無駄な手札

遊戯王OCGには、「腐る」という用語が存在する。
これは「現状使い道のない状態」を指し、使い道なく余っているカードは「腐っているカード」とも言う。

ただ、このページで解説する「無駄な手札」とは、「デュエルで使われることのないままだった手札」のことを指す。
腐っているカードは状況が変わることで使い道が生まれたりもするが、こちらは本当に意味のないカードであり、デュエル構成の稚拙さが表れる要素の内の1つでもある。

言うまでもなく、手札が余るということは、「用意されたカードを全て使っていない」ことに他ならない。
デュエルに勝利した側の手札が余っているならまだしも、敗北した側の手札が余っていた場合は、まるで全力で戦わないまま敗北したかのように見えるのである。



これまでの遊戯王シリーズでも、デュエルが一方的な展開になると、優位に立っている側の手札が余りだすという不自然な展開が度々見られた。
これは「絶体絶命からの逆転勝利」を上手く表現するだけの力量がない結果として起こったことであり、まるで優位に立っている側が敗北という決められた結果のために手を抜いているように見えたり、無駄なカードだらけにするほどデッキ構築能力がないように見えたりするのである。
当然、そのようなキャラクターの実力者設定に説得力が生まれる筈もない。

過去にあった主な例としては、遊戯王5D'sに登場したハラルドが挙げられる。
チームラグナロクのリーダーを務める実力者の筈なのだが、圧倒的有利な状態*1で遊星とデュエルしたにもかかわらず、4枚もの手札を余らせたまま敗北していた。*2
初手シンクロの後にメインデッキのモンスターを殆ど召喚していなかった*3こともあり、後から見るとまるでゼアルのようなデュエルである。



もちろん、手札を余らせること自体が絶対悪というわけではない。
少しくらい手札を余らせるデュエルがあったとしても、十分寛容できることだろう。
加えて、デュエル展開もそれぞれ異なる*4上に、手札が余ることに演出的な意味を持たせていることもある。

例えば、5D'sで行われた【ロットンvsラモン】戦でのラモンは、5枚もの手札を余らせたまま敗北している。
ただ、このデュエルはロットンによる脅威の1ターンキルで決着が付いたデュエルであり、ラモンはロットンの強さを示すためのかませでしかなかった。
1度もターンが回ってこない1ターンキルで敗れるというコンセプトである以上、初期手札がそのまま余るのは自然なことでしかないだろう。*5

他にも、遊戯王シリーズで最も多くの手札を余らせていたのは【遊戯vs人形(マリク)】戦でのマリクであり、少なくとも28枚以上の手札*6を余らせたまま敗北している。
ただ、このデュエルも無限ループによる強制ドローで決着が付くという特殊なデュエルであったため、手札が余ること自体は当然のことでしかなく、これも特に問題はない。



問題なのは、手札を余らせるデュエルが異様に多いことである。

ゼアルでは手札を余らせる問題を継承してしまったことに加え、「初手エクシーズ以降モンスターをほとんど出さない」「一方の活躍の場を用意するために一方を弱体化させる」という展開や、「効果を詰め込んだカードの多さも相俟って、問題が悪化してしまっていた。

しかもその解決策として行われていたことは、「カードを無駄に伏せて手札を減らす」という解決策でもなんでもないことであり、そのような展開になった場合は、その伏せカードの詳細が不明なままデュエルが終了することになる。*7
視聴者の立場からすれば「なんでその伏せカードを発動しなかった」という疑問と共に敗北していることになるため、これもまたゼアルのデュエルが八百長に見える原因の1つになっている。
勝者側が無駄に伏せていた場合も伏せた意味が分からないが、こちらは尺稼ぎのために行ったのだろうか?



ゼアルで手札を無駄に余らせたデュエルの代表例としては、【カイトvsV】戦が挙げられる。

このデュエルでのは、手札に加わった全10枚のカードの内5枚もの手札を余らせたまま1ショットキルで敗北している。
なんとこの男、1ターン目に《No.9 天蓋星ダイソン・スフィア》をエクシーズ召喚してからデュエルが決着する8ターン目まで、《スペース・ゲート》と《重力砲》の2枚しかカードを使っていない。
実力者であるという設定の説得力がまるでない展開であったが、その指標となる要素もまた実力者設定を持て余しているカイトを圧倒することでしかなかったため、素より説得力が生じる要素はなかったとも言える。

Vはモンスターのステータスを隠すというイカサマも眉一つ動かさないまま行う上に、全部で3回あったデュエルの全てで「初手エクシーズ以降メインデッキのモンスターを一切出さない」という記録を達成するえげつない御仁であるため、手札を余らせるくらいは文字通り造作ないのだろう。


参考データ


以下はゼアルのデュエルで手札を余らせたまま終了したデュエルの一覧である。

前提として、省略デュエルは含めず、敗北した側の手札が余っていたデュエルのみを記載している。
赤字になっているのは、詳細不明のカードを伏せて手札を減らしていた人物。*8

なお、その回数は全部で49回にもなる。
これは約7割のデュエルで手札が余っていることを意味しており、かなり多い。
もちろん、勝者側の手札が余っていたパターンも含めた場合はこれよりも更に増える。


対戦カード名 余らせたプレイヤー 余らせた枚数
【遊馬vs六十郎】戦(1戦目) 遊馬 5枚
【鉄男&等々力vsⅣ】戦 等々力
【カイトvsV】戦
【遊馬&ギラグvs小鳥&キャッシー キャッシー
【遊馬vsオボミ】戦 オボミ 4枚
【鉄男&等々力vsⅣ】戦 鉄男
【遊馬&ギラグvs小鳥&キャッシー】戦 小鳥
【遊馬&ナッシュvsドン・サウザンド】戦 ドン・サウザンド
【遊馬vs徳之助】戦 徳之助 3枚
【遊馬vs凌牙】戦(2戦目) 遊馬
【遊馬vs影の巨人】戦 巨人
【凌牙vs璃緒】戦 璃緒
【遊馬&アンナvs飛夫&海美】戦 飛夫
【遊馬vsポン太】戦 ポン太
【メラグ&ドルベvsベクター】戦 メラグ
【遊馬vsキャッシー】戦 キャッシー 2枚
【遊馬vsジン】戦 ジン
【凌牙vsカイト】戦 凌牙
【遊馬vs豊作】戦 豊作
【遊馬&ゴーシュvsドロワ】戦 ゴーシュ・ドロワ
【遊馬vsアリト】戦(1戦目) アリト
【遊馬&アンナvs飛夫&海美】戦 海美
【カイトvsジンロン】戦 ジンロン
【凌牙vsアビス】戦 アビス
【遊馬&Ⅲvs蝉丸】戦 蝉丸
【遊馬vsエリファス】戦 エリファス
【V&Ⅲvsミザエル】戦
【遊馬vsアリト】戦(3戦目) アリト
【遊馬vs凌牙】戦(1戦目) 凌牙 1枚
【遊馬&凌牙vs陸王&海王】戦 陸王
【遊馬&No.96】戦 No.96
【遊馬vsショーベエ】戦 ショーベエ
【遊馬vs秀太】戦 秀太
【遊馬&カイトvsⅢ&Ⅳ】戦 Ⅲ・Ⅳ
【遊馬vsⅢ】戦
【凌牙vsⅣ】戦
【遊馬vsゴーシュ】戦 ゴーシュ
【カイトvsトロン】戦 カイト
【遊馬vs風魔】戦 風魔
【遊馬vs神宮寺】戦 神宮寺
【遊馬&真月vsギラグ】戦 ギラグ
【遊馬vsオービタル7】戦 オービタル7
【遊馬vsベクター】戦(1戦目) ベクター
【遊馬vsマッハ】戦 マッハ
【遊馬&ドロワvsアリト&ゴーシュ】戦 アリト・ゴーシュ
【凌牙&Ⅳvsクラゲ先輩】戦 クラゲ先輩
【カイト&Vvs蚊忍者】戦 蚊忍者
【遊馬vsMr.ハートランド】戦 ハートランド
【カイトvsミザエル】戦(3戦目) ミザエル





  • そもそもプレイできる状況下(こちらにターンが回っている状態)なのに無意味に手札を余らせてるのが問題なんでしょ?そもそも手札余らせてる側が手札を使う状況になかったロットンvsラモンや遊戯vs人形を引き合いに出してドヤ顔してるのがバカ丸出しどんだけ過去作に飛び火させたいねんこう書いたらこの当時に誘発入れてないのガーとかバカ丸出しの反論してきそうやけどw -- 名無しさん (2024-08-14 12:48:20)
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最終更新:2024年08月14日 12:50
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*1 二人のデュエルが開始した時点で、ハラルドのフィールドには星界の三極神の内の2体が存在していた

*2 だいたいオーディンとロキのせい

*3 一応3体のモンスターを使用しているのだが、その内の2体は遊星のフィールドに召喚しており、残りの1体も召喚後にすぐリリースされた

*4 原作とはルールやゲーム性も異なる

*5 省略なしのデュエルで使用カードが1枚も判明しなかったのは、長い遊戯王シリーズの歴史の中でもラモンだけである

*6 描写された《オシリスの天空竜》の攻撃力が28000だった

*7 ちなみに、前述したハラルドの件でもハラルドが手札を無駄に消費しているのだが、こちらはそれに北欧神話ネタを絡めている

*8 実質的に無駄なカードが1枚プラスされる