「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-33c

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匿名ユーザー

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 …くるり
 水族館の、イルカプールを見下ろす座席
 そこに、一人の少女が腰掛けていた
 黒い、ゴスロリのサンタ衣装を身にまとい、黒いレースの日傘を差した少女
 先程の、謎のヒーローと全裸兄貴の戦いを見ても、騒ぐ様子なく…彼女は、そこを見下ろしていた

「ふぅむ、なるほどのぅ…あれが、H-No360が新たに担当をしている契約者か…なかなか、見所のある少年じゃのぅ」

 血も美味そうじゃし
 不吉な事を呟く
 そんな少女の背後に…ぬぅ、と大男が現れた
 大柄でガタイのいい体を包む黒スーツ、サングラスで隠しきれるはずもない顔の縫い目が、酷く威圧的な男だ

「…お嬢様、ひとまず、目撃者はこの会場から出られなくしておきました」
「うむ、では、頼んだぞ、G-No,1」
「了解いたしました」

 たんっ、と
 大柄な男が、軽く床を蹴る
 すちゃり、少女が懐からサングラスを取り出し、身につけた

 だん!!と
 男は、イルカプールの中央の舞台に降り立った
 観客たちがますます混乱する中…男は、ゆっくりとサングラスを外す

 その瞬間
 男の、サングラスの下から現れた目が……赤く、光って
 その赤い光は、会場内を包み込んだ




「……あれ??」

 観客たちが、気づいた時
 大柄な男の姿は消えていた
 倒れていた全裸兄貴も消えている

 そして、観客たちの記憶からは、その大柄な男の記憶も、全裸兄貴の記憶も…その兄貴と戦っていた、謎のヒーローの記憶も
 全て、消え去っていた
 ただ、プールで泳ぐイルカ達が、不思議そうに、係員のツギの指示を待っていたのだった




「うむ、たまには現場に出るのもいいものじゃな!」

 現場の空気と言う奴がよくわかる
 そう言って、少女は上機嫌だ
 …水族館の売店で買ったのか買わせたのか、大きなイルカのヌイグルミを抱えているのも、ご機嫌の理由だろう

「なぁ、G-No,1よ」
「お気持ちはわかりますが、だからと言って、そう頻繁にお嬢様に現場に出ていただくわけにもいきません」

 ぴしゃり、そう言いきる大柄な男
 むぅ、と少女は可愛らしく頬を膨らます

「妾も、もっと現場の仕事がしたいのじゃ」
「お嬢様は、それを言い訳に外へと出たいだけでしょう」

 苦笑する大柄な男
 考えを読まれたからか、少女はバツの悪そうな顔をする

「…さて、上空を飛んでおる、残りの兄貴達じゃが」
「お嬢様が飛んで撃ち落すのは却下です」
「わかっておるわ…一応、モンスの天使が頑張っておるようじゃし、様子見じゃな。禿本体に関しては、見つけ次第、気絶寸前まで血を吸い尽くしてくれるわ」
「…お嬢様にあの筋肉が感染しては困ります。おやめください」

 …むむむむ
 何故、この部下は自分に仕事をさせてくれないのか
 くるり、くるり
 日傘を回しつつ、むくれる少女
 大柄な男は、そんな上司の姿に小さく苦笑して
 どこか、アンバランスな二人組みは、水族館を後にした

 男は、通称 黒服G
 一般の黒服達と上層部を繋ぐ、そんな中間管理職的な立場にある男だ
 少女は、通称……お嬢様、もしくはお嬢さん
 彼女もまた、「組織」の黒服の一人

 …俗に言う、「上層部」メンバーの一人であった





fin




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