12月24日 14;47 北区
「ほぅ、クリスマスパーティは明日か」
「あぁ。マッドは契約者とデートだって言うし、マリもスパニッシュフライ契約者と二人でいたいって言うし…辰也の奴も、恵を誘おうと頑張ってるみたいだからな」
「あぁ。マッドは契約者とデートだって言うし、マリもスパニッシュフライ契約者と二人でいたいって言うし…辰也の奴も、恵を誘おうと頑張ってるみたいだからな」
北区
昼間でもなお人通りの少ない道を、二人の青年が歩いていた
一人は、やや長身で、髪を茶色く染めた、すらりと鍛えられた体をした青年
もう一人は眼鏡をかけていて…恐らく、天然の色であろう薄茶色の長い髪、小柄で細く、中性的な印象の青年
長身の青年…魔女の一撃の契約者は、明日、教会で行う予定のパーティのための食材などを手に、教会への帰路に付いていた
その帰り道、たまたま顔を合わせた友人と、こうやって話しながら歩いてきていたのだ
……高校の頃の、友人
一番の親友と比べるとややランクは落ちるが、それでも大切な友人である
この友人までもが、都市伝説契約者である事を知った今、若干、裏切られていた感はあるが…以前のように、一人嫉妬を募らせ、暴走したりは、もうしない
もう、彼には、「悪魔の囁き」は憑いていないのだから
昼間でもなお人通りの少ない道を、二人の青年が歩いていた
一人は、やや長身で、髪を茶色く染めた、すらりと鍛えられた体をした青年
もう一人は眼鏡をかけていて…恐らく、天然の色であろう薄茶色の長い髪、小柄で細く、中性的な印象の青年
長身の青年…魔女の一撃の契約者は、明日、教会で行う予定のパーティのための食材などを手に、教会への帰路に付いていた
その帰り道、たまたま顔を合わせた友人と、こうやって話しながら歩いてきていたのだ
……高校の頃の、友人
一番の親友と比べるとややランクは落ちるが、それでも大切な友人である
この友人までもが、都市伝説契約者である事を知った今、若干、裏切られていた感はあるが…以前のように、一人嫉妬を募らせ、暴走したりは、もうしない
もう、彼には、「悪魔の囁き」は憑いていないのだから
「君は?君の事だから、クリスマス用に彼女の一人や二人、創る事もできるだろう。バストサイズさえ気にしなければ」
「Dカップ未満に興味はない」
「言い切ったな」
「Dカップ未満に興味はない」
「言い切ったな」
魔女の一撃契約者の、あまりに堂々とした答えに、友人は小さく苦笑してくる
ぱらり、ぱらり
歩きながら、分厚い、難しそうな本を読んでいるというなんとも危なっかしい様子だが…幸い、今のところ転ぶ様子はない
ぱらり、ぱらり
歩きながら、分厚い、難しそうな本を読んでいるというなんとも危なっかしい様子だが…幸い、今のところ転ぶ様子はない
「では、せめて、君が契約している都市伝説と過ごす、という選択肢はないのかい?」
「何が悲しくて、年齢詐欺ロリ婆とクリスマス過ごさなきゃならないんだ?」
「…君はもう少し、契約都市伝説に優しくなってもバチは当たらないと思うぞ?」
「何が悲しくて、年齢詐欺ロリ婆とクリスマス過ごさなきゃならないんだ?」
「…君はもう少し、契約都市伝説に優しくなってもバチは当たらないと思うぞ?」
再び、苦笑される
うるせぇ、と魔女の一撃契約者は適当に言い返した
うるせぇ、と魔女の一撃契約者は適当に言い返した
…本当なら
一緒に過ごしたい相手は、いるのだが
向こうは向こうで都合があるだろうし、邪魔するわけにもいかないだろう
一緒に過ごしたい相手は、いるのだが
向こうは向こうで都合があるだろうし、邪魔するわけにもいかないだろう
魔女の一撃契約者が…そう考えていると
ピタリ
二人は、唐突に足を止めた
二人は、唐突に足を止めた
「…何か来そうだね」
「あぁ、ちょっと下がってろ」
「あぁ、ちょっと下がってろ」
買った荷物を友人に押し付け、魔女の一撃契約者は、気配の先を睨みつけた
友人を庇うような位置に立ち、いつでも攻撃できる構えを取る
友人を庇うような位置に立ち、いつでも攻撃できる構えを取る
…ゆらり
現れたのは…
現れたのは…
「…サンタクロース?」
そう、見えた
サンタクロースの、姿に
一見、警戒を解くべきその姿に…しかし、魔女の一撃契約者は、さらに警戒を強めた
サンタクロースの姿をした、危険な都市伝説が存在する事は知っている
目の前に現れた相手が、それである可能性は高いのだ
サンタクロースの、姿に
一見、警戒を解くべきその姿に…しかし、魔女の一撃契約者は、さらに警戒を強めた
サンタクロースの姿をした、危険な都市伝説が存在する事は知っている
目の前に現れた相手が、それである可能性は高いのだ
「…何だ?てめぇは」
ギロリ、サンタクロースを睨みつける魔女の一撃契約者
にこり、と
サンタクロースは、人畜無害をアピールするように笑った
にこり、と
サンタクロースは、人畜無害をアピールするように笑った
「---メリークリスマス!!」
クリスマスを祝福する声が、その口から漏れて
背負っていた袋を、魔女の一撃契約者に向けて、開いた
中から何かが飛び出してきて…………どさり
魔女の一撃契約者の足元に、落ちる
背負っていた袋を、魔女の一撃契約者に向けて、開いた
中から何かが飛び出してきて…………どさり
魔女の一撃契約者の足元に、落ちる
「……………え?」
その、姿に
魔女の一撃契約者は、視線を奪われた
魔女の一撃契約者は、視線を奪われた
目の前に、落とされた、それ
それは、どう見ても
誰かに惨殺された、血塗れの……………---------
それは、どう見ても
誰かに惨殺された、血塗れの……………---------
「----------っ」
その、瞬間
全身の血が沸騰するような錯覚を…魔女の一撃契約者は、覚えて
その直後、魔女の一撃契約者の姿が…かき消えた
全身の血が沸騰するような錯覚を…魔女の一撃契約者は、覚えて
その直後、魔女の一撃契約者の姿が…かき消えた
「え?」
魔の抜けた声をあげたサンタクロース
その直後に、サンタクロースの体は……何者かによって、殴り飛ばされた
その直後に、サンタクロースの体は……何者かによって、殴り飛ばされた
「------が!?」
サンタクロースを殴り飛ばしたのは…魔女の一撃契約者
一瞬の踏み込みでサンタクロースの懐にもぐりこみ、その体を殴り飛ばしたのだ
一瞬の踏み込みでサンタクロースの懐にもぐりこみ、その体を殴り飛ばしたのだ
その表情は憎悪で彩られている
「………っの、野郎」
こいつが惨殺死体を出した
あいつの惨殺死体を出した
それじゃあ、あいつを殺したのはこいつだ
殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!!!!!!!
あいつの惨殺死体を出した
それじゃあ、あいつを殺したのはこいつだ
殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!!!!!!!
憎悪一色で彩られた感情
それが、魔女の一撃契約者の体を突き動かす
衝動に動かされるまま、魔女の一撃契約者は追撃を加えようとして
それが、魔女の一撃契約者の体を突き動かす
衝動に動かされるまま、魔女の一撃契約者は追撃を加えようとして
「…落ち着きたまえ」
そんな魔女の一撃契約者に、友人が冷静な声で告げた
その瞬間、魔女の一撃契約者の体が、何者かに押さえつけられた
その瞬間、魔女の一撃契約者の体が、何者かに押さえつけられた
「っ!?」
「アフ、しっかりと抑えて居てくれよ」
「アフ、しっかりと抑えて居てくれよ」
魔女の一撃契約者を押さえつけているのは、筋骨隆々な体に、黒い漆黒の翼を生やし、真っ赤に燃え盛る鎖を見につけた、天使
すたすた、魔女の一撃契約者に歩み寄る友人が手にしている本は…ぱらぱらぱらぱら、と風もなく、誰かがめくっている訳でもないのに、勝手にめくれ続けていた
すたすた、魔女の一撃契約者に歩み寄る友人が手にしている本は…ぱらぱらぱらぱら、と風もなく、誰かがめくっている訳でもないのに、勝手にめくれ続けていた
「ッ邪魔、するんじゃねぇ!!」
「だから、落ち着け。あの死体は偽物だ」
「だから、落ち着け。あの死体は偽物だ」
……偽物?
そう言われて…じ、とあの惨殺死体を見詰める
…確かに
どこか、違和感を覚えた
あれは……あいつじゃ、ない
そう言われて…じ、とあの惨殺死体を見詰める
…確かに
どこか、違和感を覚えた
あれは……あいつじゃ、ない
「彼は、簡単に殺される人間ではないだろう。冷静に考えればわかるはずだ」
「…………ぁ」
「…………ぁ」
体中から、力が抜ける
…良かった
あいつが、死んだ訳ではないのだ
良かった
もし、あいつが死んでいるのなら
もう、この世に生きている理由も、なくなってしまうから
…良かった
あいつが、死んだ訳ではないのだ
良かった
もし、あいつが死んでいるのなら
もう、この世に生きている理由も、なくなってしまうから
「…まったく、物騒な事をしてくれる。恐怖のサンタ、とでも言った所か」
友人は、魔女の一撃契約者に殴り飛ばされ、ぴくぴく痙攣しているサンタクロースに視線をやる
その表情は、感情が薄いものの………やや、怒りが滲んでいるようだった
その表情は、感情が薄いものの………やや、怒りが滲んでいるようだった
「落ち着いたかい?」
「………あぁ」
「………あぁ」
魔女の一撃契約者の答えに、彼を抑えていたアフと呼ばれた天使が手を放す
…ぱたんっ
友人が、手にしていた分厚い本を閉じて
その瞬間、友人の周囲に、複数の天使が姿を現した
…ぱたんっ
友人が、手にしていた分厚い本を閉じて
その瞬間、友人の周囲に、複数の天使が姿を現した
「さて、君も、先ほど少し無茶な動きをしたようだが、まだ動けるね?」
「…?あぁ、まだ余裕だ」
「それじゃあ、君と僕を不快にさせた、あの恐怖のサンタのフルボッコタイムといこうか」
「…?あぁ、まだ余裕だ」
「それじゃあ、君と僕を不快にさせた、あの恐怖のサンタのフルボッコタイムといこうか」
----びくっ!
友人の言葉に、恐怖のサンタは体を振るわせた…が、殴られたダメージが大きかったのか、その場から動けずにいる
友人の言葉に、恐怖のサンタは体を振るわせた…が、殴られたダメージが大きかったのか、その場から動けずにいる
「…それは、いいけどよ。お前、そんなに複数同時に呼び出して大丈夫なのか」
「うむ、ぶっちゃけ、後で反動がデカい予感はムンムンだ。だが、君をあそこまで怒らせたあの恐怖のサンタの行動は僕としても腹が立ってね」
「うむ、ぶっちゃけ、後で反動がデカい予感はムンムンだ。だが、君をあそこまで怒らせたあの恐怖のサンタの行動は僕としても腹が立ってね」
…その、声は、ハッキリとした怒りで彩られていた
「…もし、彼が本当に殺されていたならば、これではすまないのだ。悪趣味な悪戯の代償は払ってもらおうではないか」
燃え盛る鎖を手にした漆黒の翼を持つ天使達が
炎と雹と霰を纏った、鷲が
槍を、己を持った天使達が…一斉に、恐怖のサンタを取り囲む
炎と雹と霰を纏った、鷲が
槍を、己を持った天使達が…一斉に、恐怖のサンタを取り囲む
「…俺が叩きのめす分も残しておけよ」
低い声で、そう言って
ゆらり…魔女の一撃契約者も、そのフルボッコの輪に、ゆっくりと加わったのだった
ゆらり…魔女の一撃契約者も、そのフルボッコの輪に、ゆっくりと加わったのだった
続かない