「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち-30

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だれでも歓迎! 編集
 物心ついた時には、俺はもう「組織」の一員だった
 両親の顔は覚えていない
 俺の記憶にも残っていない時期に、都市伝説絡みの事件で死んだらしかった

 名前で呼ばれた記憶は、ほとんどない
 「13階段」と、契約していた、否、契約させられた都市伝説の名前で呼ばれ続けていた
 多分、「組織」に拾われた時点で、名前は捨てらされていたのだろう
 いつも偽名を与えられ、任務を与えられ…ただ、殺し続けていた

 その生活が少し変わったのは、自分の担当とは違う、髪が伸びる妙に人間臭い黒服と会った時からだ


「あー?お前、名前ないのか?……ったく、これだから上層部の連中は……よし、じゃあ、俺が名前をつけてやる」


 そう言って、その黒服は、俺に名前をつけてきた
 何となくその名前が気に入って、一応、今の使い続けている
 多分、あの時名前をつけられたから、俺は人間らしさって奴を維持できたのかもしれない
 あの髪の伸びる黒服は他にも、色々と…普通の日常の事を教えてくれたり、綺麗なエロいねーちゃんがいる店に連れて行ってくれたりしたし
 「組織」は嫌いだが、あの黒服にはそれなりに感謝している 
 どうして、俺にそんな親切にしてきたのかは、知らないが…一回だけ聞いて見たが「ちょっと、お人よしの真似をしたくなっただけさ」としか答えられなかったし

 とにかく、名前をつけられていこう、俺は「組織」での生活に違和感を感じるようになった
 「組織」での生活が、嫌になってきた
 任務は全部殺しだし、担当の黒服は機械みたいで感情もねぇし面白味もねぇし
 第一、失敗=死、なんて言うデンジャラスな環境が嫌になってきた
 生きているからには、その人生を楽しみたい
 そう、思うようになっていた

 …その時、再び訪れた転機
 夢の国とかいう、洒落にならない都市伝説との戦いの作戦に、俺は駆り立てられた
 だが、その時…どうにも、俺の担当の黒服は様子がおかしく
 その作戦に参加するのが、異様に危険なように思えてならなかった
 その時、ちょうど…あの、髪が伸びる黒服と顔を合わせる事ができたから
 相談してみたのだ、その作戦に参加する事について
 すると、神の伸びる黒服は

「あー。やばそうだと思ったら、逃げとけ逃げとけ。何となくその作戦、嫌な予感がするし」

 と、そう答えてきて
 …やはり、やばい作戦だったのだ
 この作戦に参加したら、死ぬ
 そんな予感が、バリバリして


 俺は隙を見て、「組織」を逃げ出した


 しばらくは、学校町を出て隣町に潜伏していた
 「組織」の目が届きにくいその街で、しばし羽を思い切り伸ばしていた

 ………自由!
 これが、自由なのだ!!
 俺は、自由って奴を噛み締め、それを楽しんだ


 そうしていた時だ、マッドガッサー達と会って、誘われたのは
 ハーレムとかヤり放題とか、なんとも魅力的で、俺はさっさと仲間に加わった
 「組織」を敵に回す可能性は高かったが、んな事知るか
 今まで、さんざ「組織」に縛り付けられて生きてきたんだ
 「組織」を困らせる事のひとつや二つ、してもかまわないだろう、そう考えた


 マッドガッサー達と行動するのが、生活するのが
 俺自身、思った以上に楽しく感じているのに気づいたのは、すぐだった
 思えば、思った事を何でも言えるような相手なんて、今まで一人もいやしなかった
 だが、今の仲間達とは、何だって話せる
 馬鹿みたいな事を話して、笑いあったりとか…そう言う、かつて、髪が伸びる黒服が教えてくれた「日常」って奴を、俺は生まれて初めて体験していたのだ

 その日常が、楽しいのだ
 幸せなのだ
 「組織」にいたままでは、絶対に手に入れる事ができなかった日常
 それを、俺はようやく手に入れた
 こいつらとの生活が、俺がようやく手に入れた、日常って奴なのだ

 ………それに
 俺は、生まれて初めて、護ってやりたいと思う奴も、手に入れた

 まぁ、あれだ
 男の状態ではただ鬱陶しかったのに、女になった途端持っている要素が全て萌え要素になるとか反則だよな畜生 
 その全てが俺のストライクゾーンど真ん中とかふざけてるのか
 ……とにかく、だ
 俺は、護ってやりたい、と、そう考える存在が、今、いるのだ
 そんな相手なんて、もちろん、今まで持った事がない
 生まれて初めてだ

 …よりによって、その相手は
 かつて、俺が任務で命を狙った相手 
 だと言うのに、あのお人好し、平気で俺の事を信用してきて
 仲間だ、とそう言ってきてくれて


 ……マッドガッサー達の仲間に加わった事で、俺は「組織」にいたのでは、一生手に入らないものをたくさん手に入れた
 一度手に入れたそれらを、俺は絶対に手放すつもりはない

 仲間を失いたくない、日常を失いたくない
 ……大切だと思える奴を、失いたくない


 だから、俺から大事なものを奪おうとしやがる連中は、全て始末してやる
 俺の「13階段」で…すべて、殺してやる

 それしか、俺はこの大切なものの護り方を、知らないから








fin









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