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- 加藤尚武論文はこれを正面から論じている。そして西洋にもある人間自然調和・感応論の思想的伝統を見ずに人間自然分離論とレッテルを張り、東洋の人間自然合一論の一面的強調にとどまるのは、西洋に対するたんなる劣等意識であり問題をかえって拡散することになると鋭い警告を発している。
- 黄心川論文は、近代化と科学技術発展における西洋の天人分離論の積極的意義をおさえたうえで、現代の問題の核心は資本主義(筆者の理解では市場経済至上主義)の異常発展と理性の歪曲(道具的理性)、物欲(欲望の無限肥大)にあることが指摘されている。そして、東西思想それぞれに合一論と分離論の伝統があるが、全体的特徴として西洋は分離論、東洋は合一論が主流だったと総括し、東西の思想には対立もあるが補足しあうところもあるとする。そのうえで世界的交通の発達と情報化にあって互いの全面的交流と協力の視点の重要さと課題を指摘する。