6月13日 ウルシー 午前10時
第5艦隊司令部幕僚が、連日ヴァルレアキュア側の軍人も交えて次の作戦に協議を進め
ている中、艦隊の将兵は普段と変わらぬ日常を送っていた。
ある艦は、数隻の艦艇をひきつれて泊地の哨戒を行ったり、外洋で訓練に励んでいる。
その一方で、停泊している艦艇は、自分達の艦の点検や掃除を行ったり、別の艦は乗員を
半舷上陸させて、陸地で休養を取らせたりしていた。
第5艦隊司令部幕僚が、連日ヴァルレアキュア側の軍人も交えて次の作戦に協議を進め
ている中、艦隊の将兵は普段と変わらぬ日常を送っていた。
ある艦は、数隻の艦艇をひきつれて泊地の哨戒を行ったり、外洋で訓練に励んでいる。
その一方で、停泊している艦艇は、自分達の艦の点検や掃除を行ったり、別の艦は乗員を
半舷上陸させて、陸地で休養を取らせたりしていた。
空母ホーネットⅡのアベンジャー艦功のパイロットであるジョージ・リンデマン少尉は、
この日、休養のため陸地の施設内を適当に散歩していた。
「すっかり変わったもんだなあ。」
リンデマン少尉は、この日何度目かとなるセリフを呟いた。顔は端正ながら、体つきは
子供のころからボクシングをやってた事もあってがっしりしており、身長は190センチ
とアメリカ人男性の平均である。しかし、雰囲気的にはどこにもいる冴えない男性にも見える。
大まかに言えば「普通そのもの」であろう。
リンデマン少尉が2週間前に見たウルシーの地域は、まだ工兵部隊が慌しく工事をしていた
最中で、その時にはめぼしいものは何一つ無かった。あるとすれば急造滑走路とテントぐらいである。
それが、今では簡易ながらも木造の家屋にバーが開かれていたり、野球場が作られたり、ある程度
の娯楽が楽しめるようになっている。
上陸してきた将兵は、まずこの施設で休養を取り、普段の鬱憤をはらしていた。
この日、休養のため陸地の施設内を適当に散歩していた。
「すっかり変わったもんだなあ。」
リンデマン少尉は、この日何度目かとなるセリフを呟いた。顔は端正ながら、体つきは
子供のころからボクシングをやってた事もあってがっしりしており、身長は190センチ
とアメリカ人男性の平均である。しかし、雰囲気的にはどこにもいる冴えない男性にも見える。
大まかに言えば「普通そのもの」であろう。
リンデマン少尉が2週間前に見たウルシーの地域は、まだ工兵部隊が慌しく工事をしていた
最中で、その時にはめぼしいものは何一つ無かった。あるとすれば急造滑走路とテントぐらいである。
それが、今では簡易ながらも木造の家屋にバーが開かれていたり、野球場が作られたり、ある程度
の娯楽が楽しめるようになっている。
上陸してきた将兵は、まずこの施設で休養を取り、普段の鬱憤をはらしていた。
「バーは行くのは夜がいいか。とりあえず、俺の知り合いが1人もいないのは寂しいもんだな」
リンデマンが頬をさすりながら歩いていると、いきなり後ろから肩を叩かれた。
「よお、お兄さん。元気してたかね?」
野太い声が聞こえた。リンデマンは振り返ると、そこには2人の男がいた。1人は同じ海軍の将校で、
1人は海兵隊の軍服を着ている。
「おめえら、リックにジェイムスじゃねえか!数ヶ月ぶりだな。」
彼は2人の男に対して、満面の笑みを浮かべてそう言った。
海兵隊の男は、リック・ノリス少尉で、第2海兵師団に所属する少尉で、体つきはどこかひょろり
としているように見えるが、実際はとても力は強い。
顔には左頬に大きな傷跡がついている。見た限りでは優しいお兄さんという感じである。
もう一人はジェイムス・ハウンド兵曹長で、リンデマンより1階級下である。彼は軽巡洋艦
モービルの1番砲塔の先任下士官であり、普段から部下に対して厳しく指導するため「鬼軍曹」
と言われているが、根はとてもいい人である。
彼の顔立ちは、もみ上げから繋がっている濃い髭に顔の下半分が覆われている。それがどこと無く
凄みをかもし出していた。
「タラワ作戦前からずっと会っていなかったからな。お前こそよく無事で居られたな。」
髭面のハウンド兵曹長が、やはり笑みを浮かべながら握手してきた。
「クリーブランドの3人衆がまたここに集ったというわけだな。」
ノリス少尉が同じように握手をしてくる。彼ら3人は、いずれもクリーブランド出身であり、小さい
頃から遊んできた大親友である。
リンデマンが頬をさすりながら歩いていると、いきなり後ろから肩を叩かれた。
「よお、お兄さん。元気してたかね?」
野太い声が聞こえた。リンデマンは振り返ると、そこには2人の男がいた。1人は同じ海軍の将校で、
1人は海兵隊の軍服を着ている。
「おめえら、リックにジェイムスじゃねえか!数ヶ月ぶりだな。」
彼は2人の男に対して、満面の笑みを浮かべてそう言った。
海兵隊の男は、リック・ノリス少尉で、第2海兵師団に所属する少尉で、体つきはどこかひょろり
としているように見えるが、実際はとても力は強い。
顔には左頬に大きな傷跡がついている。見た限りでは優しいお兄さんという感じである。
もう一人はジェイムス・ハウンド兵曹長で、リンデマンより1階級下である。彼は軽巡洋艦
モービルの1番砲塔の先任下士官であり、普段から部下に対して厳しく指導するため「鬼軍曹」
と言われているが、根はとてもいい人である。
彼の顔立ちは、もみ上げから繋がっている濃い髭に顔の下半分が覆われている。それがどこと無く
凄みをかもし出していた。
「タラワ作戦前からずっと会っていなかったからな。お前こそよく無事で居られたな。」
髭面のハウンド兵曹長が、やはり笑みを浮かべながら握手してきた。
「クリーブランドの3人衆がまたここに集ったというわけだな。」
ノリス少尉が同じように握手をしてくる。彼ら3人は、いずれもクリーブランド出身であり、小さい
頃から遊んできた大親友である。
「こうして久しぶりに集まると、おめえらと一緒に遊んだ昔を思い出すよ。」
「あの時はさんざん馬鹿ばかりやりまくったからな。」
「おかげで近所からは一時、白い目で見られまくったな。」
3人は苦笑した。
「ジェイムスが車にバクチクを投げ込んだ時か?」
「いや、リックが火炎瓶を作って、いじめた奴の家に放り込んだ時だったかな。」
「ああ、中学の時ね。ジョージとジェイムスは確か相当ビビってたね。」
「馬鹿野郎。まさかマジで火炎瓶を作ってくるとはあんときゃ思わなかったんだよ。普通はやらんぞ?」
「あの時は俺は相当頭に来ていたからな。いっそそいつを家ごと丸焼きにしてやろうと思ったのさ。」
「だが、失敗したよな。なんせ、中身は普通の紅茶だったんだからよ!」
そう言うと、3人はゲラゲラと大笑いをした。
「あの時はさんざん馬鹿ばかりやりまくったからな。」
「おかげで近所からは一時、白い目で見られまくったな。」
3人は苦笑した。
「ジェイムスが車にバクチクを投げ込んだ時か?」
「いや、リックが火炎瓶を作って、いじめた奴の家に放り込んだ時だったかな。」
「ああ、中学の時ね。ジョージとジェイムスは確か相当ビビってたね。」
「馬鹿野郎。まさかマジで火炎瓶を作ってくるとはあんときゃ思わなかったんだよ。普通はやらんぞ?」
「あの時は俺は相当頭に来ていたからな。いっそそいつを家ごと丸焼きにしてやろうと思ったのさ。」
「だが、失敗したよな。なんせ、中身は普通の紅茶だったんだからよ!」
そう言うと、3人はゲラゲラと大笑いをした。
3人は昔の思い出話に花を咲かせた。やがて話題は3人のそれぞれが体験した戦場の話しに移った。
リンデマンは最初の偵察のことやクロイッチ攻撃隊に参加した事を話した。
2人も、それぞれタラワ戦の惨状や、モービルでの戦闘の様子を語らいあった。
「なあ、ジョージ。なんかお偉方は次の作戦について話し合っているみたいだぞ。」
ジェイムスの言葉に、リンデマン少尉は頷いた。
「そのようだな。俺の空母は、ちょうど旗艦の近くで停泊しているんだが、たまに休憩時間に
飛行甲板で休んでいると、何度かヴァルレキュア軍の将校や魔道師らしい人が甲板で話して
いるのを見かけた事がある。あの女魔法使いもいたぞ。」
「ヴァルレキュアローズか?」
リックが聞いてくる。
リンデマンは最初の偵察のことやクロイッチ攻撃隊に参加した事を話した。
2人も、それぞれタラワ戦の惨状や、モービルでの戦闘の様子を語らいあった。
「なあ、ジョージ。なんかお偉方は次の作戦について話し合っているみたいだぞ。」
ジェイムスの言葉に、リンデマン少尉は頷いた。
「そのようだな。俺の空母は、ちょうど旗艦の近くで停泊しているんだが、たまに休憩時間に
飛行甲板で休んでいると、何度かヴァルレキュア軍の将校や魔道師らしい人が甲板で話して
いるのを見かけた事がある。あの女魔法使いもいたぞ。」
「ヴァルレキュアローズか?」
リックが聞いてくる。
「そうだったかな。それに眼鏡を付けた奴もいたな。俺は見ただけで何も知らんが、インディアナポリス
では結構重大な話し合いが続けられていると思うな。」
「なるほどね。」
リックは頷いた。
「もしかして、クロイッチか、ララスクリスあたりに強襲上陸でもするんじゃないか?そこは
我が機動部隊の艦載機が叩きまくったし。」
「そうかもしれんな。。俺が参加したクロイッチ空襲では、第4次攻撃まで実施されたからな。俺は
第1次と第4次に参加したが、町がほとんど黒煙に包まれていたな。」
リンデマン少尉は、アベンジャーから見たクロイッチの光景を思い出した。その時のクロイッチは、
彼が言うとおり黒煙に包まれていた。あまりの黒煙の多さに町の中心部は狙えずに、町の外周にある
バーマント軍の施設を狙った。施設を狙うのは簡単だった。
なぜなら、バーマント側は居座っている施設に旗を立てていたからである。その旗は格好の目標となり、
たちまち艦載機の銃爆撃を浴びせられた。結果、4次に渡るのべ600機による攻撃は多大な戦果を
収める事ができた。
「しかし、この2つの地域はここから比較的近い位置にある。攻略するならさっさと俺達の海兵隊を
使っていると思うが。」
リックが首をかしげながらそう言う。
「お偉方はもっと大きい目標を狙ってるんじゃないか?」
リンデマンは自分の考えを言い始めた。
「もし俺が艦隊司令官なら、敵があっと驚くような作戦を立てるな。例えば、今は分らんが、バーマント
の心臓部に匹敵するぐらいのどっかの重要拠点を攻略するとか。俺達は弾薬の補給があまりないだろ?
おおかた、弾薬が切れてお手上げになる前に、敵の戦争継続を諦めさせるような作戦を考えているんだろう。
いずれにしろ、次の作戦が非常に重要なものであるという事は確かだろうな。」
では結構重大な話し合いが続けられていると思うな。」
「なるほどね。」
リックは頷いた。
「もしかして、クロイッチか、ララスクリスあたりに強襲上陸でもするんじゃないか?そこは
我が機動部隊の艦載機が叩きまくったし。」
「そうかもしれんな。。俺が参加したクロイッチ空襲では、第4次攻撃まで実施されたからな。俺は
第1次と第4次に参加したが、町がほとんど黒煙に包まれていたな。」
リンデマン少尉は、アベンジャーから見たクロイッチの光景を思い出した。その時のクロイッチは、
彼が言うとおり黒煙に包まれていた。あまりの黒煙の多さに町の中心部は狙えずに、町の外周にある
バーマント軍の施設を狙った。施設を狙うのは簡単だった。
なぜなら、バーマント側は居座っている施設に旗を立てていたからである。その旗は格好の目標となり、
たちまち艦載機の銃爆撃を浴びせられた。結果、4次に渡るのべ600機による攻撃は多大な戦果を
収める事ができた。
「しかし、この2つの地域はここから比較的近い位置にある。攻略するならさっさと俺達の海兵隊を
使っていると思うが。」
リックが首をかしげながらそう言う。
「お偉方はもっと大きい目標を狙ってるんじゃないか?」
リンデマンは自分の考えを言い始めた。
「もし俺が艦隊司令官なら、敵があっと驚くような作戦を立てるな。例えば、今は分らんが、バーマント
の心臓部に匹敵するぐらいのどっかの重要拠点を攻略するとか。俺達は弾薬の補給があまりないだろ?
おおかた、弾薬が切れてお手上げになる前に、敵の戦争継続を諦めさせるような作戦を考えているんだろう。
いずれにしろ、次の作戦が非常に重要なものであるという事は確かだろうな。」
「バーマント側も侮れないからなぁ~。」
ジェイムスが顎をなでながら呟いた。
「クロイッチ沖海戦では、壊滅しながらもバンカーヒルとワスプⅡに爆弾をぶち込んだからな。それに敵の
地上軍もヴァルレキュアより装備が進歩しているらしい。ひょっとすると銃も持ち出してくるかも知れんぞ。」
「だが、ヴァルレキュア側もたいしたもんだぞ。」
リックが思い出したように言う。
「俺は一度、ヴァルレキュアの兵隊と話し合った事があるが、普通ならヴァルレキュアみたいな小さい国は
持って1年しかバーマントと対抗できんらしい。しかし、ヴァルレキュア軍は装備が敵に対して劣弱なのに
2年も敵の国土完全占領を防いでいる。その兵隊にどうしてそんなに強くなれるのかと聞いたら、こう言わ
れたな。国を外敵から守るため。その為ならどんな厳しい訓練にも耐え切ることが出来ると。同じような質問
を何人かにしたら、形は少し違うが同じように答えられたよ。俺の見方からして、ヴァルレキュアは強さ
と優しさを併せ持っているな。スイスみたいなもんだな。」
海兵隊員は、彼のみならず、誰もがこのように思っている。ちなみにヴァルレキュア側は一度、バーマント側の
隙を付いてバーマント領内に逆侵攻を行った事がある。
この時、10万のヴァルレキュア軍は、バーマント国内の防衛軍相手に暴れ周り各地で打ち破った。
ヴァルレキュア軍は、バーマントが行った捕虜虐殺などは行わなかった。むしろ、勇戦敢闘したバーマント軍
にはそれなりの対応を取り、またバーマント国民に対してもなんら残虐行為を働かなかった。
逆侵攻して1ヵ月後にヴァルレキュア軍は元の領土に押し返されたがこの間にバーマント側に10万もの死傷者を
与えて、敵の王都侵攻作戦を頓挫させる事に成功した。
ジェイムスが顎をなでながら呟いた。
「クロイッチ沖海戦では、壊滅しながらもバンカーヒルとワスプⅡに爆弾をぶち込んだからな。それに敵の
地上軍もヴァルレキュアより装備が進歩しているらしい。ひょっとすると銃も持ち出してくるかも知れんぞ。」
「だが、ヴァルレキュア側もたいしたもんだぞ。」
リックが思い出したように言う。
「俺は一度、ヴァルレキュアの兵隊と話し合った事があるが、普通ならヴァルレキュアみたいな小さい国は
持って1年しかバーマントと対抗できんらしい。しかし、ヴァルレキュア軍は装備が敵に対して劣弱なのに
2年も敵の国土完全占領を防いでいる。その兵隊にどうしてそんなに強くなれるのかと聞いたら、こう言わ
れたな。国を外敵から守るため。その為ならどんな厳しい訓練にも耐え切ることが出来ると。同じような質問
を何人かにしたら、形は少し違うが同じように答えられたよ。俺の見方からして、ヴァルレキュアは強さ
と優しさを併せ持っているな。スイスみたいなもんだな。」
海兵隊員は、彼のみならず、誰もがこのように思っている。ちなみにヴァルレキュア側は一度、バーマント側の
隙を付いてバーマント領内に逆侵攻を行った事がある。
この時、10万のヴァルレキュア軍は、バーマント国内の防衛軍相手に暴れ周り各地で打ち破った。
ヴァルレキュア軍は、バーマントが行った捕虜虐殺などは行わなかった。むしろ、勇戦敢闘したバーマント軍
にはそれなりの対応を取り、またバーマント国民に対してもなんら残虐行為を働かなかった。
逆侵攻して1ヵ月後にヴァルレキュア軍は元の領土に押し返されたがこの間にバーマント側に10万もの死傷者を
与えて、敵の王都侵攻作戦を頓挫させる事に成功した。
ヴァルレキュア側は猛烈な飛空挺の空襲やバーマント精鋭部隊の攻撃によって6万が死傷したが、戦術的、戦略的
に見ても明らかにヴァルレキュアの勝利であった。
常に劣勢下であっても勇敢に戦うヴァルレキュアに、米海兵隊や陸軍の将兵は彼らを高く評価している。
「ヴァルレキュアにとって不幸な事は、技術の格差があまりにも大きすぎるとこだな。そのために、被害を抑える
ことが難しい。もし、ヴァルレキュアにバーマントと同等の技術があったら、彼らは領土からバーマントを
叩き出していたかもしれんな。」
「いずれの世界にも、勇者は居るという事か。」
リックはあることを思い出してそう呟いた。脳裏にはタラワ戦の光景が描かれていた。圧倒的不利な日本軍も、
優勢な米海兵隊に対して一歩も譲らず、上陸軍に多大な損害を与えた。地獄のタラワと呼ばれるあの作戦は、
今や海兵隊の語り草となっている。
「バーマントの地上軍はどんな奴らなのかな。早くバーマント人と手合わせして見たいもんだ。」
リックは内心でそう呟いた。
に見ても明らかにヴァルレキュアの勝利であった。
常に劣勢下であっても勇敢に戦うヴァルレキュアに、米海兵隊や陸軍の将兵は彼らを高く評価している。
「ヴァルレキュアにとって不幸な事は、技術の格差があまりにも大きすぎるとこだな。そのために、被害を抑える
ことが難しい。もし、ヴァルレキュアにバーマントと同等の技術があったら、彼らは領土からバーマントを
叩き出していたかもしれんな。」
「いずれの世界にも、勇者は居るという事か。」
リックはあることを思い出してそう呟いた。脳裏にはタラワ戦の光景が描かれていた。圧倒的不利な日本軍も、
優勢な米海兵隊に対して一歩も譲らず、上陸軍に多大な損害を与えた。地獄のタラワと呼ばれるあの作戦は、
今や海兵隊の語り草となっている。
「バーマントの地上軍はどんな奴らなのかな。早くバーマント人と手合わせして見たいもんだ。」
リックは内心でそう呟いた。
3人はいつしか、泊地が見渡せる丘に来ていた。
「ここは結構いい場所だな。」
リックは、目の前に広がる光景に満足していた。丘から見えるウルシー泊地は、扇形に開けたようになっており
在泊艦船の様子もよく見える。
この丘は、ウルシー泊地から300メートル北側にあり、泊地の北側を回り込むような形になっている。
「ここでビールを飲みながら、考え事するのもいいかも知れんな。」
リンデマンがそう言うと、他の2人も同感とばかりに頷いた。
「ここは結構いい場所だな。」
リックは、目の前に広がる光景に満足していた。丘から見えるウルシー泊地は、扇形に開けたようになっており
在泊艦船の様子もよく見える。
この丘は、ウルシー泊地から300メートル北側にあり、泊地の北側を回り込むような形になっている。
「ここでビールを飲みながら、考え事するのもいいかも知れんな。」
リンデマンがそう言うと、他の2人も同感とばかりに頷いた。
その時、後ろで人の気配がした。リンデマン少尉は後ろを振り返った。
「あっ。」
思わず、リンデマンは間の抜けたような声を出した。
そこには、浅黒い肌をした女性が、数人の人を伴って丘に向かっていた。その女性はリンデマンに
気づくと、頭を下げて礼をした。女性は髪が黒の長髪で露出が少々高い上着に短パンを履いている。
「あの・・・・・あなた方が、異世界から来たという人たちですか?」
浅黒い肌の女性が3人に聞いてきた。よく見て見ると、その女性の耳は尖っており、やや長い。
口調からしてやや緊張しているようだ。
「ええ、そうですけど。」
リンデマンも少し緊張したような口調で言った。何しろ初めて直接、現地人と話をするのだ。
緊張して当たり前というものである。
その時、リンデマンを見ていた浅黒い女性が何かを思い出したような表情になった。よく見て見ると、
目が大きく、鼻筋がすっきりしている。スタイルもいい。どことなくあどけなさがあるが、一目で美人だなと思った。
ふと、リンデマンはその顔はどこかで見たように感じた。
「ちょっとあなたに聞いていいですか?」
その女性がリンデマンに質問してきた。もしかして、俺が今から質問しようとしてるのと同じ内容か?
彼はそう思いながら返事をした。
「いいよ。」
「あなた、いつかの飛空挺の人じゃないですか?」
彼女の言葉にそっけなく彼は答えた。
「そうだよ。俺もあなたをどっかで見たと思ったが、なるほどね。」
「あっ。」
思わず、リンデマンは間の抜けたような声を出した。
そこには、浅黒い肌をした女性が、数人の人を伴って丘に向かっていた。その女性はリンデマンに
気づくと、頭を下げて礼をした。女性は髪が黒の長髪で露出が少々高い上着に短パンを履いている。
「あの・・・・・あなた方が、異世界から来たという人たちですか?」
浅黒い肌の女性が3人に聞いてきた。よく見て見ると、その女性の耳は尖っており、やや長い。
口調からしてやや緊張しているようだ。
「ええ、そうですけど。」
リンデマンも少し緊張したような口調で言った。何しろ初めて直接、現地人と話をするのだ。
緊張して当たり前というものである。
その時、リンデマンを見ていた浅黒い女性が何かを思い出したような表情になった。よく見て見ると、
目が大きく、鼻筋がすっきりしている。スタイルもいい。どことなくあどけなさがあるが、一目で美人だなと思った。
ふと、リンデマンはその顔はどこかで見たように感じた。
「ちょっとあなたに聞いていいですか?」
その女性がリンデマンに質問してきた。もしかして、俺が今から質問しようとしてるのと同じ内容か?
彼はそう思いながら返事をした。
「いいよ。」
「あなた、いつかの飛空挺の人じゃないですか?」
彼女の言葉にそっけなく彼は答えた。
「そうだよ。俺もあなたをどっかで見たと思ったが、なるほどね。」
そう言うと、彼女はいきなりリンデマンの手を握って握手してきた。
「初めまして!私、フランチェスカ・ラークソンといいます!」
その浅黒い肌の女性は、さっきとは打って変わった彼女、フランチェスカの態度に彼らは拍子抜けした。
いや、リンデマンはやや引いていた。
「あたし、飛空挺に憧れてるんです。そこで聞きたいんですけど、どうやったら飛空挺を乗りこなせるんですか?」
突拍子の無い質問に彼は唖然とした。
「い、いやな。そんな質問いきなりされてもな。」
リンデマンは戸惑った口調でそう言うと、フランチェスカはハッとなって手を引っ込めた。
「ああ、すいません。私、時折あこがれの物や人に会うと、興奮してしまう癖があって。」
「いや、別にいいさ。」
リンデマンは笑顔を作って彼女に言った。
「あこがれのものに会うと、興奮はするものさ。それはいい事だよ。だから気にしないでもいいよ。
あっ、俺も自己紹介しないとね。名前はジョージ・リンデマン。アメリカ合衆国海軍少尉だ。今は
船に乗っている。今日は休暇でここに来たんだ。」
彼は敬礼しながら自己紹介をした。他の2人も彼女らに対し、同様に自己紹介をした。
「そうなんですか。やはり皆さん軍人さんなんですね。」
彼らに習ってか、フランチェスカらも自己紹介をした。彼女以外の2人は1人1人丁寧な動作で
紹介を行った。まず、年長と思わしき女性の名がエミル・ラークソン、フランチェスカの姉である。
次の若い男性がグリム・ヨーヘンと名乗った。
「ちょっと思ったんだが、フランチェスカさんとエミルさんは肌がちょっと褐色だけど、グリムさんは
肌が白いね。もしや別々の部族なのかい?」
疑問に思ったリックが聞いてきた。
「初めまして!私、フランチェスカ・ラークソンといいます!」
その浅黒い肌の女性は、さっきとは打って変わった彼女、フランチェスカの態度に彼らは拍子抜けした。
いや、リンデマンはやや引いていた。
「あたし、飛空挺に憧れてるんです。そこで聞きたいんですけど、どうやったら飛空挺を乗りこなせるんですか?」
突拍子の無い質問に彼は唖然とした。
「い、いやな。そんな質問いきなりされてもな。」
リンデマンは戸惑った口調でそう言うと、フランチェスカはハッとなって手を引っ込めた。
「ああ、すいません。私、時折あこがれの物や人に会うと、興奮してしまう癖があって。」
「いや、別にいいさ。」
リンデマンは笑顔を作って彼女に言った。
「あこがれのものに会うと、興奮はするものさ。それはいい事だよ。だから気にしないでもいいよ。
あっ、俺も自己紹介しないとね。名前はジョージ・リンデマン。アメリカ合衆国海軍少尉だ。今は
船に乗っている。今日は休暇でここに来たんだ。」
彼は敬礼しながら自己紹介をした。他の2人も彼女らに対し、同様に自己紹介をした。
「そうなんですか。やはり皆さん軍人さんなんですね。」
彼らに習ってか、フランチェスカらも自己紹介をした。彼女以外の2人は1人1人丁寧な動作で
紹介を行った。まず、年長と思わしき女性の名がエミル・ラークソン、フランチェスカの姉である。
次の若い男性がグリム・ヨーヘンと名乗った。
「ちょっと思ったんだが、フランチェスカさんとエミルさんは肌がちょっと褐色だけど、グリムさんは
肌が白いね。もしや別々の部族なのかい?」
疑問に思ったリックが聞いてきた。
「元々はそうです。私と姉はダークエルフと呼ばれる種族で、グリムさんはエルフと呼ばれる種族に
属します。」
「そうなのか。てことは、普通の人とは外見と同様に中身も少し違うのかな?」
「はい。人との違いが、体力が倍あること、魔法が普通の人より使いやすい。特に違いが現れるのが年齢ですね。
ダークエルフやエルフの寿命は150年ですから。」
「150年!?」
その言葉に、3人は素っ頓狂な声を上げた。この時代のアメリカ人の平均寿命は、彼らの半分以下である。
その寿命を遥かに超える寿命年数に、3人は仰天した。
「何かの冗談じゃないか?」
ジェイムスが怪訝な表情で質問した。
「いや、冗談ではありませんよ。」
グリムが質問に答えた。
「実際、40代で外見も相当若くみえる人も居ますよ。例えば私のようにね。」
「なっ、なんだってぇ!?じゃあ、あなた方も・・・・・・」
ジェイムスは2人の女性を見た。
「いえ、私は21歳で、フランチェスカが18歳です。」
エミルが笑って彼の考えを否定した。
「ははあ。なるほど、よくわかりましたよ。」
ジェイムスは納得して頷いた。
「世の中不思議な事もあるものだな。」
「事実は小説よりも奇なり。これはその典型だね。」
リンデマン少尉も顎をなでながら頷いた。
属します。」
「そうなのか。てことは、普通の人とは外見と同様に中身も少し違うのかな?」
「はい。人との違いが、体力が倍あること、魔法が普通の人より使いやすい。特に違いが現れるのが年齢ですね。
ダークエルフやエルフの寿命は150年ですから。」
「150年!?」
その言葉に、3人は素っ頓狂な声を上げた。この時代のアメリカ人の平均寿命は、彼らの半分以下である。
その寿命を遥かに超える寿命年数に、3人は仰天した。
「何かの冗談じゃないか?」
ジェイムスが怪訝な表情で質問した。
「いや、冗談ではありませんよ。」
グリムが質問に答えた。
「実際、40代で外見も相当若くみえる人も居ますよ。例えば私のようにね。」
「なっ、なんだってぇ!?じゃあ、あなた方も・・・・・・」
ジェイムスは2人の女性を見た。
「いえ、私は21歳で、フランチェスカが18歳です。」
エミルが笑って彼の考えを否定した。
「ははあ。なるほど、よくわかりましたよ。」
ジェイムスは納得して頷いた。
「世の中不思議な事もあるものだな。」
「事実は小説よりも奇なり。これはその典型だね。」
リンデマン少尉も顎をなでながら頷いた。
「ところで、リンデマンさんは船に乗っていると聞きましたが、どんな船に乗っているんですか?」
「ジョージでいいよ。それに敬語は堅苦しいし、年齢も近いから普通に行こうよ。まあ、ちょっと
あっちを見てごらん。」
彼は指をさした。泊地内には多数の艦船がひしめいている。特に形が巨大な正規空母や戦艦は
一際目立つ。
「あの大きな空母、船が3隻並んでいるだろう?その内のこっち側にあるのが俺が乗っている船だ。」
彼はこの丘側に近い船を指差した。それは彼の母艦であるホーネットⅡである。
「すごい大きな船ですね。でも、なんか美しい船でもありますね。形もなんか綺麗だし。」
フランチェスカは、ホーネットを見て思ったことをそのまま言った。
(美しい・・・・か)
リンデマンはそう心で呟いた。普段はあまり美しいといった事は無かったが、こうして遠目から
見てみると、艦橋の精悍な感じと飛行甲板のすっきりさが見事に合っており、ある程度の美意識
すら感じられる。戦艦とは、また一味違った戦乙女にも見えないでもない。
「あの船はスピードはどれぐらい出るのですか?20ノットぐらいは軽く出ますか?」
グリムが聞いてきた。
「あの艦は33ノットは出ますよ。それに燃料を満タンにすれば、8000キロの海を無補給
で走破することも可能です。」
「・・・・・・・あの大きさで・・・・・・・」
グリムはリンデマンの母艦の性能の凄さにあんぐりと口を開けた。この時代、大型船の速度は
せいぜい16~20ノットも出せばいいほうである。それを軽く追い抜けるスピードを出せる
大型船が存在する事自体、グリムには信じられなかった。
「名前はなんていうんですか?」
フランチェスカが聞いてきた。
「名前はホーネット。」
「ホーネット・・・・・結構いい名前ですね。」
彼女はそう言ってはにかんだ。
「ジョージでいいよ。それに敬語は堅苦しいし、年齢も近いから普通に行こうよ。まあ、ちょっと
あっちを見てごらん。」
彼は指をさした。泊地内には多数の艦船がひしめいている。特に形が巨大な正規空母や戦艦は
一際目立つ。
「あの大きな空母、船が3隻並んでいるだろう?その内のこっち側にあるのが俺が乗っている船だ。」
彼はこの丘側に近い船を指差した。それは彼の母艦であるホーネットⅡである。
「すごい大きな船ですね。でも、なんか美しい船でもありますね。形もなんか綺麗だし。」
フランチェスカは、ホーネットを見て思ったことをそのまま言った。
(美しい・・・・か)
リンデマンはそう心で呟いた。普段はあまり美しいといった事は無かったが、こうして遠目から
見てみると、艦橋の精悍な感じと飛行甲板のすっきりさが見事に合っており、ある程度の美意識
すら感じられる。戦艦とは、また一味違った戦乙女にも見えないでもない。
「あの船はスピードはどれぐらい出るのですか?20ノットぐらいは軽く出ますか?」
グリムが聞いてきた。
「あの艦は33ノットは出ますよ。それに燃料を満タンにすれば、8000キロの海を無補給
で走破することも可能です。」
「・・・・・・・あの大きさで・・・・・・・」
グリムはリンデマンの母艦の性能の凄さにあんぐりと口を開けた。この時代、大型船の速度は
せいぜい16~20ノットも出せばいいほうである。それを軽く追い抜けるスピードを出せる
大型船が存在する事自体、グリムには信じられなかった。
「名前はなんていうんですか?」
フランチェスカが聞いてきた。
「名前はホーネット。」
「ホーネット・・・・・結構いい名前ですね。」
彼女はそう言ってはにかんだ。
その後、彼らは色々語り合った。時間が経つにつれて、6人は打ち解けあった。それぞれの
故郷の話や、他愛もない話しなどをして盛り上がった。
故郷の話や、他愛もない話しなどをして盛り上がった。
気が付く頃には、太陽が傾きかけていた。
「ジョージさん、あたし達はこれで帰ります。今日は本当にありがとう。おかげで楽しかったわ。」
フランチェスカは、その銀色の瞳を輝かせながら彼ら3人にそう言った。
「ああ、僕もさ。君のおかげで、久しぶりに女の人と楽しく話せたよ。」
「そう。今日はいろいろ教えてくれて良かった。またの機会があったら話し合いましょう。」
「そうだね。では、またいつかに。」
そう言うと、彼は握手した。彼女の手は柔らかく、暖かかった。
3人はそれぞれ彼らに礼を言うと、森のほうに去っていった。
「おい、ジョージ。お前顔が赤いぞ。」
リックがそう言うと、ジェイムスもどれどれと言って彼の顔を眺めた。
「本当だな・・・・・・・・さてはお前、惚れたな?」
その問いを彼は否定した。
「なあに言ってるんだ。惚れてなどいないさ。それよりも、まだ休日はあるんだ。港のバー
で楽しもうぜ。」
彼はそう言うと、先頭に立って丘を降りていく。2人はそうだなと言って彼に続いた。
その後、3人は港の簡易バーで朝まで飲み明かし、楽しい休日を満喫した。
「ジョージさん、あたし達はこれで帰ります。今日は本当にありがとう。おかげで楽しかったわ。」
フランチェスカは、その銀色の瞳を輝かせながら彼ら3人にそう言った。
「ああ、僕もさ。君のおかげで、久しぶりに女の人と楽しく話せたよ。」
「そう。今日はいろいろ教えてくれて良かった。またの機会があったら話し合いましょう。」
「そうだね。では、またいつかに。」
そう言うと、彼は握手した。彼女の手は柔らかく、暖かかった。
3人はそれぞれ彼らに礼を言うと、森のほうに去っていった。
「おい、ジョージ。お前顔が赤いぞ。」
リックがそう言うと、ジェイムスもどれどれと言って彼の顔を眺めた。
「本当だな・・・・・・・・さてはお前、惚れたな?」
その問いを彼は否定した。
「なあに言ってるんだ。惚れてなどいないさ。それよりも、まだ休日はあるんだ。港のバー
で楽しもうぜ。」
彼はそう言うと、先頭に立って丘を降りていく。2人はそうだなと言って彼に続いた。
その後、3人は港の簡易バーで朝まで飲み明かし、楽しい休日を満喫した。