「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 占い師と少女-04

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uranaishi

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占い師と少女 日常編 04


南区にある商店街の一角。
私は占い師さんを連れて、買い物に来ていた。

「早く行きますよ、占い師さん」
「…………すっげぇ、重いんだけどよ」

そういう占い師さんの両手には、計4つのレジ袋がぶら下げられていた。
生鮮食品もこうして持てるのは、秋の冬日+曇り空の特権だと思う。

「つーか、こんなに買う必要あるのか?」
「安売りをしてる時にまとめ買いをした方が安上がりなんですよ」
「しかしだな――」
「大体、占い師さんが値段も見ないでスーパーで買ってくるのがいけないんですよ! チラシだって見ないですぐに捨てちゃうし……」

私が外出禁止を命じられていた数日間の食費は……正直あんまり考えたくない。

「塵も積もれば山となるんですよ。無駄遣いも続ければ莫大な金額になりますし、逆にそれを貯めればいざって時の貯金にもなりますから」
「へいへい…………」
「ほら、次の八百屋さんは占い師さんしか知らないんですから、ちゃんと先導お願いします」
「……そういや、まだ増えるんだな、この荷物……」

――――――――――

「おう、兄ちゃん。今日はえれぇ大きな荷物持ってんな。それにこっちは例の譲ちゃんかい?」
「よう、八百屋の大将。それと『例の』なんて付けるとなんか如何わしくなるから止めてくれ」
「あ、あの、初めまして」

商店街の中心から少し外れたところに、その八百屋さんはあった。
(……これが、あの八百屋さん……)
実は、今回の最重要目的はこの八百屋さんの所在だったりする。
占い師さんがざっくばらんに、必要とあらば高い安いの区別なく買ってくる物の中で、唯一安いのが野菜だったのだ。
それも、全てスーパーでの定価の3分の1ほどの値段で。
それ気付いて占い師さんに問いただした後、教えてもらったのがこの八百屋さんなのだが……。

「人でいっぱいですね……」

八百屋の店先は、人でごった返していた。
地元の主婦が全員来ているんじゃないかと思うくらいの、主婦の群れ。
正直、怖い。

「いや、おかげさまで繁盛してるよ、全く」
「初対面で『おかげさまで』も何もないだろ」
「言葉のあやとりってやつだろう? 冗談が通じないと女の子に嫌われるよ、兄ちゃん」
「ああ、まさに今は『言葉のあやとり』状態だろうよ。しかも完全に絡まってる奴な」

親しそうに話す占い師さんと八百屋の大将。
昔からの知り合い以外、基本的に他人には無関心な態度を取る占い師さんにしては珍しい態度だ。
(…………もしかして)

「あの、大将って、都市伝説とかと関わりは……」

間違っていても適当に取りつくろえる範囲で、大将に尋ねる。
私の場合は能力を使えばすぐに分かるだろうが、できるだけそういった無粋な事はしたくない。

「おう、契約者って奴だな」
「何だ、能力を使えば分かるだろ、お前は」

無粋な真似を平気でする占い師さんはこの際放っておく。

「じゃあ、この人ごみって……」
「俺の契約した『戦争状態の購買』の能力だな」
「え? でもここ、八百屋さんですよね?」
「契約ん時にどこでも使えるようになったんだわ」

……なるほど。
でも、職業倫理的にそれはどうなんだろう。
私の視線と、その意味に気付いたのか、大将は手をひらひらと振って

「なに、ちゃんと競争して買うだけのもんにはしてるつもりだよ、嬢ちゃん」
「つーか、ここに来た目的、覚えてるか?」
「えっと……」

ここに来た目的、つまりは野菜を買うため。
で、なぜこの八百屋かというと――

「……値段、ですか?」
「おう、大量購入して、能力を使って大量に売る。だからこそできる値段ってわけだ。確かに能力で購入意欲は増やしてるけどよ、何も操って無理やり買わせてるわけじゃねぇんだぜ? ちょいと色をつけて買っては貰ってるけどよ」

客商売をしてる上で身に付けた技能なのか、凄いマシンガントークだ。しかもべらんめぇ口調。
その後も、徐々に能力を使うのをやめて、1、2年後には全部このままの値段で売るつもりだとか、その他色々と言葉を正に「ぶつけ」られ、私は白旗を上げるしかなかった。

「……ってか、買い物はいいのか、嬢ちゃん。早くしねぇと売り切れちまうからよ、うちの商品は」
「………え?」

店先を見るが、人だかりで肝心の商品の量が分からない。
というか、さっきより人が増えてるようだった。

「お勘定はどうしてるんですか? あれだけの人を捌くのは大変そうですけど……」
「そこは能力使ってちゃんと無人のバケツに入れてもらっとるよ。野菜がなくなりそうだったらさすがに俺の出番だがな」

お勘定なんて所でも能力が発揮されるのか、と思わず感心してしまう。
……でも、これでもう疑問もなくなった。

「じゃあ私、行ってきますね!」

そう占い師さんに声をかけて、群衆(まさに『群衆』だ)の中へと飛び込んでいく。
能力を使って、最短に、安全行けるルートを検索する。
ちょっと怖いけれど、私だって負けられないのだ。


「元気ないい子じゃねぇか、兄ちゃんにはもったいない」
「それ以上言うと殴るぞ、大将」

……未来が人だかりの中へと入り消えた後も、俺は大将と話を続けていた。

「しっかし、俺のかみさんはお前さんの話になると毎回『あんな偏屈、契約者を得られるわけがない』っつってたのになぁ」
「大将も会うたびにその話をしてる事に気づいてんのか?」
「いやいや、今日はかみさんが都市伝説契約者だったって知った日の次に驚いた日になってんだよ。実物を見ちまったんだからな」
「未来が都市伝説みたいな言い方だな、おい」

以前この町に住んでいた知り合いの都市伝説、その契約者の夫がこの大将だった。
……いや、会った当時は大将もその嫁もガキだったから夫になるかどうかは知らなかったが。
その嫁は数年前に病気で死に、それと期を同じくして都市伝説の方も町を去ったらしい。

「ってか、俺的には大将が都市伝説と契約した事の方が驚きなんだが」
「そりゃ、死ぬ前かみさんに『店おっきくして、でっけぇ墓建ててやる』って言っちまったからなぁ。悪魔じゃなく都市伝説に魂を売ったわけよ、俺は」

まぁ、縁起でもないって殴られちまったけどよ、と冗談交じりに言っているが、内容はひどく凄惨だ。

「まぁ、大将が状況を受け入れてるならいいんだけどな」
「そりゃ、契約した以上は受け入れるしかねぇだろうが」

その一言で片づけられる大将は、きっと強いのだろう、その精神も、妻との絆も。
俺と未来の絆は、はたしてどれだけの強度を持っているのだろうか。
(後で聞いてみるか……)
その時未来がどんな顔をするのか、今から楽しみに思う占い師だった。





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