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連載 - 恐怖のサンタ-b05

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uranaishi

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恐怖のサンタ クリスマス編 05



 とある都市伝説の多く存在する町の上空。
 そこに、二つの影が浮かんでいた。
 ――――それは目の錯覚なのか、はたまた幻覚なのか。
 その光景を見た者は、思わずそう首を傾げた事だろう。
 上空に浮かぶ片方は、どこか透けた幽霊のような女性。
 そしてもう一方は、金色に輝く兄貴をその身の周囲に固めた、禿の男性。
 (主に一方から)誰もが目を背けたくなるような光景が、そこに展開されていた。
 それでも僅かに、本当に僅かながら両者の間には、均衡が保たれていた。
 ……しかし、金色の光を纏った禿によって、それはさらなる地獄へと発展する。

「――――滅 鉄 雄 零 淫 ! ! !」

 禿の放った言葉と共に、彼の周囲にかたまっていた兄貴がその輝きを増す。
 そして、皆バラバラのポーズで、しかし己の「モノ」を強調して……それらは射出された。
 綺麗な弧線を描き、半透明の女性へと向かって行く兄貴達。
 それが女性へと到達しようかという、まさにその時――――

「いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉうっ!!!!!」

 ――――唐突に、辺りに声が響き渡った。
 同時に、彼方より飛来してくる赤い影。

「私に愛を、プッリィィィィィィィィィィィィズッ!!!!!」

 叫びながら、射出された兄貴を上回る速度を持ったそれは、
 輝く兄貴と女性との間へと飛び込み

「あべしっ!!!」

 全裸の兄貴に、弾き飛ばされた。

「いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉうっ! マゾヒストさいこぉぉぉぉぉぉぉぉおうっ!!」

 弾かれ、飛んでいくそれは、しかし歓喜の声を上げ、空を舞った。
 ドップラー効果を伴い、彼方へと去っていく赤い影。
 ――全てが一瞬の出来事だった。

「…………サンタクロースでしたね」
「…………えぇ」

 マゾサンタと呼ばれるサンタ684が去り、後に取り残された二人。
 軽く首を傾げ合い……しかしそれでも、彼らは緊張を解かない。
 張りつめた空気。小さくそよぐ風。怒張する禿の槍。それら全てが、張りつめた空気を作り出していた。
 ――――その後の戦闘の行方がどうなったのか。
 それは飛ばされたサンタにはどうでも良いことである。






【終】




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