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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦編-15

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匿名ユーザー

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○月×日 22:28 視聴覚室横階段………13段目


 ----ずるり
 それが、階段の13段目から、出現する
 無数の亡者共の手が、獲物を見つけて歓喜する
 老若男女、無数の手が、13段目に脚をかけたドクターに群がった

 ずるり…………

 一瞬で、ドクターの体は亡者達によって階段の13段目に引きずり込まれた


 「13階段」は、顔色一つ、変えていない
 彼にとって、能力を用いての殺人は「生きる手段」だ
 幼い頃から「組織」に置いて殺人の駒として育てられたが故に、能力を使っての殺人に罪悪感も、戸惑いも、躊躇も感じない
 一歩、何か間違えていたら…ただの殺人人形と成り果てていたであろう人間なのだ、彼は

「…やれやれ。参ったね」

 小さく、黒服Hは苦笑する
 まさか、本当に踏み込むとは
 …このまま死亡すれば、「第三帝国」の人材を目の前で死なせた事になるが…さて、どうするか?

(……ま、なるようになるさ)

 しかし、黒服Hは深刻には考えない
 どちらの結末になろうが「どうだっていい」
 心から、そう考えているが故に
 だが、その考えを表には出さない


 ----ただ
 こちらをじっと見詰めてきて、何か言いたげな表情浮かべた「13階段」相手に
 しぃ……と、秘密でも伝えるかのように、口元に指先を当てて見せたのだった



「--なるほど、こうなっているのか」

 「13階段」の異空間に飲み込まれ、ドクターは一人、冷静に周囲を観察していた
 とぷり、真っ赤な液体に、体が沈んでいる
 …足が付くか、つかないか、ギリギリの深さだ
 この真っ赤な液体……血の海から、首から上だけが辛うじて、出ている状態
 時間がかかれば、力尽きて沈んでしまう、といったところだろうか
 見回した限り陸地は見えず、頭上を見上げても吸い込まれそうな闇が広がっているだけだ

「…いや、力尽きるのを、待つまでもないのか」

 ちゃぷり
 ちゃぷり、ちゃぷり、ちゃぷり…
 血の池から…腕が、伸びる
 ドクターを引きずり込んできたのと、同じような腕
 肉が半ば落ちているものもあれば、既に骨と化している腕もある
 恐らくは…今まで、「13階段」の能力で引きずり込まれ、命を落とした者も混じっていることだろう
 亡者が、仲間を増やそうとその腕を伸ばしてくる
 じぃ、とその腕を見詰めて…
 ドクターは、ぽそりと呟いた

「………ふむ、半数が女性か」
『--------っ!!??』

 ぴくりっ
 亡者たちの手が…一部、動揺を見せた

 ドクターの観察は当たっている
 今、ドクターに腕を伸ばしている亡者のうち、半数は女性だ
 その男女比の割合に意味はない
 ただ、たまたまでしかない……「13階段」の能力で今まで飲み込まれていった者達の男女比率が大体同じだった
 ただ、それだけのこと

 そう、ただ、それだけであり…この能力の効力発揮に男女差の意味などない
 よって、今回とて、通常ならば、いつも通り亡者達は、犠牲者であるドクターを血の海に静めんと、その体に絡みつき引きずり込もうとする事だろう

 だが
 その亡者達の中で、染色体的に女性に分類される亡者達は…このドクターに対し、ただならぬものを感じた
 ヘタに近づいては、貞操の危機なのでは?
 最早、心も魂もないはずの亡者でありながらも、彼女たちは確かにそれを自覚した
 そして、その動揺は、残りの亡者達にも伝わる

「…おや、なかなか初々しい亡者達だ」

 さて、どうしたものか
 こちらに手を伸ばす事を躊躇った亡者達を前に、ドクターは笑みを浮かべて見せたのだった




「---っ!?何か悪寒が?!」
「ん~?風邪か?インフルエンザ流行ってんだから気をつけとけよ」
「うるせぇよっ!てめぇは、さっき引きずり込んでやった女の心配でもしとけっ!」

 異空間内の亡者達の感じた感覚が、伝わったのだろうか?
 悪寒に体を震わせた「13階段」なのだった










とぅーびー?





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