喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
情報
土曜の夜のことだった
明日は休みだから……と、サチが泊まっていく事になった
なるべくボクを独りにしたくないのだろう
明日は休みだから……と、サチが泊まっていく事になった
なるべくボクを独りにしたくないのだろう
いつもの様に夕飯を終えて片づけをする
「ちょっとトイレに行ってくる」
そう断って、ボクは用を足しにいく……その途中
携帯の鳴る音が聞こえる
"ダッタン人の踊り"だったろうか……サチの電話が鳴るのは珍しい
少し気になったが……そのままトイレへと入った
「ちょっとトイレに行ってくる」
そう断って、ボクは用を足しにいく……その途中
携帯の鳴る音が聞こえる
"ダッタン人の踊り"だったろうか……サチの電話が鳴るのは珍しい
少し気になったが……そのままトイレへと入った
「サチ殿……電話が……」
「……はい……カシマさん?……はい……Tさ……代わり……」
再び洗い物の音と、機嫌の良い鼻歌が聞こえてくる
「ワタシだが……ふむ……なに?!……情報屋から……魔法……あの男が……
場所……○○市……国道△△号から……××山……山荘……少女と?……うむ……」
トイレの水を流す
「!……分かった……かたじけない……」
その音に反応する様に話が切られる
「……はい……カシマさん?……はい……Tさ……代わり……」
再び洗い物の音と、機嫌の良い鼻歌が聞こえてくる
「ワタシだが……ふむ……なに?!……情報屋から……魔法……あの男が……
場所……○○市……国道△△号から……××山……山荘……少女と?……うむ……」
トイレの水を流す
「!……分かった……かたじけない……」
その音に反応する様に話が切られる
*
「いや……うむ……酒か……分かった……では失礼する」
ボクが部屋に戻ると
電話の相手とお酒を呑む約束をしている
「カシマさんが電話なんて、珍しいね」
「ん、うむ……酒を呑む約束をしていたのだ、寺生まれの御仁とな」
そういえば、以前にもTさんとお酒を呑むと言って出かけたことがあった
「ふ~ん」
「二人にはすまないが、早速出かけることになった」
「うん、分かった」
「あんまり飲みすぎちゃダメですよ」
「うむ、程々にしておくとしよう」
ボクが部屋に戻ると
電話の相手とお酒を呑む約束をしている
「カシマさんが電話なんて、珍しいね」
「ん、うむ……酒を呑む約束をしていたのだ、寺生まれの御仁とな」
そういえば、以前にもTさんとお酒を呑むと言って出かけたことがあった
「ふ~ん」
「二人にはすまないが、早速出かけることになった」
「うん、分かった」
「あんまり飲みすぎちゃダメですよ」
「うむ、程々にしておくとしよう」
カシマさんは……本当のことをボクには話してくれない
それは当然のことだと思う
カシマさんらしい、正しい判断
それは当然のことだと思う
カシマさんらしい、正しい判断
けど、カシマさんは知らない……
このトイレは換気扇の配置のせいか部屋での音が、かなり聞こえる
このトイレは換気扇の配置のせいか部屋での音が、かなり聞こえる
カシマさんが出て行った後、サチにも電話の内容を聞いてみる
「カシマさんに、例の約束で話があるって……呑む約束してたんだね……
でも、あの二人……何かちょっと……似てるところあるよね?」
「ん~~そうかなぁ……」
どうやら、本当に呑む約束のことだと思っているらしい
「カシマさんに、例の約束で話があるって……呑む約束してたんだね……
でも、あの二人……何かちょっと……似てるところあるよね?」
「ん~~そうかなぁ……」
どうやら、本当に呑む約束のことだと思っているらしい
*
翌日、早朝
カシマさんはまだ帰って来ていない、サチはまだ眠りの中だ
ボクは、ひとりで起き出し……そっと、家を出た
カシマさんはまだ帰って来ていない、サチはまだ眠りの中だ
ボクは、ひとりで起き出し……そっと、家を出た
断片的に聞こえてきた会話から判断すると
○○市を通る国道△△号から××山に行けるルート
その山道近くの山荘にアイツが……あの男が……いる!
○○市を通る国道△△号から××山に行けるルート
その山道近くの山荘にアイツが……あの男が……いる!
携帯から地図で検索し、おおよその見当は付いている
大きな通りに出て、タクシーを拾おうと手を挙げる
……が、早朝のせいかタクシーも殆ど通らない
ましてや、ボクの様な子供を乗せる為に止まってくれるタクシーなど無い
……が、早朝のせいかタクシーも殆ど通らない
ましてや、ボクの様な子供を乗せる為に止まってくれるタクシーなど無い
タクシーを探す内に、時間は過ぎていく
[♪ On the load 誰も旅の途中 本当の自分自身出逢うため ♪]
携帯が鳴り響く
サチからだった……ボクがいないことに気付いた様だ
無視する
鳴り続ける音楽……ようやく止まる
サチからだった……ボクがいないことに気付いた様だ
無視する
鳴り続ける音楽……ようやく止まる
「おい、そこの少年」
突然、声をかけられ驚く
振り向くと、男がいた……道の脇にバイクを停めている
だが……首が無い
振り向くと、男がいた……道の脇にバイクを停めている
だが……首が無い
「……首なし……ライダー」
*
「タクシー……探してるんだろ?」
「……」
「そう警戒すんなよ……同じ趣味を持ったモノ同士だろ?……むしろ、同志ってヤツ?」
「いや……口頭で漢字の違いは判らないから」
うっかり、ツッコんでしまう
「でもよ、何となく判ってんだろ?」
「……うん……まぁ」
「じゃあさ、まずはコレを見てくれよ」
「……」
「そう警戒すんなよ……同じ趣味を持ったモノ同士だろ?……むしろ、同志ってヤツ?」
「いや……口頭で漢字の違いは判らないから」
うっかり、ツッコんでしまう
「でもよ、何となく判ってんだろ?」
「……うん……まぁ」
「じゃあさ、まずはコレを見てくれよ」
どこからか、標準的なよくあるサイズのカードを取り出し
バックル──ベルトのものとしては少し大き過ぎる──に読み込ませる
バックル──ベルトのものとしては少し大き過ぎる──に読み込ませる
"首なしライドゥ SaSaSaサイドカー"
バックルから響く声
「ちょっと、くすぐったいぞ」
などと首なしライダーが言いながら
バイクのタンクに……ずぃっと右手を突っ込む……
ゥィーーーン ガシャ
という音と共にバイクが変形し、サイドカーが出現していた
「ちょっと、くすぐったいぞ」
などと首なしライダーが言いながら
バイクのタンクに……ずぃっと右手を突っ込む……
ゥィーーーン ガシャ
という音と共にバイクが変形し、サイドカーが出現していた
「……す……すごい」
「おっ?……やっぱ子供は食いつきがいいな……」
気を良くしたのかどうかは分からない
……何せ顔が無い
でも……嬉し涙を流している様な……そんな気配を感じた
「ほら、乗れよ……お前の行きたい場所に連れてってやる」
「おっ?……やっぱ子供は食いつきがいいな……」
気を良くしたのかどうかは分からない
……何せ顔が無い
でも……嬉し涙を流している様な……そんな気配を感じた
「ほら、乗れよ……お前の行きたい場所に連れてってやる」
*
どうやら悪いやつではない様だった
ボクは目的地である山荘を伝えるとヘルメットを渡されて被った
いつの間にやら、首なしライダーもフルフェイスのヘルメットを被っている
被る?どうやって?
いや……まぁそんなことはどうでも良い
ボクは目的地である山荘を伝えるとヘルメットを渡されて被った
いつの間にやら、首なしライダーもフルフェイスのヘルメットを被っている
被る?どうやって?
いや……まぁそんなことはどうでも良い
「よし、いくか!」
ヘルメット内にインカムが取り付けてあり
走行中も会話できる様になっていた
走行中も会話できる様になっていた
濃霧の中を走り抜ける
道中は、仮面ライダー談義
ベルトは市販品を自分で改造したものだとか
カードや音声は自作したものだとか
カードを出すときには、必死に練習した手品を使っているとか
正直、バカとしか思えない程のマニアぶりだったが
聞いていてボクは楽しかった
彼もマニアっぷり全開で話せて楽しかったらしい
カードや音声は自作したものだとか
カードを出すときには、必死に練習した手品を使っているとか
正直、バカとしか思えない程のマニアぶりだったが
聞いていてボクは楽しかった
彼もマニアっぷり全開で話せて楽しかったらしい
*
「ついたぞ」
「うん、ありがとう」
「楽しかったな」
「うん、楽しかった……そうだ、ボクの名前は輪……ライダーさんは?」
「ふふ……それを聞くか……いいだろう、応えてやる……よく聞いとけよ」
「……(ゴクリ)」
「うん、ありがとう」
「楽しかったな」
「うん、楽しかった……そうだ、ボクの名前は輪……ライダーさんは?」
「ふふ……それを聞くか……いいだろう、応えてやる……よく聞いとけよ」
「……(ゴクリ)」
「通りすがりの首なしライダーさ!」
分かるヒトにしか分からないネタで盛り上がる
「ところで、それ……真剣……だよな?」
竹刀袋に入った小太刀を見て言う
「……うん」
「そうか……お前の決断次第で未来は、理想にも絶望にも変わって行く……」
「分かってるさ……だから、ボクは信じた道を走る」
「くぅ~~~!やっぱ、Journey through the Decadeの歌詞はいいなぁ」
「だね」
「じゃあ、元気でな!」
「うん!」
竹刀袋に入った小太刀を見て言う
「……うん」
「そうか……お前の決断次第で未来は、理想にも絶望にも変わって行く……」
「分かってるさ……だから、ボクは信じた道を走る」
「くぅ~~~!やっぱ、Journey through the Decadeの歌詞はいいなぁ」
「だね」
「じゃあ、元気でな!」
「うん!」
別れ際、お互いに背を向けた時に
「……死ぬなよ」
そう聞こえた気がした
「……死ぬなよ」
そう聞こえた気がした
*
整地されていない道を歩く
車一台がようやく通れる様な細い道だ
雪が積もり中々前に進まない
気持ちばかりが前に出る
車一台がようやく通れる様な細い道だ
雪が積もり中々前に進まない
気持ちばかりが前に出る
ボクはどうしてここまで来たのだろう
何故、独りで勝手に来てしまったのだろう
何故、独りで勝手に来てしまったのだろう
でも、すぐそこにあの男がいる
マスターを……ボクの父さんを*した……あの男がいる
衝動を抑えられなかった
マスターを……ボクの父さんを*した……あの男がいる
衝動を抑えられなかった
殺すのか?
ボクのこの手で……分からない
さっきまでの会話とは違い、決断できないでいた
自分が信じる道とは何なのか……
ボクのこの手で……分からない
さっきまでの会話とは違い、決断できないでいた
自分が信じる道とは何なのか……
でも、会わなきゃならない
それは間違っていないと思う
それは間違っていないと思う
アイツが今どんな風に生きているのか
まずはそれを確認しなくては……
まずはそれを確認しなくては……
視界には、遠くに小さくだが……山荘が見え始めていた