「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-08

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 …街中で、たまたま、その姿を見かけて
 あちらも、こちらに気付いた様子に…魔女の一撃契約者、清川 誠は小さく舌打ちした
 隣を歩いていた直希が、小さく首をかしげる

「どうした?誠。あちらの銀髪男性は、君の知り合いか?」
「……知り合い、ってレベルでもないんだがな」

 できば、顔を合わせたくない相手である事は、事実だ
 秋の終わり、中央高校を陣取ってのあの騒ぎの時、ほんの少し、顔を合わせただけの相手だ
 とっくに忘れ去られていると思っていたのだが…どうやら、覚えられていたらしい
 マッドガッサーじゃあるまいし、そこまで特徴的な顔をしているつもりもなかったのだが

「久しぶりだな…魔女の一撃の、契約者」
「………よく、覚えていたもんだな」

 無意識に、視線をそらす
 …あの時は、悪魔の囁きに耳を貸してしまっていた状態だった
 それを、言い訳にするつもりはない
 だが、目の前であんな事をやらかしたのである
 やや、気まずい

 その銀髪の青年は、じっと、誠を見つめ……何か、納得したように頷いている

「「悪魔の囁き」は、もう離れたか」
「……気づいていたのか」

 再び、舌打ちする
 自分でも気づいていなかった、内に住み着いた「悪魔の囁き」の存在
 この銀髪の男は、あんな短い間しか顔を合わせていなかったと言うのに、それに気づいていたのか
 マッドガッサーが言っていた通り、対象の状態その他を把握する能力を持っているようだ
 …そんな能力を持っている相手が、誠は正直苦手だ
 普段、表に出さないようにしている、自分のどす黒い…醜い部分まで、全て見透かされてしまうような錯覚
 大して親しくもない相手に、それを悟られるのがどうにも落ち着かない

「…?ふむ。一連の会話から察するに、あなたも都市伝説契約者、もしくは都市伝説本体、と判断しても、よろしいのかな?」

 誠と銀髪の青年の言葉に黙って耳を傾けていた直希が、小さく首を傾げた
 その拍子に、青いリボンで結ばれた長い髪が揺れる
 直希の言葉に、銀髪の青年は直希に視線をやって

「………」

 …一瞬、黙り込む

「……特殊な趣味を持っているようで」
「何を誤解したのか知らないが、直希はただの友人だぞ」

 確かに
 今、直希は身内の陰謀により、どう見ても女にしか見えません、ありがとうございました、と言う服装になってはいるが
 たまたま、街で顔を合わせたらちょうどそんな格好だっただけであり、間違っても直希とデートをしていた訳ではない
 特殊な趣味なんぞない
 ただ、翼の事が好きなだけだ
 銀髪の青年が言った特殊な趣味、というのがわからなかったのか
 直希は、再び首を傾げた

「誠、それは、どんな趣味なのだろうか?」
「あぁ、お前は気にするな」

 ぼふ、と軽く頭を撫でてやる
 知識欲は人一倍旺盛で、実際、それなりに頭がいいと言うのに、直希はどこか決定的なところで抜けている
 首をかしげながらも…直希は、銀髪の青年に向き直ると、小さく頭を下げた

「お初にお目にかかる。あなたも都市伝説契約者、もしくは都市伝説ならば、報せる必要があるだろう…僕は、「仲介者」。都市伝説組織を知らぬ者が都市伝説事件に巻き込まれた際、それを助ける仕事をさせていただいている」
「仲介者……そう言えば、聞いた事があるな。フリーの都市伝説契約者に仕事を斡旋している何者かがいると」

 銀髪の青年の視線が、直希に向けられた
 直希の情報が、ゆっくりと読み取られていく

(……「光輝の書」の契約者……相性が悪いのに、よく扱えているな。都市伝説自身との対話が成立したからこそか…?)

 ゆっくり、ゆっくりと読み取られていく情報
 …その中で、ある、一つの情報に辿り着こうとした、その瞬間


 ------ギロリ


 直希が手にしていた、「光輝の書」の中の、直希の呼びかけに答える天使たちが………一斉に、銀髪の青年を見やった

「!?」

 まるで
 それを見るな、と言わんばかりに
 それを知るな、と言わんばかりに
 天使達が、情報を読み取るのを邪魔しようとしてきている

「……ふむ?」

 手にしていた「光輝の書」に、直希は視線を落として
 ふむ、と頷くと…ぱたん、と「光輝の書」を閉じた
 そして、つ…と、その細い人差し指を口元に持ってきて、告げる

「…その先は、僕のトップシークレットだ。まだ、伝えていない友人もいるのでね?」

 秘密だ、と
 かすかに、その淡白な表情に笑みを浮かべる

「どうしたんだ?………まさか」
「あぁ、誠、身構えるな。読まれてはいないはずだ」

 多分な、と
 銀髪の青年に、警戒体勢を見せた誠に、直希はそう告げる

 …天使達の視線は、もう、銀髪の青年を向いてはいない

「…申し訳ない。「仲介者」に関しては、その情報が酷く曖昧だったからな。少し、確認をしたかったんだ」
「問題ない。諸事情あって、僕はあまり表に出させてもらえていないのでね。できれば、僕自身がもっと事件解決に動きたいのだが」
「お前は体が弱いんだから。あまり表に出るべきじゃないだろうが。あちこち心配させるぞ」

 わしゅ、と
 誠が、また直希の頭を撫でた
 同じ歳のはずなのだが、どうにも、誠は直希を若干、子供扱いしてしまう傾向があった
 直希自身が抗議もしてきていないので、高校の頃から、それはずっとそのままだ

「そこまで、弱いつもりもないのだが…」
「一月の終わりに大風邪ひいて死にかけたのは誰だ。また翼に心配させて」
「………むぅ」

 翼の名前を出されて、直希は押し黙る
 …ちらり
 誠は、銀髪の青年に視線をやった
 正直、これ以上関わりあいたくない
 もう、自分の中に「悪魔の囁き」はいないとは言え…どうにも、居心地が悪いのだ

「直希、行くぞ」
「うん?……あぁ、そうだな。それでは、失礼」

 銀髪の青年に、優雅に一礼して見せて
 直希は、誠の後をついて、この場を後にした
 人通りの多い道、羽毛をあしらったマフラーをした女性にぶつかりかけながらも、その姿はすぐに見えなくなった

 銀髪の青年は、その二人の後ろ姿に視線をやって

「………?」

 …気のせい、だろうか
 誠の中に……かつて、己の契約者の中に、見つけたような
 黒い、黒い…………「悪魔の囁き」の、卵が
 一瞬、見えたような、気がしたのは



「…」
「…誠、どうかしたのか?」
「……いや」

 …気のせい、か?
 さっき、ぶつかりかけた女…どこか、で、見た事があるような?

(…確か、あれは…)

 ……あれは……確か……
 高校の…卒業式の、時
 一瞬、見かけた、翼の父親の隣に居た、女だったような?

(でも…あれは、翼の母親じゃねぇ)

 あれは、誰だったのだろうか?
 それに、あの時見かけたのは…本当に、翼の父親だったのだろうか?
 どうにも、思い出せない

(……まぁ、いい)

 もし、翼の父親が、翼に接触しようとしたならば、邪魔してやるだけだ
 …あんな男を、翼に近寄らせて溜まるか
 もし、無理矢理にでも近づくようだったら……


 自分の中で、黒い感情がかすかに動いた事に
 誠は、この時はまだ気づいていなかった





to be … ?




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