○月×日 22:25 北区山の中
みっしりと
みっしりと、藁人形が打ち付けられた大木
ーーーーぽぅ、と
その大木が、内側から光って
みっしりと、藁人形が打ち付けられた大木
ーーーーぽぅ、と
その大木が、内側から光って
直後
激しい爆音と共に木は内側から爆破され…折れて、倒れた
激しい爆音と共に木は内側から爆破され…折れて、倒れた
大木に打ち付けられた藁人形の能力が…ついに、発動した
○月×日 22;26(日本時間) アメリカ某所
それは、追撃者を前に一歩も引く様子はなかった
全身に無数の傷を負いながらも、それは退かない
もちろん、殺されるつもりもない
ガスマスクを被ったそれは、己が製造できる上でもっとも凶悪な毒ガスを、追撃者達に噴きつけようと、ガスの噴射口を追撃者達に向けた
全身に無数の傷を負いながらも、それは退かない
もちろん、殺されるつもりもない
ガスマスクを被ったそれは、己が製造できる上でもっとも凶悪な毒ガスを、追撃者達に噴きつけようと、ガスの噴射口を追撃者達に向けた
-------その時
彼を、激しい激痛が襲った
何者かともわからぬ何かの力が、彼を締め付ける
彼を、激しい激痛が襲った
何者かともわからぬ何かの力が、彼を締め付ける
それは、呪い
どこかの誰かの呪いが、彼を締め上げて
どこかの誰かの呪いが、彼を締め上げて
それは、瞬間的な激痛だった
しかし、それは彼にとって、致命的な隙になってしまって
しかし、それは彼にとって、致命的な隙になってしまって
直後、彼は己の体が何かに貫かれた事を、確かに感じて
「------く、そ」
カラン……っ、と
彼の被っていたガスマスクが、落ちて……彼の体は、この世から消滅した
彼の被っていたガスマスクが、落ちて……彼の体は、この世から消滅した
○月×日 22;30 屋上
「-------っ」
ほんの数分前、何かに締め付けられるような感覚を覚えた
しかし、それはほんの一瞬で…すぐに、その苦しさは消えたのだが
しかし、それはほんの一瞬で…すぐに、その苦しさは消えたのだが
…今、感じたもの
それは、濃密な、死のイメージ
それは、濃密な、死のイメージ
「…マッドはん?どないしたんや?」
似非関西弁の女性が、心配そうに声をかけてくる
----っば!!と
マッドガッサーは、慌てて似非関西弁の女性の顔を覗きこむ
----っば!!と
マッドガッサーは、慌てて似非関西弁の女性の顔を覗きこむ
「っひゃ!?ど、どないしたん?」
「お前、体に異変はないか!?」
「…………へ?」
「お前、体に異変はないか!?」
「…………へ?」
きょとん、と
似非関西弁の女性は、不思議そうにマッドガッサーを見つめる
似非関西弁の女性は、不思議そうにマッドガッサーを見つめる
「と、特に何も…大丈夫、やけど」
「……良かった」
「……良かった」
ほっと、安心したような声をだすマッドガッサー
ガスマスクのせいで表情は見えないが、心からほっとしたようだった
ガスマスクのせいで表情は見えないが、心からほっとしたようだった
「……何があった?」
スパニッシュフライの契約者を落ち着かせようとしていたマリが、疑問の声をあげた
先ほど、似非関西弁の女性に慌てて声をかけたマッドガッサー
…そうだ、慌てていたのだ
一体、何があったと言うのか
マリの問いに、マッドガッサーはかすかに俯いて
先ほど、似非関西弁の女性に慌てて声をかけたマッドガッサー
…そうだ、慌てていたのだ
一体、何があったと言うのか
マリの問いに、マッドガッサーはかすかに俯いて
「………兄貴が、死んだ」
と、小さく答えた
「兄貴て……マッドはんの、片割れ?」
あぁ、とマッドガッサーは頷く
本来は、一つの存在だった片割れ
その死を、はるか遠く離れていても…彼は、感じとったのだ
あの濃密な死のイメージは…片割れの死、そのものだ
本来は、一つの存在だった片割れ
その死を、はるか遠く離れていても…彼は、感じとったのだ
あの濃密な死のイメージは…片割れの死、そのものだ
「兄貴が死んで、俺と兄貴に分散されていた分の兄貴の力……っつか、知識と技術だな。それが一部、俺に戻ってきた。ヘタをしたら、契約者であるお前にまで影響が出たかと思ったんだが…」
「いや、うちは全く。特にそう言う感覚はあらへんけど…」
「いや、うちは全く。特にそう言う感覚はあらへんけど…」
小さく首をかしげる、似非関西弁の女性
…それなら、良かったのだ
マッドガッサーは改めて安堵する
自分の力が変化したことで、契約者である彼女の器の限界を超えてしまう事が、恐ろしかった
彼女を、都市伝説化させる訳にはいかない
…それなら、良かったのだ
マッドガッサーは改めて安堵する
自分の力が変化したことで、契約者である彼女の器の限界を超えてしまう事が、恐ろしかった
彼女を、都市伝説化させる訳にはいかない
「……ま、あの糞兄貴が死んでくれたんだ…これで改めて、計画に集中できるから、良しとするか」
ぼそり、マッドガッサーは小さく呟く
自分にとって最大のトラウマで、最大の敵が死んだのだ
これで、ここで計画が成功すれば……同じ事を、世界中で行える
もし、あの最悪の片割れがまだ生きていたら、アメリカは最後に回そうと思っていたが…この国全てで計画を終えたら、次はあの国でもいいな
自分にとって最大のトラウマで、最大の敵が死んだのだ
これで、ここで計画が成功すれば……同じ事を、世界中で行える
もし、あの最悪の片割れがまだ生きていたら、アメリカは最後に回そうと思っていたが…この国全てで計画を終えたら、次はあの国でもいいな
ガスの精製を続けながらも、マッドガッサーはそんな事を考えたのだった
to be … ?