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AI音楽史
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AI音楽史
概要
AI音楽とは、人工知能(AI)を利用して作曲、編曲、歌唱、音色生成、
ミキシング、楽曲構成などを生成・補助する音楽制作手法の総称である。
ミキシング、楽曲構成などを生成・補助する音楽制作手法の総称である。
AIによる音楽研究そのものは古くから存在するが、
2020年代に入るとニューラルネットワークによって
「完成した音声そのもの」を生成する技術が急速に発展した。
2020年代に入るとニューラルネットワークによって
「完成した音声そのもの」を生成する技術が急速に発展した。
特に2023年以降、
- Suno
- Udio
- MusicLM
- MusicGen / AudioCraft
などの登場により、
専門的なDAW操作や演奏技術を持たないユーザーでも、
専門的なDAW操作や演奏技術を持たないユーザーでも、
「○○風のLo-fi」
「夏の夜をテーマにしたJ-POP」
「謎のネットミームを壮大なK-POP風に」
「夏の夜をテーマにしたJ-POP」
「謎のネットミームを壮大なK-POP風に」
などと文章で指示するだけで、
ボーカルを含む楽曲を生成できる時代となった。
ボーカルを含む楽曲を生成できる時代となった。
2024年以降はYouTube、TikTok、ニコニコ動画、Sunoなどを通じて
AI楽曲そのものがネットミーム化する例も増加。
AI楽曲そのものがネットミーム化する例も増加。
日本では「YAJU&U」など、
既存のインターネットミームとAI作曲を組み合わせた楽曲も注目され、
2026年には「INMU KING / YAJU-MC」のように
AI音楽とAI映像を組み合わせたミュージックビデオも登場している。
既存のインターネットミームとAI作曲を組み合わせた楽曲も注目され、
2026年には「INMU KING / YAJU-MC」のように
AI音楽とAI映像を組み合わせたミュージックビデオも登場している。
年表
| 年代 | 出来事 |
| 2020年 | OpenAIが「Jukebox」を発表。歌声を含む音楽を波形レベルで生成する研究として注目された。 |
| 2023年1月 | Google Researchが「MusicLM」を発表。文章から数分間の音楽を生成可能。 |
| 2023年5月 | MusicLMがAI Test Kitchenで一般ユーザー向け実験公開。 |
| 2023年 | MetaがMusicGenを含む「AudioCraft」を公開。 |
| 2023年 | SunoがDiscord上で音楽生成サービスを開始。 |
| 2023年末 | SunoがWebサービスへ展開。一般ユーザーによるAI楽曲制作が急速に身近になる。 |
| 2024年3月 | Suno v3登場。音質・ジャンル表現・プロンプト追従性が向上。 |
| 2024年4月 | 元Google DeepMind研究者らによるUdioが一般公開。 |
| 2024年5月25日 | 「YAJU&U」がYouTube・ニコニコ動画へ投稿されたとする記録がある。 |
| 2024年~ | AI Lo-fi、AIポップ、AIミームソングなどが動画・SNS上で大量に制作される。 |
| 2024年11月 | Suno v4登場。ボーカルや歌詞、楽曲構成などがさらに改善。 |
| 2025年5月 | Suno v4.5。最大8分の初回生成など長尺化が進む。 |
| 2025年9月 | Suno v5登場。 |
| 2026年4月 | Suno上で「ガイガイ音頭」のAI楽曲化が複数確認される。 |
| 2026年5月 | Suno上で「夢 × YAJU&U」などYAJU&U派生作品も確認される。 |
| 2026年8月10日 | 「INMU KING / YAJU-MC」公開。AI音楽とAI映像を組み合わせたネットミームMVとして拡散。 |
黎明期
Jukebox
2020年、OpenAIが発表した音楽生成モデル。
従来のMIDIや楽譜を生成する方式とは異なり、
音楽の「音声そのもの」を生成することを特徴としていた。
音楽の「音声そのもの」を生成することを特徴としていた。
歌声を含む楽曲を生成でき、
ジャンルやアーティストなどの条件を与えることも可能だった。
ジャンルやアーティストなどの条件を与えることも可能だった。
現在のSunoやUdioのような
「文章を入れればすぐ一曲完成」という一般向けサービスとは異なり、
研究色の強いシステムであった。
「文章を入れればすぐ一曲完成」という一般向けサービスとは異なり、
研究色の強いシステムであった。
しかし、
「AIが作曲データではなく、完成した音楽そのものを生成する」
という現在の生成AI音楽につながる重要な段階の一つである。
MusicLM
2023年にGoogle Researchが発表。
文章による説明から高品質な音楽を生成する
Text-to-Musicモデルである。
Text-to-Musicモデルである。
例えば、
「落ち着いたバイオリンと歪んだギターによる楽曲」
のように自然言語で音楽を指定できる。
24kHzの音声を数分間にわたって生成できるほか、
口笛やハミングなどのメロディーを入力し、
文章で指定した別ジャンルへ変換することも研究された。
口笛やハミングなどのメロディーを入力し、
文章で指定した別ジャンルへ変換することも研究された。
2023年5月にはAI Test Kitchenを通じて
一般ユーザーによる実験利用も開始された。
一般ユーザーによる実験利用も開始された。
後の「文章で音楽を作る」という生成AI文化を象徴する技術の一つ。
MusicGen / AudioCraft
Metaが2023年に公開した音楽・音声生成技術。
AudioCraftには、
- MusicGen:音楽生成
- AudioGen:環境音・効果音生成
- EnCodec:音声圧縮・復元
などが含まれる。
MusicGenは文章から音楽を生成でき、
さらにメロディーを条件として利用することも可能。
さらにメロディーを条件として利用することも可能。
MetaはMusicGenについて、
音楽家がアイデアを素早く試したり、
作曲の試作を行ったりするための
「新しい楽器」のような可能性を提示している。
音楽家がアイデアを素早く試したり、
作曲の試作を行ったりするための
「新しい楽器」のような可能性を提示している。
Suno
2020年代のAI音楽大衆化を象徴するサービスの一つ。
2023年にDiscordで音楽生成を開始し、
同年後半にはWebへ展開。
同年後半にはWebへ展開。
ユーザーが、
- 歌詞
- ジャンル
- 雰囲気
- 楽器
- テンポ
- ボーカルのイメージ
などを指定すると、
伴奏だけではなく歌唱を含めた楽曲全体を生成できる。
伴奏だけではなく歌唱を含めた楽曲全体を生成できる。
従来のAI作曲が研究者・プログラマー寄りだったのに対し、
Sunoでは一般ユーザーが文章だけで
「それっぽい完成曲」を作れるようになったことが大きい。
Sunoでは一般ユーザーが文章だけで
「それっぽい完成曲」を作れるようになったことが大きい。
Sunoの進化
Sunoは短期間でモデルを更新している。
| モデル | 時期 | 特徴 |
| V2 | 2023年秋 | 最大約1分20秒 |
| V3 | 2024年春 | 音質・ジャンル・指示理解などが改善 |
| V3.5 | 2024年夏 | 楽曲構成改善、初回最大4分 |
| V4 | 2024年11月 | ボーカル、歌詞、構成などを改善 |
| V4.5 | 2025年5月 | 初回最大8分、プロンプト追従性などを改善 |
| V4.5+ | 2025年7月 | ボーカル追加・インスト追加など制作機能を拡張 |
| V5 | 2025年9月 | 音質・ボーカル表現などをさらに強化 |
Udio
2024年4月に一般公開されたAI音楽生成サービス。
元Google DeepMind研究者らによって開発され、
Sunoと並ぶ代表的なText-to-Musicサービスとなった。
Sunoと並ぶ代表的なText-to-Musicサービスとなった。
文章や歌詞から音楽を生成できるだけでなく、
後には、
後には、
- Audio Inpainting
- Remix
- Audio-to-Audio
- Stem出力
- Key Control
など、
単なる「ガチャ的な一発生成」から
音楽制作ツールに近づく機能も追加された。
単なる「ガチャ的な一発生成」から
音楽制作ツールに近づく機能も追加された。
AI音楽はここから、
「完成曲をAIに全部作らせる」
だけでなく、
「完成曲をAIに全部作らせる」
だけでなく、
「人間が生成結果を編集する」
方向にも発展していく。
AI Lo-fi
生成AIと非常に相性の良いジャンルの一つ。
Lo-fi Hip Hopは、
- 繰り返しを主体とする
- BGM用途が多い
- ボーカルを必須としない
- 雰囲気や情景を文章で指定しやすい
といった特徴を持つ。
そのため、
「雨の夜の東京」
「宇宙船で勉強するLo-fi」
「秋の神社」
「深夜の研究所」
「宇宙船で勉強するLo-fi」
「秋の神社」
「深夜の研究所」
といった情景プロンプトから
大量のBGMを試作する用途とも相性が良い。
大量のBGMを試作する用途とも相性が良い。
AI歌詞
AI音楽では音だけでなく歌詞も生成できる。
ChatGPTなどの文章生成AIで歌詞を作成し、
それをSunoやUdioへ入力する方法のほか、
音楽生成サービス内部の歌詞生成機能を利用する方法も存在する。
それをSunoやUdioへ入力する方法のほか、
音楽生成サービス内部の歌詞生成機能を利用する方法も存在する。
AI歌詞には、
「朝の光」
「夜空」
「未来」
「夢」
「心」
「光の中」
「夜空」
「未来」
「夢」
「心」
「光の中」
など、抽象的で情景を作りやすい語彙が使われることも多く、
AI生成コンテンツ特有の文体としてネタにされる場合もある。
AI生成コンテンツ特有の文体としてネタにされる場合もある。
「朝の光の中で」については、
同名・類似タイトルが多数存在し得るため、
特定の代表的AI楽曲を指す場合は個別の出典確認が必要。
同名・類似タイトルが多数存在し得るため、
特定の代表的AI楽曲を指す場合は個別の出典確認が必要。
ネットミームとAI音楽
生成AI音楽の普及によって、
従来なら音MADや替え歌になっていたネットミームが、
「普通の楽曲のような完成度」で生成される現象が発生した。
従来なら音MADや替え歌になっていたネットミームが、
「普通の楽曲のような完成度」で生成される現象が発生した。
ここでは音楽的完成度そのもの以上に、
「なぜこの題材をこんな壮大な曲にしたのか」
というギャップが笑いとなる。
YAJU&U
2024年に登場した、
「真夏の夜の淫夢」関連のネットミームを題材とする楽曲。
「真夏の夜の淫夢」関連のネットミームを題材とする楽曲。
2024年5月25日にYouTube・ニコニコ動画へ投稿されたとする記録がある。
従来の淫夢系音楽では、
- 音MAD
- 人力VOCALOID
- 語録のリズム化
- 原曲への音声素材の組み込み
などが中心だった。
YAJU&Uでは、
AI音楽時代らしい「普通のポップソングとして成立しているのに
中身がインターネットミーム」という構造が強く表れた。
AI音楽時代らしい「普通のポップソングとして成立しているのに
中身がインターネットミーム」という構造が強く表れた。
その後もSuno上では
「YAJU&U」を題材とした多数の派生生成が確認でき、
2026年にはPhonk、Swing、Vocaloid、Hard Rockなどを混合した
「夢 × YAJU&U」のような派生例も登場している。
「YAJU&U」を題材とした多数の派生生成が確認でき、
2026年にはPhonk、Swing、Vocaloid、Hard Rockなどを混合した
「夢 × YAJU&U」のような派生例も登場している。
ガイガイ音頭
古くからネット上で使用されてきた
「ガイガイ音頭」系ミームもAI音楽生成の題材となった。
「ガイガイ音頭」系ミームもAI音楽生成の題材となった。
2026年4月にはSuno上で
「ガイガイ音頭」というタイトルの生成曲が複数確認できる。
「ガイガイ音頭」というタイトルの生成曲が複数確認できる。
ある生成例では
「日本の伝統的な民謡風」、
別の生成例では
「marching band / military march / comedy anthem」
などが指定されている。
「日本の伝統的な民謡風」、
別の生成例では
「marching band / military march / comedy anthem」
などが指定されている。
つまり同じネットミームの歌詞を、
盆踊り
↓
軍歌
↓
ロック
↓
EDM
↓
Lo-fi
↓
軍歌
↓
ロック
↓
EDM
↓
Lo-fi
などへ瞬時に変換できる。
これはAI音楽時代特有の
「ミームの無限ジャンル変換」といえる。
「ミームの無限ジャンル変換」といえる。
INMU KING / YAJU-MC
2026年8月10日の「野獣の日」に公開されたAIミュージックビデオ。
YAJU-MC名義で、
野獣先輩を「INMU KING」として描く。
野獣先輩を「INMU KING」として描く。
特徴はAI音楽だけではなく、
生成AIによる映像表現まで組み合わされている点。
生成AIによる映像表現まで組み合わされている点。
従来の淫夢MADでは
既存映像を切り抜いて加工する必要があった。
既存映像を切り抜いて加工する必要があった。
一方、生成AIでは、
「存在しなかったライブ」
「存在しなかったダンス」
「存在しなかった豪華MV」
「存在しなかったダンス」
「存在しなかった豪華MV」
そのものを映像として生成できる。
そのためINMU KINGは、
ネットミーム系AI創作が
ネットミーム系AI創作が
AI楽曲
↓
AIジャケット
↓
AI映像
↓
AIミュージックビデオ
↓
AIジャケット
↓
AI映像
↓
AIミュージックビデオ
へ発展した例として見ることができる。
音MADとの違い
従来の音MADは、
既存の音声素材を切断・加工・再配置して音楽化する文化であった。
既存の音声素材を切断・加工・再配置して音楽化する文化であった。
AI音楽では、
語録や文章を「歌詞」として入力するだけで、
AIが新しい歌声・メロディー・伴奏を生成できる。
語録や文章を「歌詞」として入力するだけで、
AIが新しい歌声・メロディー・伴奏を生成できる。
| 従来の音MAD | AI音楽 |
| 素材を切り貼りする | 新しい音声そのものを生成する |
| 原曲が存在する場合が多い | 原曲なしでも生成可能 |
| 編集技術が重要 | プロンプトと選別が重要 |
| 素材の声そのものを利用 | 生成された歌声を利用できる |
| 制作時間が比較的長い | 大量の候補を短時間で生成可能 |
ただし両者は対立するものではなく、
AI生成曲をさらにDAWや動画編集ソフトで加工する
ハイブリッド制作も可能である。
AI生成曲をさらにDAWや動画編集ソフトで加工する
ハイブリッド制作も可能である。
AI音楽とDAW
AI音楽の登場によってDAWが不要になったわけではない。
生成した曲を、
- 切る
- 繋ぐ
- EQを調整する
- 音量を調整する
- エフェクトを加える
- 他の楽器を追加する
- サンプリングする
- リミックスする
場合には従来のDAWが利用できる。
そのため将来的には、
人間が作曲
↓
AIで案を生成
↓
人間が選択
↓
DAWで編集
↓
AIで追加生成
↓
人間が完成
↓
AIで案を生成
↓
人間が選択
↓
DAWで編集
↓
AIで追加生成
↓
人間が完成
という制作工程が一般化する可能性もある。
AI音楽の特徴
生成速度
最大の特徴。
従来なら作曲・編曲・録音・歌唱が必要だったものを、
短時間で試作できる。
短時間で試作できる。
そのため完成曲を一発で得るだけでなく、
「100案生成して1案だけ採用する」
という制作方法も可能になった。
「100案生成して1案だけ採用する」
という制作方法も可能になった。
ジャンル変換
同一の歌詞でも、
- J-POP
- K-POP
- 演歌
- 民謡
- Metal
- EDM
- Phonk
- Jazz
- Lo-fi
- アニソン
などへ変換できる。
ネットミームとの相性が非常に高い理由でもある。
AIガチャ
生成結果にはランダム性があるため、
ユーザーが何度も生成を繰り返し、
偶然出来た良曲を探す行為も一般化した。
ユーザーが何度も生成を繰り返し、
偶然出来た良曲を探す行為も一般化した。
ゲームのガチャになぞらえて
「AIガチャ」のように扱われることもある。
「AIガチャ」のように扱われることもある。
一方、UdioのInpaintingなど、
気に入らない部分だけを生成し直す技術も登場し、
徐々に制作側の制御能力も増している。
気に入らない部分だけを生成し直す技術も登場し、
徐々に制作側の制御能力も増している。
2026年のAI音楽
2026年時点では、
AI音楽はもはや研究デモだけの存在ではない。
AI音楽はもはや研究デモだけの存在ではない。
「文章を入力すると音が鳴る」
↓
「一曲生成できる」
↓
「歌詞を歌える」
↓
「長尺化する」
↓
「既存音源を編集できる」
↓
「ネットミームが楽曲化する」
↓
「AI映像と組み合わされMVになる」
↓
「一曲生成できる」
↓
「歌詞を歌える」
↓
「長尺化する」
↓
「既存音源を編集できる」
↓
「ネットミームが楽曲化する」
↓
「AI映像と組み合わされMVになる」
という段階まで進んでいる。
YAJU&UやINMU KINGのような作品は、
この技術が企業のデモではなく
インターネット文化そのものへ流入したことを象徴する例ともいえる。
この技術が企業のデモではなく
インターネット文化そのものへ流入したことを象徴する例ともいえる。
今後
AI音楽は今後、
- DAWとの統合
- Stem単位での生成
- ボーカルだけの生成
- 楽器単位の生成
- リアルタイムBGM
- ゲーム状況に応じた自動作曲
- VRChatなどメタバース内での動的BGM
- AIキャラクター自身による歌唱
- 個人の作風に合わせた作曲補助
などへ発展する可能性がある。
特にゲームやメタバースでは、
「同じBGMを再生する」のではなく、
「同じBGMを再生する」のではなく、
場所
時間
天候
プレイヤー
イベント
時間
天候
プレイヤー
イベント
などに合わせてAIがリアルタイムで音楽を変化させる
「生成型サウンドトラック」も考えられる。
「生成型サウンドトラック」も考えられる。
番外編:生成AI以前のネット自動作曲文化
現在のSunoやUdioが登場する以前にも、
「コンピュータに曲を作らせ、それをネットミームとして遊ぶ」
文化は存在していた。
「コンピュータに曲を作らせ、それをネットミームとして遊ぶ」
文化は存在していた。
日本における特に特徴的な例が、
自動作曲システム「Orpheus」と、
2010年代のネット文化から生まれた「パカソン」である。
自動作曲システム「Orpheus」と、
2010年代のネット文化から生まれた「パカソン」である。
これらは現在主流のニューラルネットワーク型生成AIとは
技術的に異なるものの、
技術的に異なるものの、
「文章を入力する」
↓
「コンピュータが作曲する」
↓
「合成音声が歌う」
↓
「ネットユーザーが大量に生成する」
↓
「ネットミームとして共有・アレンジされる」
↓
「コンピュータが作曲する」
↓
「合成音声が歌う」
↓
「ネットユーザーが大量に生成する」
↓
「ネットミームとして共有・アレンジされる」
という文化的な流れにおいて、
後のSunoなどによるAIミーム音楽を先取りした存在ともいえる。
後のSunoなどによるAIミーム音楽を先取りした存在ともいえる。
Orpheus
Orpheus(オルフェウス)は、
日本語の歌詞から楽曲を自動生成する自動作曲システム。
日本語の歌詞から楽曲を自動生成する自動作曲システム。
東京大学大学院情報理工学系研究科の
嵯峨山茂樹らによって研究開発された。
嵯峨山茂樹らによって研究開発された。
研究開発は2006年10月に開始され、
2000年代後半にはWeb上で一般ユーザーが利用できるようになった。
2000年代後半にはWeb上で一般ユーザーが利用できるようになった。
ユーザーが日本語の歌詞を入力すると、
システムが歌詞の韻律などを解析し、
システムが歌詞の韻律などを解析し、
- 旋律
- リズム
- 和声進行
- 伴奏
- 楽器構成
- 合成歌唱
などを組み合わせて楽曲を生成する。
2010年に発表された論文では、
Web公開から約2年間ですでに約8万7000曲が生成されていたと報告されている。
Web公開から約2年間ですでに約8万7000曲が生成されていたと報告されている。
2011年12月29日にはVer.3が公開。
その後も長期間にわたって開発が継続されている。
その後も長期間にわたって開発が継続されている。
OrpheusはSunoなのか?
似ている部分はあるが、技術的には大きく異なる。
Sunoなどの現代的な生成AIは、
大規模な機械学習モデルによって
音声そのものを生成する方式を中心としている。
大規模な機械学習モデルによって
音声そのものを生成する方式を中心としている。
一方のOrpheusは、
日本語歌詞の韻律解析や確率的旋律モデル、
和声・リズムなどの音楽的ルールを組み合わせて
楽曲を構築する自動作曲システムである。
日本語歌詞の韻律解析や確率的旋律モデル、
和声・リズムなどの音楽的ルールを組み合わせて
楽曲を構築する自動作曲システムである。
したがって、
Orpheus
=「音楽理論・確率モデルなどを利用する自動作曲機」
=「音楽理論・確率モデルなどを利用する自動作曲機」
Suno
=「プロンプトなどから完成音源を生成する現代的生成AI」
=「プロンプトなどから完成音源を生成する現代的生成AI」
と考えると分かりやすい。
しかしユーザーから見ると、
「文章を入力したら勝手に歌になった」
という体験はかなり共通している。
パカソン
パカソンとは、
主としてハセカラ・恒心関連のネットミームを題材とした楽曲群の呼称。
主としてハセカラ・恒心関連のネットミームを題材とした楽曲群の呼称。
当初は既存曲の歌詞を書き換えた替え歌なども含まれていたが、
OrpheusがなんJなどで知られるようになると、
Orpheusによる自動作曲作品が大量に制作されるようになった。
OrpheusがなんJなどで知られるようになると、
Orpheusによる自動作曲作品が大量に制作されるようになった。
2012年10月14日には、
「尊師のツイートを歌詞にして作曲してみた」
という趣旨のなんJスレッドが立てられたことが記録されており、
これがOrpheusを利用したパカソン文化の初期例として知られている。
これがOrpheusを利用したパカソン文化の初期例として知られている。
ユーザーはネット上の文章やネタを歌詞として入力し、
Orpheusに自動作曲させた。
Orpheusに自動作曲させた。
その結果、本来は大学の音楽情報処理研究として開発されたシステムが、
ネットユーザーによって大量のミームソングを生成する
「ネット文化の楽器」として利用されることとなった。
ネットユーザーによって大量のミームソングを生成する
「ネット文化の楽器」として利用されることとなった。
パカソンの発展
Orpheusで生成された曲は、
単にそのまま聴かれるだけではなかった。
単にそのまま聴かれるだけではなかった。
人気曲がまとめられてアルバム化されたり、
VOCALOID・UTAU・NEUTRINOなどによって歌唱を作り直した
カバー作品も制作された。
VOCALOID・UTAU・NEUTRINOなどによって歌唱を作り直した
カバー作品も制作された。
さらに人間によるアレンジや新規作曲へも発展し、
「自動作曲されたネタ曲」が
独自の音楽文化へ成長していった。
「自動作曲されたネタ曲」が
独自の音楽文化へ成長していった。
つまり、
Orpheus生成
↓
ネット上で共有
↓
人気曲が発生
↓
アルバム化
↓
人間によるアレンジ
↓
別の歌声合成技術でカバー
↓
ネット上で共有
↓
人気曲が発生
↓
アルバム化
↓
人間によるアレンジ
↓
別の歌声合成技術でカバー
という二次創作の循環が、
すでに2010年代に形成されていた。
すでに2010年代に形成されていた。
Suno時代との類似
パカソン文化は、
2020年代のAIミームソング文化と比較すると興味深い。
2020年代のAIミームソング文化と比較すると興味深い。
| 2010年代 | 2020年代 |
| Orpheus | Suno / Udio |
| 日本語歌詞を入力 | 自然言語・歌詞を入力 |
| 旋律・伴奏を自動構成 | 完成音源を生成 |
| 合成歌唱 | AIボーカル |
| なんJなどで拡散 | SNS・YouTube・ニコニコなどで拡散 |
| パカソン | AIミームソング |
| 人力アレンジ・VOCALOIDカバー | Remix・AI MV・AI動画 |
特に共通しているのが、
「高度な音楽技術を、ネット民がネタに転用する」
という現象である。
AIミーム音楽の系譜
日本のネット文化に限定して単純化すると、
Orpheus
↓
パカソン
↓
VOCALOID・UTAU等による再アレンジ
↓
Sunoなどの生成AI音楽
↓
YAJU&U
↓
ガイガイ音頭AI化
↓
INMU KING / YAJU-MC
↓
パカソン
↓
VOCALOID・UTAU等による再アレンジ
↓
Sunoなどの生成AI音楽
↓
YAJU&U
↓
ガイガイ音頭AI化
↓
INMU KING / YAJU-MC
という系譜として見ることもできる。
もちろん各文化に直接的な技術的継承関係が
存在するという意味ではない。
存在するという意味ではない。
しかし、
「ネットミームをコンピュータに歌わせる」
という遊びそのものは、
生成AIブームよりはるか以前から日本のネット文化に存在していた。
生成AIブームよりはるか以前から日本のネット文化に存在していた。
現代から見るOrpheus
Orpheusの存在が興味深いのは、
生成AIブーム以前から、
生成AIブーム以前から、
「歌詞を書く」
↓
「コンピュータが曲を付ける」
↓
「コンピュータが歌う」
↓
「コンピュータが曲を付ける」
↓
「コンピュータが歌う」
という体験を一般ユーザーへ提供していた点である。
現在のAI音楽では、
さらに音色・歌声・ミックスを含む完成音源そのものを
生成できるようになった。
さらに音色・歌声・ミックスを含む完成音源そのものを
生成できるようになった。
その意味でOrpheusからSunoまでの変化は、
「自動作曲」
から
「自動音楽制作」
から
「自動音楽制作」
への発展とも表現できる。









