「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-41a

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匿名ユーザー

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 ……何と言うか
 全力で無視したい衝動にかられたりもするのだが、見捨てる訳にはいかない
 そんな気がしてならないのだが

「…あー…」
「もがーー!!」

 多分、助けて、とか言っているんだろうなぁ
 必死な様子から、それはわかる

 不審なサンタとの遭遇後
 あのサンタが出した鹿肉の処理は猫に任せて、俺は帰路に付いていた
 で、もうちょっとで家に付きそうだったんだが…

 …家の前に、こいつが転がっていた
 うん、その
 見た感じ、金髪のミニスカサンタの格好の女にしか見えないんだが…
 これ…俺の推理が間違ってなければ…クラスメイトっぽいんだが…

「…うん、とりあえず…寒いよな、その状態」
「むぐ!!」

 こくこくこく!!
 涙目で頷いてくるそいつ
 そりゃ、そうだろう
 この糞寒い中、こんな格好で転がされているんだ、しかも縛られて
 正直、凍死する恐れすらある
 ひとまず、俺はそいつの脇にしゃがんで、まずはガムテープをとってやった

「ぷはっ!?」
「…リボン解くから、ちょっと待ってろ」

 しゅるしゅると、リボンを解いて行ってやる
 解いてやれば、よろり、なんとか立ち上がった
 ガチガチと、寒さでその体は震えている

「うぅ…ありがとうございま」
「ひとまず、人の趣味に口を出すつもりはないが。そのハードプレイは命の危険が伴うからやめておけ」
「にゃーーーーーっ!?しゅ、趣味じゃない!趣味じゃないよ!?」

 ぶるぶるぶる!!
 急いで首を左右に振ってきているが、趣味じゃなかったら、何だ、その格好
 というか、こいつの女装姿が見慣れてきた自分に何か突っ込みたいが

「って、あれ、獄門時君…わかって、る?」
「…………」

 こくり
 頷いてやると、ぴしり、そいつは固まった
 …それ以上は追求しない事にして、とりあえず、着ていたコートをかぶせてやる

「わっ!?」
「…ひとまず、体冷えてるだろ。家、来い。何か体温めるもん、出すから」

 クラスメイトが凍死しかけているところを見捨てるのもバツが悪い
 家で、コーヒーなり茶なり、いれてやろう

「え、あ……い、いいの?」
「寒いんだろ?」

 来い、とさっさと歩き出すと、慌てて俺の後をついてきた
 ……ぶっちゃけて、言おう
 こう言う格好のこいつがいる状態で、家に正面から入りたくない
 確か、今日は虎川さんが門に立っていたはず
 あの人、声デカいからな…一発で家中に声が響き渡るだろうし、近所迷惑になりかねない

 ……と、言うか
 助ける為とは言え、クラスメイトを家に上げることに、かすかな抵抗は感じている
 こう言う家だと知られたくない
 知られてしまったら、知り合いが離れていってしまう恐怖が、まだ自分の中にある
 だが、だからと言って、寒さに震えるこいつを寒空の下放置する気にもなれない
 …裏門から入れば、大丈夫だ
 多分、悟られない
 少し大きな家、くらいにしか思われない…はずだ

「あれ…ここ、裏口?」
「正面から入って、俺の家族に女装姿見られたいか?」
「………」

 よし、わかってくれたようだ
 ほっとして、裏口を開ける
 さて、後は勝手口から家の中に入り…

「あ、若、お帰りなさ………」

 ………
 …………
 ……………

 最高に気まずい沈黙が、辺りを支配する

「…わ、か?」

 …しまったぁああああああ!!??
 どうしてここに御手洗さんがいるんだよ!?
 やべ!?
 こいつの姿を見られ…

「あー、御手洗さん、その、ちょっと」
「若が彼女を連れてきたぁあああああああ!!!!????」
「待て」

 うぉい!?
 ちょっと待てや御手洗さん!?
 女装していることくらい見抜き…いや、そうしたら、こいつが精神的ダメージを受けそうな事は確実だが!!
 とりあえず、叫ぶなぁあ!!!!
 こいつも、突然の事に固まってんじゃねぇか!?

「何ぃ!?」
「若に彼女だと!?」
「どんな女だぁ!!??」

 ……待てやぁああああああ!!!!!!!!!!!
 竜宮さんも鼠谷さんも牛島さんも、全員顔を出してくるなやぁああ!!!
 どんだけ暇だったんだよ、あんたら!!
 っつか、全員が全員、極道丸出しの格好じゃねぇか!!!
 猿山さん、せめて、砥いでいる最中のドスくらい、置いてきてくれ!
 こいつが確実にビビってる
 ビビッてると思うから!!

「……みんな、いいから黙り」
「息子が彼女を連れてきただとぉ!?」

 ばぁん!!

 ……親父ぃいいいいいいい!!??
 あんたまで出てくるな!いい勢いでっ!?
 じろり
 強面の親父に視線を向けられ、こいつはかすかに体を震わせて…

 ………ぶわ
 親父の目に、涙がたまりだした

「おぉぉ……!とうとう、息子が恋人を家に連れてくるように……!これぞ、聖夜がもたらしたプレゼント!よし、今夜は飲み明かし」

 ……あー
 まずは、あれだ
 俺は、勢いよく踏み込んで、親父に接近して

「っせい!!!」

 ごがすっ!!!

「うごほぉ!!??」

 感動泣きしていた親父にとび蹴りかまして、黙らせる事にしたのだった





「あらあら、どうしたの?」

 大騒ぎを黙らせて家に入ると、お袋がぱたぱたと駆けて来た
 うん、そのミニスカサンタ衣装には突っ込まないで、だ

「お袋、何か温かい飲み物とか、服を持ってきてくれるか?」
「あら…えぇ、わかったわ」

 俺の後ろを付いてきていたこいつの格好を見て、お袋は微笑んでそう言った
 ぱたぱたと、どうやらまずは台所に向かったようだ
 ひとまず、こいつを和室に連れて行く
 炬燵もあるし、この部屋が一番暖かい

「あ、おかえりなさい、けーやくしゃ…………み?お友達??」

 かっくん
 炬燵に入っていた花子さんが、首を傾げた
 どうせ、妹以外の家族には姿が見えないのだ
 花子さんには、家でのんびりしてもらっていたのだ
 まぁな、と答えて、花子さんにお土産のアイスをやる
 花子さんは嬉しそうに、それを受け取った
 …さっきまで寒さで凍えていた奴の前で、アイスを出すと言うのも残酷な気もしたが

「ほら、炬燵入ってろよ」
「すいません、お言葉に甘えます…」

 もそもそ、炬燵に入っていくそいつ
 うわ、掘り炬燵だ、とか呟いている

「…なんつーか、悪かった」
「え?」
「騒がしい家で」

 小さく、ため息をつく
 何と言うか……極道系の家柄である事は、完璧に知られただろう
 なんとも、気が重い

「…できれば、こう言う家である事は、周囲には黙ってくれていると、ありがたい」

 知られたくなどない
 知られたら、皆離れるだろう
 どんなに仲良くしてきた相手だって、極道関係者だと知った時点で離れてしまうのだ
 …小学生の頃に、それはとっくに経験済みだ

 み?と花子さんが首を傾げてきている
 俺は、花子さんを安心させるように笑ってやって
 きょとん、としている、女装した格好のままのそいつに、申し訳なく、そう言うしかなかったのだった




とぅーびー??




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