マッドガッサーと愉快な仲間たち 15 「マリ・ヴェリテの憂鬱」
群れる事など、できた事がなかった
己は人食い、化け物じみた伝承を与えられたベート
仲間など、作れた事もない
生まれ出れば、すぐに命を狙われる
危険分子と忌み嫌われる
己は人食い、化け物じみた伝承を与えられたベート
仲間など、作れた事もない
生まれ出れば、すぐに命を狙われる
危険分子と忌み嫌われる
力を隠し、獣の群れに紛れようとした事があった
しかし、獣たちすら、己を恐れる
本能的に、自分たちとは違う存在であると…化け物だと、そう認識してきて
その群れに加われた事など、一度もない
しかし、獣たちすら、己を恐れる
本能的に、自分たちとは違う存在であると…化け物だと、そう認識してきて
その群れに加われた事など、一度もない
人食いをやめようとした時期があった
悪事を働くのをやめようとした時期があった
しかし、誰にも信じてもらえなかった
どうせ悪事を働くに決まっている
お前には騙されない
誰にも信じてもらえずに、結局己は犯し、殺し、喰らった
悪事を働くのをやめようとした時期があった
しかし、誰にも信じてもらえなかった
どうせ悪事を働くに決まっている
お前には騙されない
誰にも信じてもらえずに、結局己は犯し、殺し、喰らった
契約者を得ようとした時期がある
契約者を得れば、この永遠の孤独から解放されるかもしれないと
……結果として、己はそれすらも許されなかった
契約した人間は、アッと言う間に、己の力に、存在に飲み込まれた
時に狂いて命を絶たれ、時に己の中に取り込まれ
…己は、寄り添ってくれる契約者すら、得る事ができなかったのだ
契約者を得れば、この永遠の孤独から解放されるかもしれないと
……結果として、己はそれすらも許されなかった
契約した人間は、アッと言う間に、己の力に、存在に飲み込まれた
時に狂いて命を絶たれ、時に己の中に取り込まれ
…己は、寄り添ってくれる契約者すら、得る事ができなかったのだ
故郷を離れようと思ったのは、全てに疲れたからだった
己の存在は、故郷以外ではあまり知られていないはず
そこでなら…もしかしたら
寄り添える相手が、見付かるのではないだろうか?
ほんの少しの、天文学的な確立でもありえないのではないかと思える奇跡にすがり、故郷を離れた
己の存在は、故郷以外ではあまり知られていないはず
そこでなら…もしかしたら
寄り添える相手が、見付かるのではないだろうか?
ほんの少しの、天文学的な確立でもありえないのではないかと思える奇跡にすがり、故郷を離れた
やってきたのは、小さな島国
その島国の中でも、特に都市伝説の気配が強いその場所を目指した
その島国の中でも、特に都市伝説の気配が強いその場所を目指した
…その途中で、あいつと遭遇したのだ
「…マリ・ヴェリテのベートだな?俺の野望に、一口乗らないか?」
酷く、魅力的な言葉だった
都市伝説としての…マリ・ヴェリテのベートとしての本能に従う事ができ
なおかつ…仲間を得る事ができるかもしれない、そんな誘い
迷う事無く、己はその誘いに乗った
都市伝説としての…マリ・ヴェリテのベートとしての本能に従う事ができ
なおかつ…仲間を得る事ができるかもしれない、そんな誘い
迷う事無く、己はその誘いに乗った
少しずつ、仲間が増えていった
己に恐怖を抱いてもこず、己を信じてくれた存在は初めてだった
仲間を得る事など、群れる事など
…生まれて、初めてだったのだ
己に恐怖を抱いてもこず、己を信じてくれた存在は初めてだった
仲間を得る事など、群れる事など
…生まれて、初めてだったのだ
だから、己はこの群れを護ろう
それは本来、群れのリーダーの仕事であるが…残念ながら、我等がリーダーには戦闘能力はない
だから、自分が護るのだ
戦う事ができる己が
それは本来、群れのリーダーの仕事であるが…残念ながら、我等がリーダーには戦闘能力はない
だから、自分が護るのだ
戦う事ができる己が
群れた事がある連中にはわからないだろう
契約者を得た事がある、契約者を得ている都市伝説にはわからないだろう
契約者を得た事がある、契約者を得ている都市伝説にはわからないだろう
群れる事を許されず、契約者を得る事すら許されなかった都市伝説の絶望が
たとえ、誰に何と言われようとも、己はこの群れを護るのだ
この群れでの時間を、誰にも奪わせはしない
この群れでの時間を、誰にも奪わせはしない
たとえ、どんな犠牲を払ったと、しても
fin