ドクター30
「日本という国は人口密度的な問題では欧州や南米とは比べ物にならなくて」
「はい」
「つまるところ視界を遮ったり空間を詰められたり足を急かされたりする状況が非常に多く」
「はい」
「小官もできうる限り最大限の努力を以って行軍を続けたのでありますが」
「はい」
「その、えーと……駅の人混みでつい手を離してしまって、ちみっこいあの子の追跡は非常に困難で」
「はい」
「……なんというか、えー、小官の不注意ではなく地理的条件が原因かと」
「お姉(ねえ)、軍法会議の場でしたら即刻射殺ですよ?」
非常におどおどとした態度で状況を説明するツーテールの少女に対し、大きな三つ編みを下げた同じ顔の少女が笑顔で告げる
「あの少女の移送はドクターからの依頼です。『総統』直属の医務将校にして、日本支部の目標を担う御方ですよ? それに失敗ぶっこいておいて今のような言い訳をして通るとお思いですか、お姉?」
「あ、いや、ドクターは小官には割と優しいから大丈夫かなーと……」
「でしたら、私が『厳罰に処する』ように進言して差し上げます。一晩中ねっちりたっぷりと優しくして貰えますよ?」
その言葉に、お姉と呼ばれているツーテールの少女が顔を真っ赤にして身を竦める
「私達が今やるべき事は、それがドクターに露見する前にあの少女を発見、保護する事ですよね?」
「も、ももも、勿論であります!」
「だったらキリキリ動きましょうね、お姉?」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
「幸いにしてクリスマスであちこち浮かれた雰囲気のようです。少女が一人でうろついていても不審ではないでしょうし警察などの厄介にはならずに済みそうです」
三つ編みの少女はそう言うと、ツーテールの少女の手を引いてさっさと歩き出す
「都市伝説だらけの町とは聞きますが、流石に表沙汰になっているものは少ないでしょう。あの子が何か騒ぎを起こせばすぐに」
その視界の先、遥か上空で
無数のサンタと
無数の天使と
無数の全裸兄貴が
激しい空中戦を繰り広げており
「………………」
二人の『エニグマ暗号機』の能力はそれを何かの暗号かと誤認知して、同時にオーバーフローを起こしてぶっ倒れていた
「はい」
「つまるところ視界を遮ったり空間を詰められたり足を急かされたりする状況が非常に多く」
「はい」
「小官もできうる限り最大限の努力を以って行軍を続けたのでありますが」
「はい」
「その、えーと……駅の人混みでつい手を離してしまって、ちみっこいあの子の追跡は非常に困難で」
「はい」
「……なんというか、えー、小官の不注意ではなく地理的条件が原因かと」
「お姉(ねえ)、軍法会議の場でしたら即刻射殺ですよ?」
非常におどおどとした態度で状況を説明するツーテールの少女に対し、大きな三つ編みを下げた同じ顔の少女が笑顔で告げる
「あの少女の移送はドクターからの依頼です。『総統』直属の医務将校にして、日本支部の目標を担う御方ですよ? それに失敗ぶっこいておいて今のような言い訳をして通るとお思いですか、お姉?」
「あ、いや、ドクターは小官には割と優しいから大丈夫かなーと……」
「でしたら、私が『厳罰に処する』ように進言して差し上げます。一晩中ねっちりたっぷりと優しくして貰えますよ?」
その言葉に、お姉と呼ばれているツーテールの少女が顔を真っ赤にして身を竦める
「私達が今やるべき事は、それがドクターに露見する前にあの少女を発見、保護する事ですよね?」
「も、ももも、勿論であります!」
「だったらキリキリ動きましょうね、お姉?」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
「幸いにしてクリスマスであちこち浮かれた雰囲気のようです。少女が一人でうろついていても不審ではないでしょうし警察などの厄介にはならずに済みそうです」
三つ編みの少女はそう言うと、ツーテールの少女の手を引いてさっさと歩き出す
「都市伝説だらけの町とは聞きますが、流石に表沙汰になっているものは少ないでしょう。あの子が何か騒ぎを起こせばすぐに」
その視界の先、遥か上空で
無数のサンタと
無数の天使と
無数の全裸兄貴が
激しい空中戦を繰り広げており
「………………」
二人の『エニグマ暗号機』の能力はそれを何かの暗号かと誤認知して、同時にオーバーフローを起こしてぶっ倒れていた
―――
一方その頃
「……今度は誰よ」
焚き火の灯かりにつられるように、ふらふらと現れてちょこんと座り込む金色の毛玉、もとい金髪の少女
「――――――」
何か言っているようだがどうやら外国語の上にぼそぼそとしか喋らないのでさっぱり理解できない
ただ暖を取りたいだけなのだろうという様子だけは伝わってくる
特に何をするでもなく焚き火に当たっている年下の外人少女、『ウィンチェスター・ミステリー・ハウス』の契約者
「勝手にしなさいよもう」
ぱちぱちと火の粉が爆ぜる音と
「くしゅんっ!」
「くしゅっ!」
同時に出るくしゃみ
「言葉は違っても、こういうのは一緒よね」
「――――――?」
言葉が通じない二人の間には、会話も無く
町のあちこちが騒がしい中
ただ、静かに時間だけが流れていった
「……今度は誰よ」
焚き火の灯かりにつられるように、ふらふらと現れてちょこんと座り込む金色の毛玉、もとい金髪の少女
「――――――」
何か言っているようだがどうやら外国語の上にぼそぼそとしか喋らないのでさっぱり理解できない
ただ暖を取りたいだけなのだろうという様子だけは伝わってくる
特に何をするでもなく焚き火に当たっている年下の外人少女、『ウィンチェスター・ミステリー・ハウス』の契約者
「勝手にしなさいよもう」
ぱちぱちと火の粉が爆ぜる音と
「くしゅんっ!」
「くしゅっ!」
同時に出るくしゃみ
「言葉は違っても、こういうのは一緒よね」
「――――――?」
言葉が通じない二人の間には、会話も無く
町のあちこちが騒がしい中
ただ、静かに時間だけが流れていった