占い師と少女 マッドガッサー決戦編 16
○月×日 22:43
黒服さんを倒してから十数分。
私たちは気絶した黒服さんを床の一角に寝かせ、大将の能力で操ったGを扉付近に配置することで、休養出来る状況を整えていた。
そんな一時の休養を楽しんでいた最中に、占い師さんが金さんに話しかける。
私たちは気絶した黒服さんを床の一角に寝かせ、大将の能力で操ったGを扉付近に配置することで、休養出来る状況を整えていた。
そんな一時の休養を楽しんでいた最中に、占い師さんが金さんに話しかける。
「…………なあ、金さん」
「はい?」
「聞きそびれていたんだが、今の状態のあんたはどれくらい戦えるんだ?」
「はい?」
「聞きそびれていたんだが、今の状態のあんたはどれくらい戦えるんだ?」
占い師さんの言葉に、そういえば、と私が声をあげた。
「……金さんが『動く二ノ宮金次郎像』だって事だけでしたっけ、私たちが知っているの」
「そうですね……普段の身体なら、石像ですから拳や薪で殴ったり、薪を爆弾にしたり出来るんですが……」
「そうですね……普段の身体なら、石像ですから拳や薪で殴ったり、薪を爆弾にしたり出来るんですが……」
そう言って、腕を軽く振る。
途端、手から何か白銀に光る物体が飛び出し
途端、手から何か白銀に光る物体が飛び出し
ストン
軽い音を立てて、教室の一角にある連絡用のボードに突き刺さった。
壁にほぼ垂直に突き刺さり、非常灯の光を浴びて鈍く輝くそれは――――
壁にほぼ垂直に突き刺さり、非常灯の光を浴びて鈍く輝くそれは――――
「……ナイフを出現させる能力、か」
「はい。後出来る事を言えば……」
「はい。後出来る事を言えば……」
そう言って室内を見渡す金さん。
少しして、その視線が教室の一角に止まった。
先程の戦闘で占い師さんが蹴り上げたタイル。その割れた端を、金さんは手にとり、ヒュンと、ボードに突き立てたナイフに向かって、放り投げた。
その破片がナイフにぶつかる寸前――――
少しして、その視線が教室の一角に止まった。
先程の戦闘で占い師さんが蹴り上げたタイル。その割れた端を、金さんは手にとり、ヒュンと、ボードに突き立てたナイフに向かって、放り投げた。
その破片がナイフにぶつかる寸前――――
ボウンッ!!
――――破片が、爆発した。
小規模ながらも、威力のある爆発。
煙が去った後、そこには黒焦げになったボードと、ひしゃげたナイフが残されていた。
小規模ながらも、威力のある爆発。
煙が去った後、そこには黒焦げになったボードと、ひしゃげたナイフが残されていた。
「さっき言っていた薪の代わりに、石やコンクリート片を爆発させる事が出来ますね、一応」
「ほう……これで全部、か?」
「そうですね」
「そうか、わざわざ教えてもらって悪いな。出来るだけ仲間内の戦力は知っておきたいんだ」
「いえ、構いませんよ」
「ほう……これで全部、か?」
「そうですね」
「そうか、わざわざ教えてもらって悪いな。出来るだけ仲間内の戦力は知っておきたいんだ」
「いえ、構いませんよ」
パタパタと手を振る金さんに、占い師さんは軽く会釈をして立ち上がった。
そのまま私の方へとやってくる。
そのまま私の方へとやってくる。
「……何で、金さんにあんな事を聞いたんですか?」
占い師さんが近くにまでやって来た時、私は小声でそう尋ねた。
私のすぐ前に座りながら、占い師さんは聞き返した。
私のすぐ前に座りながら、占い師さんは聞き返した。
「あんな事?」
「金さんの能力について、ですよ。占い師さんなら、自分の能力で幾らでも調べられますよね? 何だか疑ってるみたいでしたよ」
「ああ……いや、さっきのTさんの事もあって、ちょっとな」
「Tさんの?」
「金さんの能力について、ですよ。占い師さんなら、自分の能力で幾らでも調べられますよね? 何だか疑ってるみたいでしたよ」
「ああ……いや、さっきのTさんの事もあって、ちょっとな」
「Tさんの?」
頭をかきながら言った占い師さんの言葉に、小さな疑問を覚えた。
「え、でも、Tさんの事は信用してたんですよね?」
「信用って言うよりは敵意なしにつき……って感じか。まぁ、向こうも同じような感じだとは思うが」
「それでも、嘘はついてなかったんでしょう?」
「いや……問題はそこだ」
「信用って言うよりは敵意なしにつき……って感じか。まぁ、向こうも同じような感じだとは思うが」
「それでも、嘘はついてなかったんでしょう?」
「いや……問題はそこだ」
占い師さんが肩を竦め、視線を上にあげる。
その目に何が映っているのが先程Tさんに出会った時の情景なのか、はたまた他の何かなのかは、私にはわからなかった。
その目に何が映っているのが先程Tさんに出会った時の情景なのか、はたまた他の何かなのかは、私にはわからなかった。
「Tさんの言っていた能力に虚偽はなかった。少なくとも俺があの時間内で読み取った範囲では」
「だったら…………」
「だったら…………」
そう言う私を、占い師さんは手で遮る。
「今まで何千、何万の人間や都市伝説の中を見てきたが、Tさんの中は特に複雑だったし、包み隠された部分を多かった」
それだけなら、まだいい。そう占い師さんは続けた。
「誰にだって隠したい部分はあるさ、もちろん。だが、Tさんの都市伝説としての力……そこに、『寺生まれで霊感の強いTさん』以外の何かがあった」
「何かって……何ですか?」
「さて、な。あの短時間だからな、俺はそれ以上読み取れなかった」
「何かって……何ですか?」
「さて、な。あの短時間だからな、俺はそれ以上読み取れなかった」
正確に何年かは聞いた事がないので分からない。
けれど、少なくとも数百年以上生きている占い師さんの能力で読み取れない物は、恐らくほとんどないはずだ。
それでも読み取りきれないTさんの隠された部分……一体、何なのだろう。
けれど、少なくとも数百年以上生きている占い師さんの能力で読み取れない物は、恐らくほとんどないはずだ。
それでも読み取りきれないTさんの隠された部分……一体、何なのだろう。
「……ま、そういう事だ」
あれこれと考えていた私の頭にポンと手を置いて、占い師さんが立ち上がった。
「今までそういう人間に出会わなかったわけじゃないが、少なくとも都市伝説でああ言ったタイプに会うのは初めてだった」
だから、と。占い師さんは続ける。
「都市伝説には隠したい能力の一つや二つ、あるかもしれないからな。俺の能力で読み取って、その上でちゃんと相手に聞いておいた方がいいと思ったんだよ。もし隠された能力があったとしても、相手が自分からそれを言わなきゃ下手な追及はしないし、それに合せて行動するつもりだ」
立ち上がったまま腰を伸ばし、肩を回す。
「……まぁ、少なくともこの中には、人間にしろ都市伝説にしろ、特に隠された能力はないみたいだけどな」
そう言って軽く笑った占い師さんを見て、私は少しだけ驚いた。
今までなら、例え隠された事があっても、それに頓着せずに読み取っていた占い師さん。
それが今、こうして相手を気遣うような行動を取っていた。
今までなら、例え隠された事があっても、それに頓着せずに読み取っていた占い師さん。
それが今、こうして相手を気遣うような行動を取っていた。
――――この戦いで、占い師さんも何か変わってきているのだろうか。
そんな事を考え、しかし占い師さんには何も言わなかった。多分、言い方を間違えるとショックを与えてしまう。
「ん? 人の顔なんか見て、どうした、未来」
「…………いえ、何でもありません」
「…………いえ、何でもありません」
だから、そう答える。
何となく占い師さんが釈然としていないような雰囲気を感じ取り、それ以上の追撃を避けるため、壁にかけられた時計へと目を写した。
時計の指している時刻は夜の10時47分。
黒服さんも起きないし、特にこれと言った爆音や衝撃もない。
あるのは、昆虫の歩く音と、不良教師さん達が話す声だけ。
そんな中、ふと二階で分かれた人たちの事を思い出した。
……説得は、上手くいっているだろうか。
何となく占い師さんが釈然としていないような雰囲気を感じ取り、それ以上の追撃を避けるため、壁にかけられた時計へと目を写した。
時計の指している時刻は夜の10時47分。
黒服さんも起きないし、特にこれと言った爆音や衝撃もない。
あるのは、昆虫の歩く音と、不良教師さん達が話す声だけ。
そんな中、ふと二階で分かれた人たちの事を思い出した。
……説得は、上手くいっているだろうか。