「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 三面鏡の少女-22

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三面鏡の少女 22


真夜中でもあちこちに明かりが灯る繁華街の一角
周辺で一番高いビルの屋上に立つ、和服姿の少女の姿
強い日差しも降り注ぐ雨も無い明るい月の夜に、何故か和傘を差して佇んでいる
「お久し振りですね」
少女が柔らかく微笑むと、夜闇の中に紛れるように佇んでいた黒服の男が姿を現す
「よう、今日のあんたは何歳だ?」
「そうですね、十六歳で事故死するはずだった私の姿。もっとも、その運命も予見回避してきましたが」
「俺と会うのはいつも若い時の姿だな」
「年齢相応の姿よりは、若い方がお好きでしょう? それとは別に、他の老け込んだ姿の私は出歩くのが億劫だそうですし、本体に至っては起き上がるのも大変ですもの」
「そりゃま、確かに」
くすくすと笑う少女に、黒服の男――Hは苦笑を浮かべる
「で、Hさん。一つお願いがあってこうしてお呼び出しさせていただいたのですが」
「お願いの内容によるが、とりあえず話を聞こうかね」
「それでは、その前に」
そう言って和服の少女は、手提げ袋から可愛らしい万華鏡を取り出し、それを黒服Hに向けて覗き込む
「う、おごっ!?」
くぐもった悲鳴を上げて倒れ込む、黒服Hの背後にいた別の黒服
「ダメじゃないですか、二人で会いましょうって約束でしたのに」
「俺はそのつもりだったんだけどなぁ」
少女の覗き込んだ万華鏡の中では、三面の鏡に映り込み無限に増えた黒服が
繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し
ありとあらゆる自分の未来の死に様を体験していた
青褪めた顔で時折大きく痙攣しながら、徐々に動かなくなっていく黒服を尻目に、黒服Hは肩を竦める
「相変わらずおっかない能力だね、『合わせ鏡の中に自分の死に顔が見える』って都市伝説は」
「初対面で二十二歳姿の私の下着の色を聞いてきた時に、ちょっとだけ体験させてあげましたものね」
「お陰で自分の死を回避したり、避けきれない場合の覚悟をしたりと充分役立たせてもらったさ」
「さて、そろそろ大人しくなったでしょうし。改めてお話の本題を」
少女は万華鏡を下ろして、静かに微笑む
「私の孫が、この『合わせ鏡の中に自分の死に顔が見える』と契約してしまいました。二人の娘と息子まではしっかり監視していたから、そんな事は無かったんですが……迂闊でしたわ」
本当に困っているというより、困ったふりをしているような、そんな表情で溜息を漏らす和服少女
「都市伝説は引かれ合うと言いますし。私が死んだら、あの子を『組織』に引き込んであなたが担当してくれないかしら」
「他にも都市伝説集団は色々あるのに、よりによって『組織』にかい?」
「『組織』よりも、私を担当してくれたあなたを信頼しているのですよ、Hさん」
「別の担当を引き受ける事になってるんだがなぁ……どうしてもやんなきゃダメ?」
「私に似て可愛い子ですよ?」
「自分で言うかね」
「私に似ないで表裏の無い良い子ですよ?」
「自分で言うかね」
「反応が面白くて苛め甲斐がありますよ?」
「祖母としてその言動はどうかと思うが」
「正直なところ、変なところで真面目で正義感が強くて、私の孫だなんて信じられないくらい。息子の嫁の教育が良かったのね、きっと」
「そんな嬉しそうに誉めてあげられるお孫さんを、どうして『組織』なんぞに預けようとするかね」
「『組織』以外のところに預けて、私ぐらい強くなって討伐対象になったら困ってしまうでしょう?」
「『組織』に利用されりゃ、もっと危険な事も山程ある。身をもって知ってるだろうが」
「大丈夫、きっとあなたは守ってくれるから。私を守ってくれたみたいに」
「買い被り過ぎだよ。俺はそんな権限は持ち合わせちゃいない」
「ふふ、どうかしらね? それならもう一人、人の良い黒服さんに頼んじゃおうかしら」
「あいつは勘弁してくれ。本気で過労死するから」
「それじゃあ、あなたが引き受けてくれるわよね?」
くすくすと少女は笑う
「さて、そろそろ本体の寿命の時間。色々な人を傷つけてきた私達は天国に逝けるのかしら」
「信じられてるものなら、天国もあるんじゃないかね」
「じゃあ私は地獄逝きかしら。一足先に逝ってくるわね……五、四、三、二、一」
手提げ袋から取り出した懐中時計を見ながら数字を数え
零と言おうとした瞬間に、その姿は消えてしまった
「……厄介なもん押し付けられたなぁ」
取り残された黒服Hは頭を掻きながら、足元に何時の間にか置かれた一枚の少女の写真と
背後で倒れたまま痙攣している同僚の姿を見て、どうしたものかと溜息を吐いた



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