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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-告白-04

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 ≪夢の国≫は一週間前の戦闘の跡もなく、だけど静かに存在していた。今日に限ってカラフルな≪夢の国≫を彩る住民の姿も見当たらない。
 俺とTさんはあの二人が眠った場所で線香に火を付けて、身を屈めて手を合わせた。
「……楽しくやってっかな?」
 徐々に短くなっていく線香をぼんやりと見つつぼそりと言う。
「楽しくやっているだろうさ」
 Tさんが立ち上がりながら答える。
 うん、
「そうだよな……」
 線香が灰になって風に灰が散らされた頃になって、ようやっと俺も立ち上がった。
 Tさんへと振り返り、
「そういや、さ」
 俯き気味のまま、一つ気になっていたことを訊いてみた。
「夢子ちゃんがTさんに指導を受けてからほんの少し雰囲気が変わった気がするんだけど……てめぇ一体何教えやがった?」
 去年、宴会の後に町から発つ時には王様の品格よりもかわいらしさが先に立っていた感じだった夢子ちゃんだけど、Tさんの講釈を受けてから、なにか王様らしさとでもいうような雰囲気が出て来ている気がする。古臭い変な学問でも刷り込まれたんじゃないかと俺は心配でならない。
 Tさんはそれを聞くとああ、と頷き、
「住人たちを盾にする戦い方とか、少し血生臭い知識を重点的に教えたからな。その辺の影響だろう」
「んなこと指導しやがったのかよ!?」
 また随分とヘビーな事を……。
「あの子は自己犠牲の志向が強かったからな。それとは逆の、自分の従者を使役し、犠牲にする形での戦い方も選択肢の一つとして選ぶことができるようにしておいた方がいい。住人達は王が居て≪夢の国≫がある限り蘇るし、彼らも王を守るためならば多少の負傷は望むところだろう。
 そもそも≪夢の国≫を戦いに対して用いるならば不死の住民を使役しての物量作戦が最も有効なんだ。前の王のように肥大化の欲を出さなければ戦場すら≪夢の国≫の望むままなのだしな。突き詰めれば王自らは冷凍睡眠されていても尚≪夢の国≫はその意思を受けて動くことが可能だ。そして俺はそのような、前の王がしていたような戦い方を夢子ちゃんに教えた」
 そこまで話してTさんは一息つく。安心しろ。と俺に言って、
「雰囲気が変わったように見えるのは得た知識をどう自分に活かすか悩んでいるからだろう。今は少し夢子ちゃん自身が与えられた知識を吟味する時間が必要だ。一息にいろいろと教えたからな。その知識をどう使うかはあの子次第、夢子ちゃんが選べる選択肢が増えるのならば今後彼女の傍で何かが起こった時、逃げる手段も戦う手数も選べる結果もまた増える」
 はあー、なるほど。
「なんか難しい事考えてんだな」 
 怪しい学問を教えてなくて本当によかった……。
 と、そこまで言って、はたと思った。
「まさか夢子ちゃんがTさんみたいになるんじゃないだろうな……」
 説教臭くなったり妙に落ち着いた雰囲気でキラキラしてるパレードとか引き連れて歩きまわっている夢子ちゃんを想像する。
 ……ものすごい違和感なんだが……。
「気質的にそれは無いだろう」
 Tさんが手をひらひら振って断言する。
「うんうん、そうだよな。いや、いきなり変わっちまったんじゃないかと思ってちょっと複雑だったぜ」
 深く頷いていると、Tさんが心持ち穏やかな声で言った。
「変わらないものはないさ」
「へ?」
「多かれ少なかれ、な。俺とて契約者と出会ってから多少変わったし、≪夢の国≫の王も以前の創始者から変わっただろう? 変化自体はそう悪いことでもない」
「悪い事じゃ……ない」
 じゃあ、俺のこの気持ちを伝えることで起こる変化も、悪い事じゃないんだろうか?
「なあ、Tさ――」
「契約者よ」
 被せるように言われ、俺の言葉は遮られた。
「話をしようか」
「お、おう」
 あぶねえ、なんか勢いで言っちまう所だった……。そう言えばTさん、少しばかり話があるとか言ってたっけか。
 何の話だろうと聞く姿勢でいる俺に聞こえたTさんの次の言葉は、意表を突くものだった。
「昔語りを」


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 テーブルの上に立ったリカちゃんが夢子を見上げ、問いかけた。
「夢のお姉ちゃん。お兄ちゃんのお話ってなんなの?」
「そうですねー」
 夢子はんー、と眉根を寄せて数秒考え、人差し指を顔の前に持ってきながら笑顔で告げる。
「それは分かりませんけど、最終的にするのはちょっとすれ違っているお二人の答え合わせですね」
「こたえあわせ?」
 リカちゃんは夢子の言葉に頭を右にかくりと傾け、
「普段はあんなに鋭いのに……どうしてでしょうね?」
「?」
 今度は左に頭を傾けた。
 その様子に「分かりづらかったね」と苦笑して、夢子はリカちゃんに問いかける。
「リカちゃんのお兄ちゃんとお姉ちゃんはとっても仲良しで、お互いに好きあってますよね?」
 返事は即座にあった。
「うん、そうなの! まえもね! お姉ちゃん、お兄ちゃんのふくをね――あ、」
 秘密だったの。と言って手を顔へとやるリカちゃんにそうなんだ。と夢子は頷き、
「話してくれますか?」
 笑顔で迫った。
「……うー」
 困って唸るリカちゃんにごめんね、と笑いかけて、
「……私たちから見たら一目瞭然なのにね」
「ねー」
 リカちゃんと頷き合い、夢子は二人に心の中で声援を送った。

 ――私たちの≪夢の国≫には縁切りの伝説はありませんよ。頑張ってくださいね。



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