1960年代から70年代の「成長の限界」論に関連して、エーリックやコモナーなどの研究者は、「環境問題に対する人間の社会環境や科学文明などが自然に及ぼす影響力の問題点」を科学的に伝えようとしたが、メディアや一般大衆の関心はそれらを「環境悪化に伴う、人類破滅・破局の予言」として関心をもった。
彼らは「ドゥームセイヤーdoomsayer;不吉な事を予言する人」として位置づけられ、そうした予言から自ら(人間)の生命を守っていく手だてとして、人間の自己利益のみを求める「サバィバリズム」という考え方も登場してきた。
彼らは「ドゥームセイヤーdoomsayer;不吉な事を予言する人」として位置づけられ、そうした予言から自ら(人間)の生命を守っていく手だてとして、人間の自己利益のみを求める「サバィバリズム」という考え方も登場してきた。
| + | 「ドゥームセイヤー」とは |
「サバイバリズム」は、人類の破滅(破局)から逃れて、生き残っていくために、「不測の事態がわれわれの生存を脅かす可能性がある場合には、そのために日頃から準備をしておくこと」が原義である。
具体的には、環境問題だけに限らず、以下のような事柄から人間の生存を守ることを最優先課題として捉える。
(1)自然災害(竜巻・ハリケーン・地震・吹雪・雷等)
(2)人間の活動によって起こされる災害(化学物質、放射性物質の拡散・戦争等)
(3)文明の総体的な崩壊(通気・燃料・食糧・水等が利用不可能なことから発生する災害)
(4)世紀末的な予言によるパニック
そのためにさまざまな準備(食糧備蓄・核シェルター等)をしている人も「サバイバリスト」にあたる。環境問題に即していえば、差し迫った環境危機に対応していくために抜本的な解決に対する認識と方策をもっていることを示しており、「環境的人類生存主義」と呼ばれている。
具体的には、環境問題だけに限らず、以下のような事柄から人間の生存を守ることを最優先課題として捉える。
(1)自然災害(竜巻・ハリケーン・地震・吹雪・雷等)
(2)人間の活動によって起こされる災害(化学物質、放射性物質の拡散・戦争等)
(3)文明の総体的な崩壊(通気・燃料・食糧・水等が利用不可能なことから発生する災害)
(4)世紀末的な予言によるパニック
そのためにさまざまな準備(食糧備蓄・核シェルター等)をしている人も「サバイバリスト」にあたる。環境問題に即していえば、差し迫った環境危機に対応していくために抜本的な解決に対する認識と方策をもっていることを示しており、「環境的人類生存主義」と呼ばれている。
cf.ドライゼク[著]丸山正次[訳]『地球の政治学――環境をめぐる諸言説』風行社、2007年
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ドゥームセイヤー、サバイバリストの潮流を作った環境思想家として、以下があげられる。
ドゥームセイヤー、サバイバリストの潮流を作った環境思想家として、以下があげられる。
- T・R・マルサス 人口爆発
- レイチェル・カーソン 化学薬品による生態系の破壊
- ポール・エーリック 人口爆発
- ギャレット・ハーディング コモンズの悲劇 1968年、救命艇の倫理 1977
- ボールディング(1910-1993) 宇宙船地球号
- バックミンスター・フラー()
- メドウズ() 成長の限界
- シューマッハー() 『スモール・イズ・ビューティフル』
彼らに共通する基底的なメッセージは、賢明な資源利用、人口抑制、欲望の抑制、経済成長を最優先することの否定である。
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ドゥームセイヤー、サバイバリストの潮流に対して、1970年代のキャリコットたちは積極的な態度をとらない。
なぜなら、キャリコットらに取って環境危機(生態学的危機)は、「人間中心主義の克服」というテーゼが確立するための契機であって、直接解決すべき実質的な課題ではないといえる(上柿さん)。
「人類を滅亡の危機から回避させること」を目的に何かをしようとするのではなく、もっと本質的なことへの不正をただし、人間存在を他の生物や自然物、惑星といった生態学的な意味で相対的であることに気づくこと、そしてそこにある種の全体主義や平等主義を見出していくことに重きをおく。
その一方で、世代間倫理、未来への責任を説くハンス・ヨナス(1903-1993)、シュレーダー・フレチェットの位置づけは要検討。
ドゥームセイヤー、サバイバリストの潮流に対して、1970年代のキャリコットたちは積極的な態度をとらない。
なぜなら、キャリコットらに取って環境危機(生態学的危機)は、「人間中心主義の克服」というテーゼが確立するための契機であって、直接解決すべき実質的な課題ではないといえる(上柿さん)。
「人類を滅亡の危機から回避させること」を目的に何かをしようとするのではなく、もっと本質的なことへの不正をただし、人間存在を他の生物や自然物、惑星といった生態学的な意味で相対的であることに気づくこと、そしてそこにある種の全体主義や平等主義を見出していくことに重きをおく。
その一方で、世代間倫理、未来への責任を説くハンス・ヨナス(1903-1993)、シュレーダー・フレチェットの位置づけは要検討。
