「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-a-13

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 ≪はないちもんめ≫の契約者の少女の先導で、≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年が≪魔女の一撃≫の契約者によって拉致されているであろうクラブハウスへと進んでいた一行。
 青年は道中黒服の話を聞いていた。
 何故≪魔女の一撃≫の契約者がマッドガッサー達の仲間になり、≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年を連れ去ったのか。それが分からないという黒服に青年――Tさんは告げる。
「黒服さん、理由も何もかも後だ。今はとにかく≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年を取り戻す」
「……はい」
 沈んだ返答。気休めだろうと知りつつも青年は黒服に声をかける。
「気に病むな。気づくチャンスは俺にも、おそらくは他の者にもあったはずなんだ。それでいて皆気がつくことができなかったのだから」
 相手が上手だった。そう言おうとしたところで契約者の少女が焦った声で呼びかけてきた。
「Tさん!」
「どうした?」
 襲ってきたスパニッシュフライをまとめて吹き飛ばし、振り返ると、少女は頭上を指さし、
「魔女っ娘が!!」
「……」
 先程まで気分が沈みこんでいた反動でついに頭が沸いてしまったか。青年がそう思いながら頭上を見上げると、
 黒衣に黒帽子、そして箒に跨って空を飛ぶ魔女がいた。
「あのバカでかい鳥以外にも航空戦力いんのかよ!」
 何かと戦うのに忙しいらしい鳥を遠くに見ながら少女が叫ぶ。
「容姿からしておそらく≪魔女の一撃≫、都市伝説本体の方だな」
 青年が≪魔女の一撃≫を見上げたまま走る。魔女は、
「ひっひっひ、主の所にはいかせないよぉ!」
 そう言いながら懐から薬品を取り出し、投擲した。
「破ぁ!!」
 青年が落ちて来る薬品を撃ち落とし、そのまま数発、魔女と青年の間に光と薬品が交差する。
「≪魔女の一撃≫の本来の能力でぎっくり腰にでもされたら厄介です。急ぎましょう!」
 黒服の言葉に青年は頷く。そしてクラブハウスへと走りながら周囲を確認し、黒服へと小声で話しかける。
「黒服さん、最悪の光景も考えておいた方がいいかもしれん」
「最悪、と言いますと」
「≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年は今、女だ。それが敵に特に危害を加えられずに連れ去られたのだから……そちらの可能性も考慮に入れておいた方がいい」
 それだけで社会の裏に、戦場に通じる彼らには言わんとすることに理解が及ぶ。
「まさか、彼はあの子が男なのを知っているのですよ!?」
「≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年が女に変えられた時に≪魔女の一撃≫の姿もあったのだろう? ならば≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年に限っては意図して狙われた可能性もある」
「ですが、」
「まあ仮に、だ」
 光弾を連続で叩き込み、≪魔女の一撃≫を牽制しながら、
「仮にもし、あの青年が凌辱されているのだとしたら、――そんなものを見るのは俺と貴方だけでいい」
 もう一度周りを見る。タイミングが悪いことに、どういうわけか周りにいるのは契約者や人形や少女、後二人は素性は知らないが、こちらもどうみても二十に届いてはいないだろう女性が二人で、
「女子供には見せられんしな」
 苦笑して、ネズミを硬貨で作った鎖で絡め取って不機嫌そうに振り回しながら一行の先頭を闊歩する≪はないちもんめ≫の少女に声をかける。
「≪はないちもんめ≫の契約者よ、彼らの詳しい位置は分かるか?」
 ≪はないちもんめ≫の契約者の少女はチラリと黒服を一瞬見てから頷き、
「ええ、あそこよ」
 指差した先には他の扉に比べて少し大きめな扉があった。扉と扉のある幅も広く、大きなスペースが取られていることが知れる。その見た感じは一言で表すと、
「体育館?」
「体育館は他にあるようだな。おそらく武道用のスペースだろう」
 己の契約者にそう言って、青年は黒服の腰を引っ掴む。
 そして、
「――強靭な脚力とか腕力とかあったら、幸せだ」 
 跳んだ。
 人一人を抱えたままその身は十数メートルを一回の跳躍で制覇して扉の前に着地し、
「蹴破る。黒服さんは彼の確保を」
 そう言って黒服を掴んでいた手を外し、足を引き半身になり、腰を落とし、
 蹴撃をぶち込んだ。
 たわみ、耳触りな音を立てて吹き飛ぶ扉。その開かれた空間へと黒服が飛び込む。
 青年も後を追いかける。中には畳が敷き詰められており、空間全体に染みついた汗の臭いが鼻孔をくすぐる。
「柔道場か」
 呟き、柔道場全体を見まわす。そして目当ての人物を発見した。
 一人は少女にのしかかっている。今夜、この学校に潜入した時にも遭遇した青年、≪魔女の一撃≫の契約者。そしてもう一人は、
「……なんとかギリギリといったところか」
 ≪魔女の一撃≫の契約者にのしかかられている金髪の少女。服が破られ胸元が露出し、ジーンズが半ばまで下ろされてはいるが、
「……おまえらか、人の愉しみの邪魔をすんじゃねえよ」
 不機嫌そうな≪魔女の一撃≫の契約者の声を聞く限り最悪なことになる前には間に合ったようだ。
「それとも、おまえらも俺がコイツを屈服させるところを見るか?」
 そう言ってジーンズにかけた手を下へとずらそうとする≪魔女の一撃≫の契約者。
「そんな趣味は持っていない」
 ため息、
「後ろから来る子たちの教育に悪いからその≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年を返してもらおう」
 声が響き、幾人かの足音がかすかに届き、しかし、≪魔女の一撃≫の契約者は暗く、暗く嗤った。

21:35


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