自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 23

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284 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/27(金) 20:27 [ imAIk9NE ]
    アジェントのある大陸。多少差異があるがユーラシア大陸とほぼ同じ物であると考えて欲しい。
    そしてその大陸の東部、現実世界における中国東部、満州を広げた程度の地域を支配し、東南部には多くの小国や自治都市を従えているのがこの大陸で最大の力を誇るアジェント。
    そしてロシア西部あたりから発し、その魔道と機械(と言ってもまだ下等なものだが)を合成させた魔道兵器の力を背景に中央アジアへと侵攻を続けるのがバルト帝国。
    そしてその二大強国にはさまれるように中国北西部に存在するのがオズイン王国であった。
    このオズイン王国、そもそもあまり土地として恵まれてはいない。
    降水量も多くは無いし、土地も決して肥えてはいない。
    しかし、過酷な状況において人々は助け合い、そして精強な兵を持つに至った。
    戦国時代の三河と言えば分かる人も多いかもしれないが、バルト帝国がオズイン王国を前にしてその猛スピード侵攻を止めたのも、オズインの人々の強い結束を目の前にしたからだったのだろう。

285 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/27(金) 20:28 [ imAIk9NE ]
    「信じがたいことばかりだな、なによりも戦闘をおこなったとは・・・。」
    報告書を持ち袴はそう言った。
    袴、現在の日本の総理大臣職につく男。
    官僚憎しの感情が高まった世論をかわす為に選ばれた首相のため、硬いイメージから外れた、政治家には珍しい柔軟性を持つ人物であった。
    そう言う意味ではこの状況には適した人物と言えるかもしれない。
    しかしそんな人物でも当然疲れはたまる。これからの方針を決めた連日の会議で彼はすでにやつれ果てていた。そこにこの報告書、である。

    「しかし、死人が出なかった、と言うのは唯一の救いだな。」
    そしてマスコミ、野党対策などこれからが大変だな、と連日の仕事で疲れ果てた閣僚のほうを見る。彼らもまた自嘲気味の笑いを返した。
    「それにしても・・・報告書を見る限り日本は現地人の国と随分近い位置のようだな。尖閣諸島が向こうの領海内の可能性が高い。さて・・・どうしたものか。」
    尖閣諸島の石油は窮地の日本の生命線である。絶対に奪われるわけには行かない。
    しかしすでに現地人の船と戦闘をやってしまった、というのは大きい。
    最終的には和解したらしいがこれはこれからの外交に大きなダメージになるだろう。

286 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/27(金) 20:28 [ imAIk9NE ]
    とりあえず・・・今必要なことは情報を集めること。
    幸い現地人らしい協力者を得ることができた、とこの報告書には書いてある。
    言葉が通じる、というのが不可解だがこの世界についてかなりの部分が分かるだろう。
    「とりあえず協力者の話が聞けたらすぐに報告書にして持ってくるように。」
    「了解しました。ただ今担当自衛官が対応しています。」
    そうか、と袴はうなずき、そしてまた振り返った。
    「?なぜ自衛官が?外務省の仕事ではないのか?」
    「いえ、どうもその協力者がある自衛官から離れないらしいのです。だから特例として。」

    ああもうわけがわからん。
    そう叫びたいのを堪えて袴は窓から空を仰いだ。
    ぬけるような青い空は故郷のものとなんら変わりはなかった。

287 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/27(金) 20:28 [ imAIk9NE ]
    同時刻、佐世保。
    袴と同じようにに報告書に目を通す人物が居た。
    名は赤羽。佐世保地方隊司令である男である。
    卓抜した任務遂行能力、指揮能力を持って海外派遣で数々の成果を挙げ、40代という若さでここまでの地位に上り詰めたまさに「異常」とも言える人物であった。
    そして海上幕僚監部への道があるにもかかわらず傍流とも言える地方隊司令となった、そう言う意味でも異常といえた。

    そして彼の前には青島が立っていた。
    「つまり、敵が何かの攻撃姿勢をとっている気配があったために戦闘を避けた、そう言うことか?」
    「はい。」
    「ずいぶんと甘い判断をしたものだな、マスコミなどどうとでもなる、撃沈してよかったのだが。」
    「すいません。しかし・・・降伏している相手に攻撃する、と言うのは。」
    「攻撃姿勢をとっている気配があったのだろう、ならば攻撃も止むなし、だ。」
    赤羽はここまで言って目を瞑り首を横に振った。
    「まあいい、協力者も得られたようだし、こちらに死者を出さなかったのは大きい。」
    「はい。」
    「とにかく、だ。君の隊はこれから敵の未知の兵器対策及び重要外交においての護衛にあたってもらうことになる。君を見込んで本国に呼び戻した。期待している。」
    「はい。」
    赤羽がその鋭い瞳を一段と細めた。

288 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/08/27(金) 20:29 [ imAIk9NE ]
    「これからの外交では味方作り、及び農地の確保が主題となる。すなわち・・・侵略だ。」
    そこで赤羽は言葉を切った。
    「侵略・・・。」
    青島は戸惑った。そんな言葉を出されるとは思っても見なかったからだ。
    「侵略、重い言葉だ。だが日本という国が生き残るためには絶対に必要なことだ。」
    「はい、わかっています。」
    科白とは対照的に青島の声は震えていた。
    「とにかく何においても情報が必要不可欠となる。初めの任務としては協力者との信頼関係を崩さないように。」
    「了解しました。」
    青島と対照的な淡々とした赤羽の言葉が終わると青島は敬礼をした。

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