ元帥とお付きの武官たちである。
「よろしいんでしょうか?」
武官の一人が心配そうな声をあげる。
「最近の陛下は明らかにオーバーワークだったからな、一日くらい完全休養日を設けて鋭気を養ってもらう
のもいいだろう。それにいつもの悪戯っ気を出そうにも海の上なら悪ふざけの相手もいない。大丈夫だ、何
も問題ない…多分」
カラマンボのコメカミを冷や汗が一筋伝った。
「胃薬お持ちしましょうか?」

USSアーカンソー(BB33)は基準排水量26,100トン。
50口径12インチ連装砲塔六基を艦首、船体中央、艦尾の三群に分けて配置していることが特長のワイオ
ミング級戦艦の二番艦である。
1912年に就役し、第一次世界大戦にも出動したこの老兵は、姉妹艦ワイオミングが練習戦艦となり第一
線を退いてからも、アメリカ海軍最後のド級戦艦として現役で頑張っている。
現在アーカンソーは第76護送戦隊-アメリカ海軍と南大陸連合軍の艦艇で構成された混成部隊で戦艦一
隻、巡洋艦二隻、護衛空母二隻、駆逐艦、フリゲート艦、コルベット艦九隻から成る-の一員としてヴィル
フレイングを出港し、洋上でロサンゼルスからやって来た輸送船団と合同して北大陸に向っていた。
戦隊司令サラダ提督の座乗する護衛空母オナニー・ベイから連絡が入ったのは、艦長のケロッグ大佐がボー
イが運んできたコーヒーに口をつけたときだった。
『レーダーに未確認船舶が一隻映ってるんだが航跡がどうもおかしい、機関故障で漂流してようだったら救
助隊を出さなきゃいかんかもしれん。そっちの見張りなら位置的に双眼鏡でギリギリ視認できると思うから
ちょっと確認してみてくれ』
ケロッグは未確認船舶に接近するコースを命じると見張りを呼び出すとともに、報告を旗艦が直に聞けるよ
う艦内電話をTBS(talk between ships)と略称される超短波無線機に接続させた。
艦橋の真上に位置するメインマスト中段に設けられた見張り所では、年齢を誤魔化して-二ヵ月後に17歳
の誕生日を迎える-入隊したポンド二等水兵が潮風に吹かれながら双眼鏡を顔に押し当て、水平線の向こう
を凝視していた。
『はい、1,000トンクラスの大型レジャーボートのようです。乗組員ですか?ちょっとお待ちください
…いまし…た…』
ポンドの顎がガクンと落ちた。
『どうしたポンド?』
艦橋で受話器を握る当直士官の問い掛けに、ポンドは上擦った声で答えた
『あの…報告を続けてもよろしいでしょうか…つまりその…見たままを…?』
『もちろんだポンド君、ありのままを報告したまえ』
二等水兵はゴクリと生唾を飲み込むと、マイクロフォンに向って熱っぽく語り始めた。
『甲板に確認できるのは極めて露出度の高い水着を着用した、若い女性であります。推定年齢20台前半、
髪は茶色でネコミミ尻尾付き、プロポーションは出て、引っ込んで、出ての見事なコークボトル体型、特に
太腿から脹脛にかけてのラインは絶品であります!』
『あーポンド君、少し落ち着きたま-』
『いま船室からもう一人出てきました、黒髪ロングで犬耳、しかも、しかも…』
『おい、どうした?何を見たんだ?』
『自分の目が!信じられません!』
ギュッと握りしめたポンドの手の中で、双眼鏡がミシリと鳴った。
『なんだあの胸は!?!』

359 :外パラサイト:2010/05/16(日) 12:31:01 ID:6LiHdjEo0
「いや~流石レスティの胸は衝撃力バツグンだねぇ、聞こえるでしょ、あちらさんフィーバーしまくってま
すよ奥さん」
カンレアク王女の乗る外洋遊覧船ペクチ号の甲板上では、ミレナ女王がコネで手に入れた高性能無線機でア
ーカンソーの艦橋と見張りのやり取りを傍受しながら、操舵室から呼びつけたレスティナ・ポコーミー中尉
-親衛隊一のバストの持ち主である-を呼び出して某男性向け雑誌の折込ピンナップ風セクシーポーズを
とらせていた。
「は、恥ずかしいこと言わないでくださいッ!大体こんなことして何になるんですか!?」
「ナニって、同盟国の皆さんへのサービスですよ勿論。それになにより…私が楽しい!」
「アッ――――――――――!ナニヲスルンディスカァ――――――――――!?!」
レスティナを押し倒したミレナは更に親衛隊のきれいどころをデッキに呼び出し、水平線の向こうに見え隠
れするアメリカ戦艦に見せ付けるようにキャッキャウフフな空間を作り出す。

今や輸送船団の全艦艇では手すきの乗組員全員がペクチ号を望む右舷側に集まり、身を乗り出して双眼鏡や
望遠鏡を奪い合っている。
当然見張りなぞそっちのけである。
その結果-
最初に油槽船テキサス・レイダースがカレアントの駆逐艦マジパネエに追突し、一万トンタンカーにケツを
どやしつけられた駆逐艦が大きくコースを逸らす。
左から迫るマジパネエを回避しようと咄嗟に面舵を取った貨客船パシフィック・プリンセスの横腹に、バル
ランドの二等巡洋艦ダデャーナの艦首がめり込み、これを見て操舵手がパニックを起こした高速輸送船バカ
ルー・バンザイが戦隊旗艦オナニー・ベイに突っかけ、護衛空母の舷側を200フィートに渡って削り取る。
応急修理と損傷艦の曳航とで船団の航程はたっぷり八時間遅れたものの、人員の被害は奇跡的に軽傷者が十
数名出ただけで済んだ。
そして翌日-

「陛下はどこだ!どこへ行った!?!」
大原部長と化したカラマンボ元帥が王宮内を戦車で爆走するのだった。
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