カツーン…カツーン…
昼間の森の奥深く…鉄と鉄がぶつかり合う音だけがこだまする。
いや、鉄の音だけではない。
「トリックオアトリート…トリックオアトリート…」カツーン…カツーン…
彼が槌を振るう対象はいつもは藁人形を留めるための五寸釘なのだが…今夜だけは違う。
今夜彼が槌を振るうのは…カボチャに向けてである。
「…全く…なんであなたはいつもこういうイベントの時は張り切るんですか」
カボチャを持ってきた幽名が彼に問う。
「こういうときくらい…楽しまないとストレスで死んじまうぜ…」カツーン…カツーン…
「よし、こんなもんかね…」「流石に、こういうのは上手ですね~」
彫りあがったのは、カボチャ型のランタン。
「あとは…よっと」
彼は藁人形を取り出し、何やらブツブツと唱え始める。
「恨みは魂を呼び…魂は実像を求む…恨みを晴らしに現世に舞い戻る…霊と怨念のつなぐ鍵を…!」ボウッ…ボウッ…
彼が呪文を言い終わると、藁人形から青白い火の玉が飛び出し、ランタンに入って行く。
「ちょ、ちょっと…それ…恨み魂じゃないですか…」
「こんなところに恨みを持たれる都市伝説が来るとは考えづらいだろ…だから問題ねぇよ」
「…そ、そうですよね!こんな山奥に都市伝説が来るわけがありませんよね!」
「しかし、こんなに出来のいいものを私たちだけで楽しむのは…」「…そ、そうか?だったら…あ、あそこの教会にでもあげてくればいい」
「じゃあ、あげてきますね!」
「…誰もいなかったので入口前に置いてきましたけど、問題ありませんよね?」「まぁあまり顔が割れるのも良くないしな」
青白い明りを灯す、教会に不釣り合いな不気味なカボチャ…果たしてここの住民に何かしらの影響を与えるのだろうか…