自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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匿名ユーザー

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空母ホーネットから発艦したジョージ・リンデマン少尉が機長の策敵3番機は
快調な飛行を続けていた。
「ロン、何も見つからんか?」
後部機銃座に座るロン・タイラー兵曹に聞いてみた。
「いえ、何もありません。海ばっかりです。位置ではここが南鳥島なのですが」
タイラー兵曹は困惑した表情でそう答えた。本来ならば、ここに南鳥島があるはずなのだ。それが
忽然と姿を消している。
「なんてこった。俺達は本当にどこか飛ばされてしまったのか。」
彼はそう呟いた。もし本当だとすれば、母や父に会えないのか?だとすれば最悪だ。
彼は一気に気持ちが萎えてしまった。彼は顔をうつむいて考え事を始めた。

その時、電信員であるルイン・オーウェン兵曹が上ずった口調で叫んだ。
「左側方に島らしきもの!」
考え事をしていたリンデマン少尉はハッと顔をあげ、双眼鏡でその地点を見てみた。だが、見えない。
「本当か?見えないぞ。」
「いえ、確かに見えました。島のようなものが・・・・いや、もっと大きいかも。」
「念のため、左に行ってみよう。」
彼は操縦桿を左に倒し、機首をその方向に向けた。あそこに・・・・あの方向に何かある。
もしや、疑惑の答えがあるのかもしれない。
彼はそう思うと、緊張と興奮で体が震えた。

しばらくはまたいつもの通り単調な飛行が続いた。だが、それも10分ほどで終わった。
「見えました!島です!」
オーウェン兵曹が叫んだ。リンデマン少尉も双眼鏡で前方を見てみた。雲の隙間に海岸線が見える。
それに港らしきものも、うっすらとだが見えている。
「見えた・・・・ジーザス・・・・こいつはどでかい島かも知れんぞ。」
彼はその海岸線の広さに息を呑んだ。島ならポツンとそこにあるように見える。だが、彼らが見ている
それは今まで見てきたものとは違った。海岸線は左右にずーっと繋がっている。
「島ではありませんよ。」
オーウェン兵曹はトーンを下げた口調で言った。恐怖でも感じているのか、やや言葉が震えていた。
「こいつは・・・・・大陸です。」
「大陸か・・・・・よし、あそこに行ってみよう。今回の任務は情報収集だ。出来るだけ情報を集めよう。」
彼はそう言うと、スピードをやや上げた。
近づくにつれて、海岸線がはっきりしてきた。さきほどうっすらと見えていた港町は、今でははっきりと
見えるようになった。
町の規模は大分大きい。それに港の規模もかなりある。港には帆船らしき木造船ひしめいており、外洋に出たり
入ったりする船も多い。
「どうやらこの港町は結構大きめですね。建物も結構ある。ですが、なんていうか、レンガや木造だらけですよ。」
「まるで中世ヨーロッパだな。」
リンデマン少尉はそう答えた。見た限り、明らかに今の文明のものではない。煙突を載せた船が見当たらない。
建物は中世風のものばかり。
「ヨーロッパに移動してしまったのではないですか?」
タイラー兵曹がリンデマン少尉に言ってきた。
「この町並みはまるでイタリアかフランスの港町ですよ。」
「いや、違うな。」
少尉は首を横に振った。
「イタリアやフランスでも、煙突を載せた船はゴマンといる。木造船も多いが、このような
時代遅れのようなものではない。」
「と、すると・・・・・本当に異様な世界に連れて来られたになりますよ。」
「そうだろうな。」
彼はそう答えた。
「だが話は後だ。今は任務に集中しよう。高度を下げるぞ。」
リンデマン少尉は機体を高度1000まで下げた。3番機はそのまま内陸に進んだ。港町から
10分ほど離れたところに広大な森があった。その森の前には小さな水車があった。
そこで何人かの人影が見えた。彼はさらに高度を500まで下げた。
リンデマン少尉は珊瑚海海戦に空母レキシントンの乗員として参加した。それ以来、ミッドウェー、
第2次ソロモン海戦、南太平洋海戦などに参加してきた古参のベテランである。
彼は視力が2・7ととても良く、友人の戦闘機パイロットからは、
「お前は戦闘機乗りに向いているぞ」
と言われたが、彼はこのアベンジャー艦功が気に入っていた。スピードはいまいちでないものの、頑丈さと
操縦性の良さは好評であり、米艦載機のパイロットからは大いに気に入られていた。
「悪いが、俺はアベンジャーひと筋なのさ。」
彼はその友人に対しそう言った。残りの2名も、当初は新兵だったが、昨年の11月に初陣を
飾って以来、すっかり頼れる存在になった。

リンデマン少尉はその数人の人影を凝視した。一人の人影が彼らの機体に驚いて
指を向けた。すると残りの人影も一斉に彼が操縦するアベンジャーに向いた。
彼はさらに高度を下げ、高度が100になるまで下げた。そして400キロのスピードで
通り過ぎようとしたとき、彼はある人影と目が合った。
その人影を、彼は顔や体つきをハッキリ見て取れた。褐色の肌に膨らんだ胸、やや露出が高い上着に短パン
それに女性らしい顔つきと長い耳。
アベンジャーは水車小屋を通り過ぎると、高度を上げた。
「・・・・機長、今の見ましたか?」
オーウェン兵曹がおずおずとした口調で聞いてきた。彼はうなずいた。
「耳が、やけに長かったな。それに褐色の奴と白人系の奴もいた。」
「普通の人らしきものもいましたね。」
タイラー兵曹も会話に入ってきた。
「男が2人に女が3人でした。」
「確かそうだったな。」
彼は燃料計を見てみた。燃料ゲージが半分近くまで下がっていた。
「頃合だな。オーウェン、ホーネットに打電だ。電文を組め。」
オーウェンは彼の指示に従い、暗号帳を開いた。

時に午前6時34分のことであった。

午前6時40分、第1任務郡旗艦ホーネット
通信士官の報告に彼は思考が停止し、思わず耳を疑った。
「なんだと?」
彼はもう一度聞いた。そして通信士官がもう一度電文を読み上げると、彼はようやく
理解できた。
「そうか。分かった。他の策敵機からはまだないな?」
「はい。リンデマン少尉の3番機のみであります。」
「よろしい。」
彼はそう言うと、コーヒーを飲み干し、長官席に座った。
この時、艦橋見張りが叫んだ。
「ヨークタウンより発光信号!」
クラークはホーネットの左舷2000メートルを航行しているヨークタウンに
視線を移した。
「我、策敵機の電文を探知せり。策敵4番機は大陸らしき地形を発見せり、」
この直後からホーネットに続々と情報が入ってきた。まず先ほど電文を送ってきた
策敵3番機から続報があり、現地人数人を確認、現地人に耳長の人種がいるとの追加電が入った。
また、軽空母ベローウッドの策敵機が、艦隊の南西280マイル地点で炎上中の木造船を発見し、
その数海里離れたところに襲撃船と思われる船が北に向けて遁走していると報告してきた。
また、軽空母バターンの策敵機は、3番機が一番内陸に入り込んだ。そのバターン3番機が
「我、地上戦闘と思しきものを発見せり、位置は艦隊より西300マイル地点なり。」

次々と入ってくる情報に、クラークは思わず眉をひそめた。
「これで、別の世界に放り込まれたのは確実となった訳か。」
彼はどこか力のない口調でそう呟いた。だがこの時、南方400マイル地点に位置する
第2郡では別の事件が起きていた。

アルフレット・モンゴメリー少将が指揮する第58任務部隊第2任務郡は
第1郡と同じように策敵任務に当たっていた。
午前6時50分、輪形陣外輪部を守る駆逐艦のルイス・ハンコックは艦隊速度の24ノット
で航行していた。
見張り員のスペイン系アメリカ人、セバウス・オリガロ2等水兵は左舷の海面を見張っていた。
「なあ、どうせここは異世界なんだろ?ならジャップの潜水艦はいないんじゃないのか?」
同僚であるバイラ・マーザー2等水兵が口を尖らしながら言う。
「それはそうだが、異世界だから別の怖いものがあるんじゃないか?例えば、シーサーペントのような
巨大海ヘビとかよ!」
彼はふざけて指を海面に伸ばした。その時、ザー!という水を掻き分ける音が聞こえた。彼が左舷を向いたとき
ルイス・ハンコックの左舷4000メートルに巨大な生物が表した。
それは海蛇のような巨大生物だった。その凶暴な相貌は明らかにルイス・ハンコックに向いていた。
「何だあれは!」
オリガロ2等水兵は絶叫した。
「海蛇だ!それもとてつもなくでかい!10、いや!30メートルはあるぞ!」

左舷側に視線を移したルイス・ハンコックの艦長は、巨大海蛇の姿に絶句した。
だが、すぐに我に返り、号令を発した!
「戦闘用意!総員戦闘配置につけ!」
危険を感じた彼は、スピーカーに向かってそう命じると、水兵が艦上、艦内で慌しく動き始めた。
ルイス・ハンコックはフレッチャー級駆逐艦に属していて、5インチ単装両用砲5門に53センチ魚雷発射管
4連装3基、20ミリ機銃4丁、40ミリ連装機銃3基6丁を装備しており、38ノットの
高速力を発揮できる快速艦である。
砲弾が込められた5インチ両用砲が巨大海蛇に向けられた。

海蛇はまっしぐらにルイス・ハンコックに突進してきた。この海蛇の意図は明らかだった。
「オープン・ファイヤ!」
艦長が号令を発すると、5門の5インチ砲が咆哮した。ガガーン!という轟音と共に、砲弾が放たれる。
巨大海蛇の周りに5本の水柱が立ち上がった。
この時、騒ぎを聞きつけた軽巡洋艦のモービルと駆逐艦のマーシャルが現場に急行していた。海蛇は時速30ノットは
ありそうなスピードでルイス・ハンコックに迫ってきた。
第2斉射が放たれた。これも外れ弾となり、巨大海蛇の周りに水柱を吹き上げただけだった。だが、この砲撃にたじろいだのか、
まっしぐらに突きすんでいた巨大海蛇は急に右に向きを変えた。
この時、ルイス・ハンコックの機銃が火を噴いた。左舷中央部に設置されている40ミリ連装機銃の射手であるフランク・
ヘンドリックス兵曹長は、照準器に海面下にうっすらと見える巨大海蛇の影に機銃弾を撃ち込んだ。
ガンガンガンガン!というリズミカルな音を立て、機関砲弾が弾き出された。たちまち、巨大海蛇が泳いでいる海面は多数の機銃弾
によって泡立った。
だが、それでも巨大海蛇は動きをやめない。この時、見張り員のオリガロ2等水兵は新たに2匹の巨大海蛇が接近してくるのを見つけた。
「巨大海蛇があらたに2匹!距離3000!」
彼はこの時愕然とした、巨大海蛇は知恵を持っている。1匹が機銃や砲弾をひきつけている隙に、残りの2匹が目標に襲い掛かると言う算段
なのだ。なんて頭のいい生物なのか。
彼はそう思った。速射性のある5インチ砲は続けざまに砲弾を叩き込むが、1匹目の巨大海蛇を捕まえることが出来ない。
あまりにもすばしっこいため、砲の操作が追いつかないのだ。その間にも、残る2匹の巨大海蛇はルイス・ハンコックまで距離2000まで迫っていた。
この時、ルイス・ハンコックが速度を上げた。軽快な駆逐艦はたちまち38ノットの高速で逃げ切ろうとした。
だが次の瞬間、目の前の海面に巨大海蛇が姿を現した。その海蛇はこれまでのとは違い、長さが40メートルはあろう。
つまりあの海蛇のリーダーなのだ。
その距離はわずが100メートルだった。巨大海蛇が大きな顎を開いた。そして猛烈なスピードでルイス・ハンコックに噛み付いてこようとした。
「面舵一杯!急げ!」
艦長の言葉にすかさず反応した操舵員が猛烈な勢いでハンドルを振り回した。間一髪のところでルイス・ハンコックの艦橋は巨大海蛇の凶牙から逃れた。
巨大海蛇は艦橋の左舷側をなめるようにして通り過ぎようとしていた。

40ミリ連装機銃の射手であるヘンドリックス兵曹長は、艦首の前に現れた
これまでよりも一際大きな巨大海蛇を見て度肝を抜かれた。
「こいつはたまげたぞ!」
かれは素っ頓狂な声を上げて驚いた。巨大海蛇が大きな顎を上げて反り返った。
「来るぞ!どけ!」
機銃弾の装填手を脇に寄せると彼は機銃を旋回させ、巨大海蛇に照準を向けた。その時、艦
が右急回頭を行った。このお陰で巨大海蛇は艦橋に噛み付けなかったが、なんとかれのほうに
牙を向けてやってきた。
「海蛇なんぞにやられてたまるかぁぁぁぁ!」
彼は絶叫しながら引き金を引いた。ガンガンガンガンガンガン!という連射音が鳴り響き、オレンジ色の
アンスキャンデーが巨大海蛇に注がれた。
巨大海蛇は顔面を無数の40ミリ弾に抉られ、ギャーーー!という獣らしい叫びを上げながら海に落下した。
リーダーの巨大海蛇が海面にでのたうち回っている。そこに12本の水柱が立ち上がった。
水柱の中にバラバラに引き裂かれた巨大海蛇の姿があった。

「化け物に命中!四散しました!!」
見張り員がそう叫ぶと、乗員がワァー!と歓声をあげた。軽巡洋艦のモービルは、ルイス・ハンコック
に噛み付こうとし、血を振りまきながら海面をのたうっていた海蛇に12個の6インチ(15・2センチ砲弾)
を叩き込んだ。結果は初弾命中となった。
その後方には駆逐艦のマーシャルが5インチ(12・7センチ)両用砲を猛烈に撃ちまくっている。
ルイス・ハンコックに新たにすがり付こうとした巨大海蛇が1匹、たちまちの内にリーダーの後を追った。

モービルはクリーブランド級軽巡洋艦に属する艦で、基準排水量1万トン、6インチ砲12門、
5インチ連装砲6基12門という重火力を持っている。
対空火力も強力で4連装40ミリ機銃6門、20ミリ機銃20丁と強化されている。
速力は33ノットと、バランスがよく、高性能の新鋭軽巡である。

残った巨大海蛇は、ルイス・ハンコックを追うのをやめ、その場から逃げ去ろうとしたが、
「2匹固まって逃げるとは、馬鹿な奴らだ。ファイヤ!」
モービルの3連装6インチ砲3基が再び咆哮した。今度はやや後方に落ちてしまったため、目標を外れた。
20秒後に第3斉射が放たれた。左舷の舷側一杯に砲光が閃き、ドドドドーン!という腹に答える射撃音
が海面を圧した。
猛スピードで離れ去っていく2匹の巨大海蛇の辺りに12本の水柱が立ち上がった。水柱は80メートルまであがると、ゆっくりと落ちていった。
間をおいてドーンという爆発音が広がった。モービルの左舷7500メートル付近には、海蛇たちの死骸が浮いていた。

                            丶
                             ヽ            1、空母ホーネット所属機が港町を発見
                              丶
                               ゝ          2、同空母機が現地人数人を確認
                                )
                                丶         3、軽空母ベローウッド機が炎上船と
                          ロタ半島   ヽ          襲撃船を発見
                      \           ヽ
                       ヽ ノ   2     )        4、軽空母バターン機が地上戦闘を発見
                       ヾ ミ   ・    丶
                       ゝ ミ     1  丶         5、未知の生物と同任務郡の護衛艦が交戦
                       ゝ  (    ・ 丶          護衛艦がこれを撃沈
                        ヽ  (     /
                        )   (   丿
                        ヽ   (  〆                            ●TF-58、1任務郡
                ・4       丶   ∨
                         ヾ 
      大陸本土             ヽ
                       ヾ               
                      ゞ
                     ヽ
                    ヽ        ・3
                   ヽ
                  ヽ                                         至マーシャル→
                 ヽ
                ヽ
                 ヽ
                  ヽ                                          ・5
                   ヽ                                         ●TF-58、2任務郡
                    ヽ
                     ヾ
                     丶
                        \
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