ソロモン七十二柱の一柱である
魔神。
序列は四十五で、
ソロモン王からは地獄の魔伯爵と称えられた。
魔術を極めし者と語られており、ひとたび戦場に出れば嵐の様に敵陣を軽々と吹き飛ばすという。
メフィ公国の大地に封印されており、その力を
メフィの塔へと供給していたが、
公国各地の迷宮に設置された
魔力楔の影響で大地が弱まった事で復活した。
封印自体は自らの意思で魔術師達と交わした古の約定によるもので、自身の力を利用される事もその契約に含まれる正当なもの。
人間達とその様な約定を結んだのは
ソロモン王に託された
魔神女王シヴァと彼女が眠る
柩冥神殿ヴィルキースの封印と秘匿という使命を果たす為。
復活直後に
メフィ公国の大地の弱まり見た事で魔術師達が契約を違えたと誤解、
公国の魔術師を皆殺しにしようとした。
その様な過激な行動をとったのは契約を違えた罪に対する報いという面もあるが、仮に自身の存在が世界に知られてしまった場合、
力を求める者や
魔神を滅ぼそうとする者など使命を遂行する上で邪魔となる者達を呼び寄せてしまう為、存在を知覚した者達を皆殺しにして証拠隠滅を図った面が強い。
しかしすぐ傍に
現神フィアの存在を感知した事で最早隠しきれないと判断し、彼等と戦う事を決意、
国外への移動を阻害する結界を展開する事で退路を封じると同時に配下の軍勢の召喚と
メフィの塔の迷宮化を行い、
アヴァロ達や
メフィ公国の魔術師を迎え撃った。
少なくとも
メフィ公国の上層部は魔神ヴィネアの封印とその力の利用について知っていた様子だが、その経緯に関しては古い文献しか残っていない事もあり、
当時の人間達との合意によって円滑に行われたものであるとは伝わっていたものの、詳細に関しては失伝してしまっていた模様。
交わした約定が後世にしっかり伝わっていなかった事に関しては呆れや怒りを感じており、封印を解こうとした訳では無いという
アヴァロの訴えも当初は届かなかった。
アヴァロ達との戦いに敗れた後は一度は使命を諦め再封印されかけたが、
クーナの言葉と
フィアから力を分け与えられた事で救われ、
またその場に現れた
ギアリーこそが真に
ヴィルキースを狙う存在であると知り、彼女から自分を守ろうとした事などから
アヴァロの言葉が嘘では無かったと判断した。
ただそれでも口約束だけでは信用できないと考えていたが、
アヴァロから提案された魔術的な契約で互いを縛って協力体制をとる事を受け入れた。
なお力を失った状態で再封印をされた場合は
ヴィルキースの封印に綻びが出るらしく、
フィアに力を分け与えられた状態でもなお十全に封印するには力が足りない模様。
その後は再度の封印における憂いを断つ為に
ギアリーや
ベルガラード王国との戦いにおいて
アヴァロ達に協力した。
魔術を極めし者という異名は伊達では無く、
メフィ公国の魔術師からすれば何としても弟子入りしたい至高の存在であるらしく、
命の危機があったにも関わらず熱烈に弟子入りを求める
サクリファを見て、魔術師とは頭がおかしいと笑いつつも、今回の騒動を不問とする事を条件に受け入れている。
ルーチェとの戦いが終わった後は
メフィ公国に残り、魔術の研鑽をしつつ十分に力が戻ったら再び封印状態に戻るつもり。
それまでは国賓としてロキ家に迎えられるようであり、
サクリファの真意が自分から魔術の知識を吸収する事にあると見抜いて呆れつつも承諾している。
別れ際には
アヴァロに対し、次に封印から解放されるのは遠い未来になるだろうと語りながらも
神核を持つ者同士なら再会もありうると伝えている。