「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-05

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【電磁人の韻律詩~5号~ ビハインド・ザ・マスク】

「ああ、はいすいません。はい、はい、今日はちょっと熱が出て……。
 はい、両親も居ないので、はい。病院にはちゃんと行ってきます。
 ゴッホゴホ!」
明日真は仮病で学校をずる休みしていた。
「身体に気をつけろよ。」
気だるそうな教師の声。
仮病がばれているのではないだろうか。
「アリガトウゴザイ、ごほごほ!!
 ありがとうございます、それじゃあ。」
プツッ
――――――ツーツーツー
明日真は電話を置いた。
電話を置くとその足で急いで二階まで上がる。
「おい、大丈夫か?」
「………zz」
「寝ているか、まだ熱が下がらないな。」
「学校、良いの?」
「起きていたのか?構わないよ、それよりその状態のお前を家に残す方が心配だ。」
「へへ、ありがとう。」
ベッドの中で恥ずかしそうに照れ笑いをする恋路。
「当たり前じゃないか。寝ていろよ。」
そう言いながら恋路の額に置いてある濡れたタオルを何度も取り替える明日。
昨日の晩から彼女の熱は中々下がらなかった。
電子レンジの姿に戻ってみてもいつまで経っても異常な熱を発し続けているのだ。

「しかし電子レンジで猫をチン!にあんな使い方があったとはな……。」
金属に大量のマイクロ波を流し込んで融かすことができるとは契約者である彼も考えて居なかった。
それなのに都市伝説の方は自分の能力の使い方に工夫をしている。
明日真はその事実を恥ずかしく感じていた。
「黙っててごめんね。危なかったからアスマにはあんまり使わせたくなかった。」
「しかし契約者を手に入れたからってあそこまで出力が上がる物なのか?」
恋路は少し困ったような表情をしてその後何も言えなくなってしまった。
「えと、それはね………。」
「事情があるなら言わなくても良いよ。俺もそういうことって有るし……。」
恋路は黙ったままだ。

ジャブジャブ
ピチャ…………
濡れたタオルを絞る音
「ねぇねぇアスマ。」
それから話を始めたのは恋路の方からだった。
「アスマも昨日から私に尽きっきりで寝ていないんじゃない?」
「そうだな、でも少しくらい大丈夫だろう。」
「大丈夫じゃないよ、あれだけ大怪我しておいて一睡もしていないんじゃ危ないってば。」
「それよりも俺の無茶のせいでお前の方が危ないじゃないか。
 すこし血が出たくらいなら能力で止められるし殺菌だってできるんだ。
 お前は大人しく………」
バタリ
寄りかかるような形で明日は恋路の寝ているベッドに倒れ込んでしまった。

「あれ、アスマ?」
「………zzz」
「寝ちゃったのか。仕方ない人だね。
 ………どうしよう?一緒に、寝ちゃおうかな。」
明日は完全に眠っている。
徹夜を続けていたことや怪我をしたことで疲労が溜まっていたのだろう。
ゴクリ、とつばを飲み込む恋路。

「ええい、ままよ!」
明日を無理矢理自分のベッドに引きずり込むと二人で背中を合わせて眠る。
意識しないようにしているが熱で赤い顔が更に赤い。
「………どうせ俺なんて。」
「えっ!?」
「……zzz」
「寝言か、昔何があったのかな。」
恋路は自らの契約者の過去に思いを巡らせる。
そういえば彼は家族と縁が薄いと言っていた。
自分と出会うまでは、いや、自分と出会ってからも寂しい気持ちがぬぐえていないのだろうか。
セイギノミカタもDJもそれを忘れる為に、自分が一人ではないことを確かめる為にやっているのではないだろうか。
恋路は明日のことを考え続けていた。
それが彼の秘密である以上、彼自身に聞くしか手立てはない。
だけれども彼女だって秘密を抱えている。

「自分のことを言うのが先かな……。」
明日がまだ寝ていることを確認すると恋路は話を始めた。
「私ね、元々人間だったんだよ。
 電子レンジで猫をチン!と契約していたんだ。
 都市伝説以上に都市伝説としての能力を上手に使えるでしょ、
 ていうか元ネタから逸脱した“応用”をすることができたじゃない?
 昨日のマクロフィンガーとかさ。
 あれは全部私が人間だった頃に考えたこの都市伝説の応用技なんだよ。
 アスマに教えた止血とかね。
 その時に色々有ってさ、人間だった私は都市伝説に飲み込まれちゃったんだ。
 私なんて容量の有る方じゃなかったしね。
 あの時は後悔したよ、もっと仲間を信じれば良かった。
 不幸中の幸いというか相手は人格の無い都市伝説だったから私自体は飲み込まれていなくて………。
 ずっと契約できる人を探していた。
 その間はほとんど意識のない状態だったからさ、アスマに会って始めて視界が開けた感覚だったよ。
 都市伝説になる前の記憶はもう殆ど無くしていたからとにかく契約して貰おうと焦ったね。
 ハーメルンの笛吹きも近づいていたしさ。
 まぁ、その、詳しく言えないけど仲間を信じられなくて私が死んじゃったからさ。
 今度は、アスマだけは絶対信じて助けたい。
 そう思っているんだよね。
 だから、頼むから無茶しちゃ駄目だよ。君を心配する奴は結構多いんだ。」
ふと我に返ると自分が恥ずかしいことを言っていると気づいた恋路。
「………話しすぎたか。」
それだけ喋ると恋路はまた眠り始めてしまった。


「俺は今寝ている、セイギノミカタと言っても寝言でらしくないこと言ってしまうかもしれない。
 だからこれから話すことは寝言として忘れろよ、聞いていたらだけど。」

恋路が話し終えた頃合いを見計らって明日も話始める。
恋路が寝ているかどうかは知らない。

「俺の両親ってプロのモトクロスライダーでよ。
 ずっと俺を置いて世界中を回っていてさ。
 だから俺もずっと婆ちゃんに育てられていた。
 なんで自分の両親が他の家の子供と同じようにいないのかずっと疑問に思っていた。
 自分が必要のない人間なのかな、って小さい頃は思っていたよ。
 それで寂しかったからなんとはなしに夜の町に通っちゃったりして……。
 そこではろくでもない奴も良い奴も沢山いてな、まあこの前の事件でみんな居なくなったんだけどな。
 そりゃあ親とか世間には嫌われているような奴らばっかりだったさ。
 でも……、あー皆居なくなっちまったのか。くそったれ……。
 寂しい奴ら同士だったけど集まって少しは楽しめていたんだ。
 あいつに、ハーメルンの笛吹きにそれを奪う権利なんてねえだろうが……。
 なんなんだよ、あいつ。あいつは何がしたいんだよ……。
 そしてなんで俺はあいつ一人から逃げることしか出来なかったんだ、くそっ。」
そこまで話をすると明日も黙ってしまった。
明日の家のベッドは親がアメリカで買ってきたもののせいか妙に大きい。
だから二人が同じベッドで寝ていると言っても距離がある。
いつの間に起きていたのだろうか恋路が口を開いた。

「そっち行っても良いかな?」
「俺は寝ているからしらねえよ。
 セイギノミカタは悪人に恐怖も抱かないし親に対する愚痴も言わなければ
 友達を奪われたからと言って女々しく嘆いているだけなんて事はない。
 俺は今、完全に寝ているんだ。」
「無理しているとそのうちパンクしちゃうよ?」
「………………。」
明日は返事をしない。
「あ、寝たふりしちゃってー。」

モソモソ

布団を被ったまま明日に這い寄る恋路。
「がばぁ!」
後ろから思い切り抱きつく。
「はぁ……、さっきまでボロボロじゃなかったか?
 まだ熱だって下がっていないだろうが。」
「アスマの方が重傷さ、そんなに色々抱えていないで少しは私にも分けなさい!
 ゆっくり強くなって、それから守りたい物を守れば良いんだよ。
 弱いことは悪い事じゃないんだから。
 だからアスマは真っ直ぐに努力し続けて、私はずっとそれを手伝うよ。」
それが、彼女の過去に対する償いになるから。
「じゃあこれからしばらくよろしく頼んだ。」
「ふふっ、じゃあまずはお友達からね。」
「何を言っているんだかな。」
明日は軽く笑うと少しばかり温かい気持ちで眠りについたのであった。

その後、彼は風邪を引いて本当に学校を数日間休むのだがそれはまた別のお話。
【電磁人の韻律詩~5号~ ビハインド・ザ・マスク fin】



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