「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-59b

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 「首塚」の本部
 ここを通過する事で、その島に到着する
 この島にも雪が降っていたようで、さくり、雪を踏みしめる感覚が伝わってくる

「「首塚」は、こんな島も所有してたのね」
「あぁ。「組織」からの保護を訴えてきた連中は、大体こっちに住んでんだよ」

 黒服と望を先導し、「日焼けマシン」の契約者の青年が歩く
 神社での初詣を終え、これから「首塚」の新年会に参加だ
 望は秋祭りの後に「首塚」に入ったから、まだ「首塚」内にも知り合いが少ない
 せっかくだから、皆と顔をあわせるいい機会だろう

 さくさく、さくさく、雪を踏みしめて進んでいくと…やがて、子供達が遊んでいるような声が聞こえてきた
 木々が広がっていた視界が開け、大きな日本家屋が見えてくる
 その家屋の前では、凧揚げしたりコマ回しをしている子供達と…子供達に、そんな古風な遊びを教えている、旧日本軍の衣服を着た男達の姿があって
 平和な光景に、青年は笑みを深める

「よぉ!」

 ひらひらと手を振って声をかけると…子供達が、それに気づいた
 ぱぁ、と笑顔を浮かべて、ぱたぱたと駆け寄ってくる

「ステーキのお兄ちゃん~!」
「あけましておめでとー!」
「お年玉頂戴ー!」

 きゃあきゃあわいわい
 下は幼稚園児程度、上は小学校低学年くらいの子供達が、駆け寄ってくる
 青年に駆け寄り、そして、興味深げに黒服と望に視線をやった

「誰ー?」
「おじさん誰ー?」
「おねえちゃんだれーー??」
「っちょ…」

 見知らぬ子供達に囲まれて、やや困惑している様子の望
 黒服は…この島に集まっているのが「組織」から逃れようとした者が多い、と言う事を考えてか、自分が「組織」の者である事を名乗る訳にもいかず、困っているようで
 青年は小さく苦笑して、子供達に答える

「俺の家族だよ。ほら、中に入りたいから、ちょっとどいてくれよ
「家族ー?」
「なかま?なかま??」
「あとで遊んでねー!」

 きゃわきゃわきゃわ
 なんとか、子供達の包囲網を抜ける事に成功した
 旧日本軍の男達は、青年に敬礼して、道を明けてくる
 …家屋の中に入ると、ほんのりと温かい
 奥からは、賑やかな声が聞こえてきていた

「…あの子供達も、「組織」から逃れた…?」

 中に入ってから、黒服がそう尋ねてきて
 あぁ、と青年は答えた

「中には、都市伝説に教われてたとこを保護した奴もいるけどよ。全員、何らかの都市伝説契約者だな」
「…よくもまぁ、これだけ集まったものね」
「まだいるぞ?小学校のクラス一つ分くらいはいるから」

 ガキばっかじゃないけどな、と続ける
 ……実際のところ、「首塚」はここで保護されている非戦闘員の数が多いのだ
 その分、戦える者は戦闘力が高い者が多いことも事実
 構成員の数だけで言えば、「首塚」は相当な人数がいるのだ

「…いいのでしょうか?「組織」に対して恐怖心を抱いている方もいらっしゃるでしょうに。私まで参加して…」
「大丈夫だよ、黒服なら」

 やや不安そうな黒服に、青年はそう言って笑って見せた
 黒服ならば、問題ない
 きっと、みんなも受け入れてくれる
 青年は、そう信じていた
 それに、聞いた話によれば、マッドガッサー騒動の後辺りに、「組織」の黒服が一人、己の担当契約者共々保護を訴えてきたらしいし
 ここにいる者たちも、黒服=恐怖の対象とまでは、流石に見ない

 すたすたと、奥へと進んでいく
 障子を開けると、広い宴会場では、新年会の真っ最中だったようだ
 ……いや
 もしかしたら、年越しと同時に開始して、ずっと酒を飲んでいた可能性のある男が、一番奥にいる訳だが

「将門様!」
「む?……おぉ、来たか」

 青年達に気づき、将門がにやりと笑う
 青年は将門に歩み寄り…腰を下ろし、頭を下げた

「新年、あけましておめでとうございます」

 黒服と望も、将門に頭を下げる
 くっくっく、と将門はなんとも上機嫌な様子だ

「あぁ、楽にしろ。目出度い席だ。堅苦しい挨拶はいらん」

 ちゃぷりっ
 将門の持つ杯には、並々と酒が満たされている
 ぐ、とその酒を飲み干し…将門が、青年に手を伸ばす

「…早速だ。酒を注いでもらおうか?」
「はいっ!」

 将門に言われ、腰をあげて彼に近づく青年
 ……黒服が、やや警戒するような視線を、将門に向けた事に
 青年は、まったく気づいていないのだった



軽く続く



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー