「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-15

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【電磁人の韻律詩15~failure hero~】

「ふ、ふふふふ……。」
とある高校の教室の中で微笑む男。
その手には彼の忍び込んだ高校の制服が握られていた。
ガラガラガラ!
突如、教室のドアが開いて一人の少年が飛び込んできた。
「風紀委員だ!見つけたぞ制服泥棒!神妙にお縄に着けい!」
「――――――な!?隙間男!」
男が名前を呼ぶと掃除用具入れの隙間から真っ黒い手がニュルリと伸びてくる。
「させるかよお!電子レンジで猫をチン!
少年は男に右手を向けて自らの都市伝説の名前を呼ぶ。
「ぎゃああああああああああああああ!!!!!」
男は悲鳴をあげて床を転げ回り始めた。
彼の足はまっかに腫れ上がっている。
「乙女の衣服を盗んで回る変態に容赦の必要なし!
 今、ここに、風紀委員を執行する!」
ノリノリで男を指さす少年。
彼の名前は明日真。
学校町のとある高校に通う生徒で、その学校の風紀委員をやっていた。

「ねぇ聞いた?また風紀委員がお手柄だったんでしょう?」
「聞いた聞いた!今度は制服泥棒を捕まえたんだっけ?」
「風紀委員の誰が捕まえたんだろうね?格好良いよね!」
真の居るクラスの女子達が一昨日捕まった制服泥棒のことについて話をしている。
真はそれを聞いてニヤニヤと嬉しそうに笑っていた。
正義の味方は正体を隠す者、それが彼の信条だった。
だから風紀委員長である坂本には彼が制服泥棒を捕まえたことは隠して貰っていた。
「明日、ずいぶん謙虚じゃないか?」
「正義の味方は常に顔を隠しているべきです。英雄じゃないんですから。」
「くっくっ……、言うね。だがそういうのは大好きだぜ。解った、俺が手を回しておこう。」
「ありがとうございます。」
そういう会話が隙間男を捕まえた直後に有ったのだ。
「ねー、真君?風紀委員なら知ってるんじゃないの?捕まえた人?」
「しらねーよ、委員長じゃねえの?」
「それはないでしょ、あの人悪役っぽいもん。」
真はクラスの女子に聞かれたが鬱陶しいので適当にあしらった。
そして何も知らずに正義の味方について憶測を交わす彼女らの話を聞いて笑い続けている。
それが正義の味方のささやかな楽しみだった。

真は今日も夜に備えて休み時間に昼寝をしていた。
授業の間の休みの時間くらいはそうでもしておかないと夜が辛いのだ。
「明日くん。」
「なんだ?お前が話しかけてくるなんて珍しいじゃないか。」
その日は珍しく向坂境が明日真に話しかけてきた。
風紀委員長が真に渡した『生徒の秘密丸裸ノート』によると彼女は積極的に他人と関わるタイプではなかった筈なのだが……。
「あのさ、明日君って笛吹探偵事務所って所知ってる?」
「ああ、君がアルバイトしている所だっけか?」
「そうそう、そこの探偵事務所で春休みの間だけ明日君にも手伝って欲しいって言っているんだよ。」
「なんで俺なんだ?俺以外にも適任者は居るだろう。」
「いや、所長がそう言うんだよね……。」
明日真は怪訝な顔をした。
「とにかく、一度事務所に来て欲しいって。
 バイト代は向坂より弾むぞ、正義の味方殿だってさ。」
正義の味方。
その言葉を聞いて明日真は急に反応を見せた。
「……その所長の名前を聞かせてくれないか。」
「笛吹丁。」
「ウスイヒノト……、フエフキノヒト……ね。馬鹿にしているな。」
ぼそりと呟く真。
「何、所長と知り合いなの?」
「いや、昔ちょっとな。じゃあすぐに会いに行くって伝えておいてくれ。
 一人で会いに行くからお前は付いてくるなよ?」
「むー……。」
向坂境は自分が仲間はずれにされたような気持ちになったらしくむっとしていた。
しかし、体力を温存する為に明日真はそんな彼女を無視して再び眠り始めたのである。

放課後
明日真は自分の契約する都市伝説に連絡を取る。
携帯電話に恋路の番号を打ち込むと明日のよく知る男が出てきた。
「はい、こちら笛吹探偵事務所。只今バイト募集中です。」
「………また恋路を攫ったのか?」
怒りのあまり明日の声が震えている。
「ちょっと待ってくれよ、今回はお前ら二人に話があるから連絡をとったんだぜ?」
「お前と話すことなんて何もねえよ!」
「正義の味方ってのはずいぶん人の話を聞かないんだな。
 じゃあ良いぜ、お前の彼女に説得して貰う。
 ちょっと代わるぜ。
 恋路ちゃん、貸してくれてありがとうよ。」
携帯電話が投げ渡される音が明日の耳に入る。
「あー、アスマー?」
「……なんで其処にいるんだ。」
恋路の声を聞いて一気に毒気を抜かれる明日。
どうにも彼は彼女の声を聞くと気持ちが穏やかになる。
「あのねー、黒服Hさんと上田さんって知り合いだったんだってー。
 それで私達に手を出して黒服Hさんを怒らせちゃったから、
 今回は素直に詫び入れて私達から一切合切手を引きたいんだと。」
「嘘かもしれないだろうが!」
「いやー、どうだろう。今回は話だけでも聞いてみるべきだと思うよ?」
「それでもお前は正義の味方か!」
「でも使える物は何でも使わないと。」
「なんでお前はハーメルンの笛吹きの肩を持つんだ?」
明日は都市伝説に裏切られたような気になっていた。

電話の向こうから何やら話し合う声が聞こえる。
「言って良い?」
「ああ、好きにしやがれ。」
「どうしたんだ?ハーメルンの笛吹きに何か有ったのか?」
「じゃあ言うか、…………信じられるかアスマ?
 あの殺人鬼ハーメルンの笛吹きが改心して人を殺さないって言っているんだぜ?
 その上この探偵事務所に集まる情報の一部を流すと言っているんだ。
 乗らない手は無い。」
「――――――なに!?」
明日は我が耳を疑った。
何故なら彼の知る限りでは血も涙もない殺人鬼だったはずだ。
それが人殺しをやめる……?
明日の頭の中ではクエスチョンマークがちょっとしたエレクトリカルパレードを始めていた。
「詳しく聞かせろ恋路。」
「ハーメルンの笛吹き、というか上田さんがそれについて聞かせたいんだってよ。
 とにかく早く来いだとさ。」
「どのみち行くしかないのか……。
 解った、すぐに行くから茶菓子でも用意して待っていろ。」
明日真は茜色に染まる商店街の坂道を家に向かって急ぐことにした。

ブーン……ピンポーン
エレベーターのブザーが鳴る。
明日真が指定された雑居ビルの三階に入るとすぐにその看板が目に入った。
「笛吹探偵事務所……、ここか。今は会いに行くしかないみたいだな。」
彼は手元の携帯電話に目を落とす。
「黒服さんに電話しておくべきか……?」
彼はすこしばかり考え込んでいた。
確かにここで電話をしておけば自分だけは安全だろう。
しかしそれは恋路と黒服を危険にさらす行為だとも彼は理解していた。
それにそもそも恋路は彼に上田が無害であると告げていた。
ならば明日真は相棒であり、恋人である彼女の意見を信じるべきだろう。
何かの事情で騙されたならば死ねば良い。
誰かを騙して生きていくならば誰かに騙されて死んだ方がマシだ。
明日真はそう結論した。
「さぁ、行こうか。」
自分に言い聞かせるように呟くと彼は探偵事務所のドアを開けた。

「来たか、俺の敵。この前は怪我人すら出さずに納めてくれたようだな。ありがとう。」
明日真は探偵事務所に入るとすぐに所長と書かれた机の前に座っている男を見つけた。
そしてふかふかのソファで上田が最近事務所に連れてきた穀雨という幼女と戯れる彼の都市伝説も。
もっとも彼は幼女の名前など知らないが。
「おねーちゃんもっと遊ぼうよ!」
「はっはっは、良いだろう、それじゃあ次は何して遊ぼうか?」
「トランプで遊びたい!」
「そうかそうか!鉄拳でも遊んであげたいんだけどなあ……。」
「恋路ちゃん、君とやらせたら泣くぞその子。」
「やだなあ笛吹さん、私だって手加減位します。」
さらにこの前までは殺し合いを演じていた相手と自分の相棒が割と平気で会話しているところも見てしまった。
「なんでお前らそんな和やかなの?」
明日はあまりにも平和な光景に完全に戦闘意欲を削がれてしまっていた。
「話せば長くなるんだがな、この前ハーメルンの笛吹きが暴走したのは知っているな?
 あの事件で俺の都市伝説がほぼ無力化されてしまった。
 だが、それにより彼女を維持する為に俺は人を殺す必要が無くなった。
 だから俺はもう人殺しは廃業する。シンプルだろう?
 そこでだ、その前にお前らと手打ちをしてあの黒服の怒りも躱しておきたい。
 勿論、あいつの性格上その程度で収まるわけはないだろうが、それでも落ち着く振りはしてくれるだろう?
 落ち着いた振りしてもらっている間に俺は俺で安全策を打たせて貰う。」
「……結局自分の保身か。」
人を生かすも殺すも自分の都合である、と言外に言っている男に明日は呆れていた。

「呆れているな、明日真。」
「そりゃだって……、勝手が過ぎるだろう。お前は俺の友人も殺した。」
ああ、あの日のことか。
と、上田は感慨浅げに呟いた。
「なぁ、もしだよもし。
 ゾンビなんて都市伝説があったとしよう。
 ゾンビに殺された人間はゾンビに変身して人間を襲う。
 そういう都市伝説だ。
 そういう都市伝説を目の前にしたらお前ならどうする?」
「あの場にそれが居たって言うのか?」
「信じるか信じないかはお前次第。だが、ゾンビでありながら契約をできるなんてあり得ない。
 それがあの時のお前らを見逃した理由だとしたら?」
上田明也は嘘つきだ。
確かにゾンビの件は事実だが、明日真が明日真という名前だと知るまでは目撃者として彼を消すつもりでいた。
だがそんなこと明日は気付かない。
「……だとしてもゾンビになっていない奴が居たはずだ。」
「そこはスタンスの違いだ。すこしでも可能性の有る奴が居たら殺す。
 契約者一人殺したら後は勝手に腐り落ちていったけどな。」
「契約者って?」
「お前にも見せてあげただろうがよ。お前のお友達だ。」
首だけで再開した彼の友人が実は死ぬ思いをした事件の黒幕だった、なんて話は明日真でなくとも否定したい。
だが彼が恋路に聞けば、今、幼女と探偵事務所中を使って遊んでいる恋路に聞けば、
あの晩にクラブで都市伝説を操っていた男が誰かは解る。
それに帰ってから黒服Hに聞いても良い。
だが…………

「俺、嘘ついてないぜ?」
まるでそこが世界を統べる王の玉座かのように椅子にふんぞり返る探偵「笛吹丁」。
彼の言葉の一つ一つが明日にはこれまで受けたことがないほど重く深く感じられた。
疑えない、という一種の暗示でもかけられたかのような思いだった。
いや、正確には一回だけ受けたことのある言葉の重みなのだがそれは今はまだどうでも良い話だ。
「嘘、ついていないのか?」
「ああ、嘘が判明したらこれで俺を撃つと良い。」
ゴトンと重たげな音を立てて拳銃が一つテーブルの上に乗る。
「イタリアのタンフェリオ社が、チェコのCZ75をベースに開発したTA90って銃がある。
 その技術がイスラエルに供与され、IMI社が開発した自動拳銃がこのジェリコ941だ。
 あらかじめ交換用の銃身と弾倉が用意されており、
 これらを交換することで他の部品はそのままに9mmx19弾と.41AE弾の2つの弾丸が使用できる作りだ。
 ちなみに初期には9mmx21も予定されていたんだ。
 .40S&W、.45ACP弾にも対応しているぜ。
 型式番号の「941」も、口径を表す"9"-9mm、"41"-41AEの組み合わせ。
 イスラエル陸軍の制式拳銃として採用されており、砂漠の国イスラエルらしく砂塵などに強く整備も容易なのが売り。
 同じ口径の銃と比べてマガジンの容量が多いのも特徴のひとつ。
 でだ、この中にとある教会の十字架を融かして作った純銀の弾丸が入っている。
 なんでだと思う?」
恋路と穀雨の遊ぶ声が五月蠅く響く。
探偵事務所ではなく託児所のようだ。
「自分から答えを言ったらどうだ。」
「解った。俺さ、ハーメルンの笛吹き取り込んじゃったみたいなんだよね。」
「――――――――――――!?」
明日真はしばらく言葉を失った。

そしてその後に叫んだ。
「そんなこと、あり得るわけ無いだろう!?
 どれだけ無茶苦茶な器を持てばそういうことが可能になるんだ!」
「仕方ないだろう、それでも俺はここにいる。
 実存は本質に先立つと言う訳じゃないが実存は常識に先立つんだよ。
 ありえないなんてありえないのさ。
 俺はハーメルンの笛吹きの一部を取り込んだが故に悪魔っぽい身体的特徴を手に入れ、
 メルはハーメルンの笛吹きとしての一部を失ったが故に殺人を必要としなくなった。
 あれはどちらかというともはや人間に近い生き物だよ。」
当たり前のことのように語る上田。
それが常識の埒外であることなど彼は意に介さない。
「割と死にづらくなったのは素敵だが銀製品にさわれないのが問題だ。
 シルバーアクセサリーが使えないじゃないか。
 本物の銀使わなけりゃいいんだけどさ。」
「そんな軽い話で済ませるな!お前が今度は殺人を必要とするんじゃないのか?」
「そんなに真面目になるなよ。軽く行こうぜ軽く。
 俺の人殺しについては正当防衛を除いてこれからは無いと思って貰って結構。
 ほら、そこの娘に禁止されちまったから。」
穀雨を指さして笑う上田。
明日は不覚にも彼が良い人のように見えてしまった。
上田明也は何かが切っ掛けで歪んだが決して悪人ではなかったのではないかと思ってしまった。

上田は明日に向き直ると尋ねる。
「だから問題はたった一つなんだよ。明日真、お前は俺を許せるか?
 許せないなら俺を悪と断じて裁けるか?
 それを俺は求めているんだ。
 それが終わればこちらからは一切お前らに手を出す気はない。
 そしてこの機を逃せばお前らは俺を殺せないし殺す理由も失う。」
「許せるかって……。」
上田の真っ直ぐに突き刺さる視線が明日を射すくめる。
それは明日と同じようにまっすぐに、自分が正しいと思った事をやっている人間の目だった。
「俺も聞きたいんだが、ハーメルンの笛吹きって悪い都市伝説じゃないのか?」
それは明日真の素直な疑問だった。
人々に害為す物は倒さなくてはならない、というのが彼にとっては当然の思考なのだから。
正義の味方が考える当たり前の思考なのだから。
「……そうか。確かにそれはお前にとって重要だな。
 じゃあ少し長くなるがそれに答えるとしよう。」
上田明也はコホンと咳払いをすると軽く息を吸った。

「生きとし生ける全ての物が生きようとすることに罪はない。
 生そのものが罪になると言うならばそれとコインの表裏である死もまた罪になると言うことだ。
 死もまた罪になりうると言うことは、生命という物が死んではならない、死ぬそれだけのことが罪になる状況もあると言うことだ。
 死ねばそれだけで罪になるという状況。
 生きることさえ唐突に始めねばならないのにそれを終わらせる自由も与えられないなんて、
 それはなんて嫌な世の中じゃないか?
 死ぬ自由すら与えられない世の中にって最悪じゃないか?
 死にたい時に死んではいけないのは30才までと人は言う、というかカラマーゾフの兄弟で言ってた。
 つまり30越えれば死にたい時に死んでももう仕方がないよと世間の人は認めているんだよ。
 死の自由ってのは重要だ。ここまでは良いな?
 それでだよ、次からが重要だ。
 死が自由ならば生もまた自由であって良いだろ?
 だから俺は生きとし生けるもの全てが生きようとすることに罪はないと思う。

 さてさて、ここで一つ問題が生じる。
 明日真、お前は都市伝説が生きていると思うか?
 お前も俺と同じく都市伝説は人間や他の生命と同じように生きていると思っている人間だと信じている。
 そんなお前は生きていると間違いなく答えるはずだ。
 恋路とかそういう件を抜きにしても正義の味方は誰にでも優しい、だから絶対にそう答える。

 だから俺の行動に如何に罪があったとしても彼女の存在そのものに罪はない。
 生きているだけの物の生きようとする意志と行為を罪にしてはいけない。
 俺を殺したいならそれで殺せ。
 ただしそれは正義の執行などではなく、獣が自らの縄張りを侵した他の種族を殺すのとなんら変わらない。
 正義の味方を捨ててでも俺を裁こうとするなら裁けば良いし裁いてくれ。その銃で。」

上田明也は再び咳払いをして話をやめた。

明日はそれを聞くと何も言わずに銃に手をかけた。
ゴトン、と弾倉が銃から滑り落ちてくる。
カチンカチン、と二回撃鉄をならすと明日は銃を置いた。
粋じゃないか、と上田は笑う。
「これ、くれるのか?」
「吸血鬼や狼男に対抗する手段をお前は持っていないだろう?
 俺はそれ以外にも沢山あるから良い。
 手打ちの証に持っていてくれ。」
「解った。
 俺はもう今ので気が済んだよ。
 その代わり今まで殺した人達に謝って、出来る限りつぐなって生きろよ。
 それが俺の要求だ。」
「まあ謝るについては俺の中でも色々考えが錯綜しているから……。
 今度纏まった時に長話して聞かせるよ。
 あと、都市伝説に襲われたら契約者ごと完膚無きまでに殺すからな?
 それを止めるほどお前は偽善者じゃないだろ?
 お前の正義は真の正義だと信じているぜ。」
「上手いこと言ったつもりか?」
「お気に召さないか。」
「悪くない。」
「それじゃあ今日はここで晩飯喰っていけ。寿司をとっている。」
寿司に反応して穀雨の目が光り輝いた。

「お寿司たべたい!穀雨ね、中トロと穴子と玉子が好きなの!」
とてつもなくグルメなメニューに頬が引きつる上田。
耳を疑う明日。
頭を抱える恋路。
「この子、孤児院でろくな物食べさせて貰えなくってな……。
 色々食べ歩きに付き合わせてたらこれだよ。」
「そういえばその子の事情についても聞きたいな。」
「ああ、そうだな。寿司でも食いながらゆっくり話そうか。
 ところでお前、酒はいける口か?」
「当たり前だろう。」
「うむ、紳士の嗜みだよ。ところでお前中々良いバイク乗ってるよな。姉ちゃんの影響か?
 俺実はファンなんだよねえ、お前の両親と姉ちゃんの。」
意外な事実が判明した。
そう思って明日は驚いた。

「え?そうなの?ああ、そういえばあんたもやたらバイク好きだもんな。
 つーか知ってるんだな、俺の姉ちゃんの話まで。」
ついつい会話が弾んでしまう。
「だって同級生だったもん。仲良かったし。
 お前と会うのだけは止められたよ、喧嘩するに違いないって。
 実際そうなったけどな。」
「えええええええ!?あいつと仲良くできるってどういう神経してるんだよ!」
「ていうか俺の名前覚えていないの?上田明也って。」
「………あああ!?生徒会長じゃねえかよ!笛吹の方しか知らなかったわ!」
「ご名答。お前らの居た小学校の生徒会長やってたんだよ。
 ちなみにその頃は晶と友達以上恋人未満の甘酸っぱい関係。」
「あいつ確か副会長だったよな!?」
「晶ってあの頃から契約者だったんだぜ?」
「嘘……、なんかの都市伝説関係だと思ってたけどそれは知らなかった……。」
「あいつの能力はなぁ……、ずるいよあれは。」
意外と共通の話題が多い二人の酒宴は、
本来上田が話す予定だったアメリカの話とかバイトの話とか恋路と穀雨の存在とか完全に無視して、
結構盛り上がったとか盛り上がったとか……。
【電磁人の韻律詩15~failure hero~ fin】




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