990 名前:始末記[sage] 投稿日:2016/01/18(月) 13:16:32.58 ID:+Cxk4OTT
転移10年目
大陸南部
スコータイ市
大陸南部
スコータイ市
スコータイ市は在日・訪日タイ人九万人、在日・訪日ラオス人3千人とそれぞれの配偶者となった日本人を加えて約10万人の人口を誇る都市である。
大陸南部の貴族領を接収して建設されており、漁業と観光が盛んな土地となっている。
住宅などは以前からあった建物を改修して使っている。
軍事的には日本から購入した中古車によるテクニカルによる軽車両部隊と小型船舶を改造した哨戒艇による400名程度の軍警察がある。
大陸南部の貴族領を接収して建設されており、漁業と観光が盛んな土地となっている。
住宅などは以前からあった建物を改修して使っている。
軍事的には日本から購入した中古車によるテクニカルによる軽車両部隊と小型船舶を改造した哨戒艇による400名程度の軍警察がある。
「だからですね。
うちも最近は日本に武器を完全に管理するよう釘さされちゃって、昔みたいな横流しなんて出来無くなっちゃったんですよ。
石和黒駒一家さんには昔からお世話になってるから、力になりたいのは山々なんですがね。
呂栄のファミリーならまだ余裕はあると思いますから話を通しときますよ。
はいはい、今後ともご贔屓に。」
うちも最近は日本に武器を完全に管理するよう釘さされちゃって、昔みたいな横流しなんて出来無くなっちゃったんですよ。
石和黒駒一家さんには昔からお世話になってるから、力になりたいのは山々なんですがね。
呂栄のファミリーならまだ余裕はあると思いますから話を通しときますよ。
はいはい、今後ともご贔屓に。」
達者な日本語で別れの挨拶までこなして電話を切る、チュンマイはため息を吐く。
先月の石和黒駒一家が関わった事件でチュンマイのファミリーは警察の手入れを食らった。
幸い普段からの心付けが効いたおかげで、賄賂は少なくて済んだ。
スコータイは些か黒社会に属した人間が多いのが玉に瑕だ。
だが地球系の武器の枯渇は彼等にも深刻な問題であり、昔ながらの剣や槍を大陸で集め始めていた。
もしくはこの大陸で入手可能な資源で出来る火器の研究である。
最近では裏稼業より冒険者やタイマッサージの貴族への人材派遣の方が儲かるくらいだ。
カジノやムエタイの興行による賭けも盛況だ。
日本の業者による高級住宅を建築する者も出てきている。
先月の石和黒駒一家が関わった事件でチュンマイのファミリーは警察の手入れを食らった。
幸い普段からの心付けが効いたおかげで、賄賂は少なくて済んだ。
スコータイは些か黒社会に属した人間が多いのが玉に瑕だ。
だが地球系の武器の枯渇は彼等にも深刻な問題であり、昔ながらの剣や槍を大陸で集め始めていた。
もしくはこの大陸で入手可能な資源で出来る火器の研究である。
最近では裏稼業より冒険者やタイマッサージの貴族への人材派遣の方が儲かるくらいだ。
カジノやムエタイの興行による賭けも盛況だ。
日本の業者による高級住宅を建築する者も出てきている。
「親方、海賊ギルドの方からの依頼どうしますか?」
「あん?ああ、日本の移民船襲うからスケジュール寄越せって話だったか?
正気とは思えないが金貰っちゃたしなあ。
適当に教えてやれ。」
正気とは思えないが金貰っちゃたしなあ。
適当に教えてやれ。」
スコータイは大陸の黒社会と地球系黒社会の窓口になってしまっている。
その取り次ぎで利益を得たチュンマイはもうすぐ日本式高級住宅の完成が待ち遠しく、完成予想図の書かれた書類を見て笑顔を見せている。
微笑みの国の住民はやることがおおらかだった。
その取り次ぎで利益を得たチュンマイはもうすぐ日本式高級住宅の完成が待ち遠しく、完成予想図の書かれた書類を見て笑顔を見せている。
微笑みの国の住民はやることがおおらかだった。
日本から大陸への航路を1隻の船が航行していた。
旅客船『いしかり』、約700名の日本人移民客を乗せて航行している。
日本が大陸に建設した新京特別区の港に向かっているのだ。
『いしかり』は館山の港を出航して、航続距離六千海里を燃料の九割を往復で消費するというわりとギリギリな航海をしている。
片道8日間の航海で余計な寄り道をする余裕は無い。
ブリッジでは船員達が中継ブイや海上観測基地、周辺船舶からの情報を収集しながら航海を続けている。
安全だった地球と違い、海賊や海のモンスターがいつ出現するのかわからないのだ。
周辺海域の把握はより重要性を増していた。
最も並みの大きさのモンスターでは、15000トンの『いしかり』の巨体に押し潰されるだけである。
船長の平塚は双眼鏡で水平線の彼方を眺めているが、別段船長の仕事として必要は無い。
周辺の警戒にはレーダーがあれば十分だし、銃火器を持たせた武装警備員が黙視で監視の任務にあたっている。
それよりも月末に会社に提出する船員の給与・諸手当・食料品の収支報告書。
船内で販売されたタバコ、ビール等のアルコール飲料、レストランや自動販売機の売上金の報告書を作成するのが急務なのだが、いまいち気分が乗らなかったので海を眺めていたのだ。
旅客船『いしかり』、約700名の日本人移民客を乗せて航行している。
日本が大陸に建設した新京特別区の港に向かっているのだ。
『いしかり』は館山の港を出航して、航続距離六千海里を燃料の九割を往復で消費するというわりとギリギリな航海をしている。
片道8日間の航海で余計な寄り道をする余裕は無い。
ブリッジでは船員達が中継ブイや海上観測基地、周辺船舶からの情報を収集しながら航海を続けている。
安全だった地球と違い、海賊や海のモンスターがいつ出現するのかわからないのだ。
周辺海域の把握はより重要性を増していた。
最も並みの大きさのモンスターでは、15000トンの『いしかり』の巨体に押し潰されるだけである。
船長の平塚は双眼鏡で水平線の彼方を眺めているが、別段船長の仕事として必要は無い。
周辺の警戒にはレーダーがあれば十分だし、銃火器を持たせた武装警備員が黙視で監視の任務にあたっている。
それよりも月末に会社に提出する船員の給与・諸手当・食料品の収支報告書。
船内で販売されたタバコ、ビール等のアルコール飲料、レストランや自動販売機の売上金の報告書を作成するのが急務なのだが、いまいち気分が乗らなかったので海を眺めていたのだ。
「せっかくこんな大型船の船長になったのに陸の管理職と変わらないじゃないか。」
他にも航海中における水、食料、燃料の在庫の確認報告書も控えている。
そこに副長の大谷が声をかけてくる。
そこに副長の大谷が声をかけてくる。
「船長、前方500海里先を航行する『きたかみ』が複数の船舶が接近してきたと連絡がありました。
約27時間後に我々も通過します。」
約27時間後に我々も通過します。」
『きたかみ』1日早く館山を出港した旅客船だ。
『いしかり』同様700名もの移民を乗せている。
『いしかり』同様700名もの移民を乗せている。
「ふん、また海賊か?
『きたかみ』はどう対処したと?」
「未確認船団が正面左右から挟む様に航行してきたので、最大船速で正面の船団の間に突入し振り切ったそうです。」
「なんだそれは格好いいな、我々もやるか!!」
「馬鹿言わないで下さい。
回避ルートを航海科に作成させてます。」
『きたかみ』はどう対処したと?」
「未確認船団が正面左右から挟む様に航行してきたので、最大船速で正面の船団の間に突入し振り切ったそうです。」
「なんだそれは格好いいな、我々もやるか!!」
「馬鹿言わないで下さい。
回避ルートを航海科に作成させてます。」
冗談の通じない奴だとがっかりしながら、『きたかみ』から送られてきた未確認船団の情報を確認していた平塚はその動きに眉を潜める。
「1隻だけ最大15ノットだしてるのがいるな。
帆船のわりにたいしたもんだ。
こいつは帝国海軍の軍船だな?
海賊にこんな技術力のある船が用意出来るわけがないからな。
まだ、生き残りがいたのか。
24時間後に武装警備員を完全武装でデッキで待機させろ。
海保にも連絡しとけ。」
帆船のわりにたいしたもんだ。
こいつは帝国海軍の軍船だな?
海賊にこんな技術力のある船が用意出来るわけがないからな。
まだ、生き残りがいたのか。
24時間後に武装警備員を完全武装でデッキで待機させろ。
海保にも連絡しとけ。」
すでに『いしかり』は南硫黄島を越えて日本の海上保安庁の保護下からは外れている。
しかし、引き返す選択肢は存在しなかった。
しかし、引き返す選択肢は存在しなかった。
乗客達はそんなブリッジや船員達の危機感を知らずに思い思いの時を過ごしていた。
1週間を越える航海は暇を持て余すのに十分な時間だ。
1週間を越える航海は暇を持て余すのに十分な時間だ。
「しかし、新浜って町は今年出来たばかりなんですよね?
いきなりそこに植民させるのは厳しいんじゃないですか?」
いきなりそこに植民させるのは厳しいんじゃないですか?」
山梨県大月市の円法寺の元住職円楽が同行者である退官した公安調査官佐々木洋介に尋ねてみる。
二人はこのまま大陸に移民するが船内では数少ない知己だ。
互いにオセロを指しながら雑談に耽っていた。
二人はこのまま大陸に移民するが船内では数少ない知己だ。
互いにオセロを指しながら雑談に耽っていた。
「はい、自衛官と警察官約五千人、市役所、税務署、保健所など各種役所の公務員とその家族だけで4万人、事前に造られた保育所、幼小中高大の学校とその教職員一万人とその家族。
病院、電気、ガス、水道、、国営放送、電話、鉄道各局の職員とその家族約10万人。
その他諸々約18万人が準備段階ですでに新浜市民として入植してますからな。
民間資本も進出して従業員とその家族を入植させていきます。
その分新京の住民枠が空いたからまずはその穴埋めが今年の移民の役割ですよ。」
病院、電気、ガス、水道、、国営放送、電話、鉄道各局の職員とその家族約10万人。
その他諸々約18万人が準備段階ですでに新浜市民として入植してますからな。
民間資本も進出して従業員とその家族を入植させていきます。
その分新京の住民枠が空いたからまずはその穴埋めが今年の移民の役割ですよ。」
最も定年の退職金代わりの農地と住宅を新浜に用意して貰っている佐々木とその家族は別枠だ。
この船にも佐々木の家族枠で、妻や息子一家、娘一家と他親戚が数人など15人も乗せている。
ただし、第一次産業に従事する者は本国に残している。
これから退官する公務員は退職金代わりの大陸に家、農地を用意するから移民しないかという選択肢が与えられることになっている。
移民の抽選枠を行列を作って待っている一般人からしたら噴飯物だろう。
経済力がある新京市民が引っ越して来るならともかく、普通の移民が新浜に植民出来るのは7月半ばからになるだろう。
移民するにあたって日本国内にある財産を現金に替える者も多く、そういった身軽な人間は羽田からジャンボ機で新京まで飛んでいる。
佐々木の場合は家族の多さや自家用車や引越荷物の多さから船を選択した。
この船にも佐々木の家族枠で、妻や息子一家、娘一家と他親戚が数人など15人も乗せている。
ただし、第一次産業に従事する者は本国に残している。
これから退官する公務員は退職金代わりの大陸に家、農地を用意するから移民しないかという選択肢が与えられることになっている。
移民の抽選枠を行列を作って待っている一般人からしたら噴飯物だろう。
経済力がある新京市民が引っ越して来るならともかく、普通の移民が新浜に植民出来るのは7月半ばからになるだろう。
移民するにあたって日本国内にある財産を現金に替える者も多く、そういった身軽な人間は羽田からジャンボ機で新京まで飛んでいる。
佐々木の場合は家族の多さや自家用車や引越荷物の多さから船を選択した。
「ところで先程から船員達の動きがおかしいですな。
航海が始まっての三日間とは顔付きも違う。」
「佐々木さん、職業病が出てますよ。」
航海が始まっての三日間とは顔付きも違う。」
「佐々木さん、職業病が出てますよ。」
引退した官僚の悪い癖だ。
海上保安庁
第三管区
西之島海上保安部
西之島海上保安部は海上保安庁が第三管区方面最南端を守る海上保安庁の拠点である。
火山活動が停滞して10年も立つと、政府機関が施設をおきはじめた。
当初は生態系の『生命の実験室』とか騒がれたものだが、転移でそれどころでは無くなってしまった。
その海上保安部では、『いしかり』や『きたかみ』からの通報で海上保安官達が対策を練っていた。
第三管区
西之島海上保安部
西之島海上保安部は海上保安庁が第三管区方面最南端を守る海上保安庁の拠点である。
火山活動が停滞して10年も立つと、政府機関が施設をおきはじめた。
当初は生態系の『生命の実験室』とか騒がれたものだが、転移でそれどころでは無くなってしまった。
その海上保安部では、『いしかり』や『きたかみ』からの通報で海上保安官達が対策を練っていた。
「海賊船団?
参ったなあ、近くにうちか、海自の艦はいないのか?」
「新京地方隊所属護衛艦『いそゆき』がドック入りの為に大陸間航路を航行中です。
こちらに『いしかり』の安全圏までの護衛を依頼しましょう。」
参ったなあ、近くにうちか、海自の艦はいないのか?」
「新京地方隊所属護衛艦『いそゆき』がドック入りの為に大陸間航路を航行中です。
こちらに『いしかり』の安全圏までの護衛を依頼しましょう。」
はつゆき型護衛艦『いそゆき』は2014年3月13日に除籍の扱いを受けていたが、その後の2014年7月23日にJMU舞鶴事業所へ回航。
実艦艦的改造を施され、所要の試験に使用されていた。
その後はスクラップとして売却され、舞鶴から解体業者に向けて回航はれる予定だったが日本が転移してしまったので戦力を増強するために修復して護衛艦としって復帰したのだ。
だが就役から45年以上が経つと老朽化がひどくなっていた。
実艦艦的改造を施され、所要の試験に使用されていた。
その後はスクラップとして売却され、舞鶴から解体業者に向けて回航はれる予定だったが日本が転移してしまったので戦力を増強するために修復して護衛艦としって復帰したのだ。
だが就役から45年以上が経つと老朽化がひどくなっていた。
「だがそれでもまだ遠いな、他には?」
「護衛艦じゃなくて、支援艦なのですが・・・、現在大陸に向かっているところです。
『いそゆき』よりは丸一日早く接触できます。」
「護衛艦じゃなくて、支援艦なのですが・・・、現在大陸に向かっているところです。
『いそゆき』よりは丸一日早く接触できます。」
部下から渡された資料を見て驚く。
「新造艦?
今までどこで造ってたんだこんなの?」
「こいつなら75口径30mm単装機銃が2基装備されています。
木造帆船ごときには負けませんよ。」
今までどこで造ってたんだこんなの?」
「こいつなら75口径30mm単装機銃が2基装備されています。
木造帆船ごときには負けませんよ。」
海賊船団
旗艦『漆黒の闇』
「ふ、振り切られただと・・・」
旗艦『漆黒の闇』
「ふ、振り切られただと・・・」
艦長のピョートルは思わず床に膝を付ける。
視線の先では旅客船『きたかみ』の姿が小さくなっていく。
海賊船『漆黒の闇』は六年前の帝国海軍壊滅時に建造中だった最新鋭の軍用帆船だった。
開戦前の交渉中の間に日本から入手した帆船の技術がふんだんに使用されている。
未完成のまま隠蔽されて3年を掛けて建造。
一年を掛けた訓練を得て海軍から海賊となった。
近辺の海賊を従えて過去最大の海賊艦隊となっての作戦だった。
いきなり自衛隊や海上保安庁の巡視船は荷が重いからまずは移民船を襲ったのだが、正面から切り込まれて逃げられてしまった。
包囲に参加した艦船は20隻に及ぶ。
たかだか民間の客船があんなに早い上に小回りが効くとは予想を上回っていた。
だが嘆いてばかりもいられない。
スコータイに大金をはたいて手に入れたの大陸間の航路スケジュールによると16時間後にもう1隻の客船がこの航路を通る。
たが日本が使用する通信装置や索敵装置でこちらの動きが知られている可能性が高い。
視線の先では旅客船『きたかみ』の姿が小さくなっていく。
海賊船『漆黒の闇』は六年前の帝国海軍壊滅時に建造中だった最新鋭の軍用帆船だった。
開戦前の交渉中の間に日本から入手した帆船の技術がふんだんに使用されている。
未完成のまま隠蔽されて3年を掛けて建造。
一年を掛けた訓練を得て海軍から海賊となった。
近辺の海賊を従えて過去最大の海賊艦隊となっての作戦だった。
いきなり自衛隊や海上保安庁の巡視船は荷が重いからまずは移民船を襲ったのだが、正面から切り込まれて逃げられてしまった。
包囲に参加した艦船は20隻に及ぶ。
たかだか民間の客船があんなに早い上に小回りが効くとは予想を上回っていた。
だが嘆いてばかりもいられない。
スコータイに大金をはたいて手に入れたの大陸間の航路スケジュールによると16時間後にもう1隻の客船がこの航路を通る。
たが日本が使用する通信装置や索敵装置でこちらの動きが知られている可能性が高い。
「包囲じゃ駄目だな。
斜線に陣形を固めて船と船を鎖で繋いで逃げ道を塞ぐ。」
斜線に陣形を固めて船と船を鎖で繋いで逃げ道を塞ぐ。」
気を取り直して新たな作戦を考える。
問題は日本の索敵装置で回避ルートを取られた時だ。
海賊船団を作戦に動員出来るのは今回限りなのだ。
海賊達も日本の軍艦ではなく、民間船を襲うからと従ってくれたのだ。
日本の船が手に入れば劇的な戦利品なのだ。
船自体の価値も高いが、日本人の人質は高い身代金を要求出来る。
また、若い女なら日本の苦渋を舐めさせられた貴族達が金に糸目を付けずに買い取ってくれる。
こちらの方がリスクは低い。
問題は日本の索敵装置で回避ルートを取られた時だ。
海賊船団を作戦に動員出来るのは今回限りなのだ。
海賊達も日本の軍艦ではなく、民間船を襲うからと従ってくれたのだ。
日本の船が手に入れば劇的な戦利品なのだ。
船自体の価値も高いが、日本人の人質は高い身代金を要求出来る。
また、若い女なら日本の苦渋を舐めさせられた貴族達が金に糸目を付けずに買い取ってくれる。
こちらの方がリスクは低い。
日本側は全力で取り戻しに来るだろうが後は日本と貴族の問題にすぎない。
ピョートルと各船の船長の間には目的と意識に大変な差があるが、さらに違う目的がある物がいる。
ピョートルと各船の船長の間には目的と意識に大変な差があるが、さらに違う目的がある物がいる。
ドーラク船長の船『食材の使者』は帆船ではない。
推進力は巨大な脚である。
海底に足を付けて歩いているのだ。
風任せの帆船よりは速度は遅いが安定した速度が出せる。
推進力は巨大な脚である。
海底に足を付けて歩いているのだ。
風任せの帆船よりは速度は遅いが安定した速度が出せる。
「ピョートル船長に連絡しろ。
我々が日本の船をこちらに引き付ける。
陣形は作戦どおりで良い。
ただこちらの速度に合わせてもらうから場所はこちらが指定してした位置にしてもらうがな。」
我々が日本の船をこちらに引き付ける。
陣形は作戦どおりで良い。
ただこちらの速度に合わせてもらうから場所はこちらが指定してした位置にしてもらうがな。」
各船は手旗信号で連絡を取り合う。
「『食材の使者』号、急速潜行!!
進路、日本の客船!!」
進路、日本の客船!!」
海中に沈んでいく『食材の使者』号に敬礼するピョートルに副船長が疑問を口にする。
「よくあんな連中仲間に出来ましたね?
頼りがいはありそうですが・・・」
「海軍時代のツテでな。
何度か演習に参加して貰ったものだ。
それにしても海中を行ける艦か。
さすがの日本もこれには対処出来まい!!」
頼りがいはありそうですが・・・」
「海軍時代のツテでな。
何度か演習に参加して貰ったものだ。
それにしても海中を行ける艦か。
さすがの日本もこれには対処出来まい!!」
今度こそ日本の一刺報いるのだと、ピョートルは意気込んでいた。
帝国海軍は海戦すらさせて貰えずに壊滅した。
何故かどの港も軍船が停泊している時に攻撃されて壊滅している。
まるで事前に港のどの位置にどの時間どの船が停泊しているかが判っていたごときの正確さであった。
どんなに哨戒の船を出しても回避されて、発見できずに港ごと砲撃を受けて軍船はその数を減らしていった。
後で索敵装置や通信装置の存在を知ったがそれだけでは無い何かを感じていた。
だがこの平時の定期航路なら・・・ピョートルの決意の固さがこの作戦を決行させたのだ。
帝国海軍は海戦すらさせて貰えずに壊滅した。
何故かどの港も軍船が停泊している時に攻撃されて壊滅している。
まるで事前に港のどの位置にどの時間どの船が停泊しているかが判っていたごときの正確さであった。
どんなに哨戒の船を出しても回避されて、発見できずに港ごと砲撃を受けて軍船はその数を減らしていった。
後で索敵装置や通信装置の存在を知ったがそれだけでは無い何かを感じていた。
だがこの平時の定期航路なら・・・ピョートルの決意の固さがこの作戦を決行させたのだ。
「日本の船を手に入れる。
そこから判ることはきっと大きいだろう。」
そこから判ることはきっと大きいだろう。」