水(みず)
概要
水とは、水素原子2個と酸素原子1個から構成される化学式H2Oの物質である。
地球上では海、川、湖、地下水、氷河、雪、雲、水蒸気などさまざまな状態で存在し、地球の気候、生態系、人間社会を成立させる基本的な物質の一つとなっている。
人間を含む生物にとっても水は重要であり、体内では物質の輸送、体温調節、生化学反応などに関わっている。
一方、水は単なる化学物質としてだけではなく、人類の文化史において非常に大きな意味を与えられてきた。
古代文明は大河川や水源の周辺で発達し、農業では灌漑、都市では井戸・水路・水道、航海では川や海が交通路として利用された。
宗教・民俗では、
- 浄化
- 再生
- 生命
- 死
- 境界
- 神聖
- 癒やし
などの象徴として水が繰り返し登場する。
キリスト教では水を使用する洗礼(バプテスマ)が重要な儀礼となっており、日本の神道では禊によって水で身体を清める。
世界各地にも沐浴、聖泉、聖なる川など、水に宗教的意味を与える文化が存在する。
オカルトやニューエイジの分野では「水は記憶する」「水は人間の意識や言葉を記録する」といった説が語られることもある。
ただし、宗教・民俗における象徴としての「水が記憶を宿す」という考えと、物理化学的に水そのものが情報を長期間保存するという科学的主張は別のものである。
1988年にはジャック・バンヴェニストらによる高希釈実験をきっかけとして「水の記憶(Water Memory)」が大きな論争になったが、その効果は独立した再現実験や盲検試験で確認されておらず、現在の科学で確立した現象ではない。
ゲーム、アニメ、漫画などのフィクションでも水は非常によく使われる。
単なる背景ではなく、
泳ぐ場所
潜水する場所
移動を妨げる地形
炎を消すもの
氷へ変化するもの
生命を回復させるもの
神聖なもの
未知の世界への入口
など、多くの役割を与えられている。
現実の生命、文明、宗教、オカルト、フィクションのすべてに登場するほど、水は人間にとって身近でありながら非常に多面的な存在である。
- 水(みず)
- 水とは
- 水の三態
- 水循環
- 海
- 淡水
- 生命と水
- 人体と水
- 水と食事
- 水の歴史
- 先史時代と水
- 農耕と水
- 文明と河川
- 古代エジプトとナイル川
- メソポタミアと灌漑
- 井戸
- 古代ローマと水道
- 公衆浴場
- 中世の水
- 近代水道
- 浄水
- 下水道
- 海水淡水化
- 水と文化
- 水と浄化
- キリスト教と水
- バプテスマ
- 洗礼者ヨハネ
- 水に沈むことと再生
- 幼児洗礼と成人洗礼
- 聖水
- 日本神話と水
- 禊
- 水垢離
- 滝行
- 手水
- ヒンドゥー教と水
- イスラム教と水
- ユダヤ教と水
- 聖なる泉
- 水とオカルト
- 「水は記憶する」という考え
- 水の記憶
- バンヴェニスト事件
- ホメオパシーと水の記憶
- 江本勝と水の結晶
- オカルトとしての「水の記憶」
- 水と霊
- 井戸と怪談
- 川と境界
- 水と死
- 洪水神話
- 水と四大元素
- 魔術と水
- フィクションと水
- ゲームにおける水
- 水中ステージ
- スーパーマリオと水
- ゼルダの伝説と水
- 水の神殿
- ゼルダと泳ぎ
- Minecraftと水
- Minecraftのボート
- ポケットモンスターと水
- 水属性
- 水と回復
- 回復の泉
- 水とホラーゲーム
- 深海
- 水没世界
- 水とSF
- 水と宇宙
- 水が怖い理由
- 水が美しい理由
- 雨
- 霧
- 雪と氷
- 炎と水
- 「水は記憶する」をフィクションへ使う
- 水と記憶というモチーフ
- 水と人類
- 宗教からゲームまで
- 検索されやすい関連キーワード
- まとめ
- 関連項目
- 参考・外部リンク
水とは
水は化学式H2Oで表される化合物である。
一つの水分子は、
水素原子2個
+
酸素原子1個
から構成されている。
常温・常圧付近では液体として存在するが、温度や圧力によって、
固体
→ 氷
→ 氷
液体
→ 水
→ 水
気体
→ 水蒸気
→ 水蒸気
へ状態を変える。
日常生活ではあまりに身近なため単純な物質に思えるが、水には他の物質と比較して特徴的な性質が多数存在する。
水の三態
水は地球上で固体・液体・気体の三つの状態を見ることができる。
氷
↓
融解
↓
液体の水
↓
蒸発
↓
水蒸気
という変化を繰り返す。
逆方向では、
水蒸気
↓
凝結
↓
水
↓
凝固
↓
氷
となる。
この性質は地球規模の水循環にも関係している。
水循環
地球上の水は同じ場所へ固定されているわけではない。
海や湖などから水が蒸発する。
↓
大気中で雲になる。
↓
雨や雪として地表へ戻る。
↓
川や地下水として移動する。
↓
再び海へ流れる。
この循環を水循環という。
人間が今日飲んでいる水も、地球規模では長期間にわたって形や場所を変えながら循環してきた水の一部である。
海
地球表面の大部分は海洋で覆われている。
しかし海水には多量の塩類が含まれているため、そのまま一般的な飲料水として利用することはできない。
人間が直接利用しやすい淡水は、川、湖、地下水などに存在する。
そのため地球が「水の惑星」に見えても、人間が容易に利用できる水には限りがある。
淡水
淡水は塩分濃度の低い水。
主に、
- 川
- 湖
- 地下水
- 氷河
- 積雪
などに存在する。
人間の生活では、
- 飲料
- 農業
- 料理
- 衛生
- 工業
などに使用される。
生命と水
地球上の生命活動では水が非常に重要である。
細胞内部では多くの化学反応が水を含む環境で行われる。
水は、
- 栄養物質の輸送
- 老廃物の排出
- 体温調節
- 化学反応
- 細胞環境の維持
などに関わる。
そのため地球外生命を探索する際にも「液体の水が存在できるか」が重要な条件として調査されることがある。
人体と水
人体にも大量の水が含まれている。
血液、細胞、筋肉、臓器などの働きに水は欠かせない。
汗による体温調節にも利用される。
水分を長時間摂取できない状態になると脱水が進み、身体機能へ大きな影響が生じる。
水と食事
人間は飲料だけでなく食べ物からも水を摂取している。
野菜
果物
米
肉
魚
スープ
などにも水分が含まれる。
また水は料理そのものにも利用される。
- 煮る
- 茹でる
- 蒸す
- 炊く
- だしを取る
- 飲み物を作る
など、料理文化と水は切り離せない。
水の歴史
水そのものの歴史は人類よりはるかに古い。
地球形成後の長い過程で地球上に海洋が形成され、生命は水の存在する環境で進化してきた。
人類の歴史が始まってからも、水は生活する場所を決める最大級の条件だった。
人間は水を飲まなければ生きられず、農作物にも水が必要になる。
そのため古代の集落や都市は、
川
湖
泉
地下水
などを利用できる場所に形成されることが多かった。
先史時代と水
狩猟採集生活を送っていた人類にとっても、水源の確保は重要だった。
川や湖は飲料水だけでなく、
- 魚
- 水鳥
- 植物
- 動物が集まる場所
でもあった。
そのため水辺は食料を得る場所としても重要だった。
農耕と水
農耕が始まると、水の管理はさらに重要になった。
雨だけに頼る農業では降水量によって収穫量が大きく変化する。
そこで人間は川などから水を引き、
田畑へ水を供給する
「灌漑」
を発達させた。
水を人工的に管理できるようになることで、より大規模な農業が可能になった。
文明と河川
古代の大規模文明の多くは大河川と深い関係を持つ。
代表例として、
メソポタミア
→ チグリス川・ユーフラテス川
→ チグリス川・ユーフラテス川
古代エジプト
→ ナイル川
→ ナイル川
インダス文明
→ インダス川流域
→ インダス川流域
中国古代文明
→ 黄河・長江流域
→ 黄河・長江流域
などが挙げられる。
河川は、
- 飲料水
- 農業用水
- 漁業
- 交通
- 交易
を支えた。
一方で洪水も起こすため、人間は堤防、水路、灌漑施設などを発達させていった。
古代エジプトとナイル川
古代エジプト文明はナイル川と強く結び付いていた。
ナイル川の水と氾濫によって農業に適した土地が形成され、人々の生活を支えた。
川は物資や人を運ぶ交通路でもあった。
そのため水は単なる飲み物ではなく、文明全体を成立させる基盤だった。
メソポタミアと灌漑
メソポタミアではチグリス川とユーフラテス川の水を利用する灌漑農業が発達した。
水路を作って農地へ水を引くことで、人間は自然の降雨だけに頼らない農業を行えるようになった。
一方、水路の管理には多くの人間による共同作業が必要だった。
水を管理することは社会を管理することにもつながった。
井戸
河川から離れた地域では地下水を得るため井戸が作られた。
井戸を掘れば地下に蓄えられた水へアクセスできる。
これは集落の位置や都市の発達にも影響した。
井戸は現代でも世界各地で利用されている。
古代ローマと水道
古代ローマでは大規模な水道設備であるアクアダクト、水道橋が発達した。
遠方の水源から都市へ水を運び、
- 飲料
- 浴場
- 噴水
- 生活用水
などへ利用した。
ローマ最初の水道は紀元前312年に建設されたとされ、その後巨大都市ローマを支える複数の水道網が形成された。
水を「取りに行く」のではなく、
「都市へ運んでくる」
という発想が大規模な都市生活を支えた。
公衆浴場
古代ローマでは公衆浴場も重要な都市施設だった。
水は身体を洗うだけでなく、
- 交流
- 休憩
- 社交
の場を成立させた。
これは後世の温泉・浴場文化と比較しても興味深い。
中世の水
中世の都市でも井戸、泉、河川などが生活用水として使われた。
一方、人口の集中した都市では水の汚染が問題になることもあった。
飲料水の確保と排水は、都市が大きくなるほど重要になる。
近代水道
近代になると人口の都市集中が急速に進んだ。
そこで、
水源
↓
浄水
↓
水道管
↓
家庭
という近代的な給水システムが整備されていった。
安全な飲料水を都市へ大量に供給することは、公衆衛生を大きく変えた。
浄水
自然界の水には、
- 土砂
- 微生物
- 有機物
- さまざまな溶解物
が含まれる場合がある。
そのため都市水道では水を浄化してから供給する。
現代の浄水では、
沈殿
ろ過
消毒
など複数の方法が組み合わされる。
下水道
水を供給するだけでは都市は成立しない。
使用済みの水を処理する下水道も重要である。
生活排水を適切に処理しなければ、河川や地下水を汚染する原因になる。
近代都市では、
上水道
+
下水道
が一つの巨大な水循環システムを形成している。
海水淡水化
水の少ない地域では海水を淡水へ変換する「海水淡水化」も利用される。
代表的な方法には、
- 蒸留
- 逆浸透膜
などがある。
海水そのものは豊富に存在するため、淡水化技術は乾燥地域などで重要な水源となっている。
水と文化
水はあらゆる文明で実用的に使われただけではない。
水には、
生命を生む
↓
汚れを洗い流す
↓
乾いた土地を蘇らせる
↓
人間を飲み込む
という相反する性質がある。
そのため世界各地の神話・宗教では、
- 生命
- 浄化
- 再生
- 死
- 混沌
- 境界
などを象徴するものとして扱われてきた。
水と浄化
水は現実に汚れを洗い流す。
その分かりやすい物理的作用から、多くの文化で精神的・宗教的な「汚れ」も水によって洗い流せると考えられるようになった。
身体を洗うことと、
心や魂を清めること
が重ねられたのである。
キリスト教と水
キリスト教において水を使う代表的な儀礼が、
「洗礼」
である。
英語ではBaptism。
日本語ではバプテスマとも呼ばれる。
キリスト教への加入、新しい生命、罪からの清め、キリストとの結び付きなどを象徴する重要な儀礼である。
バプテスマ
バプテスマでは水が使用される。
方法は教派によって異なる。
代表的には、
- 身体全体を水へ沈める
- 頭へ水を注ぐ
- 水を振りかける
などがある。
水そのものを単なる洗浄液として使っているのではなく、宗教的な意味を持つ象徴として用いる。
洗礼者ヨハネ
新約聖書では洗礼者ヨハネがヨルダン川で人々へ洗礼を行う。
イエス自身もヨハネから洗礼を受けたと記されている。
そのため水による洗礼は初期キリスト教から非常に重要な儀礼となった。
水に沈むことと再生
特に全身を水へ沈める洗礼では、
水の中へ沈む
↓
以前の自分が死ぬ
↓
水から上がる
↓
新しい生命として生まれる
という象徴的解釈がされる。
そのため水は、
「死」
と
「再生」
を同時に表す。
幼児洗礼と成人洗礼
キリスト教の教派によって洗礼に対する考え方は異なる。
幼児へ洗礼を行う教派もあれば、本人が信仰を表明できる年齢になってから洗礼する教派もある。
水の使用方法も、
浸水
注水
滴礼
などさまざまである。
聖水
キリスト教文化では祝福された水を「聖水」と呼ぶ場合がある。
教会への入場、祝福、宗教儀礼などで使用される。
フィクションではしばしば、
悪魔
吸血鬼
アンデッド
への対抗手段として非常に強く誇張されて描かれる。
この「聖水=邪悪を退ける」というゲーム的表現も、宗教における浄化のイメージを元にしている。
日本神話と水
日本でも水は浄化と深く結び付く。
『古事記』『日本書紀』では、黄泉の国から戻ったイザナギが身についた穢れを落とすため禊を行う物語が知られている。
ここから水によって身を清める「禊」という考えが神道文化で重要になった。
禊
禊(みそぎ)とは、川、海、滝などの水を利用して身体を清める宗教的行為。
神道では、
罪
穢れ
災厄
などを払い、心身を清浄な状態へ戻す意味を持つ。
現在でも水へ入る禊や滝を利用した禊が行われている。
水垢離
水垢離(みずごり)は、冷水を浴びるなどして心身を清める行為。
宗教的な祈願や修行の前に行われることがある。
水で身体を洗うという行為が、
日常的な洗浄
から
宗教的浄化
へ変化した例である。
滝行
滝行では滝の下へ入り、水を身体で受ける。
修験道、神道、仏教系修行などさまざまな文脈で行われる。
冷たい水に打たれる厳しい行為であるため、
修行
精神集中
清め
などと結び付けられる。
手水
神社へ参拝するとき、手水舎で手や口を清める作法がある。
これも神前へ進む前に水によって自分を清めるという考えに関係している。
大規模な禊を日常の参拝へ簡略化したものとして見ることもできる。
ヒンドゥー教と水
ヒンドゥー教ではガンジス川が特に神聖な川として扱われる。
沐浴などを通じて宗教的な清めを行う文化が存在する。
川そのものが神聖な存在として理解される点が特徴である。
イスラム教と水
イスラム教では礼拝前に身体の一部を水で洗うウドゥーと呼ばれる清めを行う。
手、顔、腕、足などを洗い、礼拝へ向かう。
ここでも、
水
↓
身体を清める
↓
宗教行為へ入る
という構造が見られる。
ユダヤ教と水
ユダヤ教にもミクヴェと呼ばれる儀礼的な浴槽が存在する。
水へ身体を浸すことによって宗教的な清めを行う。
キリスト教の洗礼を考える際にも、古代ユダヤ社会に存在した水による清めの文化は重要な背景の一つとなる。
聖なる泉
世界各地には、
「この泉の水には特別な力がある」
「病気を癒やす」
「神が宿る」
と伝えられる水源が存在する。
宗教的巡礼地に泉が存在する例も多い。
水が地中から自然に湧き出すという現象そのものが、昔の人々にとって神秘的に見えたことも考えられる。
水とオカルト
水はオカルト、民間信仰、ニューエイジ、怪談などでも非常によく登場する。
代表的な考え方として、
「水は記憶する」
「水が人の感情を受け取る」
「水は霊的な情報を運ぶ」
「水辺には霊が集まりやすい」
などが語られることがある。
ただし、これらはすべて同じ起源を持つ一つの理論ではない。
宗教的象徴、民間信仰、現代オカルト、疑似科学的な主張などが混在している。
「水は記憶する」という考え
「水が記憶を持つ」という言い回しには少なくとも二種類ある。
一つは、
「川や海は過去の出来事を見てきた」
「水には土地の記憶が宿る」
という詩的・宗教的・オカルト的な表現。
もう一つは、
「水分子がかつて接触した物質や情報を物理的に記憶する」
という科学的な主張。
この二つは分けて考える必要がある。
水の記憶
科学史上「Water Memory」という言葉を有名にしたのが、フランスの免疫学者ジャック・バンヴェニストである。
1988年、バンヴェニストらは非常に高度に希釈された抗体溶液でも生物学的作用が残るとする研究を科学誌『Nature』へ発表した。
もし正しければ、
「元の物質がほぼ存在しなくなった後も水が何らかの情報を保持している」
可能性を示すことになるため、大きな論争になった。
バンヴェニスト事件
Natureは結果をそのまま確立された事実とは扱わず、追加検証を要求した。
その後、Nature編集長ジョン・マドックスらが研究室を訪れて再試験を行った。
実験者が試料の内容を知らない盲検条件にすると、当初報告された効果は再現されなかった。
その後も「水の記憶」は議論されたものの、再現可能な科学的現象として確立されていない。
現在では一般的な物理化学の理論として認められているものではない。
ホメオパシーと水の記憶
「水の記憶」という説はホメオパシーの説明にも利用されることがある。
ホメオパシーでは原物質を極端に希釈した製剤が使用される。
希釈を繰り返して元の分子が残らないほどになった場合、
「なぜ効果が存在するのか」
という問題が生じる。
その説明として水が元物質を記憶するという仮説が利用された。
しかし、そのような長期的な記憶効果は現在の科学では確認されていない。
江本勝と水の結晶
日本では江本勝による「水からの伝言」も広く知られた。
江本は、
肯定的な言葉
音楽
祈り
などを水へ与えると美しい氷結晶になり、
否定的な言葉を与えると形が乱れる
と主張した。
写真集や書籍を通じて非常に広く知られるようになった。
しかし実験方法の主観性、写真選択、再現性などに大きな問題が指摘されており、一般的な科学的事実として認められてはいない。
オカルトとしての「水の記憶」
一方、科学的証明とは別に、
「水が場所の記憶を持つ」
という発想は創作やオカルトの題材として非常に面白い。
例えば、
古い井戸が過去の出来事を覚えている。
川が死者の記憶を運ぶ。
雨が遠い場所の情報を持ってくる。
海へ触れることで過去を見る。
という物語を作ることができる。
これは科学理論ではなく、
神話
民俗
象徴
SF
ファンタジー
のアイデアとして扱うと分かりやすい。
水と霊
日本の怪談では、
井戸
池
川
湖
海
など、水辺が怪異の舞台になることが多い。
水は、
こちら側
と
向こう側
の境界として描かれることがある。
水面は鏡のように別の世界を映し、水中は人間がそのまま生活できない異界でもある。
この性質が怪談との相性を良くしている。
井戸と怪談
日本の怪談では井戸が象徴的に登場することがある。
井戸は地下へ深く伸び、
暗い
冷たい
底が見えない
水がある
という特徴を持つ。
そのため地下世界や死者の世界を連想させやすい。
現実には生活に必要な重要な水源だったため、人間の生活と怪異の両方に近い場所だった。
川と境界
神話や民間信仰では川が境界として扱われる例もある。
現実でも川は地理的な境界になりやすい。
そこから、
現世と異界
生者と死者
こちら側と向こう側
を分ける象徴として使われる。
水と死
水は生命に必要な一方、人間を溺れさせる力も持つ。
洪水
津波
海難
溺水
など、水は巨大な災害にもなる。
この、
「生命を与えるもの」
でありながら、
「生命を奪うもの」
でもあるという二面性が、水を神話的・宗教的に強い存在にしている。
洪水神話
世界各地の神話には巨大な洪水が登場する。
大量の水によって古い世界が破壊され、その後新しい世界が始まるという物語もある。
ここでは水が、
破壊
↓
浄化
↓
再生
という役割を同時に持つ。
水と四大元素
西洋の古典的な四元素思想では、
- 火
- 空気
- 水
- 土
が世界を構成する基本元素と考えられた。
現代化学の「元素」とは意味が異なる。
後世の西洋魔術やオカルトでは、水が、
感情
直感
無意識
夢
などと対応付けられる場合がある。
魔術と水
ファンタジーや現代オカルトでは水が魔術的な元素として扱われる。
代表的には、
- 水を操る
- 氷へ変化させる
- 霧を作る
- 傷を癒やす
- 毒を洗い流す
- 未来を見る水鏡
- 聖水
など。
現実の水の性質と宗教的イメージが混ざって発展した表現である。
フィクションと水
水はゲーム、漫画、アニメ、映画で非常によく利用される。
背景として海や川を描くだけではない。
ゲームでは水そのものをルールへ組み込むことができる。
たとえば、
水へ入る
↓
移動速度が変わる。
潜る
↓
呼吸時間が発生する。
流れに入る
↓
キャラクターが流される。
炎へ水をかける
↓
火が消える。
寒冷地で水を冷やす
↓
氷になる。
というように、水は非常に多くのゲームシステムへ変換できる。
ゲームにおける水
ゲームにおける水には代表的に、
- 障害物
- 移動経路
- 探索空間
- パズル
- 属性
- 環境
- 回復
- 危険地帯
という役割がある。
初期のゲームでは技術的制約から水中が独立ステージとして扱われることも多かった。
3Dゲームになると水面、水中、浮力、流れなどを利用した複雑な表現が増えた。
水中ステージ
アクションゲームでは水中へ入ると操作方法が変わることがある。
地上では、
走る
ジャンプする
のに対し、水中では、
泳ぐ
上下へ移動する
息を管理する
という操作へ変化する。
同じキャラクターでも水へ入るだけでゲームルールを変えられる。
スーパーマリオと水
『スーパーマリオ』シリーズには古くから水中ステージが存在する。
水中ではマリオが泳ぎ、
地上とは異なる移動方法になる。
『スーパーマリオ オデッセイ』ではプクプクをキャプチャーすると水中を自由に移動でき、呼吸を気にせず探索できる。
水そのものがキャラクター能力を変える場所として利用されている。
ゼルダの伝説と水
『ゼルダの伝説』シリーズでも水は重要なゲーム要素。
湖
川
滝
海
水没遺跡
などが頻繁に登場する。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』には「水の神殿」があり、水位を変化させながら探索する構造が特徴となっている。
つまり水は背景ではなく、
「水位そのものが巨大なパズル装置」
になっている。
水の神殿
水の神殿では水位によって、
行ける場所
浮かぶ場所
沈む場所
が変化する。
水が多いか少ないかによってダンジョン構造そのものが変化する。
ゲームデザインで水を利用した代表的な例の一つである。
ゼルダと泳ぎ
シリーズによってリンクの水中能力も異なる。
泳げる距離に制限が存在する作品、
潜水できる作品、
特殊な装備によって水中を自由に移動できる作品
などが存在する。
『ブレス オブ ザ ワイルド』でも川や湖を泳ぐことができ、水は移動経路であると同時にスタミナ管理が必要な地形となっている。
Minecraftと水
『Minecraft』では水が非常に多くのシステムに関係する。
海や川として自然生成されるだけでなく、
- 泳ぐ
- ボートで移動する
- 水中を探索する
- 水流を利用する
- 農業へ利用する
- 建築へ利用する
など多数の用途がある。
2018年の「Update Aquatic」では海洋環境が大幅に拡張され、
魚
イルカ
サンゴ
海草
海底遺跡
沈没船
水中峡谷
などが追加された。
水中そのものが巨大な探索フィールドになった。
Minecraftのボート
Minecraftではボートを水上へ設置して高速に移動できる。
川や海が道路のような移動経路になる。
現実の人類史でも河川・海洋は重要な交通路だったため、ゲーム内でも似た役割を持っている点が面白い。
ポケットモンスターと水
『ポケットモンスター』シリーズには「みずタイプ」が存在する。
水を扱うポケモンや水辺に生息するポケモンなどが分類される代表的なタイプの一つ。
ゲームでは水が、
環境
だけでなく、
生物の属性
として扱われている。
水から、
魚
カメ
カエル
海獣
水棲怪物
などさまざまなキャラクターデザインを作ることができる。
水属性
RPGでは水が属性の一つになることが多い。
代表的な関係として、
水
↓
火に強い
というルールが使用される。
作品によっては、
水
↓
氷
水
↓
回復
水
↓
雷に弱い
など独自の関係を持つ。
現実の水の特徴を単純化してゲームルールへ変換したものである。
水と回復
水は生命維持に必要であり、宗教では浄化を象徴する。
そのためゲームでは、
「水=回復」
という表現がよく使われる。
泉へ入るとHPが回復する。
聖なる泉の水を飲むと状態異常が治る。
水属性魔法で仲間を治療する。
といった表現である。
回復の泉
RPGやファンタジーでは、
「不思議な泉」
が頻繁に登場する。
現実世界の聖泉信仰や、水が生命を支えるというイメージとも非常に相性が良い。
水へ入るだけで、
傷が消える
体力が戻る
魔力が回復する
というゲーム的な表現に変換される。
水とホラーゲーム
ホラーゲームでも水は非常に使いやすい。
暗い水中では遠くが見えない。
泳いでいる間は動きが遅くなる。
水面の下に何がいるのか分からない。
深さが分からない。
人間は水中で自由に呼吸できない。
このため、
海
湖
水没施設
下水道
などは恐怖を作りやすい舞台になる。
深海
深海は現実でも人間がそのまま生存できない環境。
光が届かず、高い水圧が存在する。
そのためSF・ホラーでは、
未知生物
古代文明
異世界
巨大生物
などが存在する場所として描かれることが多い。
水没世界
フィクションでは地球や都市が水没した世界も描かれる。
水位が上昇して、
ビルの上部だけが海から出ている。
道路が海底に沈んでいる。
人間が船で都市間を移動する。
といった世界を作ることができる。
水は景色そのものを完全に変える力を持つ。
水とSF
SFでは水が、
「生命が存在する証拠」
として使用されることも多い。
未知惑星で液体の水を発見する。
↓
生命がいる可能性を考える。
↓
海中探査を始める。
という展開である。
海洋惑星そのものを舞台にしたSFも存在する。
水と宇宙
地球以外でも水は宇宙探査の重要な研究対象。
惑星、準惑星、衛星、彗星などで、
水蒸気
氷
地下海
などが調査されている。
そのため水は、
地球の身近な飲み物
でありながら、
宇宙生命探査
にもつながる物質である。
水が怖い理由
人間に必要不可欠な水だが、多すぎれば危険になる。
少なすぎる
→ 乾燥・渇水
→ 乾燥・渇水
多すぎる
→ 洪水・津波
→ 洪水・津波
深すぎる
→ 水圧
→ 水圧
水中に長時間いる
→ 呼吸できない
→ 呼吸できない
という極端な性質を持つ。
「必要なのに危険」という二面性が、水を神話やフィクションで非常に使いやすい存在にしている。
水が美しい理由
反対に水は美しい景色を作る。
- 海
- 湖
- 滝
- 雨
- 雪
- 氷
- 霧
- 雲
- 水面の反射
はすべて水の異なる姿。
光、温度、風、地形によって姿を変えるため、写真、絵画、映画、ゲーム、VR空間などでも重要な景観要素となる。
雨
雨は大気中の水が地表へ戻る現象。
農業や生態系を支える一方、大雨になれば洪水や土砂災害を起こす。
創作では、
悲しい場面
静かな場面
恋愛
ホラー
終末
など幅広い演出へ利用される。
霧
霧は地表付近に細かな水滴が浮かんだ状態。
遠くを見えなくするため、現実でも視界を大きく制限する。
フィクションでは、
幻想
異界
ホラー
未知
を演出するためによく使われる。
雪と氷
水が凍れば氷になる。
雪も水が固体になったもの。
そのため「水属性」と「氷属性」を同じ系統として扱う作品も多い。
一方でゲームによっては、
水
と
氷
を完全に別属性として扱う。
炎と水
水は現実に消火へ利用されるため、
火
対
水
という関係は非常に理解しやすい。
ゲーム、アニメ、漫画でも、
炎使い
対
水使い
という対立が頻繁に描かれる。
四元素的な属性システムとの相性も良い。
「水は記憶する」をフィクションへ使う
オカルト的な「水は記憶する」という考えは、科学的事実として扱わなくても創作設定として非常に使いやすい。
たとえば、
雨粒に過去の記録が残る。
海が地球の歴史を保存している。
古い井戸へ触れると過去の光景が見える。
人間の涙から記憶を読み取る。
氷河に古代文明の記憶が保存されている。
惑星全体の海が巨大な記憶装置になっている。
というSF・ファンタジーを作ることができる。
水と記憶というモチーフ
現実の水分子が人間の記憶のような情報を永久保存することは確認されていない。
しかし文化的には、
水は流れ続ける。
水は場所から場所へ移動する。
水は生命の身体を通過する。
水は非常に古くから地球上に存在する。
という性質がある。
そこから、
「この水は過去を知っているのではないか」
という想像が生まれる。
科学とは別に、物語や思想として非常に強いモチーフである。
水と人類
人類史を水という視点から見ると、
水源を探す
↓
川沿いへ住む
↓
農業のため水路を作る
↓
井戸を掘る
↓
都市へ水道を引く
↓
下水を処理する
↓
海水を淡水化する
という長い歴史になる。
文明の歴史は「水をどう確保し、どう運び、どう使い、どう戻すか」の歴史でもある。
宗教からゲームまで
水がこれほど多くの文化で登場する理由は単純である。
すべての人間が水を知っているからである。
飲めば生きられる。
洗えばきれいになる。
川は流れる。
海は巨大。
雨は空から降る。
水へ沈めば呼吸できない。
凍れば氷になる。
こうした体験をほぼすべての人が理解できる。
そのため宗教でもゲームでも、
「水」
という一語だけで非常に多くの意味を伝えることができる。
検索されやすい関連キーワード
- 水
- 水とは
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- 聖水
- バプテスマ 水
- 洗礼 水
- キリスト教 水
- 禊 水
- 水垢離
- 滝行
- 神道 水
- ガンジス川 沐浴
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- Minecraft 水
- マイクラ 水
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- ゼルダ 水
- マリオ 水中
- ポケモン みずタイプ
- ゲーム 回復の泉
- ホラー 水
- 深海 ホラー
- 水 SF
- 海洋惑星
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まとめ
水はH2Oという非常に単純な化学式で表される。
しかし人類から見れば、決して単純な物質ではない。
生命に必要。
農業に必要。
都市に必要。
料理に必要。
身体を洗う。
火を消す。
船を浮かべる。
雨になる。
雪になる。
氷になる。
洪水を起こす。
人を溺れさせる。
文明を作る。
そして人間は、その物理的な性質へさらに宗教・神話・物語の意味を与えてきた。
キリスト教ではバプテスマに水を使用し、日本では禊によって水で穢れを清める。
世界各地にも沐浴、聖泉、聖なる川など、水を浄化や再生と結び付ける文化が存在する。
一方、現代オカルトやニューエイジでは、
「水は記憶する」
という考えも広く知られるようになった。
1988年のバンヴェニストによる高希釈実験は大きな論争を起こしたものの、盲検再試験では結果を再現できず、物理化学的な「水の記憶」は現在の科学で確立された現象ではない。
江本勝による水結晶と人間の言葉・意識を結び付ける主張についても、科学的な再現性や実験方法には大きな問題が指摘されている。
しかし、
「水が記憶を宿す」
という考え自体は、宗教・民俗・怪談・SF・ファンタジーでは非常に魅力的な題材である。
ゲームに目を移せば、水はさらに別の顔を持つ。
『スーパーマリオ』では水中ステージ。
『ゼルダの伝説』では泳ぎや水の神殿。
『Minecraft』では海洋探索、水流、ボート。
『ポケットモンスター』ではみずタイプ。
RPGでは回復の泉や水属性魔法。
ホラーでは暗い海、井戸、水没施設。
同じ「水」が、作品によって全く違うゲームルールになる。
科学。
生命。
歴史。
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神話。
オカルト。
ホラー。
ゲーム。
SF。
これらすべてを一つにつなげられるほど、水は人間の歴史と想像力に深く入り込んでいる物質である。
関連項目
- 海
- 川
- 湖
- 雨
- 雪
- 氷
- 霧
- 深海
- 海洋
- 生命
- 地球
- オカルト
- 民間信仰
- 神道
- 禊
- キリスト教
- バプテスマ
- 聖水
- 水の記憶
- ホメオパシー
- 江本勝
- Minecraft
- ポケットモンスター
- ゼルダの伝説
- スーパーマリオ
- 水属性
- 海洋惑星
- ホラーゲーム
参考・外部リンク
- USGS Water Science School
- JNTO「Misogi purification ritual」
- Nature「The memory of water」
- Minecraft「Update Aquatic」
- Nintendo「The Legend of Zelda: Ocarina of Time 3D」









